今回のタイトルはリボーンの単行本でよく見る様なタイトルにしました。
今回は前回の後書きで触れた様に新たな出会いの話です。その相手はユニークスキルを持っています。タイトルを見れば、ユニークスキルが何か解りますよね?
それでは、どうぞ!
ブリガンテス率いるベラドンナ・リリーと対面した、あの日から早くも1ヶ月半が過ぎようとしていた。俺は今、一人でクォーターポイントである第25層の迷宮区の中でボス部屋を捜索している。何故かって・・・こんな理由だ。
俺がボンゴレのメンバーと共に第19層の宿屋で一息ついていた時だった。
「ねえ、ツナ君。『暇』そうね。『暇』よね?『暇』なら、私と一緒に第25層の迷宮区を探しに行きましょ。行くわよね?」
突然、宿屋のロビーにアスナが現れると、ほぼ強引に俺を連れ出し攻略の手伝いをされる事となった。断ろうと思ったが、アスナが『暇』の部分を強調して言う上に笑顔なのに見ているコッチは恐怖しか感じない為、断れずに俺はアスナに連れ出された。こんな時に限ってゴクデラ君はクラインと共に男のロマンを探すだの訳が解らん事を言って何処かに行ったからな。こういう時に頼れそうなスワロ・・・彼はビャクランのイタズラで謎の液体Xを飲まされた事で食中毒か知らないが、街の中だというのに猛毒状態になったので、安静にして落ち着かせているので動けない。ボンゴレのメンバーは、俺に済まなさそうに目を反らしながら、俺がアスナに連れ出されるのを見送っていた。
こうして、俺はアスナと一緒に第25層の迷宮区を探す事になり、迷宮区を見つけると迷宮区に進入したのだが、アスナが迷宮区にいるモンスターであるゾンビを見た瞬間に、
「わ、私。よ、用事を思いだしたから・・・後はよろしくね。」
そんな事を言うと、転移結晶を使って帰ったというか逃げた。アスナは絶対に幽霊とかの類いが苦手なんだろう。ゾンビの姿を見ただけで、涙目になり顔が青ざめていたしな・・・アスナにも苦手なモノが有る事は解った訳だが、お陰で俺は一人で迷宮区の中を捜索する事になった訳だ。
取り敢えず、ゾンビを見て逃げた・・・いや、とある事情で帰る事になったアスナの分も頑張って迷宮区に有るボス部屋を探す事にした。俺もゾンビは苦手だが、ゾンビはステータスがかなり低いので強力なソードスキルで攻撃すれば一撃で倒せるので問題は無い。その分、ゾンビの出現スピードは高めなので油断すると囲まれてしまうので早めにボス部屋を見つけ出さないとならない。
俺は襲ってくるゾンビの大群を剣で切り裂きながら、突き進むと迷宮区の何も無い場所。つまり、行き止まりの部屋に来てしまったので進んできた道に引き返そうとすると、目の前に目の下から独特な豹の様なタトゥーを入れた銀髪の男が立っていて、俺の顔を見ていた。その様子は俺の無事を確認しているのかと一瞬思ったのだが、男のカーソルを目にするとオレンジ色だった。まさか、コイツはオレンジプレイヤーか!?男は俺が自分のカーソルを見た事に気付いた様子で口を開いた。
「きょんな所で君みちゃいなお子様が一人でいると危ないじゃないですか。何故にゃら・・・僕みちゃいなオレンジプレイヤーに殺られるからでしゅよ!!」
男が幼児の様な言葉遣いでそう言ったと同時に男は曲刀を抜くと、俺に襲い掛かってきた。俺は男の剣撃を避けると、死炎結晶を使ってハイパー化した。男は俺の様子が変わった事を確認すると、不気味な笑みを浮かべながら喋りだす。
「う~ん?君が例のボンゴレのリーダー様でちゅか?PoHの旦那が言っていた事と一致しゅる頭から出る炎・・・ボンゴレのリーダーちゃまで間違いないですねえ。」
