俺とフィリアがホロウ・エリアの攻略を始めて三日が経過し、俺とフィリアのレベルは樹海エリアのエリアボス攻略の推奨レベルを超え、俺は68、フィリアは67と無事にレベルを上げられた。この三日間の間に俺とフィリアは樹海エリアを渡り歩き、アインクラッドには無かったアイテムを見付けたりもした。まあ、アイテムのほとんどが実質、役立つかと言えば微妙な物がほとんどだ。それと、三日も樹海エリアを渡り歩いたのに、未だに樹海エリアのエリアボスが見付からずに途方に暮れていた。
「フィリア。エリアボスがいそうな場所に心当たりは無い?」
「無いわよ・・・有ったら、とっくに向かえるでしょ。」
「だよね・・・」
俺とフィリアは樹海エリアの中を進み、エリアボスがいそうな場所を探していると空間が広い場所に出る。ソコには遺跡の様な建物が有った。
「やっと、エリアボスが潜んでいそうな場所を発見できた・・・」
「そうね。遺跡の様な建物だし、中にエリアボスがいるかも。それにお宝も有りそうね。行こうか、ツナ!」
俺とフィリアは遺跡の中に入ると、中は以外と広く進路の構造も複雑だ。これはエリアボスがいる場所に続いている筈だ。遺跡の中を進み、遺跡の中のモンスターのレベルを必ず確認してから、倒せるモンスターなら倒し、高レベルのモンスターとは戦わない様に気を付けながら、遺跡の中を進んでいくと、少し遠くから戦闘している音が聞こえたので俺とフィリアは一旦、動きを止めた。
「これって、戦闘音よね・・・近くで誰か戦っているのかな?」
「そうかも・・・ちょっと、俺が確認しに行くから、フィリアはここで待っていてくれ!」
「うん、わかった。気をつけてよ・・・」
俺はフィリアに俺が様子を確認しに行くと告げた後に、フィリアにその場で待機してもらい、俺は戦闘音が聞こえた方向に急いで向かうと、一人の男が複数のモンスターに囲まれていた。俺は助けに入ろうかと思ったが、遠目で見た男の姿が俺の知っている者の顔だったので、俺は物陰に隠れながら、その様子を確認する事にした。何故なら、あの男は未来で戦った強敵であり、現代では行方不明となっていた男、幻騎士だったからだ。幻騎士は囲まれているのにも関わらず、平然とした表情をしており、それは未来で見た幻騎士とは違う雰囲気を感じた。幻騎士はモンスターを左手に細剣、右手に曲刀、左足に刀、右足に片手剣の四刀流で次々と切り裂いていく。
「俺の前に立った事を悔いるがいい。」
幻騎士を囲んでいたモンスターが一瞬の内に全て幻騎士に返り討ちにされ、粒子となり散った。幻騎士はモンスターを倒した後、剣を鞘に仕舞いその場で立ち止まった。俺はこの幻騎士にはどうも違和感を感じる。確かに幻騎士の実力なら、ホロウ・エリアのモンスターを相手にしても余程の事がない限りは幻騎士が窮地に陥る事は無いだろう。だが、この幻騎士は何か違和感を感じる。何故なら、姿が未来でのミルフィオーレファミリーとしての服装であり、それに四刀流を普通に扱えているのがおかしい。現実と同じ要領で四刀流を扱おうとすれば、確実にシステムに阻まれるからだ。キリトは二刀流を習得しているからこそ、二本の剣を持つ事ができるが、幻騎士の四刀流の場合はそういう訳にはいかない。幻騎士の戦闘を見たが、二刀流のスキルを持っている素振りは無かった。それに二刀流を習得していても、四刀流を扱う事はさすがに出来ない筈だ。ヤマモトの四刀流は匣である雨犬の次郎が渡す小刀三本が利用されている為、ヤマモトの小刀三本はオプション扱いの為にヤマモトは例外なので、幻騎士の様に本格的な剣を扱う場合は不可能な筈・・・本当にあの幻騎士は、俺が知っている幻騎士なのか・・・怪しすぎるが、このまま見ないふりをする訳にはいかないので、俺は幻騎士に近付こうとしたが・・・
