俺は今、第50層のボス部屋の前に攻略組のプレイヤー達と供に立っている。俺は朝に行われたボス攻略会議でユニークスキルなら効くと伝えたので、ユニークスキルを持ったプレイヤーは今回のボス、カオス・クェーサー・ワイヴァーン。名前が長いのでクェーサーと呼ぶ事にして、クェーサーに攻撃をして、ユニークスキルを持たないプレイヤーはユニークスキルを持ったプレイヤーの援護や回復を行う事になった。今回のボス、クェーサーとの戦いに参加するプレイヤーは血盟騎士団からはヒースクリフを含めて23人、軍からはキバオウが選別した80人以上のプレイヤー、聖竜連合からはディアベルがリンドとカイを入れた6人のパーティーだけで参加するらしい。
聖竜連合のメンバーのほとんどがカイの話を聞いて、頭に血が上ったらしく、冷静な行動が出来そうにないと判断したらしく、6人という少ない人数で参加する事にした様だ。リンドは少しは落ち着く事ができる様になったのか、少し冷静な考えで動けるとディアベルは判断してパーティーに加えたらしい。
俺はボンゴレから今回のボス、クェーサー攻略に参加させるプレイヤーに選んだのはユニークスキルが使えるフィリアとゴクデラ君にヤマモト、キリト、ユウキの6人の参加は当たり前として、後はサポートが得意そうなプレイヤーを選抜し、ボンゴレからは30人近くのプレイヤーが今回のボス攻略に参加する。後、月夜の黒猫団はメンバー5人全員が参加し、クラインの風林火山も全員が参加する。ギルドに所属していないソロプレイヤーは今回のボスの能力を聞いたのか、参加に積極的では無く、たった一人しか参加しない様だ。そのソロプレイヤーはローブを羽織っており、素顔が見えない正体不明のプレイヤーだ。名前はベル・・・まさかね・・・いくら何でも、暗殺部隊所属のあの男がいる訳が無い筈だ。たまたま同じ名前のヤツだろう・・・
ヒースクリフがボス部屋の扉に手を触れると、攻略組のプレイヤーに向けて声を発する。
「それでは、只今より、第50層のボス、カオス・クェーサー・ワイヴァーンの攻略を開始する。ツナ君からの話により、ユニークスキルを使わないとダメージが通らない相手だと解っていると思うが、ユニークスキルが無くとも全力でユニークスキルを扱うプレイヤーのサポートをして、最後まで諦めずに頑張ってほしい。私は今回初めて、皆の前で私が持つユニークスキルである神聖剣を使う事になるが、ユニークスキルを扱うプレイヤーが戦いの途中に増えても同様せずにサポートに専念してほしい。今回の戦いの最中にユニークスキルを習得した者は積極的にカオス・クェーサー・ワイヴァーンに攻撃してほしい。では、ボス攻略を開始しよう!」
ヒースクリフがボス部屋の扉を押すと、扉が開く。俺はハイパー化して、俺を含めた攻略組のプレイヤー達はボス部屋に入っていく。
「アウルォォッン!!」
ボス部屋に入ると、独特な鳴き声を出しながら、上から白い身体に黒い線の様な模様が入った見た目は美しい飛竜が急降下して攻略組のプレイヤー達の目の前に姿を見せた。これがクェーサーか・・・25層のヘル・ヒュドラより一回り大きく、強大なプレッシャーを放っている。見た目は美しいが、50層のボスに相応しい威厳を感じる。クェーサーは再び、空中に浮上すると同時にクェーサーの身体から黒いオーラの様なモノが放たれると、黒いオーラは部屋全体に広がり、俺を含めた攻略組のプレイヤーの防御力が勝手に落ちていく・・・
「な、何やコレ・・・ワイらの防御力が落ちているやないか!!?」
「コレがこのボスの恐ろしさの一つなんです・・・あの黒いオーラは触れたら防御力を落とす効果が有るらしく、そのオーラは部屋全体に広がり、避ける事が出来ないんです・・・」
