今回は、ツナのとっておきも出ます!
ロイヤルナイト・ヘルクレス・エンゼラーの翼をやっとの事で破壊し、地上戦にようやく持ち込んだ。
「皆、ロイヤルナイトは翼が無くとも、攻守が共に優れているボスモンスターだ。くれぐれも油断しない様にしたまえ。」
ヒースクリフが指摘する様にロイヤルナイトは攻守が共に優れた恐るべきボスだ。翼が無くとも、強敵である事に変わりは無い。
ロイヤルナイトは、ダッシュして攻略組に接近して、ロイヤルナイトがソードスキル[サベージ・フルクラム]を繰り出してきた。
この攻撃がディアベルとキバオウを含めた6人のプレイヤーに命中して、6人のプレイヤーのHPが一気にレッドゾーンまで陥った。
ヒースクリフが自分の匣であるディンに跨がり、ロイヤルナイトの攻撃を盾で防ぎつつ、6人のプレイヤーの下に駆け寄った。
「大丈夫かね?その様子では大丈夫と言った方が嘘になるね。ディアベル君とキバオウ君達は一旦後退してHPを回復したまえ。」
「そうさせて貰うよ。すまない、ヒースクリフ・・・」
「本当にすんまへん。恩にきるわ。ヒースクリフはん。」
ディアベルとキバオウ達6人のプレイヤーがヒースクリフの指示通りに後退して、HPを回復した。
ディアベル達が後退した事で、後衛に配置されていたエギルのパーティーが前進してロイヤルナイトに攻撃を繰り出した。
エギルのパーティーがロイヤルナイトの注意を引く為に、牽制する為に一番威力の低いソードスキルを放ち、ロイヤルナイトが盾で防いでいるその間にエギルがロイヤルナイトの側面に周り、両手斧のソードスキル[クレセント・アバランシュ]を繰り出した。この技は7HITであり、斧の攻撃力の高さも有る。
これはかなりの大ダメージになる筈だと思っていたが、ロイヤルナイトのHPは三本有るバーの一本目の4割程度しか削れていない。
「クソ!! これで、まともなダメージが通らねえってのか・・・」
エギルがロイヤルナイトに自分の繰り出した精一杯の技があまり効いていない事に驚きを隠せない様だ。
ロイヤルナイトが破損した翼から自身の羽を空に巻き上げた。すると、その羽がミサイルの様にプレイヤーに向かって降り注いできた。
ゴクデラ君が瞬時にSISTEMA C.A.I.のシールドを展開して、他のプレイヤーへの攻撃も防いだ。
それでも、降り注いできた羽が命中したプレイヤーも存在した。そのプレイヤー達は後退してHPを回復する。
「これでは、後に消耗戦になってしまう。ここは私のディンとツナ君の匣であるナッツの大空属性の調和で一瞬の時だけだが、ロイヤルナイトの動きを封じよう。ロイヤルナイトが動けない間に皆はロイヤルナイトに一斉攻撃をするのだ。」
「ヒースクリフの言う通りだ。俺とヒースクリフの匣で一瞬の間だけだが、ロイヤルナイトの動きを封じる。
だから、皆はロイヤルナイトに自分が使える技の中でも一番威力の高い技を放つんだ!」
俺とヒースクリフの指示を聞いたプレイヤー達が後方に下がると、俺とヒースクリフがロイヤルナイトの動きを封じる為に各々の匣の技を放つ。
「いけ、ナッツ!」
「グルル、ガオオオォォ!!」
俺が合図するとナッツが大空の炎を混ぜた遠吠えをする。
「ディン。頼むよ。角光線!」
「グイーーー!!」
ヒースクリフの匣であるディンが角から大空の炎の光線を放ち、ロイヤルナイトに命中させる。
俺とヒースクリフの匣の力でロイヤルナイトの脚が石化した。
「今だ!十代目とヒースクリフのくれたチャンスを無駄にしねえ内に、ロイヤルナイトに攻撃を仕掛けるぞ!」
ゴクデラ君がそう言うと、攻略組のプレイヤー達が一斉にロイヤルナイトに攻撃を仕掛けた。
エギルとホクトが同時に両手斧のソードスキル[クレセント・アバランシュ]を繰り出し、ディアベルが片手剣のソードスキル[バーチカル]、キバオウは同じく片手剣のソードスキル[スター・Q・プロミネンス]を命中させ、他のプレイヤー達も攻撃してロイヤルナイトのHPが1本目の8割まで削れた。
「よし、少しは希望が見えてきたな。」
「そうですね。エギルさん。俺としては、恋のキューピッドである天使を攻撃するのは痛い気持ちですね。」
「ホクト。君は何を言ってるのかが、俺には分からないよ・・・」
