仮面ライダーナスカ I come to米花町 作:ボルメテウスさん
あれから、俺はそのまま灰原と弾空寺という青年と共に、博士の家へと向かう。
そこでは、博士の無事を確認できて、安堵するが、同時にこの2人の正体についても聞く事にした。
俺が黒の組織と呼ぶメンバーの1人であった灰原は、裏切り者。
そして、弾空寺は、風都と呼ばれる街から来た理由。
「それで、そのガイアメモリがこの街でも出回っているという訳なのか」
「あぁ、それの恐ろしさは、分かるだろ」
「あぁ」
拳銃なんかよりも小さく、隠しやすい。
何よりも、使用すれば、瞬く間にドーパントとなる事ができ、犯行が可能となる。
犯行時に、目撃者がいても、ドーパントの姿ならば、本人の姿ではない為、犯人に疑われる可能性が低い。
様々な悪用が可能な、そのガイアメモリは、確かに危険だ。
「だとしても、お前を信用できるかどうかは別だ」
「そう言われても、俺の方ではお前の事は既に検索済みだからな」
「検索済み?」
その言葉に対して、俺は首を傾げる。
「江戸川コナンという名前を付けたのは、その身体になった時に、幼馴染みである毛利蘭に名前を聞かれた際に、その後ろにあった本棚を見た。
その際に見た江戸川乱歩とコナン・ドイルを見たのがきっかけ。
また、眼鏡をかける変装の際に、父親の眼鏡をつけたが、度が合っていなかったので、そのまま机に頭をぶつける。
その物音が、彼女に気づかれたきっかけであると」
「どういう事なんだよ、それは」
その情報はあまりにも正確すぎた。
名前の件はともかく、眼鏡の一件は、俺しか知らないはず。
なのに、なんで。
「ガイアメモリ犯罪は情報が命だからな。
俺の探偵事務所には、情報戦においては、おそらくは最強の人物がいるからな」
「それだったら、俺が追っている組織の事も」
「それが、分かれば、苦労はしない。
なんだって、その組織に関する情報があまりにも少なすぎるからな」
「くそっ」
その事に対して、俺は苛立ちを隠せなかった。
「とにかく、俺はこれから、お前の言う黒の組織を追うつもりだ。
それと同時に、俺はこの灰原を守らなければならない」
「だけど、そいつは」
「あぁ、分かっている。組織で薬を開発している事もな。
だからこそ」
その言葉と共に、彼の目を見る。
まるで、何かを重ねるような言い方に対して、疑問はあった。
「あの人と同じようになって欲しい。
そう思っただけだ」
「会った時から聞きたかったけど、その人って、誰なの」
それは、灰原も聞いていなかったようだ。
「フィリップ、それがその人の名前だ」
「はぁ、話す気はない訳ね」
そう呆れたように言う。
フィリップ。
それは、俺や灰原と同じように小説の中にある登場人物の名だ。
なぜ、そこで出てきたのかは、疑問に思った。
「…とにかく、お前の考えは分かった。
だけど、まだ完全に信じた訳じゃない」
「別に良いよ、信頼なんて、むしろすぐにした方が危ない。
疑って疑って、その先でできるからな」
俺の言葉に納得するように、頷く。
未だに、目の前にいる奴の事は信用できない所はあるが、それでも、信じ始める所から、行う事にする。
もう薬のデータはないと思われたが、薬のデータが入ったメモリーカードが灰原の姉の恩師である大学教授・広田正巳の元に間違えて送られた可能性があるという。
俺達が広田に連絡を取ったところ、明美から返されたメモリーカードの中に妙なメモリーカードがあることを知り、早速広田が住む静岡へ向かうことにする。
移動の際には、俺と博士は車で、弾空寺と灰原はバイクで移動する事になった。
青いかなり目立つバイクではあるが、周りは、特に気にしない気配だった。
3時間後に無事広田邸へ到着した。
「っ」
同時に、弾空寺は何かに気づいた様子だった。
「ドーパントの気配!」
「えっおいっ!」
それと共に、俺達は、部屋の中を見る。
そこには一瞬だけ、人影が映っており、その両手にある長い紐をタンスを引き寄せた。
同時に、その下にいる広田さんを押しつぶした
その衝撃は凄まじく、俺達にタンスが倒れた音すら聞こえない程だった。
「今のがっ、ドーパントっ」
「もしかしてっ」
俺達はすぐに、その部屋の中を見る。
だが、そこには、ドーパントだと思われる人影はなかった。
現場には頭は、タンスの近くにあるトロフィーにぶつかったのか、血を流している。
そして、タンスによって、押しつぶされている被害者の姿があった。
おそらくだが、タンスが倒れた際に、トロフィーが頭にぶつかったのだろう。
タンスによる衝撃というよりも、こっちのトロフィーが死因だと考えて良いだろう。
「まさか、もぅ組織がっ」
「…いや、少し違うな」
「えっ?」
俺の言葉に対して、灰原は言葉を止めた。
「組織だったら、こんな回りくどいやり方はしないわ。
それこそ、ドーパントの力だったら、家を簡単に燃やす事ができるはずよ」
「…だったら、今のは一体」
明らかに常識外れの光景を見て、俺は思わず、頭をかきむしる。
やがて、警察が来ると共に、状況を説明した。
だが。
「いやいや、いくら何でも、いきなり人が消えるなんて、無理があり過ぎるだろ」
「それはっ」
俺も、それを否定する事はできなかった。
何よりも、俺自身も同じ意見だった。
「…君は、これまで通りの通り推理すれば良い」
「推理って」
「ドーパントは確かに超人だ。しかし、その能力は無限じゃない。記憶を再現している以上、それ以外の能力は使えない」
その言葉と共に、俺は彼から教えられた情報を思い出す。
例えば、俺が最初に出会ったドーパントの場合は、バット。
つまりは蝙蝠の能力が使用できる。
蝙蝠が発する超音波や空を飛ぶ翼など、蝙蝠の能力を人間に付与して、強くした。
ならば、今回の事件において重要なのは、このドーパントが何なのか。
俺はその言葉を思い出すように、もう一度、観察する。
「…そう言えば」
なぜ、音がしなかったんだ。
あの時は、ドーパントに対する驚きで聞こえなかったと思ったが、本当にそうなのか?
よく見ると、タンスを引っ張ったと思われる紐は、紐というよりも、テープを思わせる。
「…待てよ、もしかして順番が逆だったんじゃないのか?」
その言葉と共に、俺は思わず目を見開く。
「メモリの正体は、分かったか?」
「予測だけどね。
メモリは、それに関連する能力だったら、発動はできるの?」
「まぁな」
「なるほど、だとしたら、犯人も既に分かったぜ」
俺は、既に笑みを浮かべる。