ゆるキャン△ 愛故に   作:狭間です

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 お久しぶりです。遅くなってしまい本当に申し訳ございません。どれもこれも大学の試験とスト6が面白過ぎるのがいけないんだ。嘘です僕が悪いですごめんなさい。
 それではどうぞ。


【32】新年

 

 

「とりあえずは、こんな感じかな」

 

 キャンプ場の宣伝ポスター、それの骨組みがだいたい出来上がってきた。どんなキャンプ場が一目でわかり、それでいてインパクトのあるポスターを作らなければならないため、中学の頃から美術の成績が常に3だった自分にはかなりの難題であった。これからより細かいところを詰めて行くことになるだろうが、やはり専門の人に意見を求めた方がいいかもしれない。

 ひと段落ついた作業を一旦休み、珈琲を淹れに台所へと向おうと思った時、LIMEの通知音が耳に飛び込んでくる。どうやら志麻さんが取材を終えて、まとまった情報を共有するらしい。

 

[取材色々行ってきた]

 

[それで考えてみたんだけどさ]

 

[ただ処分するんじゃなくて、あるものを活かすのはどうかな]

 

(あるものを活かす、か。浩庵での話から何かを得たようだ)

 

[この鳥かごとか、そのまんまの方が自然の景色と馴染む気がして]

 

 確かにあの鳥かごをただ処分してしまうのは勿体ない。キャンプ場の名物ではないが、シンボルのようなものになってくれれば良いな。キャンプ場を象徴するオブジェとして、来た人の心に残り続けるようなそんなものに。

 志摩さんの案は好評のようで、犬山さんと恵那が次々と返信をする。

 

[せやね、あるものやったら予算的にもたすかるわー]

 

[それなら、建物の裏にあったドラム缶とかどうかな?

ドッグランの遊具に使えるかも!]

 

[あー、あれなぁ!]

 

[地域の人にも声をかけて、使ってないものを提供してもらえるかもしれへんし]

 

[うん! いいと思う!]

 

 

 どうやら話はまとまったようだ。志摩さんの意見に同意を示した我々は、新しいアイデアがどんどんと溢れてくる。ある程度話が出たところで、大垣さんがこれらをまとめて企画書として県庁に提出しに行くらしい。

 いよいよ本格的に動き始めたキャンプ場計画にワクワクしながら、再び珈琲を淹れるために僕は手を動かし始めた。

 

(これからより一層忙しくなりそうだな)

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「あけましておめでとうございます、皆さんお久しぶりです〜」

 

「あけましておめでとう! あかりちゃん!」

 

「おぉ〜、チビ犬子もちゃんと挨拶できるようになったじゃねぇか!」

 

「せやろ?! やから〜お年玉ちょーだいっアキちゃん!」

 

「ぜんっぜん変わってねぇな」

 

 

 目の前で繰り広げられているコントを見ていると、師走の寒さも忘れるくらい暖かな気持ちになってくる。企画書提出から直ぐに年末を迎えた我々は、皆揃って初日の出鑑賞兼初詣に来ていた。

 今年も年末は祖父母の家に帰省しようと考えて僕だったが、キャンプ場計画のことや恵那との話を電話で報告していたためか、年末はその子らと過ごして時間が出来たらこっちにも顔を出しなさいとのお達しが出たのだった。(恐らく後者の要因の方が強いだろうが)

 

 しかし、学生の頃に住んでいた下宿先は当然引き払っていて、泊まる場所の無い僕を迎え入れてくれたのは恵那家の皆さんだった。久しぶりに再開した皆さんと食事をしながら、近況を報告する。旦那さんとの晩酌を含めて、とても楽しい時間を過ごさせて貰った。

 恵那の部屋で寝泊まりをしなさいと言われた時にはだいぶ悩んだが、他ならぬ恵那たっての希望だったらしく、泊まらせてもらう立場として拒否権は無い僕はゆっくりと首を縦に振ったのだった。

 

 そんなこんなで年末を迎えた我々は、野クルのメンバーで初詣に行くことになり、犬山さんの妹であるあかりさんと僕は初めての、皆さんは久しぶりの邂逅を果たしたのであった。あいにく志摩さんは年末まで仕事があるようで、職場での年越しとなるそうだ。後で写真を送ってあげよう。

 

「あかりちゃん、東京の美大はどう?」

 

「課題ばっかりやけど楽しいで〜」

 

 どうやらあかりさんは美大に通っているらしい。皆それぞれ夢を持って今を生きているのだなと、しみじみと感じながらも、おっさん臭いなと自重した頃に最後の一人が合流する。

 

「あけましておめでとうございます、皆さん」

 

「あー! 鳥羽先生!」

 

「全員揃ったことやし、そろそろ行こか〜」

 

 我々が初詣に来た身延山は、久遠寺というお寺が頂上にあり、その付近までロープウェイが出ている。目下に広がる夜景を楽しみながらロープウェイに乗っていると、10分もかからずに降り場へと到着した。

 

 降り場からお寺までまだ少し階段を登る必要があるため、人の波に逆らわず着々と歩みを進めていく。あかりさんと各務原さん、大垣さんの三人はキャンプ場について、鳥羽先生と犬山さんは教師同士の話をしていた。こちらも、隣を歩く恵那と速さを合わせながら会話を続ける。

 

「県庁からの許可も出て、年明けから本格始動か」

 

「これから忙しくなりそうだねぇ ♪ 」

 

