ゆるキャン△ 愛故に   作:狭間です

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え?! 日間ランキング載ってる ?! 皆様本当にありがとうございます。でも、すみません今回は短めです。それではどうぞ。


【11】姉

 

 

 

 あれから数日後、今度はイーストウッドキャンプ場に向けてバイクを走らせていた。

 なんだか前より考えが巡っている様な気がする。普段キャンプに行くと、目的地まで寄り道をせずに一直線、設営を終えた後は食事をする以外ぼうっとしていることが多い。

 

 今日も同じようにしても良かったが、何となく気が変わったので、キャンプ場を二つ回ってみようと考えている。どちらも県内にあるため、特に無理は無いだろう。

 いつものではなく、行く途中にあったスーパーで食材を揃える。

 最初の目的地は、四尾連湖だ。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

 もう冬ということもあり、葉が一切無い寒々しい木々を脇目に道を進んで行くと、目下に大きな湖が飛び込んでくる。そろそろ目的地だろうか。スマホのナビは到着を示しているが、まだ管理棟にはたどり着いていない。

 手書きの案内表示を頼りに、奥へ奥へと入っていく。

 

 駐車場までたどり着いた私は、いつものように運転で固まった体をほぐす。

 

 (入口でも思ったが、やっぱりこの車見覚えがあるな)

 

 単車を停めた私の横には、見た事のある車が一台止まっている。確か、あの時少女を迎えに来た姉が乗っていた車と同じか?

 

 (奇妙な偶然もあるものだな)

 

 ここは目的地だが、通過点の一つ。少し休憩したらまた出よう。

 とりあえず飲み物でも買いに行くか。

 

 

 

 管理棟にある売店で缶珈琲を手に入れ、すぐ横の喫煙所で煙草を吹かす。

 四尾連湖の水面は、透き通っているものの、冬の青空を反射して青く輝いている。その景色は、最近色々なことがあり、迷っている私の心を見透かしているようで、少しぞっとした。

 

 

 手元の缶珈琲はいつの間にか熱を失い、冷たくなっていた。どれだけの時間が経っていたのだろうか、ぼうっとし過ぎるのも考えものだな。缶珈琲の残りを一気に胃へと流し込み、ゴミ箱に捨てようとしていた時、ふいに後ろから声をかけられる。

 

「もしかしてあなた、この間なでしこを助けて下さった……」

 

「……はい?」

 

 私が振り返ると、そこにはやはり以前出会った少女の姉が、暖かい飲み物が入ったマグカップ携えてこちらを見ていた。すらっと伸びた手足と整った顔立ち、メガネをかけた長髪の彼女は再会を喜んでいるようだった。前回会った時は辺りが暗くて私の顔などよく見えなかった筈だが、覚えていられるものなのだろうか。

 

「やっぱり。あの時はお世話になりました」

 

「……いえ、そんな」

 

「今日はキャンプをしに?」

 

「……ここには少し、立ち寄っただけです」

 

「そうなんですね、私は今から大学の友達と遊びに行く予定なんですよ」

 

 遊びに行くついでに、妹とその友達をここまで送ってきたらしい。妹想いの姉なんだろうなと思うと同時に、何となく長くなりそうな予感がしたため、とりあえず二本目の煙草に火をつける。

 

「あなたも大学生なんですか?」

 

「……えぇ、ここから少し離れた所の大学に通う二年生です」

 

「え、なんだ年下じゃないの。てっきり同い年か私より上だと思ったのに」

 

「……私も同じこと考えてました」

 

「それってどういうことよ」

 

「……いえ、単に大人っぽく見えたので」

 

 年下だと分かると途端に砕けた口調になった。恐らくこっちが彼女の素なのだろう。特に気にする事は無いので、私としてはどっちでも大丈夫だが。女性に歳のことを言うとあまりよろしく無い事は分かっていたが、無意識に言ってしまった事を反省する。

 二本目の煙草を吸い終えようというタイミングで、彼女は改めて聞いてきた。

 

 

「タバコ、吸ってるのね」

 

「……えぇ、まぁ」

 

「あんたいくつよ」

 

「……成人はしてます」

 

「……妹を助けてくれたことは感謝してるけど、なでしこの前では絶対に吸わないでね」

 

「……わかりました」

 

 これが姉というものなのだろう。特に妹さんの前で煙草を吸う予定はないのだが、有無を言わせぬ圧力に負けたためしっかりと肝に銘じる。流石の私でも未成年の前で煙草を吸う事がよろしくない事くらいは理解しているつもりだ。

 

「あなたも、もっと自分を大事にしなよ」

 

「……わかりました」

 

「絶対わかってないでしょ」

 

 とりあえずで返した生返事は、あっさりと看破されてしまった。

 

「じゃ、私もう行くから。気をつけるのよ」

 

 そう言って彼女は自分の車に乗って、駐車場を出ていった。右手を見れば、とうにフィルターまで到達していた煙草がくたびれていた。

 

「……私も出るか」

 

 冷たくなった煙草の吸殻を喫煙所の缶に押し込み、私は駐車場へと足を向けるのだった。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「……まさか後輩だったなんてね」

 

 頬杖をつきながら運転している彼女は、車内で独り言を呟く。

 

 (前会った時にも思ったけど、やっぱり彼、どこか危うい感じがするのよね)

 

 妹を助けてくれた恩人に対して、説教がましいセリフを吐いてしまった。それでも、タバコを吸わないで欲しいと思ったのも本心だし、彼に自分を大切にして欲しいと思ったのも、もちろん本心だ。

 

「……キャンパスで会ったら、挨拶くらいしてあげよ」

 

 そんなことを考えながら、友人たちが既に集まっている目的地に向かって車を走らせる。

 

 

ーーーー

 

 

「あ! 来た来た!」

「桜ー!」

 

「ごめん、お待たせー」

 

「遅かったじゃーん、ってあれ? なんか桜、煙タバコ臭くない?」

 

 

 

「……気のせいじゃない?」

 

 

 

 やっぱりアイツゆるさん。

 

 

 




 はい、桜さん再登場です。姉は強い(確信)。皆様の感想、評価等、とても励みになっています!これからもよろしくお願いいたします!
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