「ディアベルはん。ホクトはんの言っている事にマトモに反応はせん方がいいわ。」
こんなやり取りも有ったが、さらに追撃が続く。
「さて、ホクトに負けず劣らずに俺達の力も見せるぞ!いくぜ、ショウタ!」
「ハイハイ、解ってるよ。トウマ君。」
「それに自分も行くさー!」
「そうね。私達も行きましょう。」
「ええ。私達の力も見せてやりましょう!」
トウマが両手剣のソードスキル[スコッピード]、ショウタが短剣のソードスキル[インフィニット]、ヒビキは曲刀のソードスキル[オーバル・クレセント]、チハヤは片手剣のソードスキル[スラント]、リツコが細剣のソードスキル[リップ・ラヴィーネ]を繰り出した。
他のプレイヤー達も追撃して、ロイヤルナイトのHPがやっと2本目のバーになる。2本目の1割までは減っているが、これ程の攻撃をしても削り切れないのか・・・
「まだだ。まだ、攻撃は終わらない!」
キリトがそう言い、リングから炎を灯し、匣に注入して紫竜巻をロイヤルナイトに目掛けて放ち、さらに片手剣のソードスキル[ホリゾンタル・スクエア]で追撃を加えた。キリトに続いて、アスナがリングから晴れ属性の炎を灯し、匣に注入する。あのリングと匣は俺がアスナに渡した物だ。
「これが私の匣。晴れアルマジロウ(アルマジッロ・デル・セレーノ)!」
「きゅうう。」
アスナの匣は晴れ属性のアルマジロウだった。可愛い鳴き声を出しながら、丸くなった。
「アルマ!ロイヤルナイトに攻撃して!」
「きゅうう!!」
アルマって名前の様だ。アルマが丸くなりロイヤルナイトに回転しながら突進した。しかも、凄いスピードだ。さらには、ピンボールの様に跳ね回りながら、ロイヤルナイトに回転しながらの体当たりを喰らわせる。自身の攻撃でアルマの体に傷がついても、晴れ属性の特性である活性で直ぐに傷が修復される。
「きゅうう・・・」
アルマが突然、回転を止めて寝転ぶ。どうやら、回転運動をし過ぎて目を回したらしい。その様子を見たアスナがアルマを匣に戻した。
「アルマ、お疲れ様。アルマが頑張った分、私も頑張らないとね!」
アスナが細剣のソードスキル[オーバーラジェーション]を繰り出し、ロイヤルナイトに命中させる。
「さて、僕らも動こうか。キキョウちゃん。ザクロ。いくよ!!」
「ハハン。ビャクラン様のおおじるままに!」
「よしゃあ、暴れるぜ!」
キキョウが投剣スキルでピックをロイヤルナイトの目に投げつけた後に、キキョウが槍のソードスキル[リヴォーブ・アーツ]を繰り出し、ザクロは片手棍のソードスキル[ダイアストロフィズム]を繰り出す。
「ハハン。茅場昌彦。あなたが甘い物をあまり作らないせいで私とザクロは大変でした。
あなたのせいで私とザクロは・・・」
「茅場。待っていろ。その内に、現実世界に戻ってきたら、真っ先に殺しに向かうからな!バーロー!」
二人の八つ当たりも含まれた攻撃を見たヒースクリフが、
「そんなに茅場昌彦を責めなくてもいいんじゃないのかね・・・
多分、彼も、『やばい、甘い物をたくさん用意せねば、殺される。』と思っている筈だよ。
だから、そんなに茅場昌彦を責めないであげてほしい・・・」
何故か、ヒースクリフは茅場を庇っていた。確かに茅場を責めても仕方ないと思うのだが・・・何なんだ。
今、一瞬感じたヒースクリフの違和感は・・・
キキョウとザクロの攻撃に続いてビャクランが白龍を呼び出すと、同時に攻撃を仕掛ける。
「さあ、いくよ。白龍。僕らの全力をロイヤルナイトにぶつけるんだ!」
白龍がロイヤルナイトの体に噛み付き、ビャクランがアスナと同じ細剣のソードスキル「オーバーラジェーション」でロイヤルナイトに攻撃して命中させた。その後に、ヤマモトが動いた。ヤマモトが匣から雨燕の小次郎も呼び出して、一斉攻撃をする様だ。
「いくぜ、次郎、小次郎!時雨蒼燕流、攻式八の型、篠突く雨!」
ヤマモトが時雨蒼燕流の八の型、[篠突く雨]を繰り出し、次郎が小刀を口に加えてロイヤルナイトを切りつける。小次郎は雨の炎を雨の様に降らせて、ロイヤルナイトの反応速度を鈍らせる。
そして、ゴクデラ君がロイヤルナイトの脚が元に戻る直前に攻撃を仕掛ける。
「いくぜ、嵐+雷。フレイムサンダー!」
