いつだって、仲間が加わる日は突然だ。
だが、その時はいつだって歓喜に満ち溢れている。
今日は、とある集団のその日を見ていくことにする。
「諸君、俺たちに新たな仲間が加わることとなった」
青き瞳は、その新入りをじっと見つめている。
見つめられている新入りはどこか緊張しており、その様子を見かねた一体が声をかける。
「まぁまぁ青眼ちゃん、そんなにかしこまられたら誰だって緊張するっしょ」
右目と左目が違う眼を持つ者が青き瞳を持つ物を窘める。
「ムぅ、それもそうだな。では新入りの『蛇眼の炎龍』よ、来ると良い」
「……よろしく」
おずおずと蛇のように鋭い瞳を持つ龍がその場にいる全員に対して頭を垂れる。
龍という体の都合上、勢いのある挨拶になるというのは仕方のない物だろう。
「ウェーイ、新たな『アイズ』ドラゴン仲間だ」
「何度迎えてもこの日は喜ばしいものだ」
「ふっ、我々の仲間が増えることは相当喜ばしい物だ」
「ナカマナカマ」
先ほど青き瞳を持つ竜を窘めた竜、『オッドアイズ・ペンデュラム・ドラゴン』。
深紅の瞳を持つ黒き竜、『真紅眼の黒竜』。
銀河のように、覗き込む者全てを引きずり込むかのような瞳を持つ『銀河眼の光子竜』。
機械で作られ一見とぼけた見た目でも生命力は満ち溢れてる『廃品眼の太鼓竜』。
「改めてよろしく頼むぞ」
そして彼らの名前の始祖とも呼べるべき竜、『青眼の白龍』が『蛇眼の炎龍』を迎え入れる。
「じゃー、堅苦しいのは抜きにして早速パーティっしょ」
「オッドアイズ、軽いのはお前の魅力の一つでもあるがいきなり距離を詰めすぎるのは嫌われる原因でもあるぞ」
「ブルーアイズちゃんこそ、いちいち堅苦しいし高圧的っしょ。そんなんじゃスネークアイズちゃんも打ち解けられないっしょ」
青眼とオッドアイズがそれぞれ言い合ってる中、蛇眼が困惑した眼で二龍を見る。
「お前たち、やめないか。新入りが困惑してるではないか」
「銀河眼の言うとおりだな」
銀河眼と真紅眼に窘められ、青眼とオッドアイズは一旦喧嘩を止める。
「それもそうっしょ。じゃスネークアイズちゃん、自己紹介よろしくっしょ」
オッドアイズに言われ、改めて蛇眼が残りの4龍を見る。
「スネークアイズだ……じゃなかった、『蛇眼の炎龍』です。スネークアイのモンスター達を全て、我が……」
「まぁまぁスネークアイズちゃん、かしこまらなくて本来の喋り方で良いっしょ。尊大な言い回しで怒るような器の小さな奴なんてこの場にはいないっしょ」
オッドアイズは軽すぎるがな、と真紅眼がツッコミを入れようと思った。
だが、新たな仲間の自己紹介中にそんなことは出来ないし、もしここで指摘しようものならオッドアイズの言う『細かいことを気にしすぎな奴』のレッテルを張られてしまう。
それはここではご勘弁願いたいところだった。
「では……我が名『スネークアイ』を冠した罪の宝もいくつか所持しておる」
「ほぅ、カテゴリ名を冠した魔法も初出の時点ですでに持ってるとは」
「さすがっしょ」
「スゲー」
他の龍たちが褒める中一瞬照れるが、すぐにキリッとした表情に戻る。
「そして我が罪宝を狙う魔女、ディアベルスターと争ってる身でもある」
「ほう、ライバルが存在してるとは」
青眼の白龍にも同じく黒き衣に身を包む魔法使い『ブラック・マジシャン』がライバルとして存在している。
同じ攻撃力3000の者としてそこも身近に感じられる点だった。
「新入りの身でまだ特別な召喚法を持っていないが、それでもよろしく頼むぞ」
青眼と真紅眼は『融合』。
銀河眼は『エクシーズ』。
廃品眼は自身自体が『エクシーズ』。
そしてオッドアイズはリンク召喚以外のあらゆる召喚法を網羅している多彩性を持つ龍だ。
無論、彼らとて最初から特別な召喚法を持つ龍ではなかった。
故に新しい仲間のその点を諫める者などいなかった。
「では改めてよろしく頼むぞ。しかし魔女がライバルとは……俺のライバルもクールな男じゃなく、魔女の方が良かったな」
「いやいや、ブラマジちゃんには『ブラック・マジシャン・ガール』っていうお弟子ちゃんがいるっしょ。本気で立ち向かえば弟子ちゃんも付いてくるっしょ」
「ライバルにはすでに弟子もいるとは……流石は大先輩」
蛇眼に尊敬の眼を向けられるが別に自分自身を褒められてるわけではないので微妙な感じだったが、それでも悪い気はしないので青眼はふふんと胸を張る。
「それにディアベルスターは真面目じゃなくて、ムキムキになろうと筋トレして罪宝たちに止められたり、瓶に入った水を飲んで寝る所もあるお茶目な奴なんですから。その点お茶目な点がないブラマジさんがライバルの青眼さんが羨ましいぞ」
「むぅ……」
「ボクモギャラクシーアイズノオトウトブンデスガ、ライバルニハナレテナイ」
「いやいや、我の弟分だからといって立ち向かうなとは言ってないのだぞ」
「いやお前、自身の効果で廃品眼の力の源であるオーバーレイユニット奪うじゃん」
真紅眼に指摘され、銀河眼がバツが悪そうな顔で廃品眼から眼を背ける。
「しかし名前に『炎龍』が含まれてるという事は、とうとう俺以外にもブレス以外の攻撃をする奴が来てくれたか」
バースト・ストリーム、フォトン・ストリーム、ガラクター・ファット・ストリーム、ストライク・バースト。
それらのいずれも全てブレス攻撃であり、炎を吐きつけるのは真紅眼だけだったのだ。
「ふふ、どちらの炎が上か勝負してみますか?」
「ほう、早速仲間に勝負を挑むとは」
「その挑戦心の高さ、ドラゴンとして流石っしょ」
蛇眼の炎龍と真紅眼の黒竜がお互い睨み合う。
「よし、じゃ早速ここにあるお肉をより上手に焼けた方の勝ちという事で」
銀河眼が新しい仲間の歓迎パーティ用に用意しておいた肉を2匹の竜の間に挟みこむ。
「いや俺たちを」
「コンロ代わりに扱うでない!」
真紅眼と蛇眼に同時に銀河眼が炎を吹きかけられる。
だが龍のたくましい肉体の前にはそのダメージも微々たる物だった。
「ふむ、どちらも中々の火力。我だからこそ軽傷ですんだが、並の者なら今ので黒焦げだろう」
「有望な新入りだな。では、早速我らで肉を焼くとしよう」
「パーティーはやっぱ焼肉っしょ」
龍たちが彼ら専用の特大コンロに巨大網を敷き、そのサイズに見合った巨大な肉を焼き始める。
彼らのような巨体を持つ龍に相応しい肉の大きさである。
「ゴクゴク」
機械の体を持つ廃品眼は焼いた肉から落ちてくる肉汁をすする。
本来機械油で動く龍だが、油ならなんでもいいのか肉の脂汁を美味しく飲むことが出来ていた。
新たな仲間が来たらパーティーを開いて一気に打ち解ける空気を作る。
それはどの生き物でも共通している出来事なのである。