「PoHだと!?お前はPoHの仲間なのか?」
「ええ、その通りでちゅよ。僕の名前はジャッカル。見ちぇの通り、殺人快楽者でちゅよ。Pohの旦那が創立したギルド、笑う棺桶(ラフィン・コフィン)のメンバーでちゅよ。PoHの旦那には獲物を横取りする様で悪いんでちゅが、死んでくだちゃい。ボンゴレの坊じゅ~。ヒャハハハ!!」
ジャッカルという男はPoHが作ったギルドのメンバーなのか・・・Pohはこのジャッカルの様に自分の考えに賛同している奴を集めているのか。だとしたら、厄介だな。笑う棺桶の構成がどのくらいかは解らないが、Pohが率いるギルドだ。メンバーにマトモな感覚の奴はいないだろう。これはジャッカルを捕縛して笑う棺桶の情報を聞き出す事を考えた方がいいな。
「あらま?考え事でちゅか?油断は禁物でちゅよ!」
俺はジャッカルが突き付けてくる曲刀での攻撃を避けると、直ぐ様にカウンターを仕掛けてジャッカルの顔面を拳で殴り付けた。ジャッカルは今の一撃を受けたのが原因か、俺に対して向けていた表情が一変する。
「テメエ!!お子様の分際でこの僕の美しい顔を殴りやがって・・・絶対に許さねえぞ、貴様ぁぁーーー!?」
ジャッカルが先程までの幼児言葉が嘘の様にもっと狂暴性を見せる口調になる。どうやら、幼児言葉は余裕の時にだけ出る様だな。それと、どうでもいいが重度のナルシストでも有るらしく、自分の顔を殴られた事が許せないらしい。ジャッカルが曲刀で俺に斬りかかってくるが、その攻撃を俺はステップで回避するが、
「今だ!」
「グッ!・・・投剣スキルか。」
俺がステップして回避する事を先読みしたのか、ジャッカルが投剣スキルを俺の足に命中させた。今のは想定外だが、俺のHPは1割も減っていないので大丈夫かと思っていたのだが・・・
「何だ、これは・・・体が動かない・・・」
「ヒャヒャヒャ!!どうだ。笑う棺桶が作り出した麻痺毒効果を持つ武器を喰らった感想はどうだ小僧?結構な効き目だろ?この麻痺毒を受けたら、もう一歩も動けないぜ。ヒャヒャヒャ!!」
麻痺毒だと・・・こんな武器を使われたら、PoHが率いる笑う棺桶との戦闘が本当に危険だ。早くこの事を他のプレイヤーに教えないと・・・
俺は体の力を振り絞るが、ジャッカルが言う様に一歩も動けないどころか、指先一つも動かせないでいた。ジャッカルはそんな俺を見て笑い声を挙げながら、俺に近付いてくる。
「ヒャヒャヒャ!!無駄だ無駄無駄!!言っただろ小僧?お前はもう一歩も動けないってな?さあってと、僕の顔を殴った事がどんなに罪深いのか体に教え込まないとなぁーー!」
ジャッカルは俺の頬を掴むと、俺の顔を殴りつけて地面に顔をぶつけさせた後に俺の両腕を曲刀で切り落とした。
「どうだ?僕の顔を殴った事がどんなに罪深いのかどうかが解っただろ?」
「罪深いだと?笑わせるな!今まで、お前がどれだけのプレイヤーを殺してきたかは知らないが、殺しを行っている時点で罪深いのはお前の方だと思うが。」
「この・・・クソッタレの小僧がぁぁーーー!!まだ、減らず口を言う余裕が有るって言うのなら・・・こんなのはどうだ!」
ジャッカルは俺の両足を曲刀で切断すると、俺をゾンビが徘徊する部屋の外に放り投げた。
「ヒャヒャヒャ!!今のお前は麻痺毒で一歩も動けないが、更に両腕に両足を切断されてダルマ同然。麻痺毒が回復しても、両腕に両足が復元しない限り逃げたくても逃げられないだろ?去らば、ボンゴレのリーダー様の小僧。これでPoHの旦那の目に俺が止まり、笑う棺桶のナンバー2に・・・」