「今宵はここまでにしよう。少し馴染んできたからな。」
そう言った後に幻騎士は何処かに転移し、姿を消した。やっぱり、あの幻騎士は何かがおかしい。あれは本物の幻騎士なのか・・・それを確認するにも、幻騎士が姿を消した以上は確認しようが無い。俺はひとまず、フィリアに合流する事にして、その場を後にした。
ツナが離れた後、幻騎士は再び姿を消した場所に現れる。だが、その姿はノイズに乱されたかの様に少し途切れたりする部分も有る。
「ギ・・ガガ・・・見付けタ、俺ガ完全なル身体ヲ手にスル為にハ、本物のぷレいヤーの怒り、憎シみといッタ負ヲ取リ込まネばナらぬ!」
幻騎士の姿をした何かは、ツナを見ると不気味な笑みを浮かべながら姿を消したのだった。
「ツナ、どうだった。誰かいたの?」
「いや、何も無かったよ。」
「そう。なら、良かったけど・・・」
フィリアは俺が戻って来ると、誰かいたのか聞いてきたが、あの幻騎士は何か違和感を感じるので、その違和感の正体が解るまでは幻騎士がいた事は話さない方がいいと判断し、俺は何も無かったと答えた。その後、俺とフィリアは遺跡の中を進んでいくと、明らかに他の扉とは違う大きな扉を発見した。おそらく、あの扉の先にエリアボスがいると思われる。俺は死炎結晶を使い、ハイパー化する。
「フィリア。おそらく、この先にエリアボスがいる筈だ。覚悟はいいか?」
「勿論よ。さっさと、エリアボスを倒して次のエリアに行きましょ。新しいお宝も見つかるかもしれないし。」
「宝探しもいいが、くれぐれも本来の目的は忘れるなよ、フィリア。」
「解ってるって。私達の目的はホロウ・エリアからアインクラッドに戻る事。それは忘れてないよ。でも、ホロウ・エリアには見たことの無いお宝がいっぱい手に入るから、次のエリアにはどんなお宝が有るのかなって、わくわくするんだ。」
フィリアはお宝の話をしている時は本当に無邪気な少女という感じで、オレンジプレイヤーになったのは本当に間違いとしか思えないな。フィリアがオレンジプレイヤーになった原因はホロウ・エリアを攻略していけば、解るかもしれない。その為にも、エリアボスを倒して次のエリアに進まないとならない。
「そうか。とにかく、次のエリアに進む為にも、この樹海エリアのエリアボスを倒すぞ!」
俺とフィリアは扉を押して、扉の先に進んでいく。
扉の先に進んでいくと、広い空間が有る場所に出て、遺跡の天井に大きな穴が空いており、ソコから光が差し込んでくる。俺とフィリアは周りを見渡す。
「エリアボスの姿は見えないな。どこかに潜んでいるのか・・・」
「あれ?あそこだけ、地面から水が少し湧いているけど・・・さすがに、あそこからは出たりしないよね。」
「ああ。いくら何でも水が少ないからな、さすがにソコには潜んでは・・・フィリア、上だ!?」
「上?うわっ!!?」
「グルルルガァ!!」
俺は天井に空いた穴から巨大な何かが来るのを感じ、フィリアに注意する様に呼び掛け、俺とフィリアは頭上から奇襲を仕掛けてきた何かからの攻撃を避けた後に、俺とフィリアは奇襲を仕掛けてきた何かに視線を送る。それは漆黒の体毛を持ち、尻尾が鋭利な刃の様になっている上に巨大な刃の様な爪を持った黒豹だった。その黒豹はアインクラッドのボスにも劣らない巨体を誇るので、この樹海エリアのエリアボスである事に間違いない。この黒豹の名前はシャドウ・デスパンサー。見るからにスピードが高そうだ。それに爪と尻尾までもが鋭利な刃みたいに研ぎ澄まされているので、攻撃力も高い筈だ。俺とフィリアの二人だけでこのデスパンサーを倒せるのか・・・いや、倒すしかない。倒せないとアインクラッドに戻る事はできない。今までのボス攻略とは違う厳しさだが、何とか勝たないと次のエリアには行けない。デスパンサーのHPゲージは3本か。
