俺とゴクデラ君とヤマモトはキリトとクラインと一緒にモンスターと戦い続けて、ソードスキルの扱いも大体分かってきたし、レベルも上がっていた。そして、気付けば夕方になっていた。ここでクラインが、
「おっと。実は現実でピザの宅配を頼んでいてな。そろそろ来る時間だからさ、俺は落ちるぜ!」
と言う事らしい。
「へえ。クラインって、ピザ好きなんだな。でも落ちるってどういう事だ?」
「ああ。ヤマモト。落ちるってのはな、ログアウトするって事さ。別に飛び降り自殺するとかって意味じゃないぜ。
そういう訳で俺はここで一旦落ちるけどよ、キリト、それにツナ達も都合がよけりゃ夜にもう一度会ってくれねえか?
お前らに俺の仲間を紹介したいんだ。どうだ、無理なら、遠慮なく無理って言えよな。」
クラインの仲間か。俺としては会ってみたいし、リボーンにも話しとけば平気だろうから俺は、
「俺は会ってみたいな。クラインが世話になったって言いたいしね。」
と返事を返した。ゴクデラ君とヤマモトも俺の意見に同意の様で、
「十代目がそう言うんなら、俺もクラインの仲間に挨拶ぐらいはしておく事にします。」
「そうだな。俺もクラインの仲間には世話になったってお礼を言わないとな。」
クラインにそう伝えた。
「そうか。ツナ達は会ってくれるんだな。で、キリトはどうする?」
「すまない。俺は・・・」
キリトは人と会話するのが苦手だと聞いたし、今回はかなり無茶をかけただろうし、キリトがクラインの仲間に会おうという気持ちは出ないのは仕方ないのかもしれない。
「でも勘違いしないでくれ。俺はクライン、ツナ、ゴクデラにヤマモトとは普通に話せるからな。だから、もし良ければ明日、もう一度俺とパーティーを組んでくれないか?」
「何言ってるんだよ。キリト。俺はお前の事をとっくに仲間だと思っているさ。そうだな。俺の仲間達とは何時か絶対に会わせるとして、俺は何時でもパーティーなんざ組んでやるさ。ツナ達も同じ気持ちだと思うぜ!」
「そうだよ。キリト。俺達はとっくに仲間だよ。だから、明日また会おうね!」
「そう言う事だよ。十代目と俺にヤマモトもお前の事は仲間だと信じているからな。まあ、都合がよけりゃ何時でも力を貸してやるよ。」
「そうだぜ。キリトはとっくに仲間なんだよ。友達なんだって。」
「お前らは俺の事を仲間だと思っているのか。何か照れくさいな・・・」
キリトが俺達の言葉を聞いて照れていた。
「やべえ!? 本当にそろそろ落ちねえと、ピザが冷めちまって不味くなるな。今度こそ、落ちるぜ。じゃあな!」
クラインがそう言って、ログアウトする為にメニューを開いた。そうだな、夕飯の時間が近付いたし、俺もそろそろログアウトしとくかな。
俺もメニューを開いてログアウトしようと思った時だった。
「おい、キリト!? ログアウトの項目が見当たらないぞ!?」
クラインの口からは絶対に出てはいけない言葉が出ていた。ログアウトの項目が無い・・・そんな事が会ったら、今後のSAOに対しての信頼に関わる問題だぞ。
「おい、クライン。本当によく見たのか? 有るって。俺もβテストではそうやってメニューからログアウトの項目を選択して落ちたんだ。無い訳が・・・」
「キリト。クラインの言ってる事は本当だよ。俺のメニューにもログアウトの項目なんて見当たらない・・・」
そう。俺のメニューにもクライン同様にログアウトの項目が見当たらなかった。
「十代目とクラインの言う通りッスね。俺の方にもログアウトの項目が有りません。」
「ああ。本当にログアウトの項目が見当たらないな。俺のメニューにも無かったぜ。キリトにはログアウトの項目が有るか?」
ヤマモトが言うとキリトがメニューを開いて確認した。すると、やはりキリトの方にもログアウトの項目が見当たらない様だった。
それにメニュー以外からログアウトするにはゲームマスターがそういう処置をするしか方法が無いらしい。俺達はゲームマスターコールをしたが返事が一切帰ってこなかった。
「仕方ない。現実にいる家族にナーブギアを無理矢理、外してくれるのを待つしかないな。俺の家には母親と妹がいるから、そろそろ様子を見に来る筈だ。お前達はナーブギアを外してくれる人はいるか?」
「俺は一人暮らしだから、外してくれる奴なんていないな。ピザ屋は俺の部屋に入る訳でも無いしな・・・」
「俺は家には母さんの他に居候が5人いるから、一人は外しに来るかもしれないけれど・・・」
「俺もクライン同様に一人暮らしだからな、外しに来る相手はいないな。」
「俺ん家は親父一人だけどよ。俺ん家は寿司屋だから親父は仕事が終わるまでは外しに来る事は無いな。」
どうやら、最終手段は現実の方からナーブギアを無理矢理、外してくれるのを待つしか無い様だ。
少し時間が経っても、現実の方からナーブギアを外される事も無く、時間だけが過ぎていく。
そんな時、ゴーン!と鐘の音が響きだした。すると、俺の視界が真っ白になった。
俺は気が付くと、始まりの街の広場にいた。どうやら、ゴクデラ君にヤマモト、キリトとクラインも俺と同じ様な事で飛ばされたのだろう。
それに周りには俺達以外のプレイヤーもいた。どうやら、このプレイヤー達もいきなり始まりの街に飛ばされた様だ。
