スワロフスキーことスワロがボンゴレに加入した次の日、俺を含めたボンゴレメンバー全員と攻略組に参加しているプレイヤー全てが第10層の主街区に有る大きな会場に集まった。今日は第10層に到達した記念という事で攻略組全員でパーティーを行う事になった。
会場には、正直言うと似合わないタキシード姿のリンドが会場の全員に見える様に台座に立ち、司会を勤める。
ついでに言っておくと、このパーティーは別に正装で参加する必要は無い。俺を含めたリンドを除いた攻略組全員が普段通りの装備で参加している。リンドは話を聞いてなかったのかもしれない。リンドが司会としてパーティー開催の合図を開始しようと声を出す。
「ええ、これより第10層。そう、つまり二桁の層に遂に達した記念のパーティーを行うぜーーーー!
よっしゃ、とにかく今回は無礼講だ!全員はしゃいで楽しめ!普段なら許さないが俺に対する不満が有ったら、今日の内にバシバシ言いな。今日は本当に無礼講だ!どんな事を言われても怒りはしねえ!さあ、俺への一言は?」
リンドがそんな事を言った事を良いことに、普段からリンドに対する不満が有ったプレイヤーが声をあげた。
「リンド。キレてばっかりいねえで、たまには落ち着きやがれ!」
「リンド。バカばっかりやってないで、たまには頭を使った行動でもしやがれ!」
「リンド。口悪いし行儀も悪いから礼儀作法を習いやがれ!」
「リンド。ディアベルに迷惑ばっかり掛けねえで、少しは理性的な考えで動けよ!」
そこまで言う必要無いだろ、お前ら。でもリンドは無礼講だと言ってたし、さすがに怒りはしないだろう。
「・・・んだと!テメエら!上等だ!表出ろ、コラ!!
ってか、俺だけタキシード着て正装って。これじゃ俺だけ場違いな所にやって来たバカみたいじゃないか!」
「「「「うん。その通り!ってかタキシード、もの凄く似合わねえ・・・」」」」
「テメエら、全員ただじゃ済まねえぞ・・・」
何が無礼講だ。言ったそば、直ぐに怒ってるじゃないかリンド・・・
リンドがキレて司会を放り出して、リンドへの不満を正直に言ったプレイヤー達を鬼の形相をしてタキシードを着たまま追いかけだしたので、司会は急遽リンドから血盟騎士団のメンバーであるアルスという俺より年下だと思われる男に変更となった。
「・・・ええと、リンドさんがいきなり司会を放り出しましたので司会は急遽、僕が勤める事にします。
それでは皆さん、今度こそ第10層到達記念パーティーを開始します。皆さん、今日1日は攻略を忘れて楽しむ事にしましょう!」
まあ、アスナは不本意な感じだが、パーティーは何とか始まったので俺も今日1日はパーティーを楽しむとしよう。
「あれ?何で勝手にパーティーを始めてやがるんだ?」
早くもリンドが戻ってきた。しかも、タキシードから普段通りの装備に戻して。その後ろにはリンドに追いかけられたプレイヤー達が疲れた顔でいる。まあ、今日1日は本当に攻略の事を忘れて楽しむとするか。そう思った俺にアスナが近付いて来る。うん、嫌な予感しかしない・・・
「ツナ君。昨日はボス攻略を放り出して何処に行ってたのかな?ニコッ」
笑ってねえ!!顔は笑ってるけど、絶対に心のソコは笑ってねえ!?だって、肌がピリピリするんだもの・・・
絶対に怒っている!?そうだ。キリトにアイコンタクトで助けを求めよう!
俺はパーティーに出された料理を取っている最中のキリトにアイコンタクトで、(キリト。助けて!)と伝えるが、キリトからの表情から(ゴメン。恐いから無理・・・)という事だった。そんなに俺より自分の安全を確保したいのかキリトーーー!!
