アイと恋人になった日の翌日、俺とアイは交際を始めたことを斉藤社長とミヤコさんに報告しに行くことにした。
「別にすぐに言わなくてもいいんじゃない?」
とアイは言っていたが、言っておかないわけにはいかないだろう。
意気込んで斉藤社長とミヤコさんに交際を始めた報告をすると、
ミヤコさんは予想通りというべきか、驚く様子はなく、ただ「おめでとう。」の一言だった。
斉藤社長は意外というべきか、ミヤコさんと同様に驚く様子はなく、
「ようやく付き合い始めたのか。」
と呆れていた。
少しは怒られたりするのかと思ったが、特に何も言われることはなく、アクアとルビーの事と同じ、いやそれ以上に世間にバレないように今まで以上に注意を払って生活と仕事をしろ。とのことだった。
「意外とあっさりだったな。」
「そうだね~。でも、お前とアイが付き合うなんて許さん。って言われるよりはいいんじゃない?」
「それもそうだな。」
なんて話しながら俺たちは次に報告すべき子たちのもとに向かっていた。
アクアとルビー。
アイの双子の子供にも俺たちが交際を始めたこと伝えるつもりだ。
その日の夜、晩御飯をいつも通りの四人で済ませた後、二人に話があるといって、テーブルに着いたまま晩御飯の片付けが終わるまで待ってもらい、片付けが終わった後、少し真剣な空気の中で、俺がアイと交際を始めたことをアクアとルビーに伝える。
ルビーはすぐに自分のことのように喜んでくれた。
「おめでとう!ママ!天城さんもママのことよろしくねっ!!・・・・これからはパパって呼んだほうがいい?」
「もうっ♪ルビーったら、気が早いよう♪」
「まぁ、今はまだ、今まで通り好きに呼んでくれていいよ。」
「うん!わかったパパ!」
気が早過ぎない?
「ねぇ、将也君・・・。」
「何だ?アイ。」
「私、ウェディングドレスがいいな♡」
気が早いのは親譲りだった。
「・・・いいけど、ちゃんとお金貯めてからだぞ。」
「もちろん!任せといて♪」
・・・俺も頑張らないとな。
と将来のことに思いを馳せていると、先程からアクアが何も言わないことに気が付く。
「アクア?」
「・・・・。」
呼びかけても反応しない。
「どうしたの?お兄ちゃん。」
とルビーが話しかけても、アクアは何も答えない。
「おい、アクアどうしたんだ?」
と今度は近くによってアクアの肩を揺さぶってみる。
すると、
「・・・・はっ!・・・ごめん、なんか変な夢を見てた。」
「疲れてるなら、今日じゃなくて、明日話そうか?」
「いや、大丈夫。話を聞くよ。」
「わかった。 えっと、昨日から俺とアイは付き合い始めて恋人になったんだ。」
「・・・・・。」
「それで、これからも・・・・アクア?」
もしかして、気絶してるのか?アクア。
「お兄ちゃんっ!しっかりして!!」
今度はルビーの豪快なビンタがアクアを正気に戻す。
「ち、違う、これは夢だ。夢なんだ。は、早く目を覚まさないと・・・。」
「現実だよお兄ちゃん!しっかりして!!」
「あっはっはっは、すごい!こんなアクア初めてだぁ。あっはっはっは。」
確かにここまで狼狽えるアクアは初めてじゃないか?というかアイ、笑いすぎだ。
「なぁ、アクア。」
「な、何?」
「アクアは俺とアイが恋人になるのは反対か?」
「別に反対って訳じゃないけど・・・。驚いたっていうか。」
「お兄ちゃんはパパにママが取られるって嫉妬してるんじゃない?」
「そんなんじゃない!」
ああ、そういうことか。
「アクア。別に俺はアクアとルビーからアイを取ろうってわけじゃないよ。」
「そんなのは分かってる。ホントにただ驚いったってだけで・・・・アイ?」
「ママ?」
気が付いたらアイはアクアのことを抱きしめていた。
「大丈夫だよ、アクア。将也君と恋人になったって、アクアのこともちゃんと・・・愛してるよ。」
「・・・・うん。」
「もちろん、ルビーのことも愛してるよ。」
アイはそう言って今度はルビーのことを抱きしめてあげる。
「うん!私もママの事、愛してるよっ!!」
ルビーもアイに強く抱きついた。
その様子を見た俺は、こういう時こそ母親であるアイにはかなわないなと思った。
その後は、眠くなった二人をアイが抱っこして、寝室へと二人を運んで行った。