「フィリア。二人で連携して、絶対にコイツを倒そう!」
「うん。ツナ、頼りにしてるわよ。それじゃ、いくわよ!」
まず俺は、デスパンサーの注意を俺に向かせる為に天覇剣エクセリオンを構えて、デスパンサーに牽制として片手剣のソードスキル[スラント]を繰り出すが、デスパンサーの体毛は非常に固く[スラント]が弾かれてしまった。
「何!?ヤツの体毛はまるで、鋼鉄の鎧だ・・・」
「そんな・・・スピードが高くて攻撃力も高そうなのに、防御力までもが高いなんて・・・」
「ああ、本当に厄介な相手だ・・・だが、どんな相手にでも弱点は必ず有る筈だ。片っ端から攻撃して攻撃が通る部分を見つけるんだ!」
「了解!でも、攻撃ばっかりしないで回避も考えてよ!」
俺とフィリアはデスパンサーに攻撃が通る事を信じて、俺はデスパンサーの鼻に向け片手剣のソードスキル[バーチカル・スクエア]、フィリアはデスパンサーの手元を狙い短剣のソードスキル[アーマー・ピアース]を放つ。俺の攻撃は通るが、フィリアの攻撃は弾かれるとデスパンサーのHPは3本有る内の1本目の6分しか減ってない。コイツを倒すには体毛に覆われていない鼻か肉球を狙うしか無い。デスパンサーは攻撃が通った事で怒りだしたのか、俺に鋭利な爪を使い引っ掻き攻撃をしてくる。俺はデスパンサーの引っ掻き攻撃を紙一重で避けるが、デスパンサーは直ぐに鋭利な尻尾を使って、俺にダメージを与える。今の一撃で俺のHPは4割減ってしまった。
「ツナ、大丈夫?」
「ああ、何とか無事だ。だが、コイツのスピードと攻撃力の高さは非常に厄介だ。それに防御力の高さも理不尽だ。何とか防御力を落とす手段はないのか・・・」
「その為に、先ほど相手の防御力を下げる短剣のソードスキルであるアーマー・ピアースで攻撃したんけど、効果は無いわね・・・」
「ソードスキルが効かないなら、ナッツ頼む!」
「ガウ!」
俺は匣からナッツを呼び出す。大空の炎の特性である調和を持つナッツの咆哮なら、デスパンサーの防御力を落とす事が可能かもしれない。ナッツはデスパンサーに目を向けると、咆哮を繰り出す。
「グルルル、ガオォーー!!」
ナッツの咆哮はデスパンサーに命中はしたが、大空の炎の調和もデスパンサーの体毛には効かず、効果が無いも同然だった。
「ギッシャー!!」
「ガ、ガウ!!?」
デスパンサーは目にも止まらない速さで動きナッツに攻撃し、ナッツは吹き飛ばされた。
「戻れ、ナッツ!」
俺はナッツを匣に戻し、ナッツに気を取られて隙を見せたデスパンサーの鼻を狙って片手剣のソードスキル「バーチカル・スクエア」を再度繰り出す。デスパンサーはダメージを受けた後に俺を噛み付こうとするが、俺はデスパンサーの噛み付きをエクセリオンを使って防ぎ、フィリアに攻撃の合図を送る。
「フィリア、頼む!」
「わかった。」
フィリアはデスパンサーが俺に攻撃を集中している為、肉球が丸見えになっているところを短剣のソードスキル[インフィニット]を繰り出し、デスパンサーにクリティカルヒットさせて大ダメージを与える。デスパンサーのHPを1本目の4割まで減らす事ができたが、さすがにデスパンサーの攻撃を俺が受け止めて、その間にフィリアが攻撃をするという戦法は一番有効な方法だろうが、この戦い方は効率が悪く、俺のHPや体力を消耗するので俺がピンチになると一気に劣勢になるので、何とかしてデスパンサーの防御力を落とす方法を見付けないといけないな。デスパンサーはフィリアの攻撃を受けた事が理由かフィリアに爪で攻撃し、フィリアは水が湧く地点に吹っ飛ばされ、デスパンサーは直ぐにフィリアに追撃をしようとしてフィリアに向かう。今のフィリアのHPはイエローゾーンになっているので、次にデスパンサーの攻撃を受けると危ない・・・俺はフィリアを助ける為にXグローブの推進力を使いフィリアを守る様にデスパンサーの前に立つ。
