今、俺とフィリアは大空洞エリアの攻略を開始している。昨日、幻騎士を逃がしてしまったのは痛いが、もしかすると奇襲してくる可能性も否定できないので、俺とフィリアは注意しながら大空洞エリアを移動している。大空洞エリアは名前の通りで大きな洞窟が広がるエリアで奥に進む度に下る迷路の様な複雑な構造をしているので、迷ってしまうと厄介そうだ。俺とフィリアは互いに離れない様にしながら、エリアボスの捜索をしながら、襲ってくるモンスターを倒しながら進んでいく。尚、現在の俺とフィリアのレベルは俺が89、フィリアが88とおそらくはアインクラッドにいる者達より高レベルになっている。これはホロウ・エリアの高レベルのモンスターと戦っていれば、当たり前の様に俺とフィリアのレベルも上がっていくので、当然と言えるのかな。
しばらくして、大空洞エリアの下層の部分に来ると遺跡の様に整えられた壁が有る場所に来た。
「何か、まるで樹海エリアのエリアボスがいた遺跡に似た感じの場所だな・・・」
「そうね。何か少し前の事なのに懐かしい感じがするわね。とりあえず、罠が有ってもおかしくないから注意して進もうか。」
俺とフィリアは空洞の中の遺跡を慎重に進んでいく。どうも、大空洞の中だから外からの光が入らないからか、この遺跡は暗いので少しモンスターが見にくいので、本当に落ち着いて行動しないとな・・・遺跡の奥に進むと、どこからか俺とフィリアに向けられた敵意を感じる。この敵意を出しているヤツは一人しかいない。
「フィリア、感じるよね。」
「あからさまに感じるわね。強い敵意がね・・・こんな敵意剥き出しの気配を出すヤツはアイツしかいないよね・・・」
「ああ。出てこい、幻騎士!隠れていないで出てこい!」
俺とフィリアは気配を感じた方向を向くと、ソコから幻騎士が姿を見せる。幻騎士は俺とフィリアを見ると、殺気を隠さずに出すかの様に睨む。
「貴様ら・・・昨日はよくもオレを謀ってくれたな・・・」
「昨日と違ってノイズが出ていない・・・本当に何なのコイツは・・・」
「お前は本物の幻騎士か、それとも偽物かは知らないが、どちらにしろ、お前の好きにはさせないぞ、幻騎士!」
「オレは本物の幻騎士では無いと言っておこう。だが、オレは貴様らを飲み込み、本物を超えた存在となり、アインクラッドに行き、アインクラッドにいる全てのプレイヤーを飲み込んで、全てを超越した存在となるのだ!」
やはり、この幻騎士は本物では無いか。この幻騎士は何かしらの理由で幻騎士の情報を得た事で生まれた幻騎士のコピーで間違いない。それに、この幻騎士は俺とフィリアを飲み込み、そしてアインクラッドに行き、全てのプレイヤーを飲み込むと言っている。絶対にこの幻騎士はアインクラッドに行かせる訳にはいかない!本物では無い以上、加減をする必要は無い。この幻騎士はこの場で倒す!