「何やってるの?ツ・ナ・く・ん。さあ、お外で二人きりでお話しましょうね。ニコッ」
オーマイガー!!これ、ゲームオーバーだよ!バッドエンドフラグだよ!
(アルゴ、お前が事情を説明した筈だよな。)とアイコンタクトでアルゴに伝えるとジェスチャーで返ってきたメッセージは(ゴメン。アーちゃん、途中から話を全く聞いてくれなくて、肝心な事が伝わってなかったんだ。済まない、ツっ君。君の事は忘れない!)
・・・何これ?俺、死ぬの!えっ、ちょっと待て!誰か、アスナを説得して俺を助けてくれーーー!!
こんな時に限ってゴクデラ君は見当たらないし、肝心な時に本当にいないんだよな・・・
そんな時だった。この状況でアスナに声を掛ける勇気が有るというかバカな奴がいた。
「アスナ様ーー!!」
現れたのはアスナの護衛だというクラディールという男だ。過剰な程に護衛の為にという理由でアスナに付きまとう男だ。ゴクデラ君からはレヴィ・ア・タン2号という称号を与えられている。クラディールはそれを誉められていると勘違いしているが、この称号の真の意味は、
その1,レヴィと同じく変態ムッツリ野郎である。
その2,レヴィに負けないくらいの粘着質な男。
その3,アスナの為なら自分の全てを捧げても可笑しくないバカなのは確か。
その4,おそらく、アスナから酷い仕打ちをされても、それすら快楽に感じる変態ドM野郎である可能性も大。
という、酷い称号だ。4つとも当てはまってるのは確かだけど・・・
つまり簡単に言えば、おそらく、アスナが大好きな為に行き過ぎた護衛をするストーカーという訳だ。あれ?これじゃ、クラディールが護衛じゃなくて、ただのストーカーみたいな言い方だな・・・
と、まあ、そんなクラディールがアスナに話しかけてきた訳だ。するとアスナは、
「クラディール。私はこの人と話が有るから何処かに行って(消えて)。」
何か今、行ってと消えてがダブって聞こえた気が・・・
「そんな訳にはいきません!私はアスナ様の護衛として常にアスナ様の安全を確保しなければなりません。例え、ボンゴレのリーダーであるツナと話をする場合でも私を一緒に同席させて貰います!だから、アスナ様。クソガ・・・いや、ツナと話をする場合でも私をお供させてください!」
今、一瞬俺の事をクソガキと言いかけたよな、お前。
「私はツナ君と落ち着いて二人きりで話がしたいの。だからクラディール。アッチに行ってくれる。そんなに私の事を護衛しようとしなくても大丈夫だから!」
「解りました。おい、クソガキ!テメエ、もしアスナ様に何かしたらただじゃ済まないからな!」
コイツ、遂に俺の事を完全に躊躇わずにクソガキ呼ばわりしたか。何かムカつくが我慢しよう。心の中でビッグバン・アクセルをアイツに放つ事を想像してこのストレスを解消しているから大丈夫だ。正直言って、俺はクラディールの事は好きになれない。安心して、まだ嫌ってはいないから。何時かは礼儀が良くなる事を祈るとしよう。
「邪魔が入ったけど、ツナ君。今度こそ、悪破無死しましょうね。ニコッ」
今、お話のニュアンスが変だった気がするんですけど!?相変わらず顔は笑っているけど、俺の肌は変わらずにピリピリするし。
ってか、よく考えれば最初からアイツに頼むべきだった。ヒースクリフだ。俺はパーティーに出されたハルカ特製のケーキを食べているヒースクリフにアイコンタクトで助けを求めた。ヒースクリフは俺から顔を背けてシカトしやがった。冷たい奴だとは思わなかったぞ、ヒースクリフ!
「ツナ君。そろそろお外に行きましょうね。ニコッ」
止めてぇぇ!その心の中では決して笑ってない笑顔。それをやられる度に俺の心臓が止まりそうだから。とにかく、恐いからその決して心のソコは笑ってない笑顔だけは止めてくれぇぇ!!
