ボンゴレ十代目のSAO   作:ロナード

31 / 43
今回はホロウ・エリアでは無く、アインクラッドでの話となります。主人公は誰でしょうかね?


第29話 かけがえの無い相棒

「お願いします、ゴクデラさん。俺の仲間の仇を取ってください!お願いします!」

 

「わかった!俺が絶対にお前の仲間の仇を取ってきてやる!だから、任せておきな!」

 

十代目がノイズによって、行方不明になって3ヶ月以上経った。俺は十代目を探しているんだが、一向に手掛かりすら掴めずにいた。他の攻略組じゃ49層の攻略に向かった様だが、俺は十代目を探している時に一人のプレイヤーの男から頼まれた依頼を実行しないといけない。その依頼の内容は、男が自分がリーダーを務めるギルドのメンバーと一緒にフィールドを移動していた時に、いきなりオレンジプレイヤーの集団が麻痺毒効果を持つ武器で襲ってきて、男とその仲間達の動きを封じている間に、身ぐるみを剥がされて貴重価値の高いアイテムを奪われた上に、多数のモンスターを呼び出してMPKをされて、男以外のギルドメンバーは死んでしまったらしく、かろうじて生き残った男が全財産を使って牢獄に飛ばす様に設定した回廊結晶を俺に渡すと、仲間の仇を取ってくれと言われたので引き受けてやる事にした訳だ。十代目だったら、絶対に引き受ける筈だ。だから、俺は十代目の代わりに男の仲間の仇であるオレンジプレイヤーの集団を牢獄にぶちこんでやらないとな!そう思った俺は、そのオレンジプレイヤーの集団の情報を集めていると、その集団がオレンジプレイヤーの集まるオレンジギルドの一つだと判明した。そのギルドのリーダーは少し面倒だが、何とかして本性をさらけ出させて、牢獄にぶちこんでやる!俺は、そのオレンジギルドのメンバーを牢獄にぶちこむ為に動き出すのだった。

 

 

 

35層に有る迷いの森と呼ばれる場所に一組のパーティーがいた。そのパーティーには男性プレイヤー二人と女性プレイヤー二人の計四人で構築されたパーティーだが、今そのパーティーはアイテムの分配で口論となり分裂しそうな様子だった。口論しているのは女性プレイヤーの内の一人は小竜を連れた少女で、もう一人の女性プレイヤーであるスタイルがいい大人の女性としか言えない見た目の女性だ。

 

「アンタには回復アイテムなんて必要無いでしょ。その羽付きトカゲが回復してくれるしね!」

 

「キュゥルー!!」

 

「確かにピナが回復してくれますけど、回復できる量はアイテムと比べると僅かなんですよ!それに、あなたの方こそ前衛でも無い癖に回復アイテムなんて貰っても使う時なんて、滅多に無いんじゃないですか?」

 

「ああ・・・全く、これだから困るのよ。話の解らないお子様の相手はね!」

 

「解りました!!アイテムは要りません!その代わりに、今すぐにこのパーティーを抜けますから!」

 

「ちょっと!?シリカちゃん・・・」

 

「この森は・・・」

 

「すみませんが、私はロザリアさんとパーティーを組むのは嫌なので抜けさせてもらいます!二人は私の心配はしなくて構いません。私にはピナがいますから!それではサヨナラ!」

 

シリカという少女は自分のテイムモンスターであるフェザーリドラのピナを連れて、パーティーを抜けると森の奥に行ってしまった。男性プレイヤー二人は去っていたシリカを心配していた。何故なら、この森は迷いの森と呼ばれているだけ有って、専用の地図を持っていないと中々森を抜ける事が難しく、しかも夜になるとあるモンスターが群れで出現するので、危険地帯としても有名なのだ。男性プレイヤー二人はシリカが何とか森を無事に抜ける事を祈っているが、ロザリアというシリカと口論していた女性は口元に笑みを浮かべていた。まるで自分の考え通りに話が進んだかの様に・・・その様子を遠目で見ていたゴクデラは、少し面倒に思いつつもシリカの後を追う事にした。

 

