ゆるキャン△ 愛故に   作:狭間です

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最近は本当に暑いですね。皆さんも体調にはお気をつけください。
それではどうぞ。


【36】一番熱い夏

 

 

「ちょっと早く来すぎちゃったかな」

 

「まだ他に誰も来てないな」

 

 大垣さんの号令で、皆は県庁の基地に集合をかけられていた。やはり気持ちは皆同じだったようで、キャンプ場製作を何とか再開するために作戦会議を行うそうだ。当日になり恵那と一緒に基地へと向かったが、早く着きすぎたようで僕ら以外はまだ到着していないようだ。

 

「うーん、このまま待ってるのもつまらないしちょっとイタズラしちゃおっか」

 

「ほどほどにね」

 

 何か思いついたらしい恵那が何やらジンジャー君を弄っている。大人になっても遊び心を忘れない姿にほっこりとするが、いったいどんなイタズラを思いついたのだろうか。

 

「優太、こっちこっち」

 

 準備を終えた恵那と共に隣の物置に隠れる。様々なものが雑多に押し込まれているため、辛うじて人が二人隠れられるスペースが残されていた。ぎゅうぎゅうに押し込まれた僕らはそこで他の人が集まるのを待つ。

 

 ほぼ密着しているからか、すぐ側から柔らかさやいい匂いを感じたが、僕は必死で煩悩を押さえつけるのに必死だった。目の前の彼女も耳まで赤くなっているが、恐らく僕も同じような状態になっているのでお互い様だろう。

 

 そうこうしていると隣の部屋が騒がしくなってきたので、早速彼女はイタズラを決行する。

 

 

 

「皆久しぶり〜」

 

 遠隔でジンジャー君を操作し、皆を驚かせながら再開の挨拶をする。僕も恵那の後ろから室内を覗き込むと、そこには腰を抜かしたり半ベソをかいている面々で阿鼻叫喚の図があった。

 

「ごめんごめん、やりすぎちゃった ♪ 」

 

「だからほどほどしろって言ったのに……」

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「っと言うわけで、またみんな揃ったな」

 

「「「「「押忍っ!」」」」」

 

 なんとか持ち直した皆で椅子に座り、改めて何度目か分からない作戦会議が始まった。全員気合いが入っているようで、それぞれの顔には不安や心配などという負の感情は見受けられなかった。大人として人として成長した彼女らは、これくらいのことではもうめげないのだろう。本当に強い人たちだ。

 

「いいか諸君、現在キャンプ場の再開はかなり厳しい……。そこでこの状況を打破すべく、私といぬこで県庁と遺跡発掘側、両面からアプローチする方法を考えてみた」

 

 そう言うと大垣さんはホワイトボードにマジックで議題を書いていく。

 

「まずは、企画の練り直しだ」

 

「練り直しって?」

 

「あの場所は今、遺跡関連施設の建設が検討されとるやろ? それに対抗するんやなくて、新しいキャンプ場の企画を提案するんや!」

 

「なるほど、遺跡関連施設とキャンプ場のコラボという事ですね」

 

「そうです! これなら企画も通りやすいし、お互いメリットのある結果になるはず! 次に発掘作業だ。実は現状、作業員が足りず発掘作業が遅れている。そもそも発掘が進まないと次のステップに進めない訳だ。だから、我々で発掘作業のお手伝いをするんだ!」

 

「でも私達、発掘作業の経験なんて無いし、お手伝いってできるのかな?」

 

「発掘作業ってその場に居る全員が専門食って訳では無いし、アルバイトも雇って作業しているから大丈夫だぞ!」

 

 確かにそれは良い案かもしれない、現場に実際に行って手伝うことで作業のスピードアップはもちろん、新しい案も浮かぶかもしれない。知識だけじゃなく経験として、それらを知ることでより深く、興味深い企画が生まれるだろう。

 

(それに、‎作業中の動画とかが撮れればあの計画も成功に近付くかもしれないな)

 

「よぅし! 善は急げだ! 許可は取ってあるから、早速現場に直行だっ!」

 

「「「「おー!」」」」

 

「私は記事の事について、編集長とすり合わせしてくるから、そっちはとりあえず皆に任せた」

 

「志摩さんも、よろしくお願いしますね」

 

「はい、任せてください」

 

 バタバタと荷物をまとめ、足早に基地を去る我々。向かう先はもちろん、高下のキャンプ場予定地だ。志摩さんもバイクに跨り高速の入口へと消えて行った。全員が、もう一度、今やるべき事に向かって進み始めたのだ。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「今日から交代で参加します!」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

「いやぁ助かります!」

 

「お昼ご飯も作ったりできますので、任せてください!」

 

「?」

 

 既にアポを取っていたからか、到着から作業開始まで驚くほどスムーズに進むことが出来た。大垣さんのおかげだな。

各務原さんの宣言には向こうの作業員の方もぽかんとした表情を浮かべていたが、すぐに分かるだろう。

 

 作業員の方々から指示を受けながら、着々と発掘作業を進めていく。表面の土を削りながら、削った土を一輪車に移し移動させる。地味な作業だが、やってみると案外楽しいものだ。土器らしき物が顔を出すと、専門のおじいさん作業員にバトンを渡す。その都度、時代背景や用途など色々なことを教えてくれ、まるで授業を受けているような気分だった。

 

 お昼が近くなると各務原さんが炊事場でカレーを作って作業員の皆さんに振る舞う。コンビニ弁当などが主だった彼らにとって、出来たてのカレーという料理はとても好評だったようで、皆さんとの交流を深めることができた。

 

 発掘作業の傍ら、僕もある計画のために写真や動画等を録り溜めて行く。広報担当として自分の仕事をしっかりと全うせねばならない。こんな貴重な体験ができる事はなかなか無いだろう、今のうちに精一杯楽しんでおこう。