キバオウが防御力が簡単に落ちていく事に驚き、カイはその能力の厄介さを知っており、黒いオーラが部屋全体に広がるので避ける事が出来ないという。説明を続けながら、少しずつカイの表情は緊迫したモノへと変わっていく。
「防御力を落とす効果だけでも厄介なのに、通常の攻撃手段は効果が無い上に、一番危ないのが回避不能の強大な熱エネルギーを部屋全体への攻撃として放ってくる事なんです・・・」
強大な熱エネルギーを部屋全体に放つとカイは説明する。非常に厄介な相手だが、何とかしてクェーサーに唯一効果が有るユニークスキル及び形態変化できる匣でダメージを与えて倒さないとな・・・クェーサーのHPゲージは5本。ユニークスキルを扱える俺を含めた7人のプレイヤーの攻撃だけで、このHPを削りきらないといけない以上、ユニークスキルを扱うプレイヤーが戦えなくなった時点で攻略不能になるので、俺を含めたユニークスキルを持つ7人は間違っても倒れない様に注意しながら戦わないとな。
「まずは俺がヤツを空中から地上の近くにまで引き寄せる。だから、援護を頼むぞ!」
「了解ッス!十代目!」
俺はクェーサーを地上に引き寄せる為に、Xグローブの推進力で空中へ浮上すると、クェーサーに死ぬ気スキルの技であるXグローブの炎を弾丸の様に飛ばすXカノンを放つ。クェーサーのHPは僅かしか減っていないが、クェーサーは俺に注意を向けたのか、口から灼熱の光線の様なブレスを俺に向けて吐いてくる。クェーサーの吐くブレスは威力が高く、俺は何とか避ける事ができたが、その威力はボス部屋の壁を溶かす程だった。今の俺のレベルでも、クェーサーの吐くブレスを受けたら只では済まないだろう。クェーサーは再び、俺に向けてブレスを吐こうとしたが、ゴクデラ君が爆撃スキルの技、ロケットボムでクェーサーに攻撃し、ブレスの発射を阻止した。今の内にクェーサーを地面に叩きつける事にしよう。俺はナッツを呼び出すと、ナッツを形態変化させる。
「ナッツ、形態変化!」
「ガオオォォ!!」
「イクスセリオン!」
「ナッツが剣と合体した!!?」
キリトは今の形態変化を見た事で驚いているらしく、それは他のプレイヤーも例外ではなく、形態変化の事を知る者以外のプレイヤー全てが驚きを隠せずにいた。その為か、ゴクデラ君が手早く説明をする。
「あれは形態変化っつう、一部の匣アニマルが使える特殊能力だ。簡単に言えば、匣アニマルが武器に姿を変えるんだ。」
「形態変化か・・・ハクも出来るのか?」
「多分、出来ねえと思うぞ・・・」
ゴクデラ君の説明を聞いたプレイヤー達は納得したらしく、クェーサーとの戦いに集中し直すが、キリトはハクにも形態変化の能力が有るのか気になった様だが、ゴクデラ君は多分無いと言った。とにかく、さっさとクェーサーを地面に叩きつけるか。
「いくぞ!片手剣と死ぬ気の混合ソードスキル、フェニックス・クルセイダー!!」
俺は[フェニックス・クルセイダー]を放つと、クェーサーに命中してクェーサーのHPの1本目が空になり、2本目の3割まで減る。やはり、俺のレベルが高い事とAランクオーバーのエーテルリングの力が高い為か、クェーサーに絶大な大ダメージを与えられた。クェーサーは[フェニックス・クルセイダー]の威力で地面に叩きつけられたので、攻略組のプレイヤー達は一瞬攻撃したが、クェーサーに本当にダメージが通らないと解ると、ユニークスキルを持つ者に攻撃を任せた。俺も攻撃に参加したいが、前の戦いで白夜の炎を使った事による身体への負担が未だに残っているので、直ぐに動けそうにないので、他の6人に地面に叩きつけられたクェーサーの攻撃を任せる事にした。
「ツナ君のお陰で出来たチャンスだ。では、使わせてもらおう。神聖剣のソードスキル、ゴスペル・スクエア!」