「フィリア、この幻騎士は本物では無い以上は、倒しても本物の幻騎士が死ぬ訳では無い。だから、この幻騎士を倒してシステムに削除させるんだ。そうすれば、この幻騎士は消える筈だ。」
「ええ。この幻騎士が本物では無いコピーなら人が死ぬ訳では無いしね。手加減せずに戦えるわね!」
「オレを倒すだと?フッフフ、確かにオレは貴様らの言う様に幻騎士のコピーでは有る。だから、オレを倒しても本物の幻騎士が死ぬ事は無いが・・・このオレを本物の幻騎士より弱いと思っているなら、検討違いにも程が有るぞ!!」
俺とフィリアの二人と幻騎士との戦いが始まる。俺はハイパー化して、エクセリオンを構えると幻騎士に向かって片手剣のソードスキル[ホリゾンタル・スクエア]を繰り出すが、幻騎士は余裕の笑みを浮かべながら回避する。だが、幻騎士が回避する事は読めていたので、幻騎士の背中側に回り込んだフィリアが短剣のソードスキル[アクセル・レイド]を発動させ、幻騎士に命中する。幻騎士は今の攻撃を受けてHPが減ったと思うのだが、幻騎士の上にはHPゲージが表示されておらず、ダメージを与えられたのかどうか解らない。この幻騎士は只のアバターでは無いという事か・・・
「幻騎士。お前のHPゲージが見えないのは、一体どういう事だ?」
「オレが幻騎士のコピーだという事には気付いたにも関わらず、未だに俺がどう生まれたかまでは至っていない様だな。」
「いや、そういう訳では無い。只、確証が持てなかっただけだ。お前はノイズが原因で生まれたのか?」
「残念だが、オレは貴様らにオレが生まれた経緯を話す気は無い!だから、貴様らはここで死んでもらうぞ!」
幻騎士は右手に細剣、左手に曲刀、右足に片手剣、左足に刀を構えて四刀流の体勢となる。
「喰らうがいい!これがSAOの想像主ですら予期せぬ出来事により生まれたアインクラッド流の四刀流だ!喰らえ、アインクラッド流奥義・四剣!」
幻騎士は四刀流の技である奥義・四剣を使い、両手両足の剣からそれぞれの最上位ソードスキルを発動させる。右手の細剣で[フラッシング・ペネトレイター]、左手の曲刀で[レギオン・デストロイヤー]、右足の片手剣で[ファントム・レイブ]、そして左足の刀で[散華]を発動させる。それぞれ違う動きである最上位ソードスキルを四つ一辺に発動させるとは・・・コピーと言えど、幻騎士の強さがそのままSAOで再現されている。俺とフィリアは幻騎士の発動させた四つの最上位ソードスキルを何とか全て回避し、幻騎士がソードスキルの使用後硬直で動けなくなったところを攻撃しようとしたのだが、幻騎士はソードスキルの使用後硬直が無いかの様に俺を四本の剣で斬りかかった。俺はその衝撃で後ろに吹き飛ばされた。
「ツナ!?大丈夫?」
「ああ、平気だ。フィリア。」
吹き飛ばされた俺を心配したフィリアに俺は平気だと伝える。それにしても、今のはおかしい。幻騎士にはソードスキルの使用後硬直の時間が本当に無かった。これでは幻騎士だけがソードスキルを使いたい放題で、俺とフィリアはソードスキルを使えば使用後硬直で動けなくなる。これではまるでできレースだ。
「幻騎士。お前は何でソードスキルの使用後硬直の時間が無いんだ・・・」
「オレは本物の幻騎士と違い、それを教える程、お喋りでは無いぞ!そろそろ、お前にはご退場を願おうか!」
「何だと!?」
幻騎士は指を鳴らすと、俺が立つ場所に穴が空き、俺はその穴に落ちそうになるが、俺はXグローブの炎の推進力で落ちない様にする。だが、幻騎士は両足の二本の剣を足場にしてジャンプすると、俺の腹部を狙ってドロップキックを喰らわせ、俺はそのダメージでハイパー化が解けてしまい、穴の中に落ちてしまった・・・
「ツナ・・・そんな・・・」
フィリアはツナが穴に落ちたところを見てしまい、その穴の深さを見るとハイパー化が解けてしまったツナが生きているのか不安になる。そんなフィリアに幻騎士は近付いてくる。
「さあ、次は貴様だ!今すぐ死ね!」
「誰が死ぬもんですか!!私はあなたを許さないわ!」