「そうだな、でもこんなに楽しくて忙しい時間は願ったり叶ったりだよ。夢を持ってそれに向かって行動する、こんな充実した時間を過ごせるの皆のおかげだな」

 

「私も、優太と会える時間が増えるし嬉しいな」

 

「それはお互い様だね」

 

 

 

「……あの二人、ここでもイチャイチャしとる」

 

「あぁ、なんかこう、クるものがあるな」

 

 犬山さんと大垣さんに何か言われてるが気にしないでおく。……ただまぁ少しは自重しないとな。

 

 

 長蛇の列を乗り越えた我々の前には賽銭箱が鎮座していた。それぞれ五円玉を投げ入れた後に合掌をする。どこかでお寺へ初詣に来た際は二礼二拍手一礼はしてはいけないと聞いたような気がしたため、皆の様子を伺いつつ合わせる。

 

「優太は何をお願いしたの?」

 

「これからも僕らを見守っていて下さい、かな。恵那は?」

 

「ヒミツ ♪ 」

 

「……さいですか」

 

「あ! おみくじとかお守り売ってるよ!」

 

 大きなおみくじ箱の横にズラリと多種多様なお守りが陳列されている。女性はやはり恋みくじや恋愛成就のお守りが好きなのだろうか。

 

「これとか欲しかったら買うよ?」

 

「恋愛成就? それはもう今の私には要らないかなぁ」

 

「女性はこういうの好きだと思ったんだけど」

 

「だって私のはもう叶ってるし、それに願うなら神様仏様じゃなくて優太に直接お願いするしね ♪ 」

 

「……」

 

「あっ…………なんか言ってよ!」

 

 普通に会話していたつもりが、思わぬ所で恥ずかしさの爆弾を爆発させてしまい、思考が停止した僕は顔を赤くしながら立ち尽くすしか無かった。それを見て自分が言った言葉を反芻した恵那もまた林檎のように顔を赤くした。何も返せなかった僕に文句を言って犬山さんや大垣さん達の元へと走って行ってしまった。

 

「モグモグ……今のは優太さんが悪いわ」

 

「……ですよね」

 

 出店で買ってもらったのであろうお団子を頬張りながら、あかりさんが僕の肩に手を置いて呆れたように言った。女子大生に呆れられる三十路という構図はあまりにも情けな過ぎたため、何とか現状を打破するために声を出す。

 

「あかりさんは美大に通っているんでしたよね」

 

「そうですよ」

 

「もしよろしければなんですが、今キャンプ場宣伝のためのポスターを作っていまして、何かアドバイス貰えたら有難いのですが頼めますでしょうか」

 

「そんなことやったらいくらでもやりますよ〜、また今度見せて下さい」

 

「ありがとうございます」

 

「んなことより、はよ恵那さんとこ行ったげてや。今は私と話しとる場合ちゃうやろ

 

「……仰る通りです」

 

 はい、より情けない状態になってしまいました。弁明のしようもございません。

 

 

 その後、何でも言う事を一つ聞くという条件で、直ぐに機嫌を直した恵那と共に皆と合流した頃にはもう夜が明けはじめていた。

 初日の出が登ったタイミングで皆で集合写真を撮り、志摩さんへ送る。LIME越しの挨拶だったが、違う場所でも同じ日の出を見ながら同じ時間を過ごすことができた。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「あけましておめでとうございます」

 

「「あけましておめでとう、今年もよろしくね」」

 

「こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 皆と解散した僕と恵那は実家へと帰り、恵那の両親と新年の挨拶を交わしたのだった。食卓には既におせちが所狭しと並べられており、どれもこれもが絶品だった。早朝から初詣に出ていた僕達二人(特に睡眠と布団が大好きな恵那)は、仮眠を取るために自室へと戻った。

 

「さっきの何でも言う事を聞くって約束、忘れてないよね」

 

「あぁ、僕に出来ることなら」

 

「うーん、じゃあ一緒に寝よ?」

 

「……そんなことで良いのか? それくらいならお願い無しでも聞くさ」

 

「それなら、もうちょっと取っとこうかなぁ」

 

「そうしてくれ」

 

「やったぁ」

 

 お神酒を飲んだのに加え元からの眠気で頭が回っていないのか、ふわふわとした口調で返事をする彼女と共に布団へ入る。

 

「ねぇ優太ぁ、ぎゅってしてぇ」

 

「はいはい、これでいいかい」

 

「えへへ〜、優太の匂い安心するぅ」

 

 そう言うと恵那はものの数秒で夢の世界へと旅立って行った。安心する彼女の寝顔を見ていると、僕も同じように睡魔に襲われる。

 

「……おやすみ、恵那」

 

 重くなった瞼に逆らうことなく眠りにつくのだった。

 

 

 

 その後、僕より先に目を覚ました恵那が先程までの行動を振り返り悶絶するのは想像に難くない。

 

 




皆様の感想、評価等お待ちしております!
あとこうして欲しいや、こんなお話が読みたい等の要望がございましたら感想でお聞かせください。気分で書きます。

 今後の続きと小話の案としていくつか考えてはいるのですが、どれが需要あるのかわかんないのでアンケートやってみます。お気軽にご参加ください。なお、ほかにも希望がございましたら感想欄でお願いいたします。

  • 卒業旅行編
  • 恵那 専門学校時代編
  • 桜さんとの原付の旅耐久視聴編
  • 映画編 その後
  • IF 優太が恋に気付かなかった編
  • 黙って全部書け
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