まず、ヒースクリフが動き神聖剣のソードスキル[ゴスペル・スクエア]を繰り出す。神聖剣のソードスキルは剣での攻撃だけでは無く、ヒースクリフが持つ大盾でも攻撃する様だな。まるでキリトの二刀流だ。剣だけではなく、盾にも攻撃判定が有るんだからな。ヒースクリフの攻撃が終わると、ゴクデラ君が瓜を呼び出す。
「いくぞ、瓜!形態変化だ!」
「シャアアァァッ!!」
「Gの弓矢(アーチェリー)!」
「ゴクデラ君の瓜も形態変化出来たんだ・・・」
ゴクデラ君は瓜を形態変化させると、瓜が変化した姿であるGの弓矢を構える。アスナはゴクデラ君も俺同様に形態変化を使えるとは思っていなかったらしく、驚いている。尚、ゴクデラ君には嵐のエーテルリングを渡しているので、Gの弓矢の威力も絶大かもしれない。
「喰らいやがれ!!赤竜巻の矢(トルネード・フレイムアロー)!!」
ゴクデラ君が放つトルネード・フレイムアローがクェーサーの身体を貫くと、クェーサーのHPが2本目の8割まで減る。やっぱり、俺がチートなだけなのか・・・これが普通なのかもしれない・・・
「でも、このボスにはユニークスキルしか効かないんじゃ無かったのか?」
「リンド、おそらく形態変化による攻撃もユニークスキル同様に効果が有ると思う。だから、ゴクデラ君の攻撃も効いたんだよ。」
リンドはゴクデラの攻撃がクェーサーに効いた事に驚いていたが、ディアベルがユニークスキルでは無くとも、形態変化による攻撃なら効果が有るのではないかと説明した。ゴクデラ君に続いて、ヤマモトも小次郎と次郎を呼び出し、次郎の持つ三本の小刀を手に持った。
「いくぜ、小次郎。形態変化!朝利雨月の変則四刀!」
「ヤマモトの小次郎という名前の燕も形態変化するのか・・・」
ヤマモトの持つ刀と小次郎が合体し一つの長刀になると、オボロが驚いていた。
「時雨蒼燕流、総集奥義、時雨之化!」
ヤマモトは小刀三本から炎を噴出してクェーサーに向かって高速で移動すると、時雨蒼燕流の全てのまとめである総集奥義である時雨之化を繰り出した。ヤマモトが高速で動き様々な角度から連続攻撃し、クェーサーのHPは3本目の2割まで減っていく。思ったより、簡単にHPを削れているな。まるでクェーサーは、わざと攻撃を受けている様な・・・俺はクェーサーの身体を見て気付いた。クェーサーの身体に有る黒い線が赤く光っている事に・・・
「ヤマモト!それに他の皆もソイツから離れるんだ!!」
『えっ!?』
俺は皆にクェーサーから離れる様に言った瞬間だった。時は既に遅しだったのか、クェーサーの身体から赤い灼熱の熱エネルギーがボス部屋全体に放出され、俺を含めた攻略組のプレイヤー達はクェーサーの全体攻撃である[リベリオン・プロミネンス]を受けてしまった。その威力で俺はボス部屋の隅っこにまで吹き飛ばされ、俺のHPは半分減ってイエローゾーンになっている。おそらく、全体攻撃はクェーサーが受けたダメージに比例して威力が上がるカウンター技でも有ったのだろう。周りを確認すると、その場で倒れ気を失った攻略組のプレイヤーの姿が有った。それにプレイヤーの数が少し減っている事に気付くと、フィリアが俺の側に来て声を掛けてきた。
「ツナ。今のが、カイの言っていた全体攻撃で間違いないわね・・・私はツナと同じレベルだから、イエローゾーンに入っただけで済んだみたいだけど・・・」
「他のプレイヤーはどうなったんだ・・・」
俺はフィリアに他のプレイヤーがどうなったのか尋ねると、フィリアは暗い表情をしながら口を開く。
