今回の戦いでは犠牲者が出ます。その中には意外な犠牲者も・・・
後、前回の最後に記載したオボロの誕生日を2月14日と記載する間違いがありました。今は修正しましたが、正しい誕生日は12月14日です。
アンデッド系に有効なアルビートの暗黒剣の助けも有り、ヘルヒュドラの5本有るHPゲージの2本目の7割まで減らす事ができたが攻略組のほとんどが猛毒と腐食という2つの厄介な状態異常の為、まともに動けるプレイヤーが少ない。しかも、キバオウが率いる軍に関しては全員が状態異常になってしまったので軍のメンバーをなんとか守らないと・・・それとアルビートから暗黒剣のデメリットも聞いた。暗黒剣は一度使うとしばらく暗黒剣を使う事が出来ない。つまり他のスキルと違いインターバルの時間が長いという事だ。
「よし!やっと腐食状態が回復した。今から俺も暴れるぜ!」
リンドが腐食状態から回復し、ポーションでHPを回復する。リンドが戦線に復帰したので、リンドに戦いを合わせる様に告げる。
「リンド。ヘルヒュドラの攻撃は非常に厄介だ。だから俺達に合わせて動いてくれ。」
「おう、わかったぜ。ディアベルが動けない今、ツナの言う通りに行動した方が良さそうだな。よし、お前達に合わせて動くとするぜ!」
リンドに告げたのはいいのだが、この男の性格からして動きを合わせるのは数分程度だろうが・・・とりあえず動きを合わせてくれるだけでも戦いに違いが出るのでよしとしよう。ヘルヒュドラが厄介なブレス攻撃をしてくるが、そのブレスをキリトが片手剣をプロペラの様に回転させて敵のブレス攻撃を防ぐスキル[スピニングシールド]で上手く防ぐと、ヘルヒュドラの懐に潜り込んだ後に手にする剣で重たい強烈な一撃をヘルヒュドラに与えて怯ませた。
「よし、ここは俺が更に前に出るから追撃頼むな!」
「わかったぜ、キリト!」
「チッ!ビーターに合わせるのはシャクに触るが仕方ねぇな。」
「おいおい、オボロ。キリトの事を悪く言うんじゃねえよ!キリトはβテスターと言っても、お前が言う様なβテスターとは違って信用できる奴なんだぜ!」
キリトの動きに合わせてヤマモトが動きく中、オボロは相変わらずキリトを毛嫌いしながらも動きを合わせ、リンドはキリトの事を悪く思うオボロにオボロが言う様なβテスターでは無いと言ってキリトの動きに合わせると、各自にソードスキルを発動させる。キリトは片手剣のソードスキル[サベージ・フルグラム]を繰り出した後に追撃でヤマモトは時雨蒼燕流 攻式八の型 篠突く雨を繰り出す。ソコにオボロが自慢の攻撃速度で10回以上斬り続けた後に刀のソードスキル[羅刹]で連撃を決め、最後にリンドが曲刀の最上位ソードスキル[レギオン・デストロイヤー]をクリティカルヒットさせて大きなダメージをヘルヒュドラに与える。リンドは曲刀を使い続けているので刀スキルを習得していてもおかしくないのだが、リンド本人からすると使い慣れた曲刀の方がしっくりくるという事なので刀スキルを使う事は無いだろう。ヘルヒュドラのHPゲージの2本目が空になり、やっと5本有るHPゲージの内の3本目にする事ができた。
「よし!この調子でいけば、ヘルヒュドラを倒せるかもしれないな!」
「でも油断は禁物ですよ、エギルさん。あなたも麻薬密輸人ならその油断が命取りだって解る筈でしょ。」
「アルス!!誰が麻薬密輸人だ!!こう見えて俺は現実では頼れる女房がいて誰もが寛げる様な店も開いているんだぞ!」
「へえ~、そうなんだ。じゃあ、ソコの店にコカインとかヤバイ粉を置いているんですか?」
「アルス・・・いくら温厚な俺でも我慢の限界っていうのが有るぞ。これ以上言うなら喧嘩として買うからな!」
エギルは勝てるかもしれないと言っただけなのに、何故かアルスの毒舌がエギルを襲った。確かにマフィアみたいな外見とはいえ、いくらなんでも麻薬密輸人は失礼にも程が有るだろ・・・
「エギル君。私のギルドのメンバーが変な冗談を言って君の機嫌を損ねた事に関しては申し訳ない。だが今はヘルヒュドラに攻撃して猛毒と腐食という厄介な状態になってしまったプレイヤーが攻撃されない様に私達が引き付けなければならない。だから力を貸してほしい。」
「ああ。アルスの毒舌はさすがに聞き慣れてきたしな。適当に聞き流すから、ヘルヒュドラの注意を引くっていうなら喜んで力を貸すぜ!」
