俺とフィリアは幻騎士との戦いを終えて、互いに想いを打ち明け結婚した日から、6日経過した今、最後のエリアである異界エリアの捜索を行っている。異界エリアは何か不気味な場所だ。昼間でも常にエリア全体が夜の様に真っ暗で、沼地や森などのフィールドがより不気味さを感じさせる場所だ。モンスターはアンデッド系や昆虫系にスライムや獣系に獣人、それに悪魔系とモンスターの種類も様々でどうもエリアボスがどんな感じなのかも予測できない。俺とフィリアは異界エリアのボスを探しているのだが、どうも土地勘が掴めないので、なかなか思う様に異界エリアの攻略が進まない。俺とフィリアは異界エリアの中に有る気味の悪い森の中に入ると、周りにモンスターがいないので少し一息つく事にした。
「なかなか思った様に進まないわね・・・」
「本当だよ・・・さすがに最後のエリアという事だけは有るって感じだね。」
「そうね。最後のエリアだけ有って、今までのエリアと本当に雰囲気が違うわよね。何と言うか、不気味よね。」
「本当に不気味過ぎて、早くこのエリアの攻略を終わらせたいよ・・・」
「もしかして、怖いの?」
「そんな事は無いよ!俺は別に怖くなんて・・・」
「あっ!ツナの後ろに何か白い顔の女性がいるわよ。」
「うわあぁぁ!!?」
「ツナ・・・何もいないわよ。まさか、ここまで驚くなんて・・・」
「なんだ・・・フィリアのイタズラか・・・」
どうも、結婚してからはフィリアは俺をからかうかの様にイタズラをする様になったんだよな・・・まあ、ソコは好きな相手の新しい魅力を見付けられたという事にしている。今ので、少し俺の心拍数が上がった気がするが、フィリアも軽い気持ちでやったイタズラなので流す事にしよう。
「本当に俺って、ビビりだな・・・ははっ。」
「でも、普段のツナはそんな感じがツナらしくて良いと思うわ。それじゃ、少しイタズラが過ぎたと思うから、お詫びにこれ上げるわね。」
フィリアが驚かせた事へのお詫びとして、サンドイッチを渡してきた。
「美味しそうだね。もしかして手作り?」
「そうだよ。料理スキルで何とか作ったんだ。よかったら、食べてみて。」
「うん。いただきます!」
俺はフィリアが作ったというサンドイッチを口にすると、俺の口の中がピリピリしてくるというか、下が痛くなってくる・・・
「辛い!!?み、水、水!?」
「はははっ!引っ掛かたわね。実は辛子をたっぷりとパンに塗り巻くたんだ。」
「食い物でイタズラするのだけは止めてくれ・・・って、辛いから早く水を・・・」
「はい、水。」
俺はフィリアのイタズラで激辛サンドイッチを食わされて、口の中が痛くなってきたので、フィリアに水を寄越す様に頼むと水を渡されたので、その水を飲んだのだが・・・
「ぶびゃあぁぁ!!?これ、中途半端に甘くしたな・・・辛さがより強くなってきたんだけど・・・」
「ねえ、今の悲鳴、結構可笑しかったよ。ぶびゃあぁぁだって!本当に面白い反応をするわね、ツナ・・・はい、今度こそ普通の水だよ。」
「本当だよね・・・」
「本当だって。イタズラも度が過ぎると大変だし、これで終わりよ。これは普通の水だよ。」
俺はフィリアに再び水を渡されたので、その水を飲むと本当に普通の水だった。それにしても、今のイタズラは十分に度が過ぎていたと思うんだけど・・・まあ、不思議とイヤじゃないな。でも、今の様な計画的なイタズラだけは勘弁してほしいな・・・俺の口の辛さが引いた後、フィリアは再びサンドイッチを渡してくる。
「はい、これはイタズラでは無いから安心して食べてね!」
「本当にイタズラでは無い事を祈るよ・・・」
俺はイタズラでは無い事を祈りつつ、恐る恐るサンドイッチを口にする。今度は本当に美味しいサンドイッチだった。
「うん。美味しいよ、これ!」
「そう、良かった!でも今、思い切り恐る恐る口にしていなかった?」
「まあ、先ほどの激辛サンドイッチを食わされた後だしね・・・恐る恐る口にするのは無理も無いかと・・・」
「そんなに辛かったの?さて、私も食べますか・・・辛い!!?」