「今ので血盟騎士団のメンバーが8人が死んでしまったみたい・・・軍は遠い位置にいたお陰で以外と犠牲が少なく済んだんだけど、それでも10人は死んだわ・・・風林火山に月夜の黒猫団と言った少数メンバーのギルドは幸い犠牲者がいないわ。でも、皆がレッドゾーンに突入していて気を失っているわね。聖竜連合はリーダーであるディアベルとリンド以外のカイを含めた4人のメンバーは死んだわ・・・」
「そうか・・・ディアベルの判断で聖竜連合の参加人数を減らした事が吉に出た様だが、簡単に割り切れないな・・・ボンゴレのメンバーはどうなった・・・」
「ボンゴレのメンバーはゴクデラがとっさにシールドを使って防いだ事で、死んだプレイヤーは幸いいないわ。でも、皆のHPがレッドゾーンに入っているからピンチに変わりは無いわ・・・また、全体攻撃を受けてしまったら今度こそ皆が死んでしまうわ・・・」
今の全体攻撃で攻略組のプレイヤーが22人死んだのか・・・しかも、生き残ったプレイヤーもHPがレッドゾーンに入った者ばかりなので、また全体攻撃を受けてしまったら、今度こそ皆が死んでしまう。それを阻止する為にも、俺は再び空中を飛び回るクェーサーの注意を引く事にした。
「フィリア、何とかして生き残ったプレイヤーのHPを回復してくれ。俺はクェーサーの注意を引く。その間に出来るだけ多くのプレイヤーのHPをポーションを無理にでも飲ませて回復させてくれ!」
「わかったわ!」
「十代目・・・俺もフィリアと同じように、皆のHPを回復させます。だから、気を付けて下さい十代目!」
「ははっ。さすがに今のは危なかったしな。俺もフィリアとゴクデラと一緒に生き残ったプレイヤーの回復に専念するぜ。ツナ、気を付けてくれよ!」
俺はフィリアに生き残ったプレイヤーのHPの回復を任せると、ゴクデラ君とヤマモトが意識を取り戻すと二人もフィリアと協力して生き残ったプレイヤーの回復をする為に動く。俺はクェーサーの注意を引く為に空中に浮上すると、クェーサーに向けて片手剣と死ぬ気の混合ソードスキル[ドラグーン・サラマンデラ]を繰り出し、炎の龍神をクェーサーに向けて飛ばす!クェーサーは炎の龍神に向けて、灼熱のブレスを吐いて、炎の龍神を迎え撃つ。炎の龍神はクェーサーの吐いたブレスと相殺して消滅したが、俺は直ぐ様に再度[ドラグーン・サラマンデラ]を繰り出して、新たな炎の龍神を飛ばす。クェーサーは新たに出現した炎の龍神を迎え撃つ為にブレスを吐いて炎の龍神を相殺させて消滅させると、俺が直ぐに[ドラグーン・サラマンデラ]を繰り出して、炎の龍神を出現させる。これを繰り返す事で、フィリアとゴクデラとヤマモトの三人がプレイヤーの回復を行う時間を稼ぐというループによる時間稼ぎだ。
「しっしし・・・随分と見た目だけ派手なだけの地味な方法で時間を稼いでる様だな。でも、お前が倒されたらどうする訳?俺だったら、もう少し利口な方法で時間を稼げるけど。だって俺、王子だもん。」
この声は・・・今回のボス攻略に参加した唯一のソロプレイヤーである男、ベルからだ。この声に独特な笑い方、そして自分が王子だと言う者は俺が知ってる限りでは一人しかいない。ソロプレイヤーの男はローブを脱ぎ捨てると、素顔を見せた・・・いや、目元だけは前髪で見えないが、やはり、このソロプレイヤーであるベルの正体は・・・
「やはり、お前か!ベルフェゴール!!」
「しっしし、久しぶりじゃん!今回は王子も暇だから、参加してやったんだぜ。有り難く思いな!後、俺のプレイヤーネームはベルな。その名前で呼ぶのは御法度だから、気を付けな!」
ベルフェゴール、いやベル。ヴァリアーのメンバーである、この男がSAOにいた事が驚きだが、いたなら攻略に参加して欲しかったのだが・・・この男の思考は解らないので、別に攻略に参加せずにいたとしても構わないのだが・・・何故、SAOにいるんだ?