ジャッカルは俺が動けない事を利用して、MPK(モンスタープレイヤーキル)を実行するつもりか。ジャッカルは俺をなぶり殺す気か・・・済まない。皆、俺はここまでの様だ・・・
俺が諦めかけた時だった。突如、ゾンビ達が姿を消すと、俺とジャッカルの目の前に藍色に輝く火の玉が出現した。その火の玉がジャッカルの方に近付いてきた。
「な、何だ。この火の玉は・・・レアモンスターか?いや、違う。この火の玉にはカーソルが表示されてない。一体何なんだ、この火の玉は。」
火の玉がジャッカルの目の前までに近付くと、火の玉から人の姿が見えてきた。その火の玉から見える人が喋り出す。
「お前、よくも・・・俺を殺してくれたな。」
「なっ・・・そんなバカな。お前は確かに俺が殺した覚えが有るプレイヤーの筈・・・生きていたって言うのか!?」
この火の玉から見える人は、ジャッカルが殺したプレイヤーと同じ姿をしているらしく、ジャッカルはこの出来事を信じたくないのか、叫び声を挙げる。
「ふざけるな!!これはイタズラだ!イタズラに決まっている!誰だ、こんなイタズラをする奴は!」
「イタズラか・・・そう捉えるのか。本当に残念だ。どうやら、お前は人を殺して罪悪感を微塵も感じていない様だな・・・」
ジャッカルの言葉を聞いて、姿を見せたのはカラスの様な仮面で顔を隠した長い金髪を後ろに結んでいる男性と思われるプレイヤーだ。そのプレイヤーは祈祷師の様なローブを装備している。武器は片手剣だと思われるのだが、どうもあの剣から感じるオーラが他の剣とは違う。
ジャッカルは現れた仮面のプレイヤーに曲刀を向けながら話し出す。
「貴様か。貴様がこの様なイタズラをして僕を驚かしていたのか。貴様、一体何者だ!」
「まだイタズラだと思うか・・・お前に名乗りたく無いが、特別に名乗ってやる。俺の名前はアルビートだ。現実では降霊師をやっている。だからか、俺の周りには霊魂がよく集まる。お前が殺したプレイヤーの霊魂の声は聞いていて悲しく思う。」
「降霊師?何をバカな事を・・・僕は、そんなオカルト話なんて信じない、信じないぞ。」
降霊師・・・本物の幽霊を呼び出せるというのか。アルビート、味方かどうかは解らないが、今はアルビートが味方だと信じるしか無い。ジャッカルはアルビートに曲刀で斬りかかろうとしたが、火の玉が再びジャッカルの目の前に移動すると怨み言を呟く。
「お前は、俺を殺した・・・俺の感じた痛みをお前にも味会わせてやる・・・」
「だ、黙れ!アルビートって言ったな。このイタズラをいい加減に終わらせろ。幽霊なんて、いるわけが・・・」
「お前がどう思おうが自由だが、霊魂は確かに存在する。その証拠に今、お前が目にしているモノこそがお前が殺したプレイヤーの霊魂だ。その霊魂は可哀想なヤツだ。霊魂と言っても、全ての霊魂が怨みを持ったモノでは無いからな。霊魂のほとんどが成仏できずにさ迷い続けるだけだが、その霊魂はお前に殺された事を根に持ち、復讐心しか残っていない。だから、その霊魂はお前には容赦しないだろう。だが、お前が殺した罪を償うと言うなら、その霊魂もお前を許してくれるかもしれないぞ。」
アルビートの言っている事は信じがたいが、俺は超直感でこの火の玉は幻覚では無いと断定する。霧属性の炎の構築で作られた幻覚なら、何処かに違和感の様なモノを感じるのだが、この火の玉には幻覚に感じる独特の違和感が見当たらない。もし、アルビートの言う事が本当なら、この火の玉は霊魂・・・つまり幽霊という事になる。
ジャッカルはアルビートの言う事が信じられない・・・いや、信じたくないのか、戸惑いつつもアルビートに襲いかかる。
