アイ(愛)を求めて   作:頭お菓子いエクレア

10 / 31
変わる日々 その2

 

「ベビーシッターなんて経験ないのに・・・なんで私がこんな・・・」

 

「お疲れ様です、ミヤコさん。」

 

星野を見送った後、俺とミヤコさんは子守に奮闘していた。

 

「すごいわね天城君、子守を難なくこなすなんて・・・。」

 

「まぁバイト先で何度か経験しましたから。お疲れでしたら、横になって休んでてください。」

 

「ありがとう、そうさせてもらうわ。」

 

そういってソファーで横になったミヤコさんはすぐに寝てしまった。相当疲れていたのだろう。

 

「そういえばそろそろ星野が出る歌番組の時間か・・。」

 

そういいながらテレビの電源をつける。すると俺が星野の名を出したせいだろうか、アクアがテレビの前を陣取る。

 

「お!アクアもお母さんがテレビに映るところ見るか?」

 

なんて冗談めかして言ってみるが、「もちろん!」と言わんばかりの顔つきで返事をされた気がした。もしかしてアクアは・・・・・・・・

 

 

すごい賢い子なのでは?

 

そんな印象を受けつつ、アクアと一緒にテレビを見ていると、B小町の出番がやってきた。

 

「本日活動再開となったアイさん!大丈夫?ちゃんとご飯食べてる?」

 

「ハイ!いっぱい食べてます!」

 

という質疑応答を見ている分には特に問題なさそうに思ったが、

 

「そうそう!ご飯と言えばこの間ウチの子が・・」

 

「ウチの子?」

 

あっ・・・。

 

「じゃなくてウチの子猫がね!休養中に飼い始めたんだけど・・」

 

「へぇ~」

 

おいおい大丈夫かよ・・・。

心なしか横で見ていたアクアもハラハラした表情していた。

 

「では!B小町さん、パフォーマンスの準備をお願いします!」

 

 だが番組内で深く聞かれる様子もなかったので安心した。

そうこうしているうちに、星野、B小町のパフォーマンスが始まった。久しぶりに歌い踊っている星野を見ていると、やはりと言うべきか星野はアイドルなのだと言う事が再確認することが出来た。

 

「さて、晩御飯を作り始めないとな・・・。」

 

 そう言いながら俺は立ち上がり、キッチンへ向かおうとすると先程ミヤコさんが寝かしつけたルビーが目を覚ましていることに気付いた。よくよく見てみれば、ルビーもテレビのほうに気が向いているので、

 

「ルビーもテレビ見たい?」

 

と聞くと、目を輝かせてこっちを見る。

 

「よし、じゃあ抱っこしていくぞ。」

 

と言いながら、ルビーを抱っこしてアクアのいるテレビの前に連れてくる。

 

「アクア、ルビーにもお母さんが出てくるところから見せたいから、少し巻き戻させてもらうな。」

 

俺はアクアにそう言って、星野の最初の出番のシーンまで飛ばす、一応B小町が出てくる番組は斉藤社長や星野が確認するときもあるため、録画しておいてほしいと言われたので、アクアたちには録画した番組を見せておく。ルビーはアクアに対し、終始テレビに映るB小町に大興奮の様子だった。

 

 テレビに夢中なアクアたちを時折目を配りながら、星野のために晩御飯の下ごしらえをしていく。するとスマホに星野から「もうすぐ帰るよ~。」とメッセージが届く、俺は「了解。」とだけ返信し、調理を開始していく。

 

 料理が完成した時、玄関のほうから扉の開く音が聞こえてきた。すると間もなくリビングの扉が開かれ、

 

「ただいま~~。アクア~、ルビ~。」

 

そう言いながら、星野は我が子に真っ先に向かって行った。

 

「おかえり、星野。」

 

「ただいま~、天城君。」

 

「おう、戻ったぞ。」

 

少し遅れて、斉藤社長も戻ってきた。

 

「おかえりなさい、斉藤社長。」

 

「ミヤコはどうした?」

 

「初めての子守に疲れてたみたいなので、今はそこで休んでます。」

 

とミヤコさんが寝てるソファーに目を向ける。

 

「アイツ・・・。すまんな天城、ほとんど任せたみたいで。」

 

「いえ、さっきまでは起きてたので、ミヤコさんはしっかり子守してくれましたよ。」

 

「そうか、それじゃあ今日はもうミヤコを連れて帰ることにするな。」

 