「しっしし、ボスに頼んで有給休暇を貰って寿司を食いに日本に来たら、面白そうなゲームが有ったから、ゲームを購入した奴のナーブギアと一緒にSAOのソフトを強奪して、このゲームに参加したんだ。まあ、出られない上に、HPが0になったら現実でも死ぬって聞かされても、それで?としか思わなかったし!だって俺、王子だもん!」
聞いてもいないのに勝手にSAOにいる経緯を話してきたが、強奪って・・・思い切り犯罪だろ!?まあ、ベルにナーブギアとSAOのソフトを強奪された人は強奪されて良かったと思っているかもしれないがな・・・
「テメエ、ナイフ野郎・・・SAOにいたなら、少しでも前から手伝いやがれ!」
「しっしし、相変わらず頭に血が上りやすい嵐の守護者だな。お前がどう思おうが俺には関係ないし、だって俺、王子だもん!」
ゴクデラ君はベルの顔が見えた瞬間に少しでも前から攻略の手伝いをしろと言うが、ベルには軽く流された。ゴクデラ君はベルに少しムカついた表情をしながらも、プレイヤーの回復に戻った。
「しっしし、俺が時間を稼いでやるよ。だから、お前も回復しておきな!」
「そうか。本当に任せていいのか?」
「王子に任せて、お前は回復しておきな。王子である俺はこの通り、ぴんぴんしてるしな。あそこの血盟騎士団の団長程じゃないけどな。」
ベルがこう言っているので、ベルにクェーサーの注意を引いてもらう事にした。俺はポーションを飲んでHPを回復させると、ヒースクリフを見るとヒースクリフは回復していないのにHPがグリーンゾーンをキープしており、落ち着いた表情をしながら他のプレイヤーの回復に専念している・・・おかしい、どう考えても変だ。レベルが100を超えた俺とフィリアですら、イエローゾーンになる程の威力を持ったクェーサーの全体攻撃を受けて五体満足の上にグリーンゾーンをキープしているのは、明らかに変だ・・・何故、気付かずにいたんだ。俺を含めた誰もが、ヒースクリフのHPがイエローゾーン及びレッドゾーンになったのを見た事が無い。しかも、クェーサーの全体攻撃を受けて今、この場のプレイヤーのほとんどが全体攻撃への恐怖や焦りを感じているのに対し、ヒースクリフは平然とした落ち着いた表情をしている。まるで、自分だけは何が有っても死なないかの様に・・・俺はヒースクリフの正体に気付いたが、今はクェーサーを倒す事に専念しよう。ヒースクリフの正体を確かめるのは後にするべきだ。
「しっしし、開口!嵐ミンク(ヴィゾーネ・テンペスタ)!」
「ギイッ!」
俺がヒースクリフの正体に気付き始めたところで、ベルは匣を開口して嵐ミンクを呼び出した。相変わらず可愛くないミンクだな・・・主人に似て、顔が前髪?で隠れて見えないしな・・・
「いくぜ、ミンク!形態変化!」
「ギイィィッ!!」
「ナイフ野郎の可愛くないミンクも形態変化が出来るのかよ・・・」
俺もゴクデラ君と同様に驚いたよ。まさか、ベルのミンクが形態変化するとは思いもしなかった・・・
「しっしし、赤熱の羽衣(バーニング・ストール)!」
ベルのミンクが形態変化してなった姿は赤い羽衣だ。一見すると武器には見えないが・・・
「しっしし、その翼燃やしてやるよ!」
ベルはヴァリアークオリティでボス部屋の壁をまるでロッ○マンXの様に蹴りながら上昇していくと、思い切り壁を蹴りあげて、空中のクェーサーの近くにまで飛ぶと、ミンクが変化した姿である赤熱の羽衣をクェーサーに擦り付けた。
「燃えな!赤熱地獄(バーニング・プリズン)!」
ベルが羽衣をクェーサーの身体に擦り付けると、クェーサーの身体全体に嵐属性の炎が広がっていく。