「ツナ君。いい加減にしてくれる。先から何?ずっと辺りをキョロキョロしてるけど、私が恐いのかな?」
全く持ってその通りです。と言える訳が無い。言ったら100%殺される!
「おーい、ツナ。どうしたんだ?そんなに危機感が半端無い顔してよ。」
ここで助け舟がやっと来た。スワロだ。彼ならきっと・・・
俺はスワロに事情を説明すると、
「ああ。そう言う事か。俺のせいでお前に迷惑を掛けちまったのか。わかった。あの嬢ちゃんには俺から事情を説明するから安心してくれ!」
アスナがいきなりやってきたスワロに警戒しながら話出す。
「あの、どちら様ですか?あなたは攻略組のプレイヤーの中にはいませんでしたよね?」
「初めまして。俺の名前はスワロフスキーだ。名前は長くて大変だろうからスワロって呼んでくれって構わないぜ。」
「そうですか。私は血盟騎士団のアスナと言います。ええとスワロさん。あなたは一体?」
「おっと、詳しい話はツナに代わって俺がする。昨日ツナがボス攻略に参加出来なかった理由は俺が原因だしな。」
「あなたが原因なんですか!その話、詳しく聞かせてもらいますから、外に出てください!」
アスナの怒りの矛先がスワロに行った様だな。なんか、スワロには悪い事をした様で申し訳なく思う。
「って事でツナ。後は俺がアスナって嬢ちゃんに事情を説明しとくからよ、俺の分もパーティーを楽しめよ!」
「う、うん。本当にごめん。俺の身代わりになっちゃたし・・・」
「気にするなって。おっと、そうそう。パーティーに有る料理に魚介類の使った料理が有ったら少しは俺の分取ってくれよ。後、酒もな。」
スワロからはスワロの分の料理も取っておく様に頼まれたし、アスナとの話がパーティーの終わりまで続く可能性も0では無いので入れ物に入れるとするか。あっ、俺は未成年だから酒を持とうとするとシステムによって阻まれるんだった。酒はどうしようか・・・
「よぉ、ツナ。大変だったな。アスナも少しは攻略の事を忘れて気休めをすればイイと思うんだがな。」
先までの様子を見ていたエギルが俺に同情した感じで話し掛けてきた。
「うん。エギル、俺はアルゴが事情を説明してくれると言っていたから平気だと思ってたんだけど・・・」
「まあ、そんなに上手く都合通りにいかないのが人生ってもんだ。俺より若いのに苦労しているよな、お前は。
ほれ、お前の分の料理を皿に取って盛りつけておいたから、食っとけ。」
「ありがとうエギル。」
俺はエギルから料理が盛られた皿を受け取り、料理を口にする。うん、美味い。先ほどの事は食べている最中は忘れそうだ。
あっ!忘れるところだった。スワロの分の料理も取っておかないと。後は酒か。
「ねえ、エギル。魚介類の使った料理って有る?」
「ん?魚介類の使った料理を食べたいのか?なら、俺が取ってきてやるから待っていろ。」
「あ、ありがとうエギル。後、悪いんだけどお酒も用意してくれる。」
「酒だと。お前はまだ未成年だろうが!!にも、関わらず酒を飲む気か!」
しまった。事情を説明しとかないと俺が未成年飲酒する気だと思われてるな。
俺はエギルに事情を説明すると、
「何だ。ホッとしたぜ。俺はてっきりお前が酒を飲もうとしていたと思ったぜ。全く、最初から知り合いの分だと言ってくれよ。
じゃないと、事情を知らない俺が誤解するだろうが。わかった。魚介類の使った料理と酒を取っておいとけばイイんだな。了解した。」
エギルが俺に代わって、料理と酒を取ってきてくれた。
「まあ、料理はともかく酒は俺が預かっとく。ツナ、お前さんはパーティーを楽しみな。」
「ありがとうエギル。そうするよ。」
これでスワロの料理と酒は確保したな。そう言えば、ゴクデラ君とヤマモト。二人揃って何処にいるんだ?