「ヒースクリフ団長にエギルさんは何か僕の事をまるで嫌な奴みたいな感じにしていますけど、いくらなんでも酷くないですか?」
いやアルス、実際にお前は嫌な奴だよ!本当にコイツが血盟騎士団に入っていてくれて良かったと思うぞ。間違ってもコイツは同じギルドには入れたくない。アルスの毒舌を適当に聞き流す事にしたエギルは相手の防御力を低下させる事ができる斧のソードスキル[クリムゾン・ブラッド]を繰り出してヘルヒュドラにダメージを与えると、ヘルヒュドラが多数の首でエギルを噛み付こうとするが、エギルは斧を使って防御する。その間にヒースクリフが匣であるディンと共に攻撃を仕掛ける。ヒースクリフは片手剣の最上位ソードスキル[ファントム・レイブ]を匣であるディンは角から光線を出してヒースクリフを援護する。ヘルヒュドラのHPを3本目の3割まで減らした。
「よっし、このまま俺も追撃を加え・・・」
リンドはヒースクリフの攻撃に続こうとした様だが、ヘルヒュドラに捕まり噛み付かれ腐食状態にされ、また投げ飛ばされる事となった。今度はヒースクリフに向かって投げられたが、ヒースクリフは投げられたリンドを盾で防いで自分のダメージを無くす事を選択した様だ。結果、ヒースクリフが盾でダメージを無くす代わりに代償としてリンドのHPがレッドゾーンにはいかないもののイエローゾーンになる。
「またかよ・・・本当に俺を受け止める選択は無かったのかよ・・・」
「済まないがあのスピードで投げられた君を受け止めるのはまず無理な話だね。本当に君には済まないと思うよ。」
リンドは受け止める選択は無かったのかとヒースクリフに問うが、ヒースクリフは安直にあのスピードで投げられたリンドを受け止めるのは無理と告げた。それを聞いた後、リンドは自分の扱いに不遇を感じたのか黙りながら涙を流した。
「キキョウちゃん、ザクロ。再び仕掛けるよ!僕達がリンド君の死を無駄にしない様に頑張らないとね!」
「ハハン。ビャクラン様の期待に答えるとしましょう。その前にリンドはまだ生きていますよ、ビャクラン様。」
「うん、知ってるよキキョウちゃん。僕は只、リンド君の事をいじっただけ♪」
「さすがに少しはアイツに同情するぜ・・・」
ビャクランはリンドを何故か死んだ事にしたが、キキョウがツッコミを入れた後にビャクランはリンドをいじっただけと言うと、ザクロがリンドの扱いに少し同情した。流行っているのか、リンドいじり・・・今度投げられたら受け止める事にしよう。さすがにリンドが可哀想に思えてきたからな・・・
リンドいじりはソコまでにしたビャクランはキキョウとザクロと供に攻撃を仕掛ける。ビャクランは匣から白龍を呼ぶと白龍をヘルヒュドラに向かって飛ばす。白龍はヘルヒュドラを撹乱するかの様にヘルヒュドラの周りを高速で移動する。ヘルヒュドラの注意が白龍に向いたところをビャクランが10HITの細剣のソードスキル[オーバーラジェーション]、キキョウは槍の最上位ソードスキル[ディメンション・スタンピード]をザクロは棍棒の最上位ソードスキル[ヴァリアル・ブロウ]を三人は同時に繰り出した。だが、三人のソードスキルが同時発動したタイミングでヘルヒュドラはトウマの時の様に首を使って攻撃を受け止める。すると、弱点である首に命中した事も有りヘルヒュドラのHPは3本目の7割まで一気に減る。しかし、弱点の首にダメージを与えた事で首が落ちてソコから新たな首が2つ生えてくる事になる。今度落ちた首の数は10本全て・・・つまり、首の数はこれで20本だと!?これはいくら何でも多すぎる。これではヘルヒュドラのブレス攻撃を避けるのが圧倒的に難しくなる。
「あはは・・・これはさすがにまずいかな・・・」
「まずいっていうレベルじゃないぞ・・・これじゃ、首がそれぞれ違う方向に向いたとなるとブレス攻撃の範囲が部屋全体になっるって事になるんだぞ!こんなのどうすれば防げるんだ・・・」
さすがのビャクランもこの状況を招いてしまった事に焦りを感じた様で、キリトは首がそれぞれ違う方向に向けばブレス攻撃がこの部屋全体になるのでそれを防ぐ手段が無いのか考えている。これは本当にまずいな・・・どうやったら首の数を増やさないでヘルヒュドラの首を減らす事ができるんだ・・・待てよ、あのNPCから聞いた話を出してみるか。