おい、まだ有ったのかよ、激辛サンドイッチ!?フィリアは普通のサンドイッチを食べようとしたんだろうが、どうやら激辛サンドイッチが残っていた事を忘れていた様だ。フィリアは自分が作った激辛サンドイッチを食べて悶絶しているが、因果応報なので仕方ない。これで少しはイタズラの質を下げてくれる筈だ。俺はフィリアに水を渡すと、フィリアは凄い勢いで水を飲み干す。
「ふうっ。酷い目に合ったわ・・・」
「これで少しは懲りたよね。」
「そうね。これからは激辛料理を作るのは一つだけにするわ。そうすれば、自滅する事は無いだろうし。」
懲りてねえ・・・これからも有るのか、激辛料理を食わされる可能性が・・・まあ、何度もヤられれば慣れるだろうし、フィリアのイタズラには目を瞑る事にしよう。イタズラ好きな部分もフィリアの魅力だしね。フィリアが激辛では無い方のサンドイッチを食べ終えた後に、俺とフィリアはこの森の捜索を行う事にした。
「さてと、休憩はここまでとして、そろそろこの森の中を探索してみようか。」
「そうね。この森にエリアボスがいるかどうかは解らないけど、何か感じた事の無い気配というか、何というか不思議な力を感じるわ。」
「うん、そうだね。」
フィリアの言う通り、この森にはきっと何か有る。今まで感じた事の無い力をこの森の奥から感じる。俺とフィリアは森の中を進んで行く。その道中に様々な種類のモンスターが俺とフィリアに襲い掛かってくるが、俺とフィリアは互いに息を合わせたコンビネーションで次々とモンスターを倒しながら、森の奥に進んで行く。しばらくすると、俺とフィリアは森の真ん中と思われる広く空間が有る場所に来た。この近くに、今まで感じた事の無い力を感じる・・・
「フィリア。どうやら、ここに先ほど感じた何かが有るらしい。少し周りを調べてみよう。」
「そうね。モンスターなのか、それともお宝なのかしら。お宝だったら、嬉しいんだけどね・・・」
「そうだね。出来れば、エリアボスでは無いモンスターが出てくるのだけは勘弁かな・・・ん?フィリア、あそこに何か有る!」
「本当ね・・・あれは祠かしら?」
俺とフィリアは森の真ん中に有る祠らしき物に近付いて、その祠を見てみる。祠には7つのリングが納められるかの様に置かれていた。その7つのリングからは強大な力を感じる。間違いない、これはボンゴレリングとマーレリングに匹敵する力を持ったAランクオーバーのリングだ。
「この7つのリングはボンゴレリングとマーレリングに匹敵する力を持っているよ。だから、この森に入った時から強い力を感じていたんだ。」
「つまり、この7つのリングはSAOの中で最強クラスのリングという事!?」
「その通りなんだけど・・・この7つのリングがどうしてこんな所に有るんだ・・・」
「確かに気になるけど、どうする?祠に納めているという事は手にした瞬間にトラップが発動するかも・・・でも、このリングを手にすればアインクラッドに戻った後の攻略に役立つ筈よ。」
「確かにこの7つのリングを手にすれば、SAOの攻略に役立つんだけど・・・これを手にすれば、何が起こるか解らないけど・・・それでも、このリングの力は必要だ。だから、フィリア・・・」
「解ってる。どんな事になっても、私はあなたの為に戦うわ!」
「ありがとう、フィリア。じゃあ、この7つのリングを手に触れるよ!」
俺は祠に納められた7つのリングを手にする為に、リングに触れた瞬間だった。
『貴様ら・・・我が祠に納められた、神秘なる力を持ったリングに手を出すとは何と罰当たりな・・・そんな罰当たりな輩には私が自ら制裁を加えてやろう!!』
俺とフィリアに向けられた声が聞こえると、突然地響きが起きる。
「じ、地震だ!?ええと、テーブルの下に・・・」
「ツナ、こんな森の中の何処にテーブルが有るのよ・・・まあ、素の状態のあなたなら無理も無いか・・・」
「ですよね・・・」