「このヤロォ・・・オカルト話で僕の事をからかうのも大概にしろ!」
「本当に見ていて哀れというか、何というか・・・人の命を何とも思わない奴は本当に悲しく見えてくるな。」
ジャッカルの曲刀での攻撃を避けると、アルビートがジャッカルを哀しい奴を見る様な表情で見ながら、片手剣を鞘から抜いた。アルビートの剣は紫色に染まっており、まるで暗黒の闇の様に見える。
「いくぞ。暗黒剣のソードスキル・・・[サクリファイス・スクエア]!」
「暗黒剣だと!?そんなスキル・・・聞いた事が無いぞ・・・ギャアア!!?」
アルビートは未知のスキル暗黒剣のソードスキルの一つである[サクリファイス・スクエア]を放つと、アルビートの剣に邪悪な単眼の悪魔の様に見えるオーラが包むとジャッカルの腹部をX字に切り裂いた。ジャッカルは初めて見るソードスキルに対処出来ず、マトモに喰らったダメージで地面に倒れ気を失った。その様子を見て、気分が晴れたのかジャッカルに恨みを懐いていた霊魂は姿を消した。
アルビートの暗黒剣は、俺の死ぬ気スキルとゴクデラ君の爆撃スキル、そしてヤマモトの時雨蒼燕流と同じユニークスキルに該当するモノだろう。もし、アルビートが味方なら頼もしいが、逆に敵だとすれば、これ以上に無い強敵だ。
アルビートは剣を鞘に納めると、俺方に近付いてくる。どうする・・・今の俺は両腕と両足をジャッカルに切断され、身動きが出来ない。アルビートがそれを見逃さずに俺を殺しに来る可能性も有る。アルビートが味方なのか敵なのかさえ、解ればイイんだが・・・
アルビートは俺の近くに来ると、自分のメニューを開いた。何をするつもりだ・・・アルビートのメニューが閉じると、アルビートの手には回復結晶が握られていた。アルビートはその回復結晶で俺のHPを回復させた。HPが回復した上に両腕と両足も元通りになった。
アルビートは味方なのか・・・俺がそう思っていると、アルビートは俺の顔を見て話し出す。
「あなたがボンゴレ十代目か。あなたを無事に助けられて良かった。」
「なっ!?アルビート・・・お、お前は何故、俺がボンゴレ十代目だと知っているんだ・・・それにお前は一体何者だ?」
アルビートが俺に掛けた第一声は俺がボンゴレ十代目かどうかだという質問だった。俺はアルビートが何故、俺がボンゴレ十代目だという事を知っているのか尋ねる。
「申し遅れた。改めて自己紹介する。私の名前・・・いや、俺の名前はアルビートだ。」
今、何か私と言いかけた様な・・・気のせいだよな。とにかく、今はアルビートの話を聞こう。
「俺はボンゴレと同じくイタリアのマフィアであるエヴォカトーレファミリーの七代目ボスだ。」
「エヴォカトーレファミリー?」
「エヴォカトーレファミリーは俺と同じ降霊師やサイキッカー等の特殊な力や技能を持つ者で構成されたファミリーです。俺が率いるエヴォカトーレファミリーはボンゴレとは同盟関係でいる。継承式の時は用事が有って参加出来なかったんだが、こうしてボンゴレ十代目と会えて嬉しく思う。よろしく頼む、ボンゴレ十代目。」
「あ、ああ。こちらもよろしく頼む。」
エヴォカトーレファミリー・・・降霊師やサイキッカー等の特殊な力や技能を持つ者で構成されたファミリーか。話を聞いた限りでは随分とオカルト印象が強いファミリーだな。そんなファミリーがボンゴレと同盟関係でいるとは、どういう訳なんだ・・・
「アルビート。何で、ボンゴレとエヴォカトーレは協力関係でいるんだ?」