フィリアは怒りに支配され、幻騎士に短剣を向けると幻騎士に斬りかかるが、幻騎士に全ての攻撃が弾かれてその攻撃が通る様子は無い。幻騎士は怒りを自分に向けるフィリアを見て、少し笑みを浮かべる。
「ふはは、そうだ。その意気だ!」
「ふざけているの?私は許さない・・・アンタを絶対に!!」
「もっと怒るがいい!その怒りが、不安が、悲しみに絶望といった負の感情がオレをもっと強くするのだ!」
「負の感情ですって・・・」
フィリアは幻騎士が負の感情で強くなるというのを聞くと、少し落ち着きを取り戻す。
「ほう、少しは落ち着いた様だな。だが、直ぐにまた負の感情を出す事になるがな!」
「ど、どういう意味!!?」
「あの男は穴に落ちていったが、あの穴の深さをお前も見た通り、その深さでは落ちたら只では済まない。それにだ、アイツが奇跡的にあの深さから落ちて五体満足だったとしてもだ、アイツが飛んで戻ろうとしてもシステムによる障壁で、ここには戻れないばかりか、あの穴から落ちた場所には強力な中ボスクラスのモンスターが待ち構えている。そのモンスターのレベルは125だ!アイツが穴から脱出できない以上はそのモンスターと戦って勝つしか、ここに戻ってこれる方法は無い!最早、あの男の命は無いものだと思え!」
「そんな事は無いわ!幻騎士、あなたが私に絶望を与えたかったのなら、ツナが確実に死んだと言うべきだったわね。あなたのお陰でツナが生きているという希望を持てたわ!ツナが死んでいない以上、私は絶望する訳にはいかないの!」
フィリアが希望を得た事で負の感情が無くなり、フィリアの表情が諦めないという決心を感じるモノとなると、それを見た幻騎士の顔が歪む。
「何が希望だ!!今、貴様に有るのはオレの手によって死ぬという運命だけだ!」
「あなたに私の運命を勝手に決めないでほしいわね!私はツナが生きている事を信じて、ツナが戻ってくるまで、あなたの相手をするわ!」
「貴様・・・このオレを倒すだと・・・面白い、笑えぬ冗談だが面白いぞ・・・貴様を始末する場所を変える事にしよう!」
幻騎士が指を鳴らすと、フィリアと幻騎士を青い光が包み込んだ。
「何これ!!?も、もしかして・・・転移!!?」
「そうだ!貴様を始末するに相応しき場所は・・・逃げ道が一切無い、四方を壁で囲まれた場所よ!」
フィリアは幻騎士が指定した場所へと転移され、そこでフィリアは幻騎士と戦う事になるのだった。
「ふうっ・・・あ、危なかった・・・」
俺は幻騎士によって、突然空いた穴の中に幻騎士の蹴りを喰らった事で気を失って落とされたんだけど、俺は何とか意識を取り戻すと、落下中にハイパー化するのは無理だったので、エクセリオンを壁に突き刺す事で壁を滑るかの様に落下のスピードを落として無事に着地した。エクセリオンの耐久力は他の剣と比べると高いので、後数日使っても折れないと思うので、エクセリオンを使って落下スピードを下げたのは正解だったな。
さてと、フィリアと合流して幻騎士を倒さないとな。俺はハイパー化して、上に飛んで行くが、システムによる障壁が展開されてフィリアのいる場所に戻る事ができなかった。これが幻騎士の策略か・・・早く戻らないと、フィリアが危ないな。フィリアには手裏剣術が有るとはいえ、幻騎士を相手にいつまで持つか解らない。俺はフィリアがいる上層に向かう為に、急いでこの場を抜けようとしたのだが、そんな俺を待ち構えていたかの様に剣を構えた軽装の巨大な騎士型のモンスターが立ちふさがる。名前は文字化けしていて不明だが、他は正常だ。あの騎士型モンスターのレベルは125だと・・・HPゲージが一本とは言え、とてもじゃないが、戦って勝てる保証が無い相手だ。俺はその騎士型モンスターを相手せずに、その場を抜けようとしたのだが、騎士型モンスターは俺が反応できない程の速さで俺を切り裂いた。何だ・・・今の異常な速さは・・・俺は分析スキルのお陰でそのモンスターが使った技が表示されたので、その情報を見る。今の騎士型モンスターが使ったのは神速スキルのソードスキル[マッハ・スラスト]というモノらしい。神速、これもユニークスキルなのか・・・よりによって、急がないといけない時にこんな逃げる事すらできない速さを持った相手と出くわすなんて・・・