「フィリアは死なせない!」
「ギッシャー!!」
俺はデスパンサーにエクセリオンで鼻に重い一撃の斬撃を与え、デスパンサーにダメージを与えるが、デスパンサーに直ぐ様反撃され、俺も水が湧く地点に叩き付けられた。デスパンサーは俺とフィリアに攻撃しようとして近づいてきたが、デスパンサーは何故か攻撃せずに後退した。
「どういう事だ、何故ヤツは俺達に攻撃してこないんだ・・・」
「解らないけど、攻撃してこないなら今が回復のチャンスじゃない。」
「そうだな。」
俺とフィリアは何故デスパンサーが攻撃してこないか解らないが、攻撃してこない内に回復を済ませてHPを完全に回復させた。デスパンサーは何でいきなり攻撃を止めたんだ・・・ヤツの体毛は鋼鉄の鎧と言っても過言ではないモノなのにな。そんな恐れるモノが何も無さそうなデスパンサーが攻撃を躊躇った理由は一体・・・そうか。今、俺とフィリアがいる地点がデスパンサーにとっては厄介なモノなのか。
「フィリア。ヤツの弱点がわかったぞ!」
「えっ、本当に!?」
「ああ。デスパンサーが何故、俺とフィリアに攻撃しようとしていたのに躊躇った理由は、俺とフィリアが今立つ地点が答えだ。」
「今立つ地点・・・成る程、そういう事ね。アイツは水が苦手なんだ!」
「そうだ。アイツは水が苦手だ。だから俺とフィリアが水が湧く地点にいる間はデスパンサーも迂闊に攻撃してこない。デスパンサーが水を苦手にする理由はおそらく・・・」
俺はデスパンサーから抜けた体毛の一部を手に取り、フィリアに見せる。
「それって、アイツの毛?どうしてわざわざそんな物を拾うの?」
「この毛はこの様に俺が引っ張っても、剣で切ろうとしても、炎で焼こうとしても全く効かない。だからヤツの体毛はどんな攻撃をも受け付けない完璧な鎧に思えた。だが、こうして水に浸して引っ張ってみると・・・」
「簡単に切れた・・・そうか。アイツが水を苦手にする理由は身体が濡れて防御力が下がるからなのね!」
「そういう事だ。デスパンサーの防御力を落とす方法はこれで解った。デスパンサーに水を喰らわせて、身体を濡らすんだ。」
「だけど、アイツが水に浸かる筈が無いし・・・それに私達で水を当てるにも少量が限界よ。しかも、ここから湧く水って少量だし・・・」
「確かに湧く水は少量だ。なら、その湧く水の量を増やせばいいだけだ!」
俺はデスパンサーを水で濡らす為に思い付いた方法を実行する。その方法は今立つこの地点に俺が思いきり力を込めた拳の一撃で地面を割り、水が湧く量を増やすという方法だ。俺は地面をXグローブに炎を灯して地面を殴り付けると、地面が割れて大量の水が湧き出す。
「ツナ!?いくら何でも水の量が多すぎ・・・って、わぁ!!?」
「フィリア!?今、助けるぞ!」
俺は地面から大量に湧いた水に飲み込まれたフィリアを助けると、フィリアを背に乗せて直ぐに空中に移動する。しばらくすると、水が湧くのが収まったので俺とフィリアは地面に立つ。
「酷い目に合ったわ・・・」
「済まない、俺が思った以上の量の水が湧くとは思っていなかった・・・」
「まあ、仕方ないわね。とにかく、今のでアイツはずぶ濡れみたいだし、今ならまともに戦えるんじゃない。」
フィリアが言う様にデスパンサーの身体はずぶ濡れで、体毛が水を吸収し防御力が大幅に下がっている。これでデスパンサーの防御力は落ちた。だが、デスパンサーの様子がおかしい。身体は震えて、目が充血している。
「これは怒っているのか?」
「どう見たって怒っているわね・・・」
「ガルグアァーーー!!」