「ええと、只今より隠し芸大会を始めます。エントリーした人は前に集まってください。」
司会をしているアルスのアナウンスで隠し芸大会が始まる様だな。その隠し芸大会に参加するプレイヤー達を見ると、その中にゴクデラ君とヤマモトがいた。二人揃って見当たらないと思っていたら、そう言う事だったのか。
「ええと、まずはボンゴレ所属のゴクデラさんからです。」
「よっしゃあ行くぜ!」
ゴクデラ君。何をする気なんだ?
「よし、出てこい瓜!」
「にょおおん。」
瓜を呼び出したって事は瓜に芸でも仕込んだのか。でも瓜ってゴクデラ君になついてはいないよな・・・
「おっし、瓜。この輪を跳んでくぐれ!くぐるんだ!」
「にょおおん?へっ!」
「てめえ、跳べっつたら跳びやがれ!」
「シャアアア!!」
「ぎゃああ!?」
・・・やっぱりか。予想通りというか、絶対にぶっつけ本番で無理にやらせたんだな。
「・・・一応ゴクデラさんの判定をお願いします。今回、隠し芸大会の判定はディアベルさんが行います。ディアベルさん、ゴクデラさんの判定はどうですか?(どうせ低いんだろうけど・・・)」
「0点で。」
ディアベル、判定が厳しいな。まあ、今のは俺が判定しても0点だと思う。
「十代目~、この様な無様な失態する様では俺は右腕失格だぁー!!」
「ゴクデラさん。反省はイイですから、次の人がスタンバイしますのでさっさと舞台から降りて、会場の料理でも貪り食ってください!邪魔ですから、さっさと降りてください自称右腕さん。」
おい、司会のアルス。お前ゴクデラ君に対して容赦無さすぎるぞ。身と精神共にボロボロになったゴクデラ君は舞台から降りて、会場の隅っこに体育座りで座った。大分、落ち込んでいるので、そっとしておいてあげよう。
「それでは続きましては、ボンゴレ所属で最初に出ては期待を裏切って醜態をさらしたゴクデラさんより期待大のヤマモトさんです。ではどうぞ!」
次はヤマモトが行う様だけど、ってか司会のアルス。余計な事を言うな!ゴクデラ君の精神がクリティカルヒットで大ダメージ受けて、顔が遠目に見ても解る程、ヤバい事に成っているから。
もう、それは芸術作品でお馴染みの、あの叫びをテーマにした絵の顔みたいに成ってるから・・・
ゴクデラ君の様子も気になるけど、今日は話さない方がイイと思うので明日はゴクデラ君に何か奢るか。
そんな事を考えている内にヤマモトが舞台に立つ。
「よっし、いくか。出てこい次郎!」
「ワン!」
ヤマモトの隠し芸は次郎を使うのかな。
「犬ーーー!?」
そう言えば、ユキホは犬が苦手だったんだっけ。ユキホが悲鳴をあげては隅っこに移動した。あのー、一応は距離が大分離れているから悲鳴をあげる必要は無いかと・・・ 俺も犬は若干苦手だけどさ。
「ワ、ワン・・・」
次郎が今の事で傷付いたのかショックを受けたみたいだな。
「よっし、次郎。このボールを投げるから取ってこい!」
ボールを投げて次郎が取ってくる。これは本来なら普通に誰でもできると思うだろうが、ヤマモトがやるのでは次元が違う。
「いくぜ、オッラよぉ!」
ヤマモトがボールを野球のピッチャースタイルで投げると豪速球でボールが飛んでいく。ヤマモトは野球の構えでやると加減が出来ないので、犬にボールを取ってこいと言って投げた場合でもこうなる。
物凄いスピードでボールを投げたヤマモトを見たほとんどの人達が戦慄した表情になっている。
そして、そんな豪速球をキャッチした次郎も凄い。これぞ、隠し芸だと思う。
「ディアベルさん、判定は?」
「10点だね。満点しか出せないよ。あのスピードのボールをどうやったらキャッチできるのか不思議でしょうがないよ・・・」