ゴクデラ君がフレイムサンダーでロイヤルナイトに攻撃を仕掛ける。さらに、その前に爆撃スキルの一つである[ロケットボム]を繰り出していた様で、ロイヤルナイトに向かってボムが飛んでいき、フレイムサンダーとボムの二つの技を受ければ、ロイヤルナイトのHPもかなり減ったと思われた。だが・・・
「おい、嘘だろ・・・」
キリトがあまりの衝撃的な事で声を漏らした。ロイヤルナイトのHPはイエローゾーンに入ったが、それでも2本目のバーの9割が減ったに過ぎなかった。ヒースクリフが自分の考えを話す。
「これは私の推測だが、ロイヤルナイトはβテストの時よりも強化されている様だ。
いくら、何でも防御力が理不尽過ぎるからね・・・」
確かにヒースクリフの言う通りかもしれないが、お前も防御力が理不尽な気がするぞ。
盾で防いでいるからって、何故HPがグリーンを保つ程のダメージですむんだ・・・
まあ、とにかくβテストの時より強化されているとしたら厄介だな。第1層のボスの様に追加された技や変更された部分も有ったしな。
俺がロイヤルナイトの方を振り向くと、いきなりロイヤルナイトが姿を変化させた。
「グウォオオオオオ!!!」
その姿は天使というよりは、まるで凶悪な悪魔の様だった。
金髪は血の様に真っ赤に染まり、銀色の鎧が夜の闇の様に黒く染まり、黄金の剣と盾は禍々しい紫に染まった。
翼の部分からは血液の様なモノが流れて、それがグロテスクな見た目の翼となった。
未来でビャクランと戦った時にも、ビャクランはこんな感じで血液を翼にしていたが、ロイヤルナイトの方が圧倒的に悪魔の様な存在に見える。
ロイヤルナイトは目を赤く光らせて、プレイヤーを見つめる。
「クッ!やっとの事で破壊した翼が復活しやがったか・・・」
キリトが翼が復活した事に、戸惑いを隠せない様だ。他のプレイヤー達からも不安の声が聞こえる。
ゴクデラ君がロイヤルナイトが空中に移動する前に再び、翼の破壊に徹する。
「翼が復活したなら、もう一度破壊すればいい話だ!嵐+雲、フレイムインフレーション!」
ゴクデラ君のフレイムインフレーションがロイヤルナイトに命中する瞬間に、ロイヤルナイトが盾でフレイムインフレーションを防いだ。
盾には、死ぬ気の炎では無い黒い闇のオーラと言えばいいのか、そのオーラが纏われていた為に防御力が強化されている様で完全に防がれてしまった。盾どころか、ロイヤルナイトの身体中から闇のオーラが纏われている。
これでは、おそらく、雨の沈静で翼の力を弱める事も、大空の調和での石化も効かないだろう。
「諦めるな!まだ、俺達はくたばっちゃいねえぜ!」
ヤマモトがそう言うと、時雨蒼燕流の五の型[五月雨]を繰り出す。ロイヤルナイトがその攻撃を弾こうとして剣を右側に振るが、[五月雨]は右手に持った剣でフェイントを繰り出して、直ぐに逆の左手に持ち代えて攻撃をする技だ。ロイヤルナイトが空振りをし、ヤマモトの技が命中するがダメージが無いに等しかった。
「ふざけるな!こんなボス、どうやって倒せって言うんだ・・・」
キリトが言った言葉には絶望的な状況を感じる程だった。コイツを倒すには、あの技しか無い!
だが、あの技は今の俺では使えない。どうすれば、いいんだ・・・
このままでは、攻略組が確実に全滅してしまう。ロイヤルナイトがどんどん攻略組を襲い、攻略組のプレイヤーのほとんどのHPがレッドゾーンに陥っている。ここまでなのか・・・
その時、俺の死ぬ気スキルに新たな技が追加された。何故、こんなタイミングでいきなり現れたんだ・・・
でも、これはチャンスだ。この技こそ俺が待ち望んだ技、この絶望的な状況を覆す技だ。
だが、この技を放つには時間が必要だ。その時間を稼ぐ為に俺は、
「ヒースクリフ。頼みが有る。」
「何かね?ツナ君。」
「時間を稼いでほしい。40秒ぐらいだ!」
「ふっ。ツナ君。君が何をする気かは知らないが、面白い!
この状況を覆す何かをすると私は思った。いいだろう。私が時間を稼ごう。
だから、君は君がやろうとする何かをやりたまえ!」
「すまない、ヒースクリフ。感謝する!」
ヒースクリフが俺の話を聞いて、時間を稼ぐ為に行動を開始した。
「皆、ツナ君がこの状況を覆す何かを行うらしい。40秒だ!