「チッ!しゃあねえな・・・どうせ、面倒事が一つ増えるぐらいだしな・・・」

 

 

ロザリアと一緒にいたくない為、パーティーを抜けてピナと一緒に迷いの森を移動していたシリカだったのだが、夜になってしまい、猿型モンスターの群れがシリカとピナを囲んで追い詰めていた。シリカは何とか一体一体を確実に倒していたのだが、徐々にスタミナが減っていき、攻撃を避けるのも難しくなっていき、シリカのHPは空前の灯火となっていた。シリカは疲れが溜まり、身体がふらつき少し倒れてしまった時、猿型モンスターがシリカにトドメをさそうとして襲い掛かってきたが・・・

 

「キュルゥー!」

 

「ピナ!!?」

 

「キュギャ・・・」

 

ピナがシリカを守る為に猿型モンスターに体当たりを喰らわせ、シリカを守ったのだが、その代償としてピナは猿型モンスターの反撃を受けてHPが尽きてしまった。シリカは急いでピナに駆け寄ったのだが、時は既に遅し。ピナはゆっくりと目を瞑ると粒子となり、シリカの目の前で消えた。

 

「ピナ・・・そんな、私のせいで・・・」

 

シリカはピナがいなくなってしまったショックで、その場に膝を付いてしまい、シリカは猿型モンスターの群れの攻撃から避ける事ができない状態になってしまう。猿型モンスターがその隙を見逃さずにシリカに襲い掛かってくる。

 

「あっ・・・」

 

「ロケットボム!」

 

シリカは自分はここで死ぬのかと思ったのだが、突然爆発音が響くと猿型モンスターの群れがどんどん粒子となり散っていく。全ての猿型モンスターがいなくなると、シリカの目の前に一人の男性が姿を見せる。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「私は大丈夫です・・・でも、ピナは・・・」

 

シリカは男の問いに答えたのだが、ピナが亡くなったショックを引きずったままだった。その様子を見た男はシリカの心情を理解したのか、口を開く。

 

「少し遅かったか・・・お前の相棒を助ける事が出来なかった様だな。すまねえな、もう少し早ければ・・・」

 

「いいえ、これは私の責任なんです。私があの時にパーティーを解消するのを森を抜けてからにするべきだったのに・・・私が間違えた選択をした事でピナが・・・」

 

シリカは自分のせいでピナが亡くなったのだと責任を感じて思い詰めた表情をしていたが、その様子を見た男がこう言う。

 

「で、泣くのか?」

 

「えっ・・・」

 

「お前の相棒がお前を助けたくて、自らの命をはってお前を守ったのに、お前はそれを悔いてメソメソし続けて泣き続ける気かって聞いてんだ。」

 

「何ですか、あなたは!!?私を慰める気が無いんですか!?」

 

「そう聞こえたなら仕方ないけどよ、お前がいつまでも責任を感じていたら、お前の相棒の行動を否定してしまうって事だと言いたいんだよ!」

 

「ピナの行動を否定してしまう・・・」

 

「ああ。お前がそのピナって言う小竜が亡くなった責任を感じて、自分の事を追い詰めていたら、ピナの行動を否定している事と同じなんだよ!」

 

「そうですね・・・ピナは私を守る為に、自分の命をはってまで私を守ってくれたのに、それを悔いていたらピナの行動を否定する事になっちゃいますね。」

 

「やっと、少しは元気が出やがったか。」

 

「はい。でも、もう少し言い方っていうモノが有るかと思うんですけど・・・」

 

「うるせえ。余計なお世話だ・・・それと、お前の相棒はまだ完全に亡くなった訳じゃねえぞ。」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ。情報によれば、テイムしたモンスターが亡くなったら、アイテム欄にそのテイムモンスターの心が追加されると聞いた。確認してみな。」

 

シリカは俺に言われた様に、自分のアイテム欄を確認するとアイテム欄にピナの心というモノが追加されていた。

 

「ピナはやっぱり・・・」

 

「だから、まだ完全に亡くなっていねえっつただろ!!」

 

「うっわ!!?」

 