それに、俺達と同じくログアウト不能という問題もこの場のプレイヤー全てに起きているらしい。
「十代目。どうやら俺達以外にもログアウト出来ない様子ですね。おそらく、ゲームマスターが謝罪する為に全プレイヤーをこの場に集めたんじゃないッスか?」
確かにゴクデラ君の言う通りかもしれない。だが、さっさと全員をログアウトさせた後にテレビで謝罪する方が普通だと思う。
何か、嫌な予感がしてくる・・・
「おい、なんだよありゃあ。・・・空が真っ赤に!?」
クラインが言う様にいきなり空が真っ赤に染まっていく。空にWARING!の文字が浮かぶ。
「WARING! 警告って意味ですね。」
ゴクデラ君から説明された。ありがとうゴクデラ君。どういう意味か全然理解できなかったから助かったよ。
その警告の文字が浮かぶ空から真っ赤なローブを纏う巨人が降りてきた。
そして、その巨人が話しだした。
「全プレイヤー諸君。初めましてと言っておこう。私は茅場昌彦だ。今、唯一SAOをコントロール出来る人間だ。」
茅場昌彦だと!? 確かにSAOは茅場が作ったゲームだからゲームマスターを勤めていてもおかしくは無い。だが、何なんだ。茅場から感じる異様な雰囲気は・・・ とにかく、今は茅場の話を聞こう。
「諸君らは全員が気付いていると思うが、メニューにログアウトの項目が見当たらないだろう?
実は、それはエラーでもバグでも無い。それこそがSAO本来の仕様なのだよ。」
ログアウトが出来ない事がSAO本来の仕様だと!? これは簡単に言えば監禁だぞ。茅場は一体、何を考えているんだ・・・
「何故、ログアウト出来ずに現実世界に帰れない様にしたのか気になるだろう。諸君らは、私がテロ目的か身代金の要求。と言った目的が有ると思っているだろうが違うのだよ。何故なら、この状況こそが私の目的だったからだ。私の目的は達成した。
よって、今の私には目的は無いと言った方が正解なのだ。」
目的が無いだと・・・ ふざけるなよ、茅場!
お前がやっている事は犯罪だ。この場合は監禁罪で会っているかは解らないけど、俺はお前を許さない!
「それでは、このゲームからの唯一の脱出方法を教えるとしよう。プレイヤー諸君はそれぞれの階層に有る迷宮区を発見次第に攻略してボス部屋を発見してボスを倒して次の階層に進むという手順を繰り返し、最終的に第100層をクリアすれば、その瞬間に全プレイヤーが現実世界に帰る事ができる。」
第100層までをクリアしろだと・・・ βテストではマトモに登れたのは第6層までと聞いた。時間がかなり掛かるな。
「そうそう、次はプレイヤー諸君にはここが現実世界と変わらないと言う事を教える為に私からプレゼントを送ろう。」
茅場がそう言うと、俺にアイテムが届いた。俺以外のプレイヤーにも茅場からのプレゼントが届けられたらしく、全プレイヤーがメニューを開いてアイテムをオブジェクト化させた。
これは手鏡か? 俺は手鏡に自分の顔を移すとアバターである茶髪の短髪の少年の姿だ。
「うん。いつ見ても俺のアバターは完璧な仕上がりだな。」
「空気を読め、趣味悪バンダナ!」
「んだと!てめえ!」
クラインが空気を読まないナルシスト発言をした為に、ゴクデラ君が流石に呆れて趣味悪バンダナと言った事で衝突し始めた。
二人供、今はそんな事をしてる場合じゃないと思う・・・
俺はもう一度、手鏡に自分の顔を移す。すると手鏡が光った。
そして、手鏡に移った顔はアバターの顔では無く、現実世界での沢田綱吉の顔だった。
「おい、お前はツナか?」
「え?まさか、クライン!?」
どうやら、この場の全プレイヤーが現実の顔に成ったらしく、体格も現実のモノに成ったらしい。周りを見るとスカートを履いた男性プレイヤーが複数いる。おそらく、いわゆるネカマだろうな・・・
ってか、クラインの顔って野武士面だったのか。趣味悪バンダナと相性抜群で笑える・・・
「おい、ツナ?何を笑っているんだ?」
「そりゃあ、十代目はお前のヒゲ武士面に笑っているに決まってるだろ。」
「んだと、ゴクデラ!てめえはタコの様な髪型してるじゃねえか!だから、お前はタコヘッドだ!」
「んだと!ヒゲ武士!」
この二人の口喧嘩は早めに終わってほしい・・・
「お前はツナだよな。俺と同じ年だったのか。ゴクデラとヤマモトもあまり見た目は変わらないけど、お前らも同じ年の様だな。」
キリトの顔ははっきり言うと女顔かな。こんな事を言えば、ただじゃ済みそうに無いので言わないけど・・・
「ほう、キリト。お前さんはそんな顔だったんだな。」
「クラインは野武士面だったのか。」
「おい、コラ!誰が野武士面だ。ヒゲ武士も嫌だけどよ、野武士面も勘弁してくれって・・・」
「ははっ! そうだな。クラインは野武士面と言うよりも戦国武将の様だな。」
「おお、ヤマモト。お前だけだぜ。俺の事を分かってくれるのはよお・・・」
クライン。それもあまり変わらないんじゃ・・・
まあ、とりあえず茅場からのプレゼントでここが現実世界と変わらないと言われた理由としては納得だ。
でも、まだ茅場は話が有るらしい。
「プレイヤー諸君。私からのプレゼントを気に入ってもらえただろうか?