デスパンサーは自分が嫌う水を掛けられた事が許せないのか、怒っている。デスパンサーは俺に攻撃しようとしてくるが、先ほどまで違い、スピードが落ちている。どうやら、体毛が水を吸収した事で防御力だけではなく、スピードまでもが落ちた様だ。俺はデスパンサーの攻撃を避けると、反撃として片手剣のソードスキル[ホリゾンタル・スクエア]を繰り出す。デスパンサーの体毛が濡れているお陰で攻撃が通り、通常通りのダメージをデスパンサーに与える。エクセリオンの攻撃力は俺のレベルが上がる程、強くなるのでデスパンサーに大ダメージを与え、デスパンサーのHPは1本目の7割まで減少する。デスパンサーは俺に反撃しようとして尻尾で攻撃してくるが、フィリアは尻尾を狙って短剣のソードスキル[アクセル・レイド]を繰り出す。この技は9HITとHIT数が多いので大ダメージを与える事が可能な上にデスパンサーの尻尾を狙って発動した事でデスパンサーの尻尾を切り落とす事に成功し、デスパンサーに部位破壊によるダメージも与える事に成功し、デスパンサーのHPを2本目の1割まで減らす事ができた。
「フィリア、このまま押していくぞ!」
「うん。コイツは最初こそスピードが早くて防御力も高くて厄介だったけど、水で身体が濡れた今なら倒せる。コイツの攻撃は思ったより単調だしね。きちんと対処すれば勝てない相手じゃないね!」
俺とフィリアは同時に攻撃を仕掛ける。俺は片手剣の最上位ソードスキル[ファントム・レイブ]をフィリアは短剣の最上位ソードスキル[エターナル・サイクロン]を発動して、デスパンサーに命中させる。デスパンサーのHPは2本目の7割まで減り、デスパンサーは俺とフィリアに反撃として引っ掻き攻撃を繰り出すが、俺とフィリアは回避し、デスパンサーは怒り任せに俺とフィリアに攻撃し続けるが、デスパンサーは冷静さを取り戻したのか後退し、反撃の体勢を取る。
「さすがにダメージを受け続ければ、アイツも落ち着きを取り戻すか・・・少しは攻撃を防ぐ事を考えているかもね。」
「確かにデスパンサーが落ち着きを取り戻したのは少し厄介だが、次に出す俺の技でこの戦いを終わらせよう。」
「ツナ、本当にそんな事ができるの?もしかして、アインクラッドにいた時に噂で聞いたX BURNERを使う気なの?」
「いや、X BURNERは確かに強力だがデスパンサーの様に素早い動きの相手に出すのは向いてない。X BURNERは最大威力まで溜めるのに時間が掛かるからな。だから、X BURNERではない俺のとっておきを使うつもりだ。」
「X BURNERの他にも強力な技が有るんだ・・・」
「ああ。今こそ、見せよう。俺のもう一つのとっておき、形態変化(カンビオ・フォルマ)を!」
「形態変化?」
「もう一度出てこい、ナッツ!」
「ガオ!」
俺はナッツを再び呼び出すと、形態変化を発動させる。
「いくぞ、ナッツ。形態変化!攻撃モード(モード・アッタコ)!I世のガントレット(ミテーナ・ディ・ボンゴレ・プリーモ)!」
「ガオオオォォ!!」
「ナッツが姿を変えて、ツナの右手にナッツが変形してガントレットになったの!?」
「これが形態変化だ。ナッツには他の匣と違って姿形を変化させて武器になる能力が有るんだ。このI世のガントレットこそがナッツの変化した姿だ。このガントレットから繰り出す拳の威力は最大出力のX BURNERと同等の威力を持つ。」
「凄い、ナッツって可愛いだけの猫だと思っていたんだけど、実は凄いレア中のレアなお宝だったんだね!」
(ガ、ガウ・・・)
フィリアはナッツの本当の力を見ると、ナッツを見る目が変わる。まるでレアアイテムの中でもレアなお宝を見つけたかの様にな・・・それに感付いたナッツはガントレットの姿だというのにフィリアの視線に怯えた様だ。後、ナッツは猫っぽいがライオンだ。ソコは間違えないでほしいぞ、フィリア。