「すまねえな、少し恐がらせてしまったみてえだな。」

 

男はこう言うが、シリカからすれば、いきなり番長格の不良にガンをつけられたみたいなモノだ。それほどに男の言葉と顔に迫力が有ったのだ。

 

「いえ、すみません。それで、ピナが完全に亡くなった訳ではないというのは、どういう事でしょうか?」

 

「実は使い魔専用の蘇生アイテムが有るんだよ。47層の街の南側に有る思い出の丘と呼ばれる場所にな。」

 

「47層ですか・・・そこは二週間前に攻略が終わったばかりの層じゃないですか・・・」

 

「お前のレベルがソコに行けるレベルでは無いって事か・・・」

 

「でも、お陰でピナを生き返らせる事が可能だと解りましたし、後は私が時間を掛けてレベルを上げていずれは・・・」

 

「残念だが、そのテイムモンスターの心は亡くなった日から一週間もしない内に形見となってしまうらしい。つまり、生き返らせる時間は僅かっつう訳だ。」

 

「そ、そんな・・・やっぱり私にはピナがいない状態は耐えられないです・・・だったら、いっそのこと・・・」

 

「死のうって言うのか?ふざけるなよ、ガキンチョ!」

 

「が、ガキンチョ!?ちょっと、いくら何でも女の子に言う言葉じゃないですよ!」

 

「よし、随分と元気になったみてえだな!」

 

「これは元気になったんじゃなくて、怒っているんですよ!!」

 

「へっ。お前が怒ったところで恐くは無いけどな!」

 

「この人は・・・はあっ、怒る気を無くしましたよ。解りました、死のうとは思いませんから。」

 

「そうか。なら、お前の相棒を生き返らせる手伝いをしてやるよ。」

 

「本当ですか!?」

 

「本当だよ。お前の相棒を生き返らせる手伝いをしねえと、お前がいつまでもウジウジとしていそうだから、手伝ってやるよ。」

 

「ウジウジしてませんから!!」

 

シリカは男の言う言葉に少し腹を立てたりするが、シリカは男が本当に何で自分の事をそこまで気に掛けてくれるのか尋ねてみる事にした。

 

「それで、本当はどうして私の事をそんなに気に掛けてくれるんですか?」

 

「簡単な話だ。暇だからだ!」

 

「そんな理由が一番納得できません!!真面目に答えてくださいよ!」

 

「わかったよ。お前に気を掛ける理由は何となくだけどよ、昔の俺を見ているかの様に思えたんだよ。」

 

「どういう事ですか?」

 

「そうだな。少し長くなるけど、話してやる。俺が小さなガキの頃、自分が慕っていたピアノの師と言えばいいのか、そんな女性がいたんだが、ある日にその女性が亡くなったんだ。」

 

「そうなんですか・・・」

 

「その女性が亡くなって、しばらく経った日に俺はたまたま聞いてしまった。その女性こそが俺を産んだ母親だという事をな・・・」

 

「それじゃ、今までは違う人が母親代わりだったという事ですか!?」

 

「まあ、そうなるな。その事実を聞いた俺は隠していた親父に怒りとか様々な感情が芽生えて、気付いたら俺は家を飛び出していた。その際に、腹違いの姉からは行かないでほしいと呼び止められたんだが、俺はその言葉に『母を殺した奴の家になんていれない』と言ってしまったんだ。その結果、俺は自分の力だけを頼りにして一人だけで生き残ろうと思い上がっていた。何故なら、俺を受け入れてくれる場所なんて無いと思ったからだ。その時の俺には自分の心の支えになっていたモノが無くて、俺は喧嘩して暴れまわる人生を送っていた。」

 

「心の支えになるモノが無くなって、その時から無かった・・・まるで、ピナを失った今の私に近い感じですね・・・」

 