「エヴォカトーレはマフィアとして見られているが、実態はエヴォカトーレのメンバーの力で悩める人達の力になるのが目的で構成された特殊組織の様なモノだ。例えば、突然死んだ友人の霊と話をしたいと言えば、その霊魂を召喚したり、サイキッカーは未来予知で未来を良くするアドバイスをするのが主だな。
だが、降霊師やサイキッカー等で構成されたエヴォカトーレを厄介だと思う奴らも当然の様に存在する。実際、初代ボスの時代ではエヴォカトーレファミリーを始末しようとする連中がでた程だ。でも、そんな連中からエヴォカトーレを守ろうとして戦ってくれたのが、初代ボンゴレファミリーだ。エヴォカトーレの初代ボスは初代ボンゴレのボスであるジョットを見て、ジョットの意志に共感したらしく、ソコからエヴォカトーレとボンゴレは同盟関係を結ぶ事になった。ソコからだな。ボンゴレとエヴォカトーレの同盟関係が始まったのは。」
エヴォカトーレファミリーは初代ボンゴレの時からの旧知の仲という訳か。でも、イタリアで活動するエヴォカトーレファミリーのボスが何で日本にしか無い筈のSAOにいるんだ・・・俺はアルビートに何故、SAOにいるのかを尋ねる事にした。
「アルビート。お前は何故、このSAOにいるんだ?」
「いや、SAOの発売した日に俺は日本に遊びに来たんだが、その時に日本で注目されていたSAOをたまたま入った店にちょうど最後の一つを売っていたのを見つけたから、どんなモノなのか気になって購入した訳なのだが・・・油断大敵と言うのか・・・見事にカッコ悪くこのデスゲームに巻き込まれてしまった訳だ。まあ、今はボンゴレ十代目とこうして会えて助ける事が出来たので後悔は微塵も無いがな。それにエヴォカトーレファミリーは、俺が居なくとも前のボスである父が率いる筈だし、心配しなくても大丈夫だろう。」
どうやら、本当にたまたま巻き込まれた形の様だな。仮面ごしで余り解らないが、アルビートは俺に会えたを素直に喜んでいる様に見えた。
さてと、アルビートから聞く話はこれ以上は無さそうなので、そろそろジャッカルを牢獄に送る準備をしないとな・・・俺がそう思った瞬間だった。
「クソがぁぁぁーーー!!俺をなめやがって・・・仮面野郎、テメエは絶対に殺してやらぁ!!」
気絶していたジャッカルが意識を取り戻し、アルビートに曲刀で斬りに掛かると、アルビートはジャッカルの曲刀が仮面に少し当たった様だが、ジャッカルの攻撃を難なく避けて俺の後ろに下がった。俺は直ぐ様にジャッカルの顔面に死ぬ気の炎を灯した正拳突きを喰らわせると、ジャッカルは意識を失い気絶した。俺は気絶したジャッカルを牢獄に送る為に、オレンジプレイヤーに会った時の為に用意していた行き先を牢獄に設定した回廊結晶を使って、ジャッカルを牢獄に送った。
俺はジャッカルが居なくなった事も有り超死ぬ気モードを解くと、アルビートの方を向いたのだが・・・アルビートは先ほどのジャッカルの攻撃が仮面に少し当たった事が原因か、仮面が外れたらしく素顔を見せている。俺はその素顔を見て驚きを隠せなかった。何故なら、目の前にいるのは男性では無く、どう見ても女性だからだ。
「アルビート。女の人だったの・・・」
「ううっ・・・素顔が見られたからには、私の事を詳しく教えないとダメですよね・・・」
アルビートは素顔を見られた事が嫌だったのか涙目になっている・・・これじゃ、俺が何か悪い事をしたみたいだな。と、とにかく、アルビートの話を聞く事にしよう。アルビートは涙目から、何とか普通の表情になると話をする。
「実はアルビートという名前は、エヴォカトーレのボスが世代毎に引き継ぐ事に成っているんです。」
「じゃあ、父の名前もアルビートなの!?」