「フィリア。もし、デスパンサーのHPが残った場合はお前が直ぐにトドメを刺すんだ!」
「了解!ツナ、任せたわよ。」
俺はデスパンサーに突っ込んでいくと、デスパンサーは俺に飛び掛かってくる。俺はデスパンサーに向かってガントレットから強大な炎の塊を放つ拳であるビッグバン・アクセルを繰り出し、デスパンサーに命中させるとデスパンサーはビッグバン・アクセルの破壊力を受けてHPがどんどん減っていき、3本目の9割まで減る。デスパンサーは大ダメージを受けながらも耐え抜き俺に反撃しようとするが、フィリアの追撃で短剣のソードスキル[シャドウ・ステッチ]を喰らい、HPが0となり粒子と化し散った。これで樹海エリアのエリアボスは無事に撃破できた。
「やった!これで次のエリアに進めるね!」
「ああ、これはフィリアもいたからこその勝利だ!」
「そんな事無いよ。あんな強力な切り札を持っていたんだから、私がいなくてもツナだけで勝てたと思うけど・・・」
「いや、俺だけで戦っていたら、きっと俺はデスパンサーが水に弱い事に気付かずに負けていた。フィリアがいたからこそ、デスパンサーの弱点を見付けて倒せたんだ。だから、これは俺とフィリアの二人での勝利だ!」
「そう。なら、素直に喜んでおくね。でも、アインクラッドと違ってエリアボスを倒してもLAボーナスは出ないのね・・・」
エリアボスを倒してもLAボーナスは手に入らないのか・・・それでもエリアボスを撃破したので、次のエリアに進む事ができる。俺はハイパー化を解除し、フィリアと供にこの場から去ろうと思ったのだが、フィリアが何か見付けた様で立ち止まる。
「どうしたのフィリア?」
「ツナ、あそこ見て。」
俺はフィリアが指差す方向を見ると、エリアボスを撃破した事で新たな道ができており、その先に何かが見えたので近付く。俺とフィリアが見たモノは温泉だ。
「温泉か。ゲームの温泉に効能が有るかどうかは定かではないけど、エリアボスを撃破した事だし、今はゆっくりと身体を休める事も大事だよね。」
「そうね。それじゃ、私が先に入るけど・・・くれぐれも覗かない様にね!覗いたら、解っているわよね?」
「もちろんです・・・」
「そう。なら、よろしい。ツナ、モンスターが来ない様に見張っておいてね。」
フィリアが先に温泉に入ったので、俺はフィリアが入っている間はモンスターが来ない様に見張る事となった。まあ、さすがにボスがいた場所にモンスターが入ってくる事は無い筈だし、見張りをするのも暇なので俺はナッツを呼び出す。
「ガオ!」
「ナッツ、それじゃボールを投げるから拾って持ってこいよ。」
「ガウ♪」
俺がボールを投げるとナッツはボールを追い掛けて口に加えると俺に渡す。
「ガル。」
「よし、もう一度行ってこい。」
「ガオ♪」
俺はもう一度ボールを投げると、今度は少し遠くにまでボールが飛んだらしく、ボールを追い掛けたナッツがなかなか戻ってこない。それで心配になった俺はナッツを探すが、ナッツは見付からない。
「はあっ。ナッツのヤツ、どこに行ったんだ・・・」
俺はナッツが見付からないので、ナッツが無事なのか不安になってきたのだが、よく耳を済ますとナッツの声が聞こえる。
「ガウ♪ガオ♪」
「ナッツのヤツ、何をして喜んでいるんだ?」
俺はナッツの声が聞こえた方向に進んでいくと、ナッツは温泉に浸かりながらフィリアと遊んでいた。
「はい、ナッツ。ボールだよ。」
「ガル♪」
「よしよし可愛いわね、ナッツ!」
「グルル♪」
ナッツはフィリアが軽く投げたボールを泳ぎながら口に加えてフィリアの下に持っていく。何だ、フィリアと遊んでいただけか。ナッツは楽しそうだし、フィリアは俺の顔を見ると表情が曇ると言うよりも目に光が入っていない・・・ヤ・バ・イ!!?コ・ロ・サ・レ・ル!!?