「しっしし。これが赤熱の羽衣の力だ。この羽衣で擦り付けた部分には強烈な嵐属性の炎で燃え出すのさ!嵐属性の分解のお陰で擦り付けた部分は跡形も無く、燃え尽きるのさ!まあ、ボスだから簡単には燃え尽きる事はねえだろうけど・・・」
見かけと違って、恐ろしい武器だな・・・羽衣って、そうやって使うモノだったけ・・・クェーサーは嵐属性の炎で燃えながら、地面に墜落すると嵐属性の炎を振り払い、今のでクェーサーのHPは3本目の5割まで減ったのだが、クェーサーはベルを血走った眼で睨み付ける。
「やべっ・・・凄く怒っていやがるな、コレ・・・」
「逃げろナイフ野郎。」(※ゴクデラは棒読みで言っています。)
「助ける気無いだろ、お前・・・」
クェーサーはベルに向かって、ブレスを吐いて攻撃してくるが、ベルは人間業では無い動きでブレスを飛び越えて避けると、クェーサーの頭に乗ると再び赤熱の羽衣を擦り付ける。
「しっしし。今度は翼が使えない様にしてやるよ!」
ベルが赤熱の羽衣を擦り付け、クェーサーの身体が再び嵐属性の炎で燃え出すと、ベルはまたもや人間業とは思えない動きでクェーサーから飛び降りると、赤熱の羽衣をミンクに戻すとミンクを匣に戻した。クェーサーは再び嵐属性の炎を振り払うが、クェーサーの翼は最早使い物にならなくなっていた。それにクェーサーのHPは3本目の8割まで減っている。
「しっしし、トカゲの翼を使い物に出来なくしてやったぜ!俺は十分に活躍したし、後は任せるからな。俺は休憩するからさ。だって俺、王子だもん!」
ベルはもう動く気は無い様だが、十分に時間を稼いでくれたので俺はクェーサーに向けて大技を放つ準備をしていた。
『炎圧150万FV!ゲージシンメトリー、発射スタンバイ!』
「では、いくぞ!X BURNER!」
俺はX BURNERを放ち、クェーサーに命中させるとクェーサーのHPは一気に5本目の1割にまで減った。
「グッ・・・す、すまない。俺はホロウ・エリアでの戦いの負担が未だに残っていて、思う様に身体を動かすのが少しだけだが難しくなっているんだ・・・すまないが、後は頼む・・・」
「任せておいて!僕が翻弄するよ!神速のソードスキル、プラズマ・インパルス!」
ユウキが神速のソードスキル[プラズマ・インパルス]を繰り出すと、電光石火の如く目にも見えないを通り越して、目にも写らない速さでクェーサーを切り続ける。
「よし、再びいくぞ瓜!ガトリング・アロー!」
「俺も続くぜ!時雨蒼燕流 攻式八の型 篠の突く雨!」
「神聖剣の最上位ソードスキル、アカシック・アーマゲドン!」
「手裏剣術、月光!」
「二刀流の裏の上位ソードスキル、ナイトメア・レイン!」
「神速の上位ソードスキル、シャイニング・レボリューション!」
ゴクデラ君は瓜が形態変化したGの弓矢で放つ技ガトリング・アロー、ヤマモトは小次郎と刀が一体化した長刀を使い、時雨蒼燕流の攻式八の型である篠の突く雨を、ヒースクリフが神聖剣の最上位ソードスキル[アカシック・アーマゲドン]を繰り出し、フィリアは相手の防御力を落とす手裏剣術の[月光]を使い、キリトは16連撃を誇る二刀流のソードスキル[ナイトメア・レイン]、ユウキは神速のソードスキル[シャイニング・レボリューション]を繰り出すと、クェーサーのHPが遂に5本目の9割にまで減ったが、クェーサーの身体から再び赤い光が発光し始めていた。
「まずい!?また、全体攻撃が・・・しかも、あの全体攻撃は受けたダメージに比例して威力が上がる可能性が高い・・・今、喰らったら・・・」
「させないわ!手裏剣術のソードスキル、影縛り!」