「そうですけど・・・あくまでもアルビートという名前はエヴォカトーレのボスとして動く時に使う名前ですので、本名はちゃんと有りますよ。ただし、本名は自分の血筋の前でしか名乗る事ができないのでエヴォカトーレのメンバーは父を先代アルビートと言っています。ですので、私と父の本当の名前を知る者はファミリー内にはいないです。」
「そうなんだ。でも、何で仮面なんて付けて男性の振りなんてしていたの?」
「本当はエヴォカトーレのボスはボスの家系で産まれた男性がなる事になっているのですが・・・私の母は私が産まれて直ぐに亡くなってしまい、父は母との縁を切る様で再婚する事には反対だったらしく、私を男性として育てる事にしたので、私はエヴォカトーレファミリーのボスとして男性として振る舞う事を余儀無くされて、現実でも男装して男性としての振る舞いをしていました。ファミリーのメンバーで私の事を女性だと知ってるのは父以外には片手で数える程度しかいません。現実では仮面を付けなくても、メイクで男性の顔付きにできるから良かったんですけど、このSAOの中ではメイクは出来ないので暫くは隠れていたのですが、たまたま立ち寄った街の店で仮面が売られていたので購入して付ける事にしたんです。これなら、私の素顔を隠して男性として振る舞う事ができますから。」
アルビート。この名前はエヴォカトーレのボスとしての名前で有って、本当の名前では無い。それにエヴォカトーレのボスは本来は男性がなるモノで女性である、ええと七代目アルビートである彼女は男性として生きる事を余儀なくされて、現実でも男装して男性として振る舞っている。でも、この生き方は彼女にとっては、本当は不満が有るのでは無いかと思う。彼女は男性として振る舞う事を余儀なくされたとはいえ、中身は女性だ。本当は女性らしい生活をしたい筈だ。
「ねえ、アルビート。君は本当は今の生き方には不満が有ったりしないの?」
「十代目。何で、いきなりそんな事を言うんですか・・・私は別に父に言われた通りに男性として生きる事を不満に思ったりは・・・」
「でも、本当は女性らしく生きたいと思っている筈だ。君だって、女の子なんだろ。女性らしい生活をしたいと思っても、別におかしくは無いよ。」
「はあっ・・・結構、デリカシーが無い人ですね。初対面の相手である私に遠慮なく自分の意見を言うなんて。十代目は・・・そんなに必死に私が男性として振る舞う生き方に意義を言うなんて、思ったより純粋と言うか良い人なんだと思いますけど、それが逆に相手にとっては迷惑だと受け取られる事も有る事を覚えておいた方がイイですよ。」
「えっ・・・俺の今言った事って、只の余計なお節介だったの・・・」
「ええと、ごめんなさい。別に私は十代目の言った事を迷惑だとは思っていません。でも、私以外の人には十代目の今の様なお節介が迷惑だと感じる人がいるかもしれないって言いたかっただけです。私は十代目が私の事をそんなに思ってくれているなんて、思っていなくて。つい、キツイ言葉を出してしまいました。十代目の言う通り、私は本当は女性らしく生活したいです。でも、私は今はエヴォカトーレファミリーのボスです。だから、女性として生きるのは当分無理そうです。」
「でも、このSAOの中でわざわざ男性として振る舞う必要は無いんじゃ無いか。SAOにいる間は女性らしい生活をすればイイんじゃないか。」
「ありがとうございます十代目。そして、ごめんなさい。今は十代目が言う様にSAOの中ではエヴォカトーレの輪から外れています。ですが、それに甘えて男性として振る舞う事を忘れたら、ダメな気がして・・・だから、私はSAOの中でも男性として振る舞う事にします。それと、私はエヴォカトーレのボスとして男性として振る舞う事に誇りを持っています。ですから、私の事はそんなに心配しなくても大丈夫ですよ。」