「ツナ・・・覗き見したら、どうなるか解っているって聞いた筈よね?」
「ハハッ・・・俺は何も見ていません・・・」
「そう・・・それとお仕置きのリクエストは有ったら聞くけど・・・」
「特に有りません・・・それじゃ、失礼・・・行こう、ナッツ・・・」
俺はナッツを匣に戻した後、直ぐにこの場を走って脱け出そうとしたが・・・
「どこに行く気?安心して・・・殺しはしないから。ただし、半分死んだ感じにはなるかもね・・・」
「ギャアアァァッ!!?」
俺はフィリアに捕まり、様々な手段でお仕置きをされ、俺は意識を失うのだった。
数時間後、俺は温泉に浸かり、ゲームの中だってのにヒリヒリした感触が残るので、その感触が消えてくれる事を祈って温泉に浸かっている。俺は左頬にはフィリアに付けられた手の痕と身体には様々なプロレス技でできた痣らしきものも有る。俺は途中から記憶が無いので他にも様々なお仕置きをされたのだと思う。とりあえず、これからは二度と温泉の近くでナッツを呼び出すのは止めるとしよう。
「ツナ。温泉の湯加減はどう?」
「ちょうどいい感じかな。」
「そう。それじゃ、何か有ったら呼んでよね。」
フィリアは何とか機嫌を直してくれたらしく、俺が温泉に浸かっている間はフィリアが見張ってくれている。と言っても、モンスターが来ないのは確実なので俺は安心して、少し身体を解すかの様に体操をする事にしたのだが、体操をしている間はどうも『ヒャッ!?ヒウッ・・・』と謎の生き物の声が聞こえたので体操するのを止めて、温泉に浸かるとフィリアにモンスターが近くに来ているのか聞いたのだが・・・
「モ、モンスターなんて・・・いないよ、うん・・・」
と慌てふためいた声で話すので俺は謎の声の主がフィリアだと確信した。まさか逆に覗かれるとは思いもしなかったが、これはこれで先ほどの事も人の事が言えないよな・・・いや、男性を覗くのと女性を覗くのとでは色々と話が違うか。覗かれる立場を味わった俺だが、別に羞恥心を感じないのでどう反応すればいいのかが解らないでいた・・・
しばらくして、俺が温泉を出た後、俺とフィリアは一旦ホロウ・エリアの管理エリアに移動する。管理エリアに着いた後、俺は管理エリアの端末を起動させた。
『高位プレイヤー確認。ご用件は?』
「俺とフィリアのHPと武器の耐久値を回復してほしい。」
『了解。それではリフレッシュ機能を使い、HPと武器の耐久値を回復します。』
俺とフィリアのHPと武器の耐久値が回復した事を確認すると、俺は次に進むエリアはどこに有るかを尋ねる。
「次に進むエリアはどこに有るんだ?」
『次のエリアは浮遊島エリアです。浮遊島エリアに進む道をマップに表示します。』
「次のエリアは浮遊島エリアか。浮遊島エリアに続く道の近くに転移座標の石板が有るな。今すぐ、向かいたいところだが今日は休もうか。」
「そうね。今日は休んで明日、浮遊島エリアに行こうか!」
俺とフィリアは明日、樹海エリアでの次に攻略する浮遊島エリアに向かう事にして今日は休んで、眠りについた。
フィリアはツナが完全に寝付いた後、パッと目が覚めた。フィリアはツナの他にも人の気配を感じて後ろを振り返る。後ろを振り返ったフィリアが見たのは和製人形の様な眉毛で四本の剣を腰に納めている剣士の姿だった。フィリアはこの男から、異質な気配を感じて短剣を構えると男に向ける。
「あなたは一体、誰?」
「俺の名前はげ・・ゲン・・キキ・・・士。」