「それから俺は何年もそんな喧嘩ばっかりして暴れまわる生活を送っていた。だけど、ある日に俺の生き方を変えてくれる人と出会ったんだ。その人は俺とは違って、優しくて少し弱気なところも有る人だった。俺は最初はその人に随分と失礼な事をやってしまった。それで、俺はその人に喧嘩を売ったんだが、俺はその喧嘩の時に自分のミスで死にそうになったんだが、その人は俺の命を助けてくれた。それに失礼な事をしたのに、その事まで許してくれた。そして、俺はその人を慕う様になった。今の俺の心の支えになっているのは、その人の事なんだ。俺は自分の全てを掛けて、その人の事を守りたい、その人にとって一番頼れる存在になりたいと思ったんだ。俺はその人と供にSAOの中を旅していた。俺はこのSAOの中でも、その人を守る為に戦うって決めている!」

 

「そうですか。あなたには心の支えになった存在が無くなっても、新たに心の支えになる存在に会えたんですね。でも、あなたには私の事よりも、その人の事を一番に思っている筈です。それなのに、どうして私の事を手伝ってくれるんですか?」

 

「俺はお前がそこまで大切に思っていた相棒が無くなるのを耐えきれそうに無いのを見て、手伝いをしてやりたいと思ったんだ。何故なら、今はその人はSAOの中で行方不明でな、俺が必死に探してもその人の痕跡が見付からないんだ・・・だからよ、お前の大切な相棒がいきなり無くなる辛さは解る。それで、お前の大切な相棒を生き返らせる手伝いをしたいと思った訳だ。」

 

シリカは男の話を聞くと、男の大切な存在は今は行方不明で、このSAOのどこにも痕跡が見付からないと言うので、その人が生きているのかも怪しくなってくる。それでも、男はその人が絶対にSAOのどこかにいる事を信じていると、シリカは理解する。男は自分が慕う人が急にいなくなったからこそ、自分の気持ちを解ってくれる人だと感じた。だからこそ、シリカは少しでも男の事を疑った自分が恥ずかしかった。シリカは今までに男性のプレイヤーから声を掛けられた時には、ほとんどの男性は邪な気持ちを持っており、中には強引に結婚を申し込んでくる様な輩もいたので、男性プレイヤーには少し苦手意識が有ったのだ。でも、今シリカの前にいる男は今までの男性プレイヤーとは違い、自分と同じ様に大切な存在が無くなる辛さを知ってるからこそ、自分の事を手伝ってくれるのだと理解する。

 

「ええと、本当にありがとうございます。本当はその人を探したい筈なのに、私の為にその時間を割いてしまって・・・」

 

「別に謝るんじゃねえよ。俺は自分の意志でお前の事を勝手に手伝ってやろうと思っているだけだ。別にお前の為に手伝ってやる訳じゃねえ。只、そのピナっつう小竜が主の為に自分の命を掛けてまで助けたんだ。俺はピナに称賛を送ってやりたいだけだ。だから、その辺は勘違いするなよ。」

 

「本当に憎まれ口ばっかり言う人ですね。もしかして、素直では無いだけですか?」

 

「もう一度言ってみろ・・・」

 

男はシリカの言葉に不満が有ったのか、笑顔なのに目が笑っていない顔でシリカの目に視線を合わせると、シリカは恐怖を感じたという。

 

「いえ、何でも無いです・・・」

 

「そうか。ならいい。」

 

男は目が笑っていない笑顔から、元の表情になるとシリカも安心したのか、ため息を吐く。

 

「はあっ・・・(怖かったです。)」

 

「そんで、今のお前のステータスだと確実に思い出の丘にいる雑魚にすら苦戦しそうだからな、ちょっと前に手に入れた防具に短剣をくれてやらぁ。」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

男はシリカに自分が持っていた防具に短剣を渡すと、シリカは渡された防具を装備すると、脇が見える赤い服でどこか露出的に思い、何故この様な装備を持っていたのかを聞こうと思ったのだが、それを口にしたら先の様に目が笑っていない笑顔をされそうなので、シリカは黙る事にした。男から渡された短剣は、今まで自分が持っていた短剣とは比べ物にならない程の性能を持っていたので一瞬レア武器なのではと思ったのだが・・・

 

「それと、その短剣は49層の街で買える短剣の中でも一番高いヤツだからな。絶対にくれたからには絶対に大事に扱えよ・・・」

 

「は、はい・・・」

 