何か恥ずかしい事をしてしまい、フィリアに少し呆れられたが、地響きが収まると気を取り直す。すると、俺とフィリアの前に雷が降ってきて、ソコに一人の青年が現れる。その青年のカーソルはNPCのモノだ。どうやら、彼が声の主らしい。その彼は銀髪で湖の様な青い瞳で美しい顔をしているので、見た目の感じは好青年だが、彼の右手からは電撃が火花を散らせながら出ている。彼は俺とフィリアを睨むと口を開く。
「貴様ら・・・私の祠に納められた7つのエーテルリングを奪おうとするとは、恥を知れ!!」
「エーテルリング?それが、祠に納められたリングの名前なのか・・・」
「エーテルって、確か神話では神の世界に有る神秘的なエネルギーの事かな・・・その名前を持つリングが納められたという事は、目の前にいる彼は神って事になるわね・・・」
「また神か・・・カーマとシヴァと同じか・・・」
「カーマにシヴァだと?私はその様な名前の神は知らぬ!私の名前はゼウス!オリンポスの神々を束ねる神の王なり!」
ゼウスだと!!?ゼウスの名前は俺も聞いた事が有る。確かギリシャ神話に出てくる神々の王で、雷を操る天空の神だった筈。それとフィリアからはカーマとシヴァはインド神話に出る神だと聞いた。ギリシャ神話の神の王の祠に納められたリングを取ろうとしていたとは・・・さすがに戦って勝てる相手なのかは解らないが、それでもエーテルリングと呼ばれる7つのリングを手に入れる為にも俺とフィリアはゼウスと戦わねばならない。俺はハイパー化し、俺とフィリアは武器を構えた。
「いくぞ、フィリア。相手が神の王でも、俺とフィリアが一緒に戦えば勝てるかもしれない!」
「ツナ、シヴァは倒せない相手だったかもしれないけど、きっとリングを入手するにはゼウスを倒す必要が有る筈よ。だから、ゼウスは倒せる相手の筈・・・」
「人間よ。私の祠に手を出した事を悔やむがいい!死んで冥界に行ってな!」
俺とフィリアはゼウスとの戦いを開始した。ゼウスのHPは1本。もしかすると、倒せそうになった瞬間に姿が変わるかもしれないので慎重に戦う事にしよう。まず動いたのは、ゼウスだ。ゼウスが右手で雷を作り出して、雷を槍の様にすると、俺とフィリアに向かって投げつけてくる。
「受けよ、我が雷を!」
ゼウスが放つ雷は死ぬ気の炎の様なので、俺はその雷を無効にする為にあの技を使う。
「零地点突破・改!」
「何!?私の雷を吸収するだと・・・」
俺は死ぬ気スキルの一つである零地点突破・改を使って、ゼウスの放つ雷を吸収して無効にした上にその雷を吸収した事で俺の炎が大きく上昇する。
「次は俺とフィリアの番だ。フィリア、頼む!」
「ええ!手裏剣術のソードスキル、影縛り!」
「バカな、動けん・・・」
「いくぞ!イクス・ストリーム!」
「ぐわあぁぁ!!?」
フィリアが手裏剣術のソードスキル[影縛り]でゼウスの動きを封じた後に、俺は死ぬ気スキルの技、イクス・ストリームを使ってゼウスを炎の渦に飲み込ませてダメージを与えた。今ので、ゼウスのHPは半分になる。
「うぐっ・・・やはり、テュポーンとの戦いで大分、私の力が衰えたのか・・・」
ゼウスがその様な事を口に出したので、ゼウスは五体満足では無い状態だと解る。そんな相手を倒す気は起きない。俺はハイパー化を解くと、ゼウスに近寄る。
「ツナ!?大丈夫なの・・・」
「多分、大丈夫だよ。ゼウスに謝罪すれば、おそらくは・・・」
「どうした・・・トドメをさすのなら、今の内にやるのだな・・・」
「いや、俺とフィリアはそんなに弱った相手にトドメをさす気は無い。ゼウス、あなたの祠からリングを取ろうとした事は謝る。だから、何故そんな状態で俺とフィリアの前に来たのか話してほしい。」
「成る程、どうやら邪悪な者達では無い様だな。いいだろう、その7つのエーテルリングはくれてやろう。但し、私の事を手伝って貰うがな。」
「わかった。俺とフィリアでよければ、あなたの頼みを聞くよ。」
「そうね。私とツナがあなたの頼みを聞いて、力になってあげるわ。」
「そうか。面白い人間だな。」
俺とフィリアに7つのエーテルリングを貰う代わりにゼウスの頼み事を聞く事にする。