「俺はここまでなのか・・・済まない、フィリア・・・」
俺はフィリアがいる場所に戻れそうに無い。俺はフィリアに心の中で謝って、俺は神速を持つ騎士型モンスターの手によって倒されるのかと思ったのだが・・・
『おい!自分が反応できない程の速さだからって、簡単に諦めるんじゃねえぞ!このダメツナが!』
「この声は・・・SAOの中で聞けるとは思ってもいなかったこの声・・・まさか、リボーン!!?」
俺が諦めかけていた時、リボーンの声が響いた。幻聴かと思ってしまったが、どうやら本当にリボーンの声らしい。
「リボーン。どうして、お前の声が聞こえるんだ・・・」
『正一とスパナがお前のナーブギアを通してSAOのサーバーにハッキングしてな、正一とスパナと言えど茅場が作ったプログラムを解析するのは骨が折れる程の超難題だったんだが、今はこうしてホロウ・エリア限定だが、SAOのシステムに侵入できる様になったんだ。そこで現実から声だけだが、ダメツナに励ましの言葉を掛けてやった訳だ。』
「そうだったのか・・・でも、俺ではこの神速を持つモンスターを相手にしても、レベルの差で勝てない・・・」
『そうか・・・諦めるのか。アインクラッドは無理だったんだが、お前のホロウ・エリアでの戦いや普段の様子は見ていた。お前はフィリアの本に向かわないと行けないんじゃないのか!諦めたら、ソコで何もかもが終わるんだぞ!神速のスキルは無理かもしれないが、レベルの差だけは入江とスパナが何とかする!だから、最後まで諦めずに戦いやがれ!』
「そうだったな、リボーン。俺が諦めたら、誰がフィリアを・・・彼女を救うんだ!」
『ふっ。その意気だぞ、ツナ!お前はフィリアの事を仲間以上に大切に思っている筈だ。そうだろ、ツナ。』
「気付けば、俺は彼女の存在が支えになっていた。それはホロウ・エリアにいるのが俺とフィリアだけだからだと思っていた。だけど、本当は違った。俺はフィリアをいつの間にか・・・」
『もういい。自分から聞いておいてなんだが、ウゼェ!』
「おい・・・相変わらずだな、リボーンは・・・」
『当たり前だ。俺はいつでも俺のままだ!安心しろ、最初は京子が好きだったけど、いきなり好きな人が変わるのは当たり前みたいなモノだ。京子やハルはお前が本当に好きになったヤツなら笑顔で受け入れる筈だ。だから、さっさとフィリアの本に向かってやれ!』
「ああ!ありがとう、リボーン!お陰で俺は戦える!」
俺はエクセリオンを構えると神速の騎士に立ち向かう。神速の騎士のレベルはリボーンの話通りに下がっており、今の神速の騎士のレベルは90。俺より一つ高いが、勝てない相手では無い!俺は神速の騎士が神速を使い、俺が反応できない速さで動くが、俺は反応できない以上は神速の騎士が俺を攻撃するであろう位置を予測して攻撃する。神速の騎士は右側から攻撃しようとしてきたが、俺はソコに向かって片手剣のソードスキル[ヴォーパル・ストライク]を繰り出して、神速の騎士の攻撃を弾いて神速の騎士に俺の攻撃が命中する。神速の騎士は再び、神速を使って俺を攻撃する為に動くが、俺はナッツを呼び出して神速の騎士の動きを制限する。
「今だ、ナッツ!」
「ガオォォ!!」
神速の騎士はナッツの咆哮に含まれる大空の炎の特性である調和によって、脚が石化して神速を使って動くのは不可能となった。俺は神速の騎士を倒す為にナッツをエクセリオンと一体化させて剣にする。
「ナッツ、形態変化!」
「ガオォ!!」
「この剣の名前はイクスセリオンにしよう。喰らえ、フェニックス・クルセイダー!」
俺はエクセリオンとナッツが合体した剣であるイクスセリオンを構えて、片手剣と死ぬ気スキルの混合ソードスキル[フェニックス・クルセイダー]を繰り出して、神速の騎士を切り裂く。神速の騎士は[フェニックス・クルセイダー]の威力で粒子となり散った。俺はイクスセリオンから戻ったナッツを匣に戻して、エクセリオンを背中に納めた後に急いでこの場を抜けた。俺は必死に上を目指して大空洞エリアを進んで行く。俺はやっと、自分が落とされた穴を見付けて、フィリアと幻騎士がいた筈の場所に戻ってこれたのだが、そこにはフィリアと幻騎士の姿は無かった・・・