俺はクェーサーが再び全体攻撃を放とうとしたので焦ったが、フィリアが手裏剣術の[影縛り]を使い、クェーサーの動きを封じ込めた。クェーサーの動きが封じられた事に気付いたキリトがトドメを刺す。
「二刀流の表の上位ソードスキル、スターバースト・ストリーム!」
キリトが二刀流の上位ソードスキル[スターバースト・ストリーム]を使い、美しくも絶大な威力を誇る16連撃がクェーサーの身体を切り裂いていくと、クェーサーは粒子となり散っていた。
「や、やったのか・・・」
「ああ。この戦いは終わった。俺が手に入れたLAボーナスのこの黒い片手剣であるエリュシデータこそがその証だ!」
「本当に勝ったのかよ、全くキリトよぉ。最後に美味しいところを持っていくんじゃねえって!」
クェーサーを倒せた事に攻略組のプレイヤー達が喜んでいる。キリトが手に入れたLAボーナスであるエリュシデータという黒い片手剣こそがその証だが、皆が喜ぶ中で俺はヒースクリフに近付いていく。
「ヒースクリフ。今回の戦いはどう思う?」
「そうだね、ツナ君。今回の戦いでは25層以来に犠牲者が多く出てしまった。だからこそ、今回の戦いでの反省点を今後の攻略に活かすべきと私は思う。」
「そうか・・・」
ヒースクリフは話を終えたと思ったのか、俺に背を向ける。俺はヒースクリフに気付かれない様に、ヒースクリフの背中を斬りかかった。すると、ヒースクリフに剣が当たる直前で圏外であるのに関わらず、圏内でしか発生しない障壁が展開され、俺の剣が弾かれると同時にヒースクリフの上にイモータルオブジェクトという表示が出た。イモータルオブジェクト、つまり不死属性をヒースクリフが持っていた。その事実に驚いたアスナは戸惑いを隠せずにいた。
「システム的不死・・・どういう事ですか。何故、団長がそんなモノを・・・」
「簡単だ。アスナ、それと他の皆も聞くんだ。ヒースクリフ、この男は茅場昌彦だ!」
「ヒースクリフはんが、茅場昌彦やと!!?」
「ツナ君の話が本当だとしたら、僕達はデスゲームを作り出した男と一緒に戦っていたという事になる・・・」
「それが本当だとしたら、ムカつくぜ・・・カイの仲間の死も、今までのプレイヤー達が死んだのも、全てがコイツも仕業って事かよ!?」
俺がヒースクリフの正体を茅場昌彦だと話すと、キバオウは驚き、ディアベルはデスゲームを作り出した男と一緒に戦っていたのかと皮肉な思いを感じ、リンドは今までのプレイヤー達が死んだのもヒースクリフが原因だと思い怒りを見せる。その様子を見たヒースクリフは相変わらず、落ち着いた表情をしながら軽く拍手をし、攻略組のプレイヤーに向け声を発する。
「ツナ君の言う通りだよ。私こそが茅場昌彦だ。このアバターは最初の頃に配った手鏡を使っていないのでね、いわゆる偽りの姿だよ。そう、私こそが茅場昌彦だよ。」
「よくも、我等の忠誠心を・・・」
「弄んでくれたな・・・」
「許さんぞ、茅場!!」
「この戦いで死んだ血盟騎士団の8人に死んで詫びろ!!」
血盟騎士団のメンバー達のほとんどが自分達を騙していたヒースクリフこと茅場昌彦に怒りを見せて、襲い掛かっていくが、この場の全員が強制的に麻痺状態になり、ヒースクリフ以外に動ける者はいなかった。
「すまないが、今の諸君らは私と戦う時では無いのだよ。」
「逃げるのか、茅場!!」
「ゴクデラ君。それは誤解だよ。私は第100層のボスである身でね。いわゆるラスボスという訳だよ。」
「悪趣味だな・・・最強のプレイヤーの一人が、実は最凶のラスボスだったという訳か・・・」
「まあ、そう邪険に扱わないでほしいね、スワロフスキー君。」
「待て、俺達を麻痺状態にしているのに関わらずに誰も殺そうとはしないのかよ・・・」