「この森の奥には、怪物テュポーンがいる。私は神の王として、怪物テュポーンを倒そうと思い、テュポーンと戦ったのだが、テュポーンは私が思っていた以上に手強く苦戦してしまい、私は傷が深くなったので一旦、体勢を立て直そうとして、テュポーンの前から退いたのだが、そんな時に私の祠に手を出した者がいたので、ここに来た。すると、貴殿ら二人がいた訳だ。」
「要するに、そのテュポーンという怪物を倒す為に力を貸してほしいという事か?」
「そうだ。貴殿らの力を貸してほしい。テュポーンを倒しさえすれば、7つのエーテルリングはくれてやろう。」
「わかった。俺とフィリアがゼウス、あなたに協力してテュポーンを倒す手伝いをするよ。」
「そうね。テュポーンがエリアボスである可能性が高そうだし、私とツナが力を貸すわ。」
「感謝する。では、テュポーンを倒しに向かうぞ!」
俺とフィリアはゼウスのHPを回復させた後にテュポーンを倒す為にゼウスの後に続いて移動していく。移動の最中にモンスターが襲ってきても、ゼウスが雷を放って簡単に撃破してくれる。ゼウスとも力を合わせる事がテュポーンとの戦いでの鍵だろう。しばらくして、俺とフィリアはゼウスの案内でテュポーンの居場所に着いた。
「気を付けよ、あの怪物がテュポーンだ!」
「あれがテュポーン・・・」
「何あれ・・・いくら何でも巨大過ぎない・・・」
「グッガァァ!!?」
俺とフィリアはテュポーンの姿を見て、驚きを隠せずにいた。テュポーンの姿は上半身は人間で下半身は蛇という気味の悪い姿の上に体長が100メートルは有るのではないかと思う程の巨体だからだ。そんな巨体の怪物を目の前にすれば、驚きを隠せずにいるのは無理も無い。テュポーンのHPゲージは5本だが、少し前のゼウスとの戦いで受けたダメージが残っているのか2本は空となっているので、実質3本だ。おそらく、俺とフィリアが祠のリングを取ろうとはしないで、そのまま進んでテュポーンと戦っていた場合はテュポーンのHPが完全な状態だったかもしれない。今回は俺とフィリアがゼウスにトドメをささない選択をした事で、ゼウスがテュポーンとの戦いが終わるまで仲間になった上に、テュポーンが弱った状態になっている。選択を間違えずにいた事が今回の戦いは心に少し余裕が出る状態になった。だけど、テュポーンは最後のエリアボスだ。今までのエリアボスの中では強い部類だろう。俺はハイパー化して、エクセリオンを構える。
「いくぞ、フィリア。この戦いを終えれば遂に君のカーソルを戻せる様になる上にアインクラッドに帰る事ができる。まあ、それでも最後の試練が残っているが、この戦いは絶対に勝つぞ!」
「ええ、勿論よ!この戦いを終わらせて、最後の試練もクリアして、私とツナの二人で一緒にアインクラッドに帰ろうね!」
「フィリア。死ぬなよ!君がいなくなったら、俺は生きていけないからな。」
「ツナも死なないでよ。私も、あなたがいなくなったら、生きていく気力が無くなるんだからね。」
「分かっているさ。俺は死なない。だから、フィリアも死なないでほしい。勿論、俺はフィリアが死なない様に守る。」
「私もツナを守るから、お互いに死なない様に気をつけようね!」
「・・・コホン。せめて戦いを終えてから、イチャイチャしてくれ・・・」
俺とフィリアがお互いに死なない様に守りながら戦う決意をしていたところをゼウスに咳払いされた。どうも、今のはNPCから見ても他人からするとイチャイチャしている様に見えるみたいだな。
「ゼウスにそんな事を言われても説得力の欠片も無い気がするわね・・・だって、ゼウスは女好きな事でも有名で自分の妻であるヘラ以外の女神、それに人間の女性まで抱いたというから、説得力の欠片も無いと思うんだけど、どうかしらね?」
「それは言わないでほしい・・・私はヘラにバレない様に頑張りながら、気に入った女を抱いているだけだ!!うむ、それにしても、貴殿もいい女だ。この戦いを終えたらどうだ?私が抱いてやるが?」
「ゼウス、この戦いを終えたら、俺がお前を倒すからな・・・」
「冗談だ・・・そんなにカリカリしないでほしい。私は結婚している女性を抱く程の度胸は無い。そんな事をしたら、ヘラに五体全てをバラバラにされるからな・・・」