「間に合わなかったのか・・・」
俺は間に合わなかったと思い、ショックで倒れこみそうになったが・・・
『このダメツナが!フィリアが死んだとはまだ決まってねえぞ!お前が勝手に諦めてどうするんだ!』
再び、リボーンの声が聞こえ、俺に渇を入れてくれた。
「そうだな、リボーン・・・フィリアが簡単に死ぬ筈が無いな。俺が諦めたら、どうするんだ!俺はフィリアを探さないといけないんだ!」
『その意気だぞ。さて、フィリアの居場所だが・・・残念だが、正一とスパナでも居場所を特定できないらしい。』
「そうか。だけど、俺はフィリアを探して幻騎士を倒さないといけないんだ!」
『待てツナ!フィリアの居場所を特定できそうな場所が、実は近くに有ると正一とスパナが言っている。ツナ、俺がガイドするから、その指示通りに動いてくれ!』
「わかった。」
俺はリボーンの指示を聞いて動き、大空洞エリアを進んで行く。リボーンのガイド通りに進むと、ソコは大空洞エリアには相応しくない機械で覆われた壁で出来た空間だった。
「何だ、ここは・・・」
『ツナ、呆けるのは後だ!ソコに有る装置はエレベーターになっている様だ。そのエレベーターで一番下に降りてくれ。』
俺はこの空間の真ん中に有る光の柱に触れると、ソコに足場が現れて俺はその足場に乗って、俺はリボーンに言われた様にエレベーターで一番下に降りる。エレベーターで降りた部屋には一つの端末が目に写った。俺はその端末に近付く。
「リボーン、これが・・・」
『そうだ。ツナ、その端末に触れろ。そうすれば、正一とスパナがホロウ・エリアを調べてフィリアの居場所を特定できる様になる筈だ。』
「わかった。」
俺は端末に触れると、その端末から莫大な情報が表示されるが、俺にはその情報の内容が理解できない。
『ツナ、端末から表示される情報はお前を通して正一とスパナに送られている。今、その情報を解析している様だ。』
「そうか。それで、フィリアの居場所は解ったのか?」
『いや、まだみたいだぞ。だが、今得た情報の解析がある程度済んだみたいだ。その情報の内容を説明するぞ。』
俺はリボーンが正一とスパナから聞いた情報の内容を話し出す。
『解析した情報の内容は、まずこのホロウ・エリアはSAOのテストエリアだという事だ。』
「テストエリアだと・・・」
『ああ。このホロウ・エリアでスキルのテストやモンスターの動きの確認、それにプレイヤーの戦闘能力を元にシミュレーションを行うテストを行うエリアらしい。尚、このエリアのプレイヤーはアインクラッドにいるプレイヤーのホロウデータ、いわゆるコピーだ。』
「やっぱり、このホロウ・エリアには元々、俺を含めたプレイヤーのコピーがいたのか・・・だけど、何で今はプレイヤーのコピーが見当たらないんだ・・・」
『それについて説明するぞ。本来ならホロウ・エリアにいる筈のプレイヤー達のホロウデータがいなくなった理由は、少し前にSAOで起きたノイズにツナが飲み込まれた時、このホロウ・エリアに影響を与えてしまったんだ。』
「俺がノイズに飲み込まれた事でホロウ・エリアに影響を与えただと・・・」
『ああ。お前がノイズに飲み込まれると、ホロウ・エリアに幻騎士のコピーが現れた。その幻騎士がどうやって生まれたかというと、お前がノイズに飲み込まれた瞬間にナーブギアを通して、お前の記憶から幻騎士の情報が流出した事でホロウ・エリアに幻騎士のコピーが生まれた訳だ。だが、その幻騎士はアバター自体がノイズで作られたエラーそのものだ。そのノイズの化身が現れた瞬間にホロウ・エリアにいたプレイヤー達のホロウデータは幻騎士が現れた瞬間にほとんどが幻騎士のコピーに取り込まれてしまったんだ。』
「それでコピーとは言え、他のプレイヤーの姿が見えない訳か・・・」