「お疲れ様。二人はどう?」
「すぐに寝ちゃったよ。でもあの二人、いつの間にかあんなに重くなってたんだね。前はそんなに大変じゃなかったのになぁ。」
「ちゃんと成長してるってことだな。」
「そっかぁ、考えてみればもうアクアもルビーも四才になるのかぁ~。あっという間だった気がするよ。」
「もうそんなに経つんだな・・・。」
二人でアクアとルビーが生まれてからのことを思い出す。
「けど、まだまだこれからだろ?アイ。二人が大人になるまで、十年以上あるんだからな。」
「うん、そうだね。それに二人がどんな大人になるのか楽しみだなぁ・・・。」
「そうだなぁ、アクアは頭が良いし、いろんな選択肢がありそうだよな。ルビーはアイに似てるから、アイと一緒でアイドルになったりするのかな?」
「それいいね!いつか親子共演とかしてみたいな。もしそれができるならアクアとまた同じ映画に出たいなぁ。」
「親子三人で芸能人か、俺も忙しくなりそうな将来だな。」
「その時は頼りにしてるよ♪マネージャー♡」
「任せろ。」
なんて二人の将来のことを予想していると、俺たちも寝なければいけない時間になっていた。
「それじゃあ、そろそろ俺は帰るよ。」
「え~、泊っていけばいいのに~。」
「また今度な。じゃあおやすみ、アイ。」
「約束だよ~。おやすみ、将也君。」
視点変更「星野 アイ」
「あ、ちょっと待って将也君。」
「どうした?アイ。」
帰ろうとする将也君を呼び止めて私は彼の唇にキスをした。
突然キスしたことに将也君は顔を赤くして、驚いていた。
「えへへ、おやすみのキスだよ。一度してみたかったんだ。」
「・・・言ってくれれば良いのに。」
「言ったら、照れてしてくれなさそうだったから無理やりしちゃった♪」
「まったく・・・、これからもするのか?」
「えっ?!いいの?」
「いいよ、これくらい。」
今までの将也君だったらこんな提案はしないと思っていたから驚いた。
「うん!じゃあ毎日したい!おはようの時も、行ってきますの時も、ただいまの時も、おかえりの時も、それからええと・・・」
私はここぞばかりに将也君としたいことを挙げていく。
「わかったわかった。一度に全部言わなくたって大丈夫だよ。したいことがあるなら、その時に言ってくれればいいよ。もちろん外で出来ない事はダメだけどな。」
「そう?じゃあ、今は将也君からお休みのキスをしてほしいな♪」
そう言って私は目を瞑って、将也君がキスしやすいように顔を前に出す。
すると将也君は私の頬に手を添えてキスをしてくれた。
ああ、すごい・・好きな人とキスをするとこんなにも頭の中がフワフワして心の中が満たされる。心地いい。
「アイ、おやすみ。」
「うん、おやすみ。将也君。」
二度目のおやすみをいった将也君は自分の部屋に帰っていった。
彼見送った私は寝室に向かう。
そこには愛しい私の子供たちが安らかな寝息を立てて、ベッドの上で眠っていた。
私は、アクアとルビーを起こさないように静かに同じベッドに入り込む。
「おやすみ~、アクア、ルビー。」
二人にそう言って私は目を閉じる。
そして私はさっきの事を思い出す。
アクアとルビーに愛していると私は初めて二人に伝えることができた。
今までは、将也君の時と一緒で愛していると伝えるのが怖かった。
でも、昨日将也君に愛してるって伝えて、愛してるって言われて、私はようやく「愛」を知ることが出来た。
これはきっと彼のおかげだ。彼が、将也君が私のことを愛してるって言ってくれたから、ずっとそばにいてくれたから、私は「愛」することができた。
でも、足りない。もっと欲しい。
まだまだ将也君を愛したい。愛して欲しい。と欲張ってしまう。
我儘なことかもしれないけど、これでいい。それでいいんだって、将也君は言ってくれた。
だけど全部一気に求めたらいけないよね。さっきもそう言われたし。
まぁ、焦らなくてもいいか。もう恋人になったんだもん。
今は恋人としての時間を楽しもう。
でも早く結婚したいなぁ・・・。
なんて思っているとどんどん眠気が増してきたので、私はそのまま眠ることにした。
おやすみ、将也君、アクア、ルビー・・・・。
視点変更「星野 アイ」end