是非、そうなってほしい。俺はゼウスがカッコいい神の王だと思っていたが、実際は浮気性のスケベか。テュポーンとの戦いを終えて、リングを貰った後に直ぐゼウスと別れよう。どうも、フィリアに手を出さないという事が少し信用出来ない。おっと、そんな事よりも今はテュポーンと戦わないといけないな。テュポーンは空気が読めるのか、話している最中に攻撃する素振りは無かった。まあ、会話が終わったと解っている様だから、攻撃の動作が出始めているがな・・・テュポーンは俺達に向かって口から炎を吐いて攻撃してくるが、ゼウスが雷を放って炎にぶつけて相殺させる。
「テュポーンの炎は私ができるだけ防ごう。まあ、基本は自分達の身は自分達で守る事にしてくれ。テュポーンの炎が来たら、自分達で何とかする様にしたまえ。」
「わかった。いくぞ、フィリア。ゼウスが援護するから、俺達はテュポーンにダメージを与えていくぞ!」
「了解。さてと、テュポーンにダメージを与えていくわよ。」
俺とフィリアが動くと、テュポーンは俺とフィリアに向けて拳で殴りつけようとしたが、ゼウスが雷をビームの様に飛ばしてテュポーンに命中させると、テュポーンは悲鳴を挙げながらゼウスを殴り飛ばす。ゼウスは何とか受け身を取って、ダメージを減らすと、テュポーンに向けて雷を何発も打ち続ける。テュポーンはその雷を拳で弾いているが、俺とフィリアが背中を取った事に気付いていない。フィリアが手裏剣術のソードスキル[甘夏]を使って、テュポーンに命中させるとテュポーンの攻撃力が下がる。フィリアが更に手裏剣術のソードスキル[月光]を発動させて、テュポーンにくの字手裏剣が当たると、テュポーンの防御力が下がる。
「ツナ、お願い!」
「ああ。いくぞ、ナッツ。形態変化、攻撃モード。I世のガントレット!ビッグバン・アクセル!」
俺がビッグバン・アクセルを放って、テュポーンに命中させると、テュポーンのHPは残った3本の内の1本目が7割まで減る。テュポーンは俺とフィリアの方を向くと、炎を吐いてくる。俺はフィリアの前に出ると、その炎を防ぐ為にナッツをI世のマントにして、マントでフィリアを覆ってテュポーンの炎を防ぐ。
「ありがとう、ツナ。やっぱり、頼りになるわね!」
「当たり前だ。俺はフィリアの旦那だからな。旦那として妻を守るのは当然の事だ!」
「仲の良い夫婦で何よりだ。まあ、仲良くやるのは後にしてくれたまえ。」
「分かっている。いくぞ、ナッツ。形態変化!」
「ガオォォ!!」
「イクスセリオン!フィリア、手裏剣でテュポーンにデバフ効果を与えてくれ!」
「分かったわ。いくわよ、手裏剣術のソードスキル、陽炎!」
フィリアが手裏剣術のソードスキル[陽炎]を使って、テュポーンを盲目状態にして視覚を奪うと、更に手裏剣術のソードスキル[影縛り]で動きを僅かな時間封じ込める。
「ほう、テュポーンの動きを封じ込めるとは・・・本当に彼の奥様には手を出さない方がよさそうだね・・・さてと、私の雷を受けよ、テュポーン!!」
「ゼウスの雷に続いて、これも受けろ!ドラグーン・サラマンデラ!」
フィリアの放った[影縛り]で身動き出来なくなったテュポーンをゼウスが巨大な雷を作り出して、テュポーンに向けて放ったと同時に俺はイクスセリオンに炎の龍神を宿して飛ばす片手剣と死ぬ気の混合ソードスキル[ドラグーン・サラマンデラ]を繰り出して、炎の龍神をテュポーンに向けて飛ばす。テュポーンはゼウスの雷と俺が飛ばした炎の龍神に飲み込まれると大ダメージを受けて、HPが残り2本でその内の1本は4割まで減っている。ダメージを受けた事でテュポーンは怒り出すと、雄叫びを挙げて地面が揺れる。
「グッガァァッ!!」
「これは地震か!!?」
「またテーブルの下に隠れるとか言わないでよ。」
「もう、あんな失態は二度としないからな・・・」
「何故、和んでいるのだ・・・まあ、よかろう。この地響きはテュポーン起こしているものだ。テュポーンが叫ぶだけで火山が噴火する程の地響きが起きるのだ。まあ、この近くに火山が無い分は地響きだけだからな。少しはましな方だ。」