『それと、フィリアのカーソルがオレンジになっていた理由も解ったぞ。フィリアがオレンジになったのは本来なら、本物のプレイヤーがホロウ・エリアに来た瞬間にそのプレイヤーのホロウデータは強制的にいなくなる筈だった。だが、ノイズの影響でフィリアのホロウデータがいなくなるタイミングがずれてしまった事で、本物のフィリアとホロウデータのフィリアが対面してしまうという不具合が起きてしまった訳だ。その後、システムがホロウデータのフィリアを消した後に不具合をフィリアのカーソルと判断してオレンジになった訳だ。』
「やっぱり、フィリアは誰も殺していなかったんだな。」
『ああ。だけどな、このカーソルはアインクラッドに戻ってカルマクエストをクリアしても戻らないぞ。それはホロウ・エリアのシステムが不具合と誤認しているから、アインクラッドのシステムであるカルマクエストをクリアしても戻せないぞ。』
「じゃあ、どうすればフィリアのカーソルを戻せるんだ・・・」
『フィリアのカーソルを戻せる方法は簡単だ。残りのエリアボスを倒して、ホロウ・エリアの中枢部に行けばいいんだ。ソコにさえ、たどり着けばカーソルの不具合を解除できる筈だ。なんせ、ホロウ・エリアの細かい部分まで管理しているんだからな。ソコに有るシステム端末を使えば、フィリアのカーソルを戻せるだろう。』
「そうか。今まで通りに行けば、フィリアのカーソルを戻せるのか。」
『そうだ。お前がいつも通りにやってさえいれば、フィリアのカーソルを戻せるぞ。』
フィリアのカーソルを戻せる方法も解ったし、後はフィリアの居場所が解りさえすれば・・・
『そして、フィリアの居場所が解ったぞ。そのエレベーターを使って、中区に行って左側に進んだ先に有る部屋の中にいるらしい。幻騎士の姿をしたノイズデータと供にな・・・』
「ありがとう、リボーン。俺はフィリアを助けにいかないと・・・」
『待てツナ!ノイズデータの幻騎士は今の状態では倒せない。あの幻騎士はノイズの塊だ。そんなヤツを普通の攻撃で倒せる筈が無い。今、正一とスパナがワクチンデータを作っている。そのワクチンデータをお前にインストールすれば、ノイズデータの幻騎士を倒す事が可能になる。だから、少し待て!』
「わかった。それで、そのワクチンデータをフィリアにインストールする事はできないのか?」
『フィリアにインストールするには、お前がフィリアにワクチンデータを渡してフィリア本人がインストールする必要が有るが、まあ、お前なら無事に渡せるだろうし、大丈夫だろうな。それと、ノイズデータの幻騎士はツナやフィリアが怒りや悲しみといった負の感情を出せば、その負の感情を取り込む事であの幻騎士は強くなっていく。だから、怒りを向けた戦いだけはするなよ。それにだ、ノイズデータの幻騎士はアインクラッドに行こうとしている様だが、間違ってもあの幻騎士をアインクラッドに行かせるんじゃねえぞ!あの幻騎士はノイズそのものだ。そんなヤツがアインクラッドに行くと、アインクラッド全体がホロウ・エリアの様になるかもしれないからな。』
「つまり、あの幻騎士のコピーをアインクラッドに行かせてしまえば、アインクラッドにいる皆が取り込まれてしまうという事か!!?」
『その通りだ!絶対にノイズデータの幻騎士をアインクラッドに行かせる事になってはダメだ!今、ホロウ・エリアの中であのノイズデータの幻騎士を倒すんだぞ、ツナ!』
「ああ、わかった!絶対に幻騎士のコピーは倒す!」
『ツナ、絶対に勝てよ!おっと、ワクチンデータが出来た様だぞ。それじゃ、お前にワクチンデータをインストールするぞ!』
俺の身体に何かが入り込んでくるのが解る。これでワクチンデータが俺にインストールされた様だな。それに、アイテム欄にワクチンファイルというモノが追加されている。これをフィリアに渡せば、フィリアにワクチンデータがインストールされる訳か。
『ツナ、どうやらこうして通信できるのもここまでみたいだ・・・これ以上の外部からのアクセスをSAOのシステムが許してくれはしない様だ。ツナ、いいか。絶対に無事に生きて帰ってこいよ!待っているからな、現実世界でな!』
その後にリボーンの声が聞こえる事は無くなった。だけど、リボーンに励まされるのはここまでだ。俺はリボーンの声が聞こえなくなったからといって、ここで立ち止まる訳にはいかない!俺はフィリアのいる場所へと向かった!