40秒の時を稼ぐのだ。君達のHPは残り僅かでも、希望はまだ有る!諦めずにツナ君の為に時を稼ぐのだ!」
ヒースクリフの言葉を聞いた攻略組が、俺の為に時を稼ぐ為に行動をする。
ヒースクリフは攻略組のメンバーの中にいる盾装備のプレイヤーを呼び集めて前衛に移動する様に指示する。
キリトは紫竜巻でロイヤルナイトを牽制し、アスナもアルマを呼び出して翻弄させた。
ゴクデラ君がSISTEMA C.A.I.のシールドでロイヤルナイトを無理矢理、押さえ付けた。
俺は皆が作った時を無駄にしない様に上空に飛び、あの技を放つ為の合言葉を言う。
「いくぞ!オペレーション、X(イクス)!」
『了解シマシタボス。X BURNER(イクス バーナー)発射シークエンスヲ開始シマス』
そう。X BURNERだ。この技なら、ロイヤルナイトを倒せる筈だ。俺は支えの炎を後方に向かってグローブの炎を噴射させる。
「ツナの奴は何をやるつもりだ?」
「炎を逆噴射するなんて一体・・・」
「十代目はあの技を使う気だ!ついに、このSAOでも使える様になるとは・・・」
「ああ、あの技なら勝てるかもしれねえ。見てなキリト、アスナ。ツナの最強の技を!」
俺は支えの炎を炎圧を10万FV(フィアンマボルテージ)まで高める。どうやら、今持ったランクDのリングではここまでが限界らしい。
だが、10万も有れば十分の筈だ。
『ライトバーナー、柔ノ炎10万FVデ固定。レフトバーナー、柔ノ炎から剛に変換。レフトバーナー炎圧10万FV!
ターゲットロック。ゲージシンメトリー!発射スタンバイ!』
俺は左手をロイヤルナイトに目掛けて向ける。ロイヤルナイトがコチラに気付くが、もう遅い!
俺はロイヤルナイトに向かって発射する。
「いくぞ、X BURNER AIR(イクス・バーナー・エアー)!!」
俺はロイヤルナイトにX BURNERを放った。ロイヤルナイトに直撃し、ロイヤルナイトのHPがレッドゾーンに移行する。
そして、X BURNERの余波でロイヤルナイトのHPバーは損失し、ポリゴン状の粒子となり消えた。
「や、やったのか。俺達が勝ったのか・・・」
「ああ。勝ったんだぜ、キリト!ツナのお陰でな!」
このキリトとヤマモトの会話を聞いた攻略組が、自分達の勝利を確信して喜び合った。
俺は皆が落ち着いたタイミングで今回のLAボーナスをどうするか聞いた。
「今回、俺が取ったLAボーナスなんだけど、霧属性の匣なんだ。霧属性のプレイヤーはいない?」
「うむ、霧属性のプレイヤーは現時点では血盟騎士団にはいないね。」
他のプレイヤー達にも聞いたが、霧属性のプレイヤーはいない様だった。と、言っても攻略組でリングを持っているメンバーが極少数なので、自分が霧属性だと気付いてないだけかもしれないが・・・
「とりあえず、今回のLAボーナスはツナ君が勝ち取った物だ。ツナ君が管理して持つといい。
君のギルドに霧属性のプレイヤーがいたら、渡せばいいのだから。」
ヒースクリフが言う通りにして、俺が管理しながら持つ事にした。
「ところでツナ君が使ったX BURNERとやら、あれは完全な威力では無いね?」
ヒースクリフがどうやら、あのパワーが完全なモノでは無い事に感付いたらしい。
「確かに完全な威力では無いよ。」
「あの威力で完全な威力では無いと言うのか・・・」
キリトが今の話を聞いて驚く。他のプレイヤーも今の話は聞いていたらしく、唾を飲む。
しばらくして、落ち着いたプレイヤー達と共に俺は第6層に続く階段の登った。
「ツナ君。いや、綱吉くん。やっぱり、君は面白い。
今回の戦いの真のボーナスは、君の技であるX BURNERの解放だよ。フフッ、君こそがこの魔王ヒースクリフを倒す勇者だろう。
君と共に戦うのは第95層までだ。それまでは君と一緒に戦って、楽しませてもらうよ!」
今回のボス戦で手に入れた霧属性の匣は誰の手に渡るのかはお楽しみに。
ツナはついにX BURNERを使える様に!でも、威力は低い。何時かは現実と同じ威力になるでしょう。
次回はオリジナルの話で第9層での話となります。