レア武器では無い普通に売られている短剣だと解った。それでも自分より高レベルのモンスターがいる最前線である49層の武器なので強力なのは間違いない。シリカは最前線の街で売られている武器を持っていたのはどうしてかと思ったが、装備だけを見に行ったのではないかと結論付ける事にした。でも、男は槍を背中に背負っているので短剣を持っていた理由が少し気になったので聞く事にした。

 

「あの、あなたは槍使いですよね?」

 

「いや、どちらかと言うと爆弾使いだ。最近はどうも槍は只持っているだけで、飾りみたいになってきたな・・・」

 

「そうなんですか・・・それで、槍と爆弾を使うあなたが何故、短剣を買ったんですか?」

 

「買ったんじゃねえ!店のサービスであるくじ引きで当たった景品として貰っただけだ。俺はそれを包丁か何かにしようとも考えたんだが、それじゃ勿体無いから、お前にくれる事にしたんだ。」

 

「じゃあ自分で買った訳では無いという事ですよね・・・なのに、自分で買ったみたいに渡して大事に扱えよって言われるのはおかしいかと思うんですけど・・・」

 

「文句有るのか?」

 

「無いです!!?」

 

シリカはつい口を滑らせてしまい、男の機嫌を損ねてしまい、男が再び目が笑っていない笑顔を向けたので、シリカは文句は無いと答えるしかなかった。男が元の表情に戻ると、シリカは自己紹介していない事に気付いて男に自分の名前を伝える。

 

「そう言えば、自己紹介がまだでしたね。私の名前はシリカって言います。それであなたの名前は?」

 

「俺の名前はゴクデラだ。」

 

「それじゃ、よろしくお願いしますね、ゴクデラさん。」

 

「自己紹介も終わった事だし、さっさとこの森を抜けるぞ!」

 

「あっ、はい。」

 

シリカはゴクデラの後に付いてきて、迷いの森を抜ける事となった。その際、ゴクデラは匣を開口して一匹の猫が匣から出てくる。

 

「にょおおん!」

 

「ね、猫ちゃんですか!?」

 

「ああ。嵐猫(ガット・テンペスタ)の瓜だ。」

 

「何で出したんですか?」

 

「シリカ、少しはお前の不安とかを取り除こうと思ってな。それで瓜を出す事にしたんだ。」

 

「にょおおん。」

 

瓜はシリカの足下を頬ですりすりとして、甘えている感じだ。

 

「可愛いですね。」

 

「俺以外にはな・・・この様に俺が触ろうとすれば・・・」

 

「シャアアァッ!!」

 

ゴクデラが瓜を触ろうとすると、瓜はゴクデラの手を容赦なく引っ掻く。

 

「引っ掻くんだ。瓜は俺に何故かなつかないんだ・・・」

 

「ええと・・・まあ、その内に仲良くなれますよ、きっと・・・」

 

「ふっ・・・大分、長い付き合いなんだけどな・・・」

 

「ははっ・・・きっと、瓜も内心はゴクデラさんの事が好きな筈ですよ。ねえ、瓜?」

 

「にょおん、へっ!」

 

瓜はシリカの言葉を否定するかの様な態度を取る。

 

「いつかは瓜はなつきますよ・・・多分・・・」

 

「その様な日がくる事を祈るしかねえな・・・」

 

「にょおおん、にょんにょん!」

 

瓜はそれだけは絶対に無いと言う様に鳴き声を出したので、ゴクデラとシリカは少し硬直するのであった・・・

 

 

 

 

しばらくして、シリカとゴクデラは迷いの森を抜けて35層の街に着くと、ゴクデラは瓜を匣に戻した。

 

「さて、今日は宿屋で休む事にするぞ。ピナを生き返らせる蘇生アイテムを手に入れに向かうのは明日にするぞ。」

 

「そうですね。じゃあ、そうしま・・・」

 

「あら、誰かと思えばシリカちゃんじゃない。」

 

シリカはゴクデラの言う事に賛成して返事を返していたところで、シリカに声を掛けてきたのは、口論していた相手であるロザリアだった。ロザリアはシリカの周りを確認すると、小馬鹿にするかの様な笑みを浮かべると口を開く。