「これでどうよ!」
「無駄だ!貴様がいくら攻撃しようと俺には効かぬ!」
「嘘でしょ・・・手裏剣術まで効かないなんて・・・」
フィリアは四方を壁で囲まれた空間の中、一人で幻騎士と戦い続けていた。だが、フィリアは徐々に追い詰められ、手裏剣術を使っても幻騎士に効く様子は無かった。
「貴様はオレを相手にして、よく善戦できた。だが、善戦では意味が無いがな!」
「こ、ここまでなの・・・ツナ・・・」
幻騎士は手にした剣でフィリアを斬ろうとした、その時だった。
「幻騎士!お前にフィリアは殺させはしない!」
「バカな・・・何故、貴様がここにいるのだ・・・」
ツナが幻騎士の剣を弾き、幻騎士の前に立ちふさがった。フィリアはツナの姿を見ると、顔が微笑む。
「ツナ、生きていたのね。よかったわ・・・本当に生きていてくれてよかったわ・・・」
「ごめん、フィリア。心配を掛けたな・・・だけど、俺はこうして無事でいる。だから、フィリア。安心して、今は回復に専念してくれ!」
「わかったわ。」
フィリアはツナに幻騎士の相手を任せると、HPを回復させる為にポーションを飲む。幻騎士は目の前にいるツナに聞く。
「あり得ぬ・・・貴様が落ちた場所にはオレが呼び寄せた神速スキルを持ったレベル125の中ボスクラスのモンスターがいた筈・・・まさか、貴様!!?」
「ああ、その神速スキルを持った騎士型モンスターは倒した。だから、こうしてお前の前にいる。」
正しく言えば、神速スキルを持ったモンスターのレベルが下がった事でツナが倒せた訳なのだが、ツナはそれを話すつもりは無い。
「まさか、あのモンスターを倒すとは予想外だったが・・・それでも、オレを倒す事は不可能だ!」
「それはお前がノイズの塊だからか?」
「ほう、オレの正体に気付いた様だが、気付いたところで貴様にオレが倒せる筈など無いのだ!」
「それはどうかな!」
「何だと!!?」
ツナは幻騎士にエクセリオンで切りつけると、幻騎士に今まで無い反応が出る。
「グヲォォォ!!?き、貴様・・・オレにダメージを与えるだと・・・」
「残念だが、俺にはお前に有効なワクチンデータがインストールされている。お前は最早、無敵では無いという事だ!」
「お、己!!オレに有効なワクチンデータなど、一体どこで手に入れたのだ・・・」
「それを教えると思うか?」
「グッ・・・」
幻騎士はワクチンデータをインストールしたツナの攻撃でダメージを受けて、焦り出している。ツナはフィリアにワクチンファイルを渡す。
「フィリア。それはワクチンファイルだ。そのワクチンファイルを使えば、お前にもワクチンデータがインストールされて、フィリアの攻撃も幻騎士に効く様になる。」
「これで幻騎士とまともに戦えるのね。わかったわ!」
フィリアはワクチンファイルを使うと、ワクチンデータがフィリアにインストールされた。これでツナと同様にフィリアの攻撃も幻騎士に通じる様になった。
「いくぞ、幻騎士!」
「これが私達のコンビネーションよ!」
「バカな!!?」
ツナは片手剣のソードスキル[バーチカル・スクエア]、フィリアは短剣のソードスキル[アクセル・レイド]を使い幻騎士に命中させると幻騎士の身体は少しずつ青い光の粒子が出て崩れていく。
「ふザけるナ・・・オれはコンな所でヤらレる訳にはイかナいノダ!」
幻騎士は最後の抵抗を見せ、幻騎士に強大なエネルギーが集まっていく。ツナとフィリアはその強大なエネルギーが幻騎士に集まっていくのに危機感を感じた。
「ツナ、幻騎士は何をする気なの・・・」
「解らない・・・だが、幻騎士がどんな手を使おうが、俺とフィリアならノイズの塊である、あの幻騎士を倒せる筈だ。だから、フィリア。力を貸してくれ!」
「勿論よ・・・私とツナはお互いを支え合うパートナーなんだからね!」
ツナとフィリアは幻騎士との決着を付ける為に、武器を構える。
果たして、ツナとフィリアは無事に幻騎士を倒せるのだろうか・・・
今回はホロウ・エリアの真実が判明しました。ホロウ・エリアはSAOのテストエリアで、本来ならアインクラッドにいるプレイヤーのコピーであるホロウデータがいるのですが、それはノイズによって生まれた幻騎士のコピーに取り込まれてしまいました。
それと、ツナが戦った名前不明の神速スキルを持った騎士型モンスター、ツナは通称で神速の騎士と呼んでいましたが、神速を持っていた敵を簡単に倒せてしまいましたが、これはツナが現実でのバミューダの戦いの経験を活かして相手の攻撃してくる位置を先読みした事と、入江正一とスパナによってレベルが下がった事で倒せた相手です。神速はアインクラッドにいる誰かが習得する予定です。神速の習得条件は反応速度に攻撃速度、移動速度といった全体的な速さの総合が一番高い者に与えられる事になっています。
次回は幻騎士との決戦・・・そして、まあ、それはお楽しみという事で。