どうやら、アルビートは男性として振る舞う事に不満は本当に無い様だ。それどころか、逆に男性として生きる事を誇りに思っているのだ。俺が言った事は本当に只の余計なお節介だった様だ。でも、少し詰めが甘いところも有ったけどな。俺に自己紹介する時に私と言いかけていたしな。
アルビートは再び仮面を付けると、男性の口調で話し出す。
「そう言う訳だ。ボンゴレ十代目。俺はエヴォカトーレのボスとして男性として振る舞い続ける。このSAOの中でもだ。だから、この事は誰にも話さないと約束してほしい。」
「わかったよ、アルビート。君が女性だという事は俺と君だけの秘密にするよ。」
「そうか。言い忘れていたが、この層のボス部屋は先ほど俺が見つけて、回廊結晶を使って移動出来る様にしておいた。」
「それって、今回のボス戦にはアルビート。君も参加するって事?」
「そうだ。今回のボス戦から俺も参加する。流石にエヴォカトーレのボスとしてボス戦に参加せずにゲームクリアを待つだけの選択はしたくないのでな。今回のボス戦は俺の暗黒剣を最大限に使ってみせよう。」
「そう言えば、アルビート。その暗黒剣って言うスキルは何時、習得したんだ?」
「そうだな。大体、1ヶ月ちょっと前だったな。俺がレベル上げをしていた時にメニューを開いたら、知らぬ間に習得していたな。暗黒剣の事は誰も知らない様子だったからな、誰もいない時に使う事にしていたのだが、今回のボス戦では遠慮なく使わせてもらうがな。」
「そうなんだ。じゃあ、リングと匣は持っているの?」
「俺の属性である霧属性のCランクのリングは持っているのだが、匣は持っていないな。」
「じゃあ、この匣をアルビートに渡すよ。」
俺は第5層のボス戦のLAボーナスで手に入れた霧属性の匣をアルビートに渡した。
「住まないボンゴレ十代目。感謝する。では、お詫びに・・・」
アルビートは仮面を外して、女性らしい口調になる。
「私の秘密をもう一つ教えてあげますね。」
「アルビートのもう一つの秘密?」
「アルビートでは無い、私の本当の名前を十代目に教えてあげますね。」
「ええっ!?・・・でも、自分の本当の名前を言う相手は自分の血筋だけなんじゃ・・・」
「実はもう一つだけ有るんです。自分の本当の名前を言える条件が・・・それは本当に自分が信頼できる相手という事です。別にエヴォカトーレのメンバーを信頼してない訳じゃないんですけど、この信頼の意味は何と言えばいいんでしょうか。まあ、これをどう受けとるかは十代目のご想像にお任せしましょう。」
アルビートが俺に自分の本当の名前を教えるなんて、そこまで俺を信頼してくれたという事か・・・待てよ、この場合の信頼って・・・まさかな。
「私の本当の名前はリゾーナです。十代目と私の二人だけの時に呼んでくださいね。これで私の本当の名前を知っているのか、父以外に十代目が加わりました。だから、責任取ってくださいね十代目。」
「ええと、それって・・・」
「さあ?十代目の取り方次第で意味が全く変わりますよ。」
「俺をからかっているだろ、リゾーナ!」
「さあ、どうでしょうね?まあ、よろしくお願いしますね、十代目。」
リゾーナは俺をからかっているのか、それとも・・・取り敢えず解った事はリゾーナは俺の事を信頼してくれているという事だな。
リゾーナは再び仮面を付けると、アルビートとして振る舞う。
「さてと、今日はそろそろ街に戻って休む事にしよう。ボンゴレ十代目。あなたもゆっくりと休むといい。このボス部屋に繋がる回廊結晶を預けておいとく。ボンゴレ十代目、今回のボス戦。絶対に無事に終わらせよう。」
「そうだね、リゾーナ。」
「今の俺はアルビートだ。その名前で呼ぶな。その名前で呼んでいい時は仮面を外した時だけだ。」
「じゃあ、アルビート。質問なんだけど、ギルドに入る気は?」
「無いな。俺はソロプレイヤーとしてやっていこうと思っている。ギルドに所属する気は無い。だが・・・」
「だが?」
「ボンゴレ十代目の頼みとなれば、何時でも会いに来てやる。」
「そうか。アルビート。今回のボス戦は第25層、クォーターポイントだ。何か他のボスとは違う気がしてならないんだ・・・」
おそらく、今までのボスを遥かに越えた強さを持っていると思われる。なんせ、クォーターポイントのボスだ。他のボスより強く設定されていてもおかしくは無い。
「それでは、そろそろ街に戻ってゆっくりと休む事にしよう。去らばだ、ボンゴレ十代目。俺は先に帰る事にする。」
アルビートはそう言うと、転移結晶を使って転移した。さてと、俺も転移結晶を使ってボンゴレメンバーのところに戻るか・・・ジャッカルから、笑う棺桶の情報を聞き出すのは第25層のボス戦が終わるまでは後回しにするか。俺は転移結晶を使って第19層に戻った後に、攻略組のメンバーにメッセージでボス部屋を見つけた事を報告した後に宿屋でゆっくりと休む事とした。
今回のボス戦はクォーターポイント。どんなに強い相手でも必ず弱点は有る筈だ。ゆっくりと休んで、ボス戦に備えよう。
ツナが休んでいる時、黒鉄宮の牢獄では、ジャッカルが骸骨のフェイスマスクを付けた男によって殺されようとしていた。
「ヒィィ・・・待ってくれよ。命だけは助けてくれ・・・」
「お前は、勝手に、独断で、出撃し、無様に、捕まった。これ以上、あの人に、迷惑を、掛けたくない。お前が、余計な事、話すと、困る。だから、お前を、始末する!」
「ギャアアァァ!!?」
骸骨のフェイスマスクを付けた男は、ジャッカルの胸を自身のエストックで貫くと、ジャッカルはポリゴン状の粒子と化し散った。男はジャッカルの使っていた曲刀を拾うと、手に持って色々な確認をする。
「持ち主に、似て、お粗末な、作りだな。これは、いらん。」
そう言うと、男はジャッカルの曲刀をポッキリとへし折った。その後、直ぐに男は姿を消した。彼の名前はザザ。後に、笑う棺桶の首領の右腕と恐れられ、赤目のザザと呼ばれる様になる男だ。
どうですか。今回はユニークスキル、暗黒剣の所有者であるアルビートことリゾーナが登場しました。アルビートにリゾーナがゲーム版リボーンで登場したゲームのオリジナルキャラクターなんですが、この小説では設定を大幅に変えております。ゲームではアルビートとリゾーナは別々のキャラクターですが、この小説ではアルビートはエヴォカトーレファミリーのボスとしての姿で正体は美女という事にしました。
それと、暗黒剣の習得条件はこの小説内では人の魂の根源というモノを一番理解している者に送られるという条件にされています。ついでに暗黒剣のソードスキルの技名は私が考えた名前です。
それと、他のユニークスキルも出す予定です。誰がどんなユニークスキルを習得するかはまだ未定です。
次回は第25層のボス戦です。この小説での第25層のボスはオリジナルとさせていただきます。ついでに言っておきますと、今回の第25層の迷宮区がゾンビだらけだったというのが、どんなボスなのか解る鍵かと思います。
それでは、皆さん。新年にまた会いましょう。