「そうですか、でしたら斉藤社長とミヤコさんの分の晩御飯を包んできますのでちょっと待っててくださいね。」

 

「いいのか?悪いな。」

 

「いえ、すぐ済みますから。」

 

 俺はそう言って一応持ち込んでおいたタッパーにおかず、ごはんをラップで包み、スープをスープジャーに入れて、手提げバッグに詰めていく。

 

「天城君、今日のご飯はなぁに?」

 

と星野が聞いてきたので、俺は作業しながら答えた。

 

「今日は鮭のホイル焼きと卵焼き、あとオニオンスープだよ。」

 

「やったぁ~。天城君の卵焼きだ~。」

 

と喜ぶ星野と

 

「結構しっかりしたのを作るんだな。」

 

感心してくれる斉藤社長。

 

「慣れれば簡単ですよ。実際、スープは具材を切って、調味料を入れて煮込むだけ、ホイル焼きも仕込んだ材料をホイルで包んでフライパンで蒸し焼くだけですし、卵焼きは好みの味付けして焼くだけですからね。」

 

「それが出来たら苦労しないよ。」

 

と星野に言われ、

 

「これに関してはアイの言う通りだな。」

 

と二人掛かりで言われてしまった。料理ってそんなに難しいかなぁ?と思いながら斉藤社長達の晩御飯を包み終える。

 

「それじゃあ星野、斉藤社長達を下まで送ってくるから先にご飯食べてていいよ。」

 

「ううん。待ってる。」

 

「わかった。 斉藤社長お待たせしました。」

 

「おう、じゃあ下まで頼む。」

 

そう言って斉藤社長はミヤコさんをいわゆるお姫様抱っこをする。

 

「それじゃあアイ、また明日よろしくな。」

 

「はーい、おやすみー社長。」

 

 そうして俺と斉藤社長は下に止めてある斉藤社長の車まで移動する。先に斉藤社長から預かった鍵を使い、開錠して後部座席のドアを開き、斉藤社長がミヤコさんを乗せる。

 

「ありがとな天城、晩飯まで世話になって。」

 

「いえ全然、料理を作るのは好きですから。」

 

そう言いながら、俺は先程包んだ斉藤社長達の晩御飯が入った手提げバッグを手渡す。

 

「そうか、それじゃそろそろ帰るな。アイも腹を空かして待ってるだろうし、お前も早く戻ってやれ。」

 

「わかりました。それじゃあ、おやすみなさい」

 

「おう、おやすみ。」

 

そう言って俺は斉藤社長達と別れ、急ぎ足で星野のいる部屋に戻ってきた。

 

「お待たせ星野。アクアとルビーは?」

 

「今ちょうど寝ちゃったところだよ。」

 

星野はそう言いながら二人をベビーベッドに寝かせてあげたようだ。

 

「そうか、それじゃすぐに晩御飯盛っちゃうな。」

 

「うん。もうおなかペコペコだよ~。」

 

「すぐに出来るからな、席に座ってな。」

 

「は~い。」

 

俺は手早く料理を盛りつけ、テーブルに料理を並べていく。

 

「お待たせ。星野。」

 

「さすが天城君、速いね。それじゃあ早速、」

 

「「いただきます。」」

 

そう声を合わせて、食事を開始する。

 

「う~~ん。やっぱり天城君の卵焼きは美味しいよ。」

 

「ん、ありがとう。やっぱ星野相手だと作り甲斐があるよ。あ、そういえばさっきアクアとルビーが星野がテレビに出てるとこ見ててはしゃいでたよ。」

 

「そうなんだ~。私も見たかったなぁ~。」

 

「録画してあるし、今度一緒に見ればいいんじゃないか?」

 

「うん、そうするよ。」

 

そんないつもの雑談をしながら晩御飯を食べていき、食事が終われば片づけて別れの時間が来る。

 

「じゃあね天城君、今日はありがとう。」

 

「いや協力するって言ったのは俺からだったし、気にするな。おやすみ、星野。」

 

「うん、おやすみ、天城君。」

 

 そうして俺は星野と別れの挨拶をした後、自分の部屋に帰っていき、風呂に入って体を癒し、布団に潜る。

アクアとルビーが加わった星野との新しい生活に胸を躍らせていた俺だったが、無意識に疲れていたのかその日はすぐに深い眠りに落ちていった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。