地響きが収まるとテュポーンが俺達に向かって炎を吐いて攻撃してくるが、ゼウスが雷を放って威力を相殺させて無効化する。俺とフィリアはゼウスがテュポーンを引き付けている内に攻撃を仕掛ける。フィリアは短剣の最上位ソードスキル[エターナル・サイクロン]、俺はイクスセリオンを構えて片手剣と死ぬ気の混合ソードスキル[フェニックス・クルセイダー]を繰り出して、テュポーンに攻撃する。今の攻撃でテュポーンのHPは残った2本の内の1本の9割まで減っている。
「グオォォッ!!?」
テュポーンはダメージで怯むと、叫び声を挙げる。すると地響きが再び起きる。
「この地響きは少し厄介だな・・・」
「本当ね・・・立っているのがやっとよ・・・」
「確かにテュポーンの起こす地響きは大きいが、それを頻繁に起こす程にテュポーンを追い詰める事が出来ている。この調子でいくぞ、フィリア!」
「ええ、もう少しでテュポーンを倒せるわね!」
「うむ、仲良き事は美しきかな。本当に仲の良い夫婦だよ。さて、貴殿らと供にテュポーンを攻撃しよう。」
地響きが収まるとテュポーンは炎を吐きながら、俺達に向かって拳で殴り掛かってくる。俺とフィリアはテュポーンの炎を避けて、拳は少しかすったが受けたダメージは少し大きく俺とフィリアのHPが2割減ってしまったが、テュポーンの懐に潜り込めたので俺とフィリアはテュポーンに攻撃を仕掛ける。俺はイクスセリオンを構えて片手剣のソードスキル[ホリゾンタル・スクエア]に巨大な炎を付与させた強化版である、片手剣と死ぬ気の混合ソードスキル[ホリゾンタル・フィアンマージ]を発動させて、テュポーンに攻撃する。テュポーンは俺とフィリアを殴り飛ばそうとしたが、俺とフィリアはテュポーンの拳を避けると、ゼウスが多数の雷を作り出してテュポーンの周りを雷で包囲すると、雷がテュポーンに向かって放たれた。テュポーンは今のでHPが最後の1本となり、その1本の半分まで減った。後、少しでテュポーンを倒せる訳なんだが、テュポーンの様子が変だ。テュポーンの身体にエネルギーが集うと、テュポーンの背中に翼が生えるとテュポーンは空中に浮かび上がった。
「それ反則じゃない・・・」
「その図体で飛ぶのか・・・妙な違和感しか出ていない気がする・・・」
「一応、言っておくがテュポーンも神だ。翼が生えた程度で驚かれては困る。まあ、貴殿らのお陰でテュポーンに引導を渡せるがな!」
「えっ!?」
「まさか!?」
ゼウスがテュポーンが空中に浮かび上がるのを待っていたのか、ゼウスは雷を空中に放つと巨大な雷雲が出来る。巨大な雷雲から雷がテュポーンに向かって降り注ぐとテュポーンは雷で焼かれて粒子となり散った。また神に助けられるとはな・・・でも、これで最後のエリアボスであるテュポーンは撃破できた。これでホロウ・エリアの中枢部に行く権利を得る事が出来た。ゼウスは俺とフィリアの方を向くと、話し出す。
「貴殿らの助けが有ったお陰でテュポーンを倒す事が出来た。礼を言おう!約束通りに私の祠に納められていた7つのエーテルリングを渡そう!受け取るがいい!」
ゼウスの手から祠に有った筈の7つのエーテルリングが出現すると、俺とフィリアのアイテムストレージに追加される。
「ありがとう、ゼウス。この7つのエーテルリングは大事に使わせてもらう。」
「そうか。貴殿らがその7つのエーテルリングをどう扱うかは解らないが、貴殿らならば正しく使ってくれると信じているぞ。では、去らばだ。二人仲良く暮らすといい。」
ゼウスが7つのエーテルリングを俺達に渡した後に姿を消した。俺はハイパー化を解いてナッツを匣に戻した。
「ゼウス。彼の力も借りて、無事に最後のエリアボスを倒せた上に強力なリングを手に入れる事が出来たし、一石二鳥ね!」
「そうだね。じゃあ、早速このリングを装備してみるよ。」
俺は大空のエーテルリングを填めると炎を灯してみると、純度の高い大空の炎が出る。これで俺は現実と同じ炎圧で戦う事が可能となった。俺はフィリアにエーテルリングを填めるかどうか促すがフィリアは断る。