 

「あらら、あの羽トカゲの姿が見えないわね?どうしたのかな?もしかして、アイテムストレージにでも閉まったのかな?」

 

ロザリアはシリカの相棒であるピナの姿が見えない事に気付いて、まるでからかうかの様に質問をしてくる。シリカは内心では、テイムモンスターをアイテムストレージに閉まえない事を知っていてわざと言っていると確信していた。シリカはロザリアに向かって言う。

 

「ピナは死んでしまいました・・・でも、私は絶対にピナを生き返らせてみせます!」

 

「ふっ~ん。単なるマスコットなシリカお嬢ちゃんが、そんな大仕事が出来る訳無いじゃない。だって、シリカお嬢ちゃんのレベルだって大したモノでは無いしね!」

 

シリカはロザリアが何故、ここまで自分をからかうかの様な態度を取るのかが解らないが、さすがに我慢の限界であったが、自分がロザリアに何か言ったとしても、ロザリアは全く応えないだろう。ロザリアがまた、シリカに何か言いそうだったが、その様子に腹を立てたのか、ゴクデラはロザリアにこう言う。

 

「おい、ババア!」

 

「ば、ババア・・・ちょっと、私はまだ2○歳よ!」(※ロザリアのプライバシーを考慮して年齢は伏せさせていただきます。)

 

「へっ、確かにババアというよりも、その年齢だとオバサンとしか言えないな!」

 

「誰がオバサンだ!!?」

 

「お前だ。お前!」

 

「このチンピラ面めが・・・」

 

シリカはゴクデラがロザリアの事をババア、オバサンと呼んだ事に内心はゴクデラさん、もっと言ってやってくださいと思っている。ロザリアはゴクデラの言葉に怒りを感じたモノの何とか気を取り直して、口を開く。

 

「まあ、いいわ。あんたもどうせ、このお嬢ちゃんに頼まれたから手伝うんでしょ。止めといた方が・・・」

 

「ああん!」

 

ゴクデラがロザリアに強烈な殺気を乗せたガン飛ばしをすると、ロザリアはあまりの迫力に驚いて一旦黙るが、それでも直ぐに口を開くとこう言う。

 

「とにかく、あんたも命が欲しいなら、そのお嬢ちゃんと関わらない方がいいわよ。どうせ、あんたも見た目と違って弱いんじゃ・・・」

 

「何か言ったか、オバサン?」

 

ゴクデラが地面に思い切り槍を突き刺すと、ロザリアはその力が簡単に解ってしまった。ゴクデラが槍を刺した地面には大きなクレーターの様な穴が出来ており、ロザリアはゴクデラの実力を理解したのか、青ざめながらも喋った。

 

「と、とにかく・・・本当に命が惜しかったら、そのお嬢ちゃんと関わらない方がいいわよ。解ったわね・・・」

 

「そうかよ。で、オバサンよぉ。お前も失禁しねえ内にどこかに消えな!」

 

「ゲームの中で失禁なんてしないわよ!!」

 

こう言った後に、ロザリアは逃げる様にどこかに走り去っていた。シリカはその様子を見て、やっぱりゴクデラさんは怒らせると恐いと思ったらしい。ロザリアの姿が見えなくなった後、シリカはゴクデラと供に宿屋に入り、宿屋のNPCレストランで食事をする事にした。

 

「シリカ、好きなものを注文しな。今回だけ特別に奢ってやる。」

 

シリカは今のでゴクデラがケチだという事が解ったが、ゴクデラの機嫌が良いからなのか、ピナを失った自分に同情しているのか解らないが、今回は奢ってくれるらしいので、シリカはチーズケーキを頼む事にした。

 

「チーズケーキをお願いします。」

 

「チーズケーキな。おい、チーズケーキを2つ頼む。後、これらを混ぜて温めて出してくれ。」

 