ヤマモトの得点は文句の付けようが無い満点だった。あのボールをキャッチできる次郎もだが、無意識であのスピードがでるボールを投げるヤマモトは本当に凄いと思う。その後に隠し芸を繰り出す参加者のプレイヤー達だったが、ヤマモトを越える芸を見せるプレイヤーはいなかった。
「見事に優勝したヤマモトさんには、ヒースクリフ団長が手に入れたレア装備の刀である氷雨をプレゼントします。」
「おお。刀か。昨日、ちょうど刀スキルっていうスキルが気付いたら習得していたし、時雨蒼燕流は曲刀よりは刀でやる方がしっくり来るからさ、ちょうど良かったぜ!」
ヤマモトが喜んでいるな。優勝商品が刀か。刀スキルを持って無い人には只の宝の持ち腐れだよな・・・
刀スキルを持って無い人が優勝したら、どうしていたんだか・・・
「全く、恐ろしい嬢ちゃんだったぜ・・・」
隠し芸大会が終わったと同時にスワロが戻ってきた。よほど、アスナとの会話が大変だったんだな・・・
「スワロ。お疲れ様。よほど、厳しい事を言われたみたいだね。」
「いや、その方がまだ良かったぜ。なんせ、あの嬢ちゃん。いきなり、初撃決着デュエルを仕掛けてきたんだからな・・・」
「デュエルを仕掛けてきたって、何でいきなりそんな事を・・・」
「何かな、俺が何とか昨日の事情を大まかな部分だけ伝えて、納得したと思ったらな、急に『あなたが本当にツナ君が助けに向かう程に意味が有ったプレイヤーか知りたいので、私と手合わせしてください!』って言われたからよぉ、口じゃ聞いてくれそうに無いからデュエルの申し込みを受けたんだ。」
「それは災難だったね・・・」
「本当に恐ろしい嬢ちゃんだったぜ。俺は女性に手を出す事はあまりしたくないからな、最初は加減しようと思ったんだが。あの嬢ちゃんのスピードがPoH以上だったからな。こりゃ、手を抜くとヤバいと思ったからな、俺も本気で相手したんだ。」
「それで、どっちが勝ったの?」
「ああ。俺が嬢ちゃんの細剣スキルの発動した後の硬直時間の間に俺が槍の一撃を与えて勝利したんだ。危なかったぜ、ジュエル・ウォリアズのメンバーだったサファイアが細剣使いだったのが幸いして、細剣スキルが直進するモノがほとんどだと知ってなかったら負けてたぜ。
細剣スキルが発動したら、素早く横に移動して槍の一撃って感じだ。あの嬢ちゃん、怖いな・・・」
早くもスワロはアスナの恐ろしさを体感した様だ。本当に話し合いという名の決闘だったんだな・・・
「まあ、何とか俺が勝ったら、『ツナ君が助けに行っただけ有って、かなりの実力者ですね。わかりました。今回の事は不問とします。』と言ってパーティーに戻らずに宿屋に向かったからな、俺は話が終わったと解ったからこうして戻ってきたんだが、俺が言ってたモノは準備したんだよな?」
「もちろんだよ。でも酒はエギルに預けたから、エギルから受け取ってよ。」
「エギル?誰の事だ?」
俺はスワロをエギルの所に案内してエギルとスワロが互いに挨拶して、早くも打ち解けたらしく、二人で会話しだしたので俺はその場を後にした。
「今回のパーティー、最後のメインイベントであるカラオケ大会を行います。」
カラオケ大会!?カラオケマシンがSAOの中に有るのかよ。
まあ、俺はカラオケ大会に参加する気は無いし、黙って聞く事にしよう。
「ついでに今回のカラオケ大会はツナさんとヒースクリフ団長は強制参加してもらいます。拒否権は二人には有りませんので、絶対に一曲は歌ってください!」
「おかしいだろ!」
「おかしくないか!」
俺とヒースクリフが同時に今の司会の言葉にツッコミを入れた。ヒースクリフ、お前の部下って結構、自分達の団長だろうと容赦しないんだな。ってか、拒否権ぐらい有るだろ!