 

「そうだ、皆さんに頼みたい事があるんですが」

 

「「「「「?」」」」」

 

 せっかくだし彼女らにも手伝って貰おう。そいう言うと僕は彼女らに向かってカメラを向けたのだった。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「優太? 何してるの?」

 

「おっ恵那、ちょうどいい所に来たね」

 

 今日は久々のオフ、恵那と二人でゆっくりしている時だった。パソコンでの作業中に、何をしているの気になった恵那が声をかけてきた。

 

「今、広報用のPR動画を作ってるんだ。そこで恵那にナレーションを入れて欲しいんだ。ほら、恵那の声って聞き取りやすくて綺麗だろ、僕がやるより絶対そっちの方が良いからさ」

 

「優太の声だって安心するのにぃ……、でもそうだね、広報担当の一人として私も頑張るよ!」

 

 動画編集ソフトで今まで撮った作業中の動画や土器の写真、その他諸々の資料を繋げて一本のの動画にする。後付けで恵那にナレーションをしてもらうことで、よりわかりやすいPR動画へと完成が近付く。

 

「よしおっけ」

 

「なかなかの完成度だねぇ ♪ 」

 

「ありがとう、助かったよ恵那」

 

「どういたしまして〜」

 

 完成した動画ファイルをとりあえず大垣さんに送る。近々企画を通すための会議が行われるそうだ。それに役立ってくれれば良いのだが、後は天命を待つのみだ。企画が通ったらこの動画をあの時から待って下さっている方々にも送らなくてはならない。緊張で吐きそうになってきた。

 

「優太、顔色悪いよ?」

 

「いや、沢山の人からの期待や責任でちょっと緊張しちゃってさ」

 

「へぇ〜、優太でも緊張することあるんだ」

 

「僕を何だと思ってるんだ……」

 

「大丈夫だよ、きっと」

 

 心底意外そうな表情を浮かべる彼女を見ていると、何だか本当に大丈夫な気がしてくるのが不思議だ。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

ヴーヴーヴー

「もしもし大垣さん? どうなりました?」

 

 スマホの画面に映し出された大垣さんという文字を確認すると、即座に通話開始ボタンを押して本題を切り出す。パソコンの前で連絡を待ち続けていた僕は、二通のメールを送る直前で作業を止めていた。送り先はどちらも同じ、ひとつは企画が通った時の動画が添付されているメール、もうひとつは……。さぁ運命の時だ。

 

 

 

 

『企画、通りました! 優太さんの動画が最後の一押しになったみたいで、上手く行きました!』

 

「そうでしたか……! 良かったです! それでは、こちらもそのように進めます!」

 

『よろしくお願いします!』

 

 大垣さんからの電話を切ると、誤送信しないように片方のメールを急いで削除する。そして本命のメールを送信、すぐに返事が帰ってきた。

 

[これからもっと忙しくなるから覚悟しておくように]

 

 鏑木さんから送られてきた返事は素っ気ない物ではあったが、送信した瞬間に返事が帰ってきた事から、そんな素っ気ない文面からも嬉しさが滲み出ているように感じた。

 

「……よしっ!」

 

 思わず一人の部屋でガッツポーズをした僕は、緊張が解けたからか思わず倒れ込んでしまう。こんなところで満足してはいけない、まだまだやることは山積みだ。しかし、今だけは、ほんの少しだけ、安心させて欲しい。

 

 

 

ーーーー

 

 

 

「おぉ〜!」

 

「これはまた」

 

「ちょっと見ない間にずいぶん伸びたねぇ〜」

 

「ここの草、根性あるわぁ」

 

 無事にキャンプ場計画が再開した我々は、発掘作業が終わった現場に再び足を踏み入れていた。夏に差し掛かったキャンプ場は、以前あれだけ草を刈ったというのに、青々とした芝や雑草がそこらじゅうを埋めつくしていた。それでも枯れ草では無いし、大きな枯れ木や切り株は除去し終えている為以前ほど時間はかからないだろう。

 

「夏のオープンには厳しいだろうが、なんとか秋までに間に合わせるぞ!」

 

「うん……!」

 

「「「「「おぉ……」」」」」

 

「え、な、なに」

 

 一際決意を大きく示した志摩さんに全員が感嘆する。当の本人は皆が目を見開いた意味を理解していないようで思わずたじろいでいた。

 

「うふふ、リンちゃんやる気満々やなぁ」

 

「べ、別にそんな」

 

「では、総合リーダーから一言 ♪ 」

 

「えぇ〜……!」

 

 静かながら誰より情熱を持ってこの計画に取り組んでいた志摩さんだったが、本人にあまり自覚が無かったようで、恥ずかしいような気まずいような表情を浮かべていた。だが、意を決したように少し咳き込み、拳をつき、改めて掛け声をかける。

 

「ふぁいと……!」

 

「「「「「おーう!!」」」」」

 

 

 さぁ始めようか。

 

 




段々とクライマックスに近付いてきました。この調子ならちゃんと書き上げられそうです。誤字報告も助かっています、ありがとうございます(今度から私の内なるジンジャー君にチェックを頼もうかしら)
皆様の感想、評価等お待ちしております!

 今後の続きと小話の案としていくつか考えてはいるのですが、どれが需要あるのかわかんないのでアンケートやってみます。お気軽にご参加ください。なお、ほかにも希望がございましたら感想欄でお願いいたします。

  • 卒業旅行編
  • 恵那 専門学校時代編
  • 桜さんとの原付の旅耐久視聴編
  • 映画編 その後
  • IF 優太が恋に気付かなかった編
  • 黙って全部書け
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