実は一番大事な事を伝えねばならない。このSAOではHPが0に成ったプレイヤーのアバターはシステムにより削除され、そのアバターは二度とこのアイングラッドに姿を見せる事は無い。そして、これが一番重要な話だ。アバターが削除されたプレイヤーは同時にナーブギアより、高出力の電磁マイクロウェーブが流れて脳を焼かれて現実世界でも死ぬ。」
何だと!? HPが0になったら、ゲームの中だけでは無く現実世界でも本当に死ぬっていうのか・・・
「この事は私がマスコミやインターネットを通して現実世界にも知れ渡っている。それに外部からナーブギアを外した場合でも、HPが0に成った時と同じく高出力マイクロウェーブで脳を焼かれる。実際に警告を無視してプレイヤーの遺族らが行った結果、1万人いたプレイヤーの内、100人近くが亡くなっている。諸君らは、現実の肉体など気にせずにゲーム攻略に励むといい。
以上、SAOの正式サービスのチュートリアルを終了する。」
そう言って茅場は姿を消した。
茅場が去った後に、始まりの街に悲鳴が響く。
「ふざけるな。ここから出せよ!」
「明日は大事な会議が有るんだぞ!」
「出してくれよ。僕には守らないといけない存在がいるんだぞ・・・」
「お母さん。助けてぇぇぇぇぇ!!」
「チクショー、チクショーーーー!!!」
何か、最後の奴だけ妙にうるさい。
「おい、クライン。それにツナとゴクデラにヤマモト。お前達、俺に着いてこい。」
俺とゴクデラ君にヤマモト。そして、クラインはキリトにそう言われたので着いて行った。
キリトに着いて行くと、始まりの街の出入り口の付近だった。
キリトが今後の計画を話した。
「俺はこの街を出て、次の村を拠点にしようと思う。このSAOはデスゲームに成った今でもオンラインゲームに変わりはない。
だから、このSAOで生き残るにはシステムが供給するモンスターにクエストを他のプレイヤーよりも多く手にした方が有利になる。
おそらく、落ち着きを取り戻したプレイヤーによって、この辺のモンスターは狩り尽くされる。
だから、俺は次の村に行って、ソコを拠点にして村の周りのモンスターと戦いながらレベル上げをした方がいい。
だから、すまない。俺は行く。誰かこの中の一人だけなら、守りながら行けそうだけど・・・」
「すまないな。キリト。俺はこのSAOを一緒に購入した仲間がいるんだ。俺にはアイツらを放っておく事ができねえ。だから、キリト。お前と一緒には行けないな。別に俺はお前を非難したりしないさ。ツナ達も同じ筈だ。」
「そうだよ、キリト。俺はお前を非難したりしないよ。キリトは仲間なんだ。だからさキリト。もし、俺達の力を貸してほしいなら、何時でも呼んで。俺達で良ければ力になるよ!」
「十代目の言う通りだ。キリト、てめえが困ったら力を貸してやる。だから、お前は生き残りやがれ!」
「そうだぜ、キリト。俺達はお前の事を仲間だと思っているんだ。ピンチに成ったら、絶対に助けに向かうぜ。それが仲間として当たり前の事だからな!」
「そうか。ありがとうな。俺はお前達の様な仲間を得て幸せだ。そろそろ、俺は行く・・・」
キリトが次の村に行こうとした。ソコで俺達は、
「キリトって本当は可愛い顔をしてるんだな。案外、俺好みだぜ。」
「クラインの言う通りだよ。キリトが思ったよりも接しやすい顔で良かったよ!」
「ははっ、そうだな!キリト、お前の顔は見ていてホッとする顔付きだぜ!」
「簡単に言えば、お前が女々しい顔の女顔っつう事だ!(笑)」
俺達の言葉を聞いたキリトは、
「そうか。クラインはその