「私はエーテルリングを使わなくても十分に戦えると思うし、それに私の匣はね・・・」
フィリアは通常のCランクの霧のリングを填めると炎を灯して匣に炎を注入すると、霧属性の炎を纏ったイタチが出てくる。確か霧イタチ(ドゥノラ・ネッピア)のルックという名前だったな。ルックは匣から出ると、直ぐに地面に寝そべる。
「見ての通り、戦力外としか言えない程のぐうたらな性格だからね・・・強力なリングが有っても、意味は無いのよね・・・」
「確かにな・・・これ、戦力外としか言えないな・・・」
フィリアの匣である霧イタチのルックはグタァと寝そべって、そのままいびきをかきながら眠り始めている。コイツ、本当に戦えるのか・・・戦えないとしたら、戦力外としか言えない・・・コイツが動くのは大体は飯の時と寝る場所を探す時だけだ。フィリアはルックを匣に戻すと、溜め息を吐いた。
「はあっ・・・何で動かないのかな、ルックは・・・」
「さあ・・・何故、動かないかはルックのみぞ知るだからね・・・」
ルックはフィリアになついてはいるんだが、戦う時は絶対に安全地帯である匣の中から出ようとはしない。本当にコイツは匣なのか?ゴクデラ君がいれば、兵器としては不合格だと言うだろうな・・・最早、只のペットとしか言えない。しかも、イタチのクセにほぼ不動・・・フィリアはルックを匣に戻すと、何か考えているかの様な顔になったので尋ねてみる。
「フィリア、何か考えているみたいだけど、どうしたの?」
「私とツナはエリアボスは全て撃破したけど、ホロウ・エリアの中枢部に行くにはどうすればいいんだろう?」
そういえば、中枢部に行くにはどうすればいいんだ・・・とりあえず一旦、管理エリアに戻った方がいいかな。
「フィリア、管理エリアに戻ろうか。管理エリアの端末に尋ねてみよう。」
「そうね。管理エリアに戻りましょ。」
俺とフィリアは管理エリアに戻ると、システム端末に近付いて起動させる。
「エリアボスは全て撃破した。だから、中枢部に行く方法を教えてほしい!」
『全てのエリアボス撃破を確認。ホロウ・エリアの中枢部に行く権利を得てはいます。ただし、中枢部に行く方法は不明。すみませんがあなた方が自ら探す必要が有ります。力に成れずに申し訳ありません。』
「いや、謝る必要は無いよ。そうだね、中枢部に行く方法は自分達で探すよ。」
俺とフィリアは中枢部に行く方法は自分達で探す事にして、俺とフィリアは管理エリアに設置された転移石に触れて花園エリアに移動して家の中に入って、これからどうするか話し合う。
「とりあえず、これからは中枢部に行く方法を探す事になりそうだね。」
「そうね。中枢部はもしかしたら、今までのエリアのどこかに続く道が出来た可能性も有るし、しばらくは地道に探すしか無さそうね。でも、これまで頑張ったでしょ。少しは休んで、ホロウ・エリアを歩いて楽しむのも悪くないんじゃない?」
「そうだね。ホロウ・エリアにいる事ができるのは今だけだしね。アインクラッドに戻ったら、二度と来れないし、少しは息抜き程度に休んでホロウ・エリアを楽しむのも悪くないかもね。」
俺とフィリアはホロウ・エリアの中枢部に行く方法を探す為に、今までのエリアを見回る事にしたが、少しは息抜き程度に休んでホロウ・エリアでも生活を楽しむ事も考えた後に、俺とフィリアはベッドで眠りに着くのだった。
一方、ツナとフィリアが最後のエリアボスと戦いを繰り広げていた頃のアインクラッドでは、何故かSAO内で急に販売が開始された遊○王カードでカードゲームの対戦が行われていた。対戦の組み合わせはキリトとヒースクリフだった。しかも、対戦中はソ○ッド・ビ○ョンの様にモンスターが出る演出付き。尚、カードゲームのモンスターの攻撃でプレイヤーのHPは減らないので、ご安心を。
「キリト君。君の番だよ。」
「俺のターン・・・カードを引いても何も出来やしねえよ!!?」