ゴクデラがレストランのNPC店員に注文をして、しばらく待つとシリカとゴクデラの前にチーズケーキが1つずつ、少し薄めのピンク色の温かい飲み物が入ったカップが置かれた。シリカはカップに入っている飲み物の匂いを嗅ぐと、ハーブの様な清涼感を持った匂いでどこか落ち着く匂いだ。シリカはその飲み物を少し口にすると、味も清涼感が有るもので口の中が温かくなるのに、少し涼しさも出るハーブティーを飲んでいるかの様な感じだった。

 

「ええと、この飲み物は何ですか?」

 

「これか。先ほどNPCに渡した能力値を増大させるアイテムを混ぜて作った飲み物だ。今回は葉っぱ系の能力値増大アイテムを渡して、ハーブティーの様にしたって事だ。これを飲めば、攻撃力と敏捷力の数値が1上がる。数値が1上がるだけでも、戦闘に差が出るから飲んでおいて損は無いぜ。」

 

「いいんですか!?こんな貴重なものを私に・・・」

 

「いいから飲め!俺が飲めって言っているんだから、お前は遠慮しないで飲んでいればいい!まあ、飲まないって言うなら、後でその分の金を払ってもらうが、どうする?」

 

「分かりました。遠慮しないで頂く事にしますね。」

 

「そうだ。せっかく俺が奢っているんだ。だから、お前は遠慮しないでいいんだよ。」

 

シリカとゴクデラはチーズケーキと一緒に飲み物を飲んで、食事を終えるとシリカとゴクデラは会話をする。

 

「それにしても、ロザリアさんはどうして、あんなにイジワルしてくるんだろう・・・」

 

「ああ、先ほどのあのオバサンの事か。」

 

「ええ、そのオバサンの事です。ロザリアさんは私とパーティーを組んでいた時から、私にだけイジワルな事ばっかり言うんですよ。パーティーの男性はロザリアさんに魅了されているみたいで、ロザリアさんが私にイジワルな事を言っても、何一つ注意してくれませんでしたし・・・」

 

「へっ、情けねえ男共だな!大人の女の魅力に惹かれて鼻の下を伸ばすなんてな!」(※ハラスメントコードに引っ掛かり、牢獄に送られた事が有るゴクデラが言うなと思うでしょうが、暖かい目で見てあげてください。)

 

「まあ、私は男性方がロザリアさんの味方になった事は別に構わないんですけど、どうしてイジワルな事ばっかりするのかな、ロザリアさんは・・・」

 

「シリカ、お前はオンラインゲームはSAOが初めてか?」

 

「はい。そうですけど、それが何か?」

 

「なら、説明しねえとならねえな。一応聞くが、理論的に教える方がいいのか、簡潔に要点だけ伝えてくれるのとだと、どちらがいいんだ?」

 

「勿論、後者の方です。」

 

「わかった。理論的に教えるとなると、シリカが追い付きそうにないからな。要点だけ伝えるぞ。オンラインゲームって、現実では面識が無い他人と出会うのは当たり前。なら、現実では違う自分を演じてみたいと思う奴もいるんだ。その中には、悪役の様に演じる奴もいる。あのロザリアっつうオバサンもそんな奴の一人って事だろ。」

 

「なるほど、そういう事ですか。じゃあ、ロザリアさんは現実では良い人だけど、ここがゲームの中だから悪役みたいに演じている可能性が有るという事ですね。」

 

「まあ、そういう事だ。悪役みたいに演じているだけなら、まだいいんだがな・・・」

 

「どういう事ですか?」

 

「いや、今のは聞かなかった事にしてくれ。」

 

シリカはゴクデラがロザリアが悪役みたいに演じているだけなら、まだいいという言葉が気になったが、ゴクデラから聞かなかった事にしてくれと言われたので、追求するのは止める事にした。

 

「さてと、そろそろ部屋に移動して休む事にするぞ。」

 

シリカはゴクデラの言う通りにした方がいいと判断して、シリカとゴクデラはそれぞれ泊まる部屋に移動した。

 

 

 

シリカは部屋に入ると、直ぐに防具を外して下着だけの状態になるとベッドに入って眠ろうとしたのだが、ドアを叩く音が聞こえたのでドアの近くに移動する。

 