「オボロ君。私は無抵抗な者を殺す趣味は持っていないのだよ。だから、その麻痺状態は私がこの場からいなくなれば解けるよ。」
「ヒースクリフ・・・いや、茅場昌彦。俺と戦え!俺が勝ったら・・・」
「ツナ君。残念だが、今はその時では無いのだよ。今の君はとてもじゃないが満足に動ける状態じゃないからね。だから、そうだね・・・第75層のボスを倒した時に再び私は姿を見せる事にしよう。その時に、ツナ君かキリト君のどちらかに私と一対一で戦うチャンスを与える事にしよう。勿論、不死属性を解除して戦うから安心したまえ。それでは私は第100層で諸君らを待つ事にしよう。去らばだ!」
ヒースクリフはそう言い残すと、俺達の目の前から姿を消したのであった・・・
その後、第51層のアクティベートを済ませた後にヒースクリフが抜けた今、血盟騎士団の今後をどうするか検討していた。血盟騎士団の団長権限はヒースクリフからアスナに移っていた。アスナは団長権限を使って血盟騎士団の全メンバーにヒースクリフの正体と脱退を通達した。すると、血盟騎士団のメンバーのほとんどは脱退を宣言したので、アスナは血盟騎士団をやむを得ず解散させる事にした。
「仕方ないかな・・・血盟騎士団は団長、いや茅場のカリスマで纏まっていたし、私だけでは役不足だし、血盟騎士団は解散してしまったし、私は血盟騎士団の副団長をやっていたし、サポートが利くと思うから私はボンゴレに加入しようと思うけどいいかな?」
「そうだね。俺はアスナをボンゴレに加入する事を承認するよ。」
「ありがとう、ツナ君。それでアルス君はどうするの?私や他の血盟騎士団の元メンバー達と同じ様にボンゴレに加入する?」
「僕はツナさんの下で働くのだけは御免なので、お断りします!」
「俺もアルスをボンゴレに入れるのはお断りだ!」
「ですので、僕は軍に加入しますよ。シンカーさんはお人好しそうですし、人生経験が豊富そうですしね。」
アスナはボンゴレに加入し、血盟騎士団の元メンバーのほとんどもボンゴレに加入した。アルスは軍に加入する様だが、軍のメンバーが嫌がるだろうな・・・一応ベルにもボンゴレに加入するか尋ねたが断れた。ベル曰く、『俺を従える事が出来るのはボスだけだし!』というので、ベルは今後ともソロでやっていく事だろう。まあ、ベルはソロでも十分に平気だろうし、余計なお世話だったかな・・・クラディールはクレセリアホークの肉を運が良かったのか10個取ってきて戻って来て、アスナが加入したという理由でボンゴレに加入しようとしたが、アスナが丁重に断り、クラディールはアスナに対し、今までに無い視線を向けた後にどこかに去っていた。その時のクラディールの目はヤバかった。抑えてはいたが、明らかに殺気が込もっていた。クラディールはもしかすると・・・考えただけで恐ろしいな。今はクラディールが発狂してアスナに斬りかかってこない事を祈るしかない。
これからはヒースクリフ、いや茅場昌彦ともう一度会う為にも第75層のボスを倒す事を目標に進めていこう。
今回は50層のボス攻略でしたが、いかがでしたか?それと、リボーンのキャラからベルフェゴールが登場しましたが、彼はSAOの中でも相変わらずですね。
それと、ヒースクリフの正体が原作より早めに茅場昌彦だとツナによって判明する事になりましたが、ヒースクリフは今は戦う時では無いと言い、第100層へと姿を消しました。その後、血盟騎士団は解散し、アスナや血盟騎士団の元メンバーのほとんどはボンゴレに加入し、アルスは軍に加入、他の血盟騎士団のメンバーはソロか他のギルドに加入していきました。
次回はどうするかは秘密でお願いします。