キリトが叫んだ理由はこうだ。まず、ヒースクリフの場には特殊召喚を封じる大天使クリ○ティア、相手のモンスター効果を無効にするD-HERO B○oo-D、その効果で装備カード扱いにされたキリトのカードであるダーク・アー○ド・ド○ゴンの攻撃力の半分がプラスされている。更に魔法の発動を自由に無効化できるホ○スの黒炎竜LV8、罠を封じる人造人間サ○コ・シ○ッカー、それにサイ○・ショッ○ーに装備された電脳増幅装置の効果でヒースクリフの罠は無効にならない上に、ヒースクリフの場にはメンタルドレイン、ソウルドレイン、王宮の鉄壁が発動されている。結果、キリトは何も出来ないというヒースクリフの独壇場としか言えない状況だった。
「キリト君。カードを出したまえ!」
「今引いたカードである死者蘇生しか無いんだよ!!?特殊召喚封じられて出せるか!!?」
「じゃあ、君がやる事は無いのだね?」
「ああ!!俺の番は終わりだよ!」
「では、私のターン。ターンを終えよう。」
「さっさと、終わらせろ・・・デッキ切れを狙わなくとも、一斉攻撃で終わるだろ・・・」
「いや、この私の布陣を崩せる様な戦略が見たいから、君のデッキが無くなるまでは攻撃しない。」
「サレンダーしたいんだが・・・」
「いや、もう少しだけ粘ってほしい。もしかしたら、私の布陣を崩せるカードを引けるかもしれないからね。」
「絶対に無いぞ、この布陣を崩せるカードなんて・・・」
その後もヒースクリフの独壇場としか言えない状況の中、キリトはデッキのカードが切れるまで本当にヒースクリフは攻撃せずにいた。キリトのデッキが無くなると、ヒースクリフはモンスターに攻撃させる。
「では、私は追加のモンスターでカ○ス・ネク○マンサー召喚。このモンスターの攻撃力は自分の墓地のモンスターの数×300となるので、私の墓地のモンスターは18枚、よって攻撃力は5400となる。では、私のモンスター達の一斉攻撃。サイバー・ブラッド・フレイム・フラッシュ・パペットショー!」
「ちょっと待て!?オーバーキルにも程が・・・ギャアアア!!?」
キリトは今の攻撃でHPの代わりにLPが無くなると倒れた。今の対戦を見たSAOのプレイヤー達のヒースクリフに向けられる視線は痛いものだった。
「うむ、やはりこの布陣を決めて勝利すると周りの者からはドン引きされる様だね。(次はロックバーンを使う事にしよう。)」
ヒースクリフは周りから向けられる痛い視線を感じて、デッキを変えてディアベルと対戦するが、ディアベルは攻撃できずに効果ダメージのみで5ターンで倒され沈んだ。ヒースクリフの遊○王の戦略の極悪さはアインクラッド中に広まったのだった。
今回は最後のエリアボスである異界エリアのボス、テュポーンとの戦いでしたが、どちらかと言うとゼウスが目立ってしまいました。ゼウスがいたお陰でエリアボスが弱った状態だった上に、ゼウスが強くて簡単に倒せてしまった感が出てしまいました・・・まあ、仕方ないですよね。テュポーンを倒した後に、ゼウスからツナとフィリアは7つのエーテルリングと呼ばれるAランクオーバーのリングを受け取りました。これでツナの炎は現実での状態に近くなりました。フィリアの匣は最早、ペットです。おそらく、戦う姿は無いかと思います。
そして、今回も前回同様に某カードゲームのネタが出ました。ネタというよりも実物で対戦を行っていましたが、ヒースクリフの戦略が鬼畜過ぎですね。あれを突破出来る手段は探そうと思えば、有るには有るんですが・・・相手の動き次第なので、自分だけで突破する方法は無いに等しいですね・・・ディアベルとの対戦では、ロックバーンでディアベルに攻撃させずにボム・フェ○ックスにラ○ァ・ゴ○レム等で効果ダメージだけで勝利しました。本当に嫌なヤツだ、ヒースクリフ=茅場昌彦は・・・
次回は・・・ホロウ・エリアから一旦話を離れて、アインクラッドでの話とします。その話の内容は・・・あるプレイヤーから仲間の仇を取ってくれと頼まれた、ボンゴレのメンバーの一人がそのプレイヤーの頼みを受けて、そのプレイヤーの仲間の仇であるプレイヤー達を牢獄に送る為に動く。そこで、一人の少女と出会うという話となります。