仮面ライダーナスカ I come to米花町   作:ボルメテウスさん

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狐の嫁入り

屋敷の主から出された問題に対して、俺達は戸惑いを隠せなかった。

 

さすがに、この吹雪の中で、子供を追い出すような事はしないと考えるが、さすがにこれだけでは、どうも分からない。

 

「相当風変わりな趣味を持つ富豪が美女を侍らせた仮面舞踏会を開いている以外の答えが浮かばないね、僕には」

 

そう、フィリップさんが言っていた。

 

弾空寺さんから聞いた情報でも、このフィリップさんは、どういう手段を使ったのか、俺と灰原の事情を事細かに知っている。

 

彼ら自身が仮面ライダーであるという事は、既に灰原から教えて貰っている。

 

そして、そのフィリップさんの答えに対して、俺も同意しかなかった。

 

だが、気になるのは、あそこに座っているお婆さんだ。

 

彼女の存在が、どうしても、俺は気になって仕方ない。

 

「ははは、まぁ、そう思うよね」

 

屋敷の主も、それに対しては否定する事なく、頷いた。

 

だが、それが正解という訳ではないだろう。

 

だとすれば一体。

 

「どうかな」

 

それに否定の声を出したのは、翔太郎さんだった。

 

正直、この人の印象は、俺の中では小五郎のおっちゃんと似た印象があった。

 

しかし、何か切り替わった気がする。

 

「まず、そういう美女と楽しむ宴にしては、女の子の仮面が不気味過ぎるぜ。

そこにただの悪趣味ではない、何か意味があるような気がする。

さらにだ、ご主人が楽しみだけならば、そこにいるご婦人は邪魔だろ。

なのに金屏風みたいなのを背負って、一番偉そうだ」

「それで、答えは」

「正直、妖怪に化かされている感じがするね。狐の嫁入りみたいな光景だ」

 

その言葉には、確かに頷く。

 

この状況にあった違和感はそれだ。

 

そして

 

「ふっははははははははは!!」

「えっ」

 

屋敷の主人は大きく笑った。

 

それには元太達は驚きを隠せない様子だった。

 

「君、名前は?仕事は何をしているんだ?」

「俺は左翔太郎。こっちは相棒のフィリップ。

風都で私立探偵をしている」

「なるほど、正解だ。

それに、そこにいる子も、何やら分かっていたようだけど」

「そうかなぁ」

 

なるほど、この人はなかなかに観察眼があるようだ。

 

それにしても、この左翔太郎という人、思っていたよりも鋭い気がする。

 

そう、考えている間にも、屋敷の主人である鏡野空也から、ここで行われている行事を説明された。

 

屋敷を構える風都の山間集落・錐通に伝わる古くからの風習に則り、嫁取りの儀式「仮面夜会」を行う。

 

「仮面夜会」とは彼本人や家族・使用人・更に客人、そして集められた美女達に仮面を着用して過ごさせ、その催しの期間内に彼の心を射止めた女を娶ると言う物。

 

「この中で一番の妖怪を嫁にする」と放言しているらしい。

 

そして、そのルールの中で、花嫁候補は1度でも顔や名前を他人に知られたら失格。

 

「それでか」

 

あの時、俺達を助けてくれたあの人が、自分の顔を見た事を誰も言わないようにという訳か。

 

「なんというか、本当に変わっているよなぁ」

「元太君」

「良い良い、俺も正直な感想はそれだからな。

だけど、俺の両親が死んだ後、ずっとおばばが俺の親だ。

だから、身を固めると決めた時、おばばが望む結婚をやろうと思ったのさ。

彼女達はおばばが選んだ。おばばが納得するならば、それで良い」

「ふぅん」

 

それに対して、灰原はふと、何かに気づいた様子だった。

 

「どうしたんだ?」

「別に、ただ、少し奇妙だと思ってね」

 

まぁ、正直に言うと、この状況は奇妙な空間でしかないだろう。

 

そして、その奇妙な空間で始まったのか、女性同士の言い争いが始まった。

 

それを見て。

 

「怖い」

 

そう歩美が呟く。

 

それは、当たり前の言葉であり、元太と光彦も怖がっていた。

 

そうして、俺の後ろに隠れる。

 

同時に翔太郎さん達は、すぐに俺達を守るように前に出る。

 

「まぁまぁ、落ち着けよ、子供達が怖がっている。

という訳で、俺は彼女達の相手をしないといけない。

外は大雪で、出られない。

幸い、財力だけはあるから食料も電源もある。

村への出入り口も、雪で埋まっているだろう。

この辺は当分、陸の孤島」

 

その言葉に、間違いはないだろう。

 

「一応の習わしじゃ、仮面だけ付けて貰おうか」

 

そう、執事の人から仮面を渡されていく。

 

「あぁ、俺は自前があるから」

 

そう言った弾空寺は懐から仮面を取り出した。

 

それは、まるで、怪盗の仮面を思わせるデザインだった。

 

「さて、どう」

 

そう、灰原に話しかけた時だった。

 

あいつは何かを感じたように、弾空寺の後ろに隠れた。

 

「灰原?」

「いる」

「いるって?」

 

その言葉に首を傾げる。

 

「分からない。

組織の奴らと似ているけど、違う。

でも、確かな何かを」

 

それが、どのような意味なのか、分からない。

 

しかし、どうやら俺達は、本当に、妖怪が住む家に迷い込んでしまったのではないだろうか。

 

「ほぅ、あの子、私の気配を感じたのか。

wにナスカだけでも面白いね、彼も、彼女も」

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