「シリカ、明日の事について少しだけ話をしようと思ってな。部屋に入って構わねえか?」

 

「ゴクデラさんでしたか。ええと、ちょっと待ってください。」

 

シリカは急いで防具を装備すると、ドアを開けてゴクデラを部屋の中へと入れた。

 

「それで明日の事についての話って、どの様な事でしょうか?」

 

「これを使って、明日向かう思い出の丘について話をしようって思ったんだ。」

 

ゴクデラは青い球体を取り出すと、その球体にマップ情報がホログラフィーで表示される。

 

「綺麗ですね!」

 

「これはミラージュ・スフィアというアイテムだ。簡単に言えば、これを使って予めに移動距離とかのシミュレーションをしようって思ってな。」

 

「うわぁ・・・難しい話をするという事ですか・・・」

 

「安心しろ。理論も叩き込んでやるからよ!」

 

しばらく、ゴクデラの理論も混ぜたシミュレーションを含めて明日、向かう思い出の丘についての話をし、やっとゴクデラの理論指導が混ざったシミュレーションが終わると、シリカは頭から煙が出る程に疲れた様子だった。

 

「さてと、明日向かう思い出の丘がどの様な場所でどの様に進めばいいか解っただろ。」

 

「はい、何とか・・・要点の部分だけは・・・」

 

「要点だけかよ!?」

 

「今の話は誰が聞いても直ぐに理解できるとは思えませんよ・・・」

 

「まあ、いいか。それよりも・・・誰だ!!先から、こそこそと盗み聞きしている奴は!」

 

ゴクデラがドアを開くと、盗み聞きしていた何者かが急いで階段を降りて転んだのか下の方で大きく鈍い音が響いた。ゴクデラは階段の下を確認するが、既に盗み聞きしていた者の姿は無かった。

 

「チッ!逃げられたか!!?」

 

「でも、ドア越しに音を聞くにはドアを叩く必要が・・・」

 

「いや、聞き耳スキルを持っていたら話は別だ。聞き耳スキルを持った奴が俺とシリカの話を盗み聞きしていやがったんだ・・・」

 

「でも、絶対に内容はあまり理解していないと思いますし、大丈夫かと・・・」

 

シリカが何故、そう思ったかというと、盗み聞きしていた何者かが転んだのは、おそらくゴクデラの理論指導についてこれずに頭の容量が限界を越えて疲れていたからだと思ったからだ。茅場昌彦ならともかく、絶対にあの内容を理解できる人間が、この世界にいる筈が無いとシリカは確信する。ゴクデラは話を終えたので、自分の部屋に戻っていた。その後、ゴクデラの話で疲れたシリカはベッドに入ると直ぐに眠りに着く。ゴクデラも自分の部屋のベッドの上で眠りに着くのであった。

 

 

 

 

一方、ゴクデラとシリカの話を盗み聞きしていた男が一人の女性プレイヤーの前に姿を現す。すると、その女性は男に盗み聞きしていた話の内容を聞く事にしたのだが・・・

 

「すみません・・・あまりにも難しく説明する奴でしたので、話の内容は全く頭に入ってはいません・・・ガクッ」

 

男は頭が容量を越えた事で、遂に身体の方にも影響を及ぼして気絶したので、女性は自分で情報を得る事にしたのであった。




今回はホロウ・エリアから離れて、アインクラッドでの話で、シリカ編と言えばいいのかな?シリカ登場の話でした。原作と比べると彼女の話が早く登場しましたが、これは原作SAOのif世界なのでタイミングがずれてもおかしくは無い筈です。ゴクデラがシリカを助けて、ピナを生き返らせる手伝いをする事になりましたが、果たしてピナを無事に生き返らせる事ができるのだろうか。

後、ツナとフィリアがホロウ・エリアで最後のエリアボスを倒して二ヶ月経った今でも、中枢部への行き方が見つかっていないので、アインクラッドではツナが行方不明になってから三ヶ月以上経っています。果たして、ツナとフィリアがアインクラッドに戻れるのはいつになるのだろうか・・・

次回は思い出の丘に向かう話となります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。