「何コレ・・・ノイズ?」
フィリアの目の前にいる男が名乗る名前はノイズが男の身体から出ているのが原因で聞き取れないでいた。
「俺ハ・・自由ニ・・な・・ルル・・・そノ為にモ、オ前の強力・・ガガ必・・・」
男はノイズが原因なのか、フィリアの前から突然姿を消した。
「何なの今の・・・ノイズが生んだアインクラッドで死んだプレイヤーの怨念・・・だと、したら私はやっぱり・・・」
フィリアの心にはある不安が有るのだが、その不安は今の出来事で更に膨れ上がり、フィリアは不安になりつつも再度眠りに着くのだった・・・
一方、ツナとフィリアが樹海エリアのエリアボスと戦っていた時間、アインクラッドでは第36層の攻略が開始されていたのだが・・・
「何だろ、コレ?スイッチかな。とにかく押せば解るよね。」
「待て、ユウキ。ダンジョン内のギミックには迂闊に触ると危ないぞ・・・って、何で俺に来るんだぁーー!!?」
ユウキを仲間に入れたボンゴレはユウキにダンジョン攻略のアドバイスをする為に36層のダンジョンにキリトとオボロにヤマモト、それとボンゴレのメンバーでは無いがアスナがパーティーに入ってユウキにダンジョン攻略のアドバイスをしようと思ったのだが、ユウキはダンジョンのギミックに次々と触れては罠が起動し、その罠が全て何故かオボロに向かうという状況となっていた。オボロはユウキがギミックに触れて作動させた罠で矢が飛んできたり、丸太を顔面に喰らったりと散々な目に会いダメージを受けながらも、ユウキにダンジョン攻略のアドバイスを続けた。
「いいか・・・この様にダンジョンのギミックに迂闊に触ると危ない目に会うんだ。今回は何故か罠を作動させたユウキ、お前ではなくて俺に全て来たけどな・・・」
「うん。わかったよ、迂闊にダンジョンのギミックに触れてはいけないんだね。まあ、BIFでも同じ事が言えるんだけどね!」
「ユウキ、もしかしてわざとダンジョンのギミックに触れていたのか?」
「そうだよ、キリト。もしかしたら、一つぐらいは先に進む道を開けるギミックかもしれないしね。」
「ユウキの言いたい事は解るけどよ・・・さすがにこれ以上は止めておけよ・・・」
「ヤマモト君の言う通りね。ユウキ、これ以上はギミックには触れないでよ・・・」
「うん、わかったよ。じゃあ、この紐を引っ張るのを最後にしてギミックを触れるのは終わりにするよ。」
「何故、最後にギミックに触れる必要が・・・ギャアアァ!!?」
ユウキが天井に吊るされた紐を引っ張ると、オボロがいた地点に穴が空いてオボロはそのまま穴の中に落ちていくのだった。しばらくして、オボロは無事に救出され、ダンジョンの攻略を再開するが・・・その後はユウキがギミックに触れる事は無くなったが、探知系の罠が作動し、オボロに向かうのでオボロにとっては散々な日となるのであった・・・
今回の話ではツナのもう一つの切り札である形態変化が登場しました。今回のエリアボスは弱く感じる人もいるかもしれませんが、これは弱点を把握されて防御力を失った事が原因ですので、決してボスが弱い訳ではありません。
尚、今回の話に登場した幻騎士は見ての通りに本人では有りません。現時点で教えられる事はノイズが原因で生まれた化け物という事だけです。
後、話の最後にアインクラッドの様子も出しましたが、オボロは悲惨な目に会いました。オボロは何故か新手の嫌がらせに思える程に運が悪いです。
次回はホロウ・エリアの浮遊島エリアでの話となります。