そんな事を思ってる内にカラオケでお馴染みの歌を探したり歌いたい歌を入力する端末が渡された。ええと、『88』という歌にしておこう。
俺はそのまま、いつの間にか隣にいたヒースクリフに端末を渡すと、ヒースクリフは適当に番号を入力した。多分、この人は歌えばいいんだろ、歌えばという考えなんだろう。
適当に番号を入力した結果でた歌のタイトルは『恋した乙女の花吹雪サンバ』という聞いた事も無いタイトルの歌だ。タイトルを見たヒースクリフの顔がひきつった。適当に入力するからだってヒースクリフ。
「済まない。私が歌う歌の変更を求む。」
「ヒースクリフ団長。残念ですが、それは認めません。諦めて『恋した乙女の花吹雪サンバ』という聞いた事も無いタイトルの歌を歌ってください。僕が大笑いしてあげますから!」
この司会のアルスというプレイヤーは悪魔かもしれない。もちろん、PoHとは違う意味でな。
ヒースクリフが巻き添えを求めてか、
「ビャクラン君。どうかね、私とデュエットしないかね?」
「ええ~、ヤダ~。」
ビャクランにデュエットを申し込むがビャクランは何の躊躇いも無く断った。
その後、俺は歌を歌い82.7点という普通の点数を出し、ヒースクリフはあの謎多き歌を歌い99.8点という高得点を出したが、ヒースクリフは嬉しそうな表情では無かった。理由は言うまでも無く、歌詞に大笑いしたプレイヤーが歌っているヒースクリフまでも大笑いした為だ。ヒースクリフは精神的に大ダメージを受けただろう。後、リンドも歌ったが、何処ぞのガキ大将みたいな酷い歌唱力だった為に司会のアルスに演奏中止ボタンを押されて、リンドは強制的に失格となったりするという出来事も起きた。
まあ、結果的に優勝したのはヒースクリフで優勝商品は隠し芸大会と違い何も無い。
その代わり、ヒースクリフには花吹雪サンバマンという不名誉な称号を与えられた。そんなヒースクリフは一瞬、涙目に成ったという。辛いんだろうな。でも俺は助けないからな。先はアスナから助けてもらいたい時にシカトされたからな。
ヒースクリフに力を貸してもらいたい時の交渉材料にするとしよう。
今日のパーティーで俺は休めたとは言えないが、久々に現実の様な賑やかな時間を楽しめた。
明日からは攻略に戻る事になるけど、今日の様なパーティーを現実でも出来る様に頑張らないとな!
今回は攻略組が第10層到達記念パーティーを行いました。リンドはイジられていますが、これは一応は愛されてるからです。決して、皆がリンドを嫌ってる訳では無く、こういうコミュニケーションです。
スワロフスキーの性格が丸くなってると思う人もいるでしょうが、スワロフスキーは本来はこの様な兄貴肌な性格で、PoHに仲間を殺された事で精神が正常じゃなかったという事も有りますので、スワロフスキーの本来の性格は今回の様な感じです。
それに今回は好きな人はいるのかが定かではないクラディールも登場しましたね。嫌いな人が多いと思いますけど・・・
ついでに言っておきますけど、ヒースクリフが歌った『恋した乙女の花吹雪サンバ』という歌は存在しません。本当に有ったら怖い・・・
次回は第14層の話にします。オリジナルのボス戦をテーマにして、あの趣味が悪いバンダナ巻いた人と再開します。