「皆、聞いてくれ。これは俺が街のNPCから聞いた話なんだが、俺はこの話は別に今回の攻略に重要では無いものだと思って話さなかったんだが、ここまで窮地になったからには話した方が良いと判断した。だから聞いてほしい!」
「わかったよ、ツナ君!それでその話というのは?」
どうやらこのタイミングでディアベルを含めた猛毒と腐食の状態になっていたリンドを除くプレイヤー全員が自然回復したのかポーションを飲みながら、俺の話を聞く為に耳を向ける。
「じゃあ聞いてくれ。俺が聞いた話は『ヘラクレスの様に知恵を使えばヘルヒュドラの首は生えない』という内容の話だった。俺はカブトムシとヘルヒュドラに一体何の関係が有るかは解らないが、もしこの話の意味が解るプレイヤーがいたら話してほしい!」
今の俺の話を聞いたほとんどのプレイヤーは俺の顔を見て唖然とした表情をする。一体どうしたんだ?
「ツナ・・・そういう大事な話は最初からして欲しかったかな・・・」
「マコトちゃんの言う通りだね。とりあえず、ツナ君を埋める穴は私が掘っておくね・・・」
マコトは俺に最初から話して欲しかったらしく、ユキホは何故か俺を穴に埋めるつもりの様だ・・・
「ちょっと待て!?何でソコまで怒られないといけないんだ!?」
「いや、流石に怒らない方が無理だと思うよ。その話に出たヘラクレスはツナ君の考えるカブトムシであるヘラクレスオオカブトの事では無くて、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスの事だよ・・・」
俺が何故、ここまで同じギルドのメンバーからここまで怒られないといけないんだと口に出したら、ディアベルから俺がNPCから聞いたヘラクレスはカブトムシのヘラクレスオオカブトの事では無くて、ギリシャ神話の英雄ヘラクレスの事だと告げられた。つまり、俺はとんでもない勘違いというか恥ずかしい間違いをしていたという事か・・・俺の事をフォローしようと思ったのかオボロが発言する。
「兄者とは言え、いくら何でも知らない事の一つや二つは流石に有るって事だ。だからそんなに兄者を責めるな。兄者を責めるなら代わりにソコにいるビーターにしな!」
「何で俺!?そんなに俺の事が嫌いなのか・・・」
オボロがフォローを入れてくれたお陰で皆は機嫌を治してくれたが、最後の一言は余計だな。何故、キリトが責められないとならないんだ・・・
「とりあえず、ツナ君以外にも知らない者もいるかもしれないので私が説明するとしよう。」
ヒースクリフが説明してくれる様だな。
「ギリシャ神話の英雄ヘラクレスの話で有名なのは様々な試練を乗り越えた事だ。その中でツナ君の聞いた話を元にすれば話すべき内容はヒュドラとの戦いだろうね。ヒュドラは多数の首を持つ蛇の怪物で、その首を斬ると斬られた部分から新たな首が2つ生える厄介な怪物だった。だがヘラクレスはヒュドラの首を斬った時に新たな首が生えない様に斬った部分を手にした松明の火で焼いた。そうヒュドラは首を斬った部分を直ぐに焼かれた場合は首を生やす事ができなかった。つまり、ヘルヒュドラもおそらく首を斬ったら直ぐに火でその部分を素早く焼けば新たな首が生えない筈だ。そうヘルヒュドラ攻略の鍵は首を斬ったら直ぐに焼く事に有った。ツナ君の話のお陰で遅いとはいえ、これでヘルヒュドラの首を減らす手段を見つける事ができた訳だ。」
なるほど、そうだったのか!これでヘルヒュドラの首を減らす手段を手にできた。最初から話すべきだったという後悔は後にするとして、ヘルヒュドラの首を焼く役目は俺が適任だろう。この中で一番の熱量を誇る炎を出せるのは俺だからな。
「ではツナ君。ヘルヒュドラの首を私達が斬り落とすので、君は首を斬り落とした部分を焼いてほしい!」
「わかった、ヒースクリフ!」
ヒースクリフが俺にヘルヒュドラの首を斬った部分を焼く役目を任せると、攻略組のプレイヤーはヘルヒュドラに攻撃を仕掛けようとした時だった。ヘルヒュドラはこのタイミングで一番恐れていた全ての首を違う方向に向けてのブレス攻撃を繰り出した。
「た、退避や!?一時、退避するんや!!」
キバオウが退避する様に声を出すが、ヘルヒュドラの首が部屋全体を捉えているので後退しようが逃げ道が無い・・・ヘルヒュドラは全ての首から一斉にブレスが放ちながら自身が回転する事で連続的にブレスを命中させていき、攻略組のプレイヤーを次々と葬っていく!
「ウッガァァ!!?」
「ロベルトさん!?そんな・・・」
「まだ・・・死に・・たく・・な・・・」
「済まないアラン君・・・」
「母ちゃん、オイラ・は・・頑張ったよ・・・」
「ゴンスケはん!?あんさんまでもが・・・」
「リンドさん・・・あなたまでもが。」
「アルス!テメエ!!俺は生きているわ!!」
ディアベルの聖竜連合から3名、ヒースクリフの血盟騎士団から2名、キバオウの軍からは5名の死者が出てしまった。そんなシリアスな空気が流れている中だろうと、アルスはリンドを勝手に死んだ事にしようとしていたが無視しよう。それにしても、身動きできない状態だったのによく無事だったなリンド。今ので合計10名の死者が出てしまった。俺のギルドであるボンゴレのメンバーは奇跡的に犠牲者が0だが、俺を含めてボンゴレのメンバーいや、ヒースクリフを除くが攻略組のプレイヤー全員が猛毒と腐食の二つの厄介な状態になり、HPがレッドゾーンになった者が多い。俺のHPはかろうじてレッドゾーンになる手前のイエローゾーンだが、腐食状態では動いただけでダメージを受ける上にアイテムで回復しようとすれば逆にダメージを受けるというヤバい状態だ。動かなくても猛毒によって勝手にHPが削られていく。このままでは最悪、攻略組の全滅が考えられる・・・そんな考えが俺の頭を横切った時だった。アルビートが自分も猛毒と腐食の二つの厄介な状態に侵されているのにヘルヒュドラの前に移動する。その移動だけでも腐食状態によるダメージを受け、アルビートのHPは残り僅かになっている。そんな状態なのにアルビートは一体どうして・・・
「ツナ。いや、攻略組の皆さん。安心して下さい!私がこの窮地を変えてみせます!」
アルビートは攻略組の方を向くと仮面を外し、素顔を今この場の全プレイヤーに見せる。
「お、女!?アルビートって女だったのか・・・」
「べ、べっぴんや。ワイ好みのべっぴんさんや・・・」
「キバオウさん。キモいです、止めてください。キモいのでそんな赤面した面出さないでくださいよサボテン大王。」
「酷い言われようや・・・アルスはん、ワイはただ、ワイ好みのべっぴんさんやと思っただけやのに・・・」
アルビートの素顔を見て、キリトの様にほとんどのプレイヤーは女だと解って驚き、キバオウはただ見惚れていただけの様だが、アルスの容赦の無い毒舌の餌食となる。アルビートは絶対に素顔を見せないと昨日の話で言っていたのに何故、今この場で仮面を外して素顔を見せたんだ・・・アルビートはリングから霧属性の炎を出して匣に注入し、匣から白い体毛の狼型の匣である幻狼(スペットロ・ルーポ)を呼び出した。
「ハク、幻覚でヘルヒュドラを惑わして少しだけでいいから時間を稼いで!」
「バウ!アオーン!!」
アルビートがハクと名付けた幻狼は体から霧の炎をヘルヒュドラに向けて広げると霧に包み込まれたヘルヒュドラはプレイヤーのいる位置とは違う検討違いの方向にブレスを出している。どうやら幻覚でヘルヒュドラは検討違いの方向にプレイヤーがいると錯覚をしている様だ。アルビートはヘルヒュドラが幻覚に惑わされている内に話をする。
「攻略組の皆さん。私が今持つ力を全て使い、ヘルヒュドラを追い詰めますのでソコを攻撃してください!」
「ふざけるな!腐食状態になった中で動いたら、HPが残り僅かの俺達は死ぬかもしれないんだぞ!それなのに攻撃してくださいだぁ?ふざけるんじゃねえよ!」
アルビートは自分がヘルヒュドラを追い詰めるから、追い詰めたところを攻撃する様に言うが、ソロプレイヤーの一人がその作戦に否定的な意見を出す。そんな中、オボロは腐食状態のダメージを受ける事を承知でソロプレイヤーの前に移動し、そのソロプレイヤーを睨み付ける。
「ヒィッ!?な、なんだよお前・・・」
「黙っていろよ・・・大した覚悟も無くて、仮面を外して素顔を見せる訳が無いだろうが!!仮面っていうのはな、素顔を隠して本心を隠す為の物なんだよ。だけど、その仮面を外したという事は本心を隠さずに信じてほしいという覚悟の表れだろうが!それすら解らない奴が勝手にでしゃばっていちゃもんを吐けるんじゃねえよ!!」
オボロのこの言葉に心が動かされたのか、この場にいる全員がアルビートの事を信じる決意をした。
「そうだな。確かにオボロの言う通りだ!このリンド様が信じてやるからには絶対に上手くヘルヒュドラを追い詰めろよ!」
「やれやれ、僕は暑苦しいのは嫌いだし、センスの無い仮面を外して実は美女でしたというオチは定番過ぎてつまらないんだけど。でも、たまにはこういうノリも悪く無いね。珍しくからかおうとは思えないしね。」
「素直では無いね、アルス。俺も信じてみるよ、どうか今回の戦いで散った聖竜連合のメンバーの仇を討つ為にも、ヘルヒュドラを追い詰めてくれ!」
「ディアベルはんの言う通りや!アルビートはん、ワイはあんさんを信じます。それで戦いが終わった後でかまへんから・・・ふ、フレンド登録を・・・」
「オッシャァァァ!!暗黒剣のスキルがもう一度見れるチャンスだぜ!アルビート、暗黒剣で追い詰めてくれるんだよな!よし、これはアルビートを信じる事にするぜ!暗黒剣をもう一度見て、どうやって習得するのか見極めるぜ!」
リンドやアルスにディアベルがアルビートを信じると言い、キバオウもアルビートを信じると言った後に後半何かを伝えたかった様だが、それはキリトの声に書き消され聞き取れなかった。キバオウが『この空気が読めないビーターめ・・・』と文句を呟いていたが、確かに空気を読めてはいないな・・・そんなに暗黒剣を習得したいのか、キリト・・・アルビートは信じてくれた攻略組の皆に顔を見せると話し出す。
「ありがとう皆さん。それでは最後に告げたいと思います。私がヘルヒュドラを追い詰めた時には既に私は皆さんの前から消えているでしょう。何故なら、私がヘルヒュドラを追い詰める為に今から使う暗黒剣のスキルは暗黒剣のソードスキルの中でも最上位であり、同時に全ソードスキルの中でも絶大な威力を誇る代わりに自身の身を削る事になる諸刃の剣ですから・・・」
「何だと!?そんなソードスキルなんて絶対に使わせる訳にはいかない!今すぐに考えなおせ!リゾーナ!!」
俺はアルビート・・・いや彼女の現実での本名であるリゾーナの名前を出して彼女に静止をかけるが彼女の決心は変わらなかった。
「ダメです!最早、ヘルヒュドラの首は減らそうにも減らせない数にまで来てしまっています。あなたは本当にあの数の首を全て落として焼く事ができると言うのですか!あれでは首を落とした部分を焼こうとした瞬間に他の首からの攻撃であなたが倒されるのが先です!例え、あなたが最初からヘルヒュドラの首を減らす手段のヒントとなる話を出していたとしても、おそらくあのボスの首を全て落として首を無くす事が出来ても、クォーターポイントのボスがそんな簡単に倒せる筈が無いです。首が無くなったと思った瞬間に、全ての首が復活という可能性も考えられるんですよ。その場合、全ての首を無くす事が出来たと思い油断を見せたところで首が全て復活して沢山のプレイヤーの命を奪う事になってしまったかもしれない。つまり私が言いたいのはどんな選択を行ったとしても確実に犠牲の出ない戦いは誰にでも出来ないという事です!ボンゴレ十代目、あなたが犠牲を出さない為に戦っていたのは解っています。でも戦いにはいつか犠牲は必ず出るものなんです!だから、私の事を覚えていてくださいね。勿論、この場にいる他のプレイヤーの皆さんも・・・」
「リゾーナ・・・」
「アルビートはん・・・ワイにはあんさんには死んで欲しくないんや。でも、あんさんの覚悟が本物だからこそワイは止めん。ワイは絶対にあんさんの事を忘れへん。あんさんの様なプレイヤーがいたという事を他のプレイヤーに告げるのがワイらにできる事や。さようなら、アルビートはん・・・」
リゾーナの覚悟とリゾーナの確実に犠牲の出ない戦いは誰にも出来ないという言葉を聞いた時、俺はそんな事は無いと思いつつも何も言う事が出来ない。キバオウはリゾーナの覚悟を聞いて、涙を流しているが彼女の覚悟を知ったからこそ止める事は出来ないと言う。俺は彼女を犠牲にしないでこの戦いを終える方法を考えるがヒースクリフを除くが攻略組全員が猛毒と腐食という厄介な2つの状態異常になっているので、迂闊に行動が出来ないのは事実で無理に戦えば確実に大きな犠牲者が出る。だからと言って、リゾーナを彼女が犠牲者を減らす為に自ら犠牲になるのは納得出来ない。でも、もうどうする事も出来ない・・・確実にこれ以上、犠牲者を出さない様にするには彼女が言う作戦の方が最も効率的な考えだったからだ。でも本当に無いのか、彼女を犠牲にせずに勝つ方法が・・・本当に無いのか!俺が必死にリゾーナも他のプレイヤーにも犠牲を出さない方法を見付けようと何度も頭の中で考えても、犠牲が出ない方法が無い・・・俺が考えていた間にも、リゾーナの匣であるハクの幻覚はヘルヒュドラに見破られ、ヘルヒュドラが俺達に攻撃を仕掛けようとした。そのタイミングでリゾーナは剣をヘルヒュドラに向けて言葉を発する。
「では、使います。暗黒剣の最上位ソードスキル[ファイナル・レター]!」
リゾーナは全ソードスキルの中で絶大な威力を誇るが故に自身の身を削る諸刃の剣である暗黒剣の最上位ソードスキル[ファイナル・レター]をヘルヒュドラに繰り出す。ファイナルとは最後、レターとは返事。このソードスキル[ファイナル・レター]の意味は最後の返事という意味だ。その名前になった理由はリゾーナの言う通りに絶大な威力を誇る代わりに自身の身を削る諸刃の剣で有るが故だろう。このソードスキルを発動すると、リゾーナの剣に闇が集い、ソコに電撃や炎に霊魂、様々な強大なエネルギーが集まり巨大な刃となる。その巨大な刃となった剣でヘルヒュドラの腹部を横に一閃、更に縦に切り下げ、ソコから切り上げに移行し巨体を誇るヘルヒュドラを空中に巻き上げ、落下するタイミングで最後の一撃として巨体な刃をヘルヒュドラに渾身の一撃で一閃する。その一撃の時にはまるで夜の闇に写った満月を半分に切り裂いたかの様にも見えた。このソードスキルの絶大な威力によってヘルヒュドラのHPは一気に5本目の7割まで減少した。だが、その絶大な威力の代償としてアルビート、つまりリゾーナのHPは尽きた。リゾーナの匣である幻狼のハクは彼女に寄ると、悲しそうな瞳で彼女を見つめる。
「クゥーン・・・」
「ハク。寂しがらないで、あなたには私より相応しいご主人が見つかったから・・・」
リゾーナは寂しそうに鳴くハクを軽く撫でた後に、指にはめていた霧のリングと幻狼の匣をキリトに投げて渡す。キリトは自分にリングと匣を渡した彼女に何故、自分に渡したのか聞く。
「待てよ、俺の属性は雲属性だぞ。だから霧属性のリングと匣を貰っても意味は・・・」
「いいえ、あなたは気付いていなかっただけ。死が近付いた今の私にはあなたの波動がよく見えた。あなたは雲属性の波動を強く持ちながらも霧属性の波動も雲の波動と負けない位に強く持つ珍しい体質の持ち主。あなたにそのリングと匣、ハクを託します。だから、あなたがこれからも彼を支えてあげて。それが私の最後の願い・・・」
キリトはリゾーナの話を聞くと、霧のリングをはめると炎を出すと驚く。本当にキリトは雲と霧の2つの属性を持っていた。リゾーナはキリトに俺の事を支えてほしいと告げた後にポリゴン状の粒子になり、最後に俺に告げた。
「さようならボンゴレ十代目・・・私が本当に心のソコから好きになれた人・・・あなたは絶対に生きてください。」
さようなら、リゾーナ。俺はお前に償いたくても償いきれない・・・でも、俺はお前の犠牲を無駄にしない為にも戦い続けなければならない!
「ツナ君、お前は彼女の事をアルビートでは無くて、リゾーナって呼んでいたからには彼女とはリアルで知り合いだったのか・・・」
「いやディアベル、俺はリアルでは彼女と会った事は一度も無い。でも、彼女は俺に本当の名前を教えてくれた。それがどんな思いで告げたモノだったのかは今では、もう確かめる手段は無い。だけど、今は彼女の為にもこの戦いを終わらせるんだ!」
「そうや!アルビートはんはワイらを助ける為に命を掛けてくれた。だから、ワイらは彼女の分まで戦ってこのゲームをクリアして生き抜くんや!」
「そうだ!俺はアルビートから持っていたリングと匣と思いを託された!だから絶対にこの戦いに勝つ!行くぞ、ハク!前のお前のご主人とは違って扱いが荒くなるかもしれないけど、それでもよければ力を貸してくれ!」
「バウ!」
この場にいる誰もが、アルビートの命を掛けて開いてくれた希望を無駄にしない為にも、猛毒と腐食の2つの状態異常をモノともせずにヘルヒュドラに一斉に攻撃する!この場にいる全員の攻撃は今までには無い気迫が出ていた。ヘルヒュドラは反撃しようとしても、スタン効果持ちのスキルで行動を抑制され、まともに身動きができない。キリトがアルビートから託された匣である幻狼のハクと供に怒涛の攻撃を仕掛けると、ヘルヒュドラのHPは残り僅かとなる!
「ツナ、今だ!お前がアルビート、いやリゾーナさんの分まで思いを込めた攻撃でこの戦いを終わらせるんだ!」
「キリト・・・わかった。これで終わりだ!X BURNER!!」
俺はリゾーナの分の思いを込めたX BURNERを放ち、ヘルヒュドラを消滅させた。
ヘルヒュドラに何とか勝利できたモノの攻略組のメンバーの表情は浮かないモノだった。俺はリゾーナを含めた11人のプレイヤーを死なせたの原因が俺だと思い、俺は攻略組のメンバーにこう発言した。
「皆、今回こんなに犠牲が多く出たのは俺があの話をもっと早く話しておくべきだったのに・・・俺が話さなかったから、11人もの死者を出してしまった。もし、俺を許せないという奴がいたら遠慮なく文句を言ってくれ。俺はそれを全て聞き、反論なんてしないから・・・」
俺のこの発言を聞いたキバオウは俺に近づくと、俺が考えていた事とは予想外の事を口にする。
「ツナはん!あんさんはアルビートはんの言った事を忘れたんかいな!確実に犠牲の出ない戦いなんて誰もが出来ないと、アルビートはんは確かに言った筈や!それにあんさんがあの話を早く話していたらというifの話をしたところでアルビートはんに今回の戦いで死んだ奴らは戻ってこへん!だからワイらが今やるべき事は、あの時にあの選択をしていたらとかの反省では無いんや!犠牲になったプレイヤー達の分も含めてワイらが頑張って、このふざけたゲームを終わらせるんや!その事をあんさんがワイに教えてくれた筈や!あの第1層の頃のβテスターを悪者扱いにしていたワイにな!あんさんのお陰でワイは自分を変える事ができたんや!ツナはんに会えたお陰で間違った道を進まずに済んだんや。だからツナはん。犠牲が出たのは自分のせいだと思うのはソコまでにしとくんや!前を向いてワイらに出来る事をやって、このゲームをクリアして死んだプレイヤーの分も生きる。それが今まで死んだプレイヤーにワイらが行える一番の弔いや!」
キバオウの話を聞いたプレイヤー達は浮かない表情をするのを止めると、ヒースクリフは俺に語る。
「ツナ君。キバオウ君の言う通りだよ。私達に出来るのはもしもあの時にああしていればという後悔では無く、犠牲になったプレイヤーの分まで私達が戦い抜いて生き残る事だ。そんなifの話をしてもしょうがない。ツナ君。君はギルドのリーダーとはいえ、まだ成長段階の子供だ。君は犠牲の出る戦いは嫌いなのはよく解る。でも、犠牲が出るのが嫌なのは皆同じだよ。ツナ君。君はこの犠牲になったプレイヤーの分まで生き残る事が重く感じるかもしれないが、そもそも人は簡単に死ぬ生き物なのだよ。病気や事故、自然災害。あらゆる可能性で人は簡単に死ぬ。簡単に割りきれないのは解る。でも、いつまでも悲しみにくれていては死んだ者達に対しても失礼だ。私達に出来るのは死んだ者達の意志を引き継いで生き残る事だ。それが同時に大人になるという意味でも有る。ツナ君。君とアルビート君の関係がどういうモノかは私には解らない。だが、いつまでも彼女の犠牲に悲しんでいては彼女に失礼だ。彼女は君なら、自分の死を乗り越えてこのゲームをクリアしてくれると信じたからこそ、自らを犠牲にして私達に勝利をもたらしてくれた!だからツナ君。悲しみにくれるのはソコまでにしておきたまえ!」
「わかったよ、ヒースクリフ。俺はアルビート、いやリゾーナの分まで生き残る。それが彼女の犠牲を無駄にしない為だと信じて!」
「それでこそツナ君だ。」
こうして俺は立ち直り、第25層より上の層に移動した。それにしても、ヒースクリフに聞きたい事が有ったのに聞きそびれたな。何故、ヒースクリフだけがヘルヒュドラの攻撃を受けて状態異常にならないどころか、HPがグリーンゾーンを保ったままだったのか・・・まあ、装備の効果だよな。ヒースクリフの装備には一体どれだけの状態異常対策の効果が有るんだろうな。
その夜、俺は第1層の黒鉄宮に行き、前日に牢獄に送ったジャッカルにPoHが率いるギルド、笑う棺桶の情報を聞き出そうと思ったのだがジャッカルの姿が無かった。俺はジャッカルが脱走したのかと思い、牢獄にいる看守NPCに聞いたところによるとジャッカルが何者かに殺されたと聞き、黒鉄宮でジャッカルの名前を見つけると前日の夜に刺殺されたと表示されていた。まさかPoHの仲間が口封じの為に殺したというのか、自分の仲間を・・・やっぱり、PoHを止める事を考えないとな。これ以上、お前とお前の仲間の手で人を殺させはしないぞPoH!
俺が黒鉄宮の牢獄から出る帰りにクライン率いる風林火山とゴクデラ君の釈放の手続きを行った。風林火山のメンバーとゴクデラ君が釈放されるのは1週間後との事だ。さてと、風林火山とゴクデラ君の釈放の手続きはしたし第26層の街に向かおう。攻略の鬼が何事も無かったかの様に復活を果たしたからな・・・おっと、そう言えば今回のLAボーナスを確認するのを忘れていたな。どうやら片手剣の様だな。武器名は『天覇剣エクセリオン』か。見た目は天使の翼に橙色の装飾がされたかの様な外見だ。クォーターポイントのボスから手に入る剣だ。ステータスは他の剣とは比べ物にはならない筈だ。『天覇剣エクセリオン』のステータスは見て驚いた。何故なら、『天覇剣エクセリオン』は名前とは裏腹に攻撃力が10という初期装備より下の低ステータスだったからだ。何なんだ、この期待外れの武器は・・・一体、どうやって使い物にしろというんだ、こんな低ステータスの剣を・・・
今回の話では多大な犠牲が出てしまいました。その中にはアルビートも・・・だけど、ツナにはこの友の死を乗り越えて貰いたいと思います。それが大人になるという事だからです!
天覇剣エクセリオン・・・これは一見すると使えない武器と思いますが、実はある隠れた性能が有ります。その性能は使って初めて解るものです。
次回は月夜の黒猫団が登場します。尚、その話ではツナでもキリトでも無い人物に主人公を任せたいと思います。誰が主人公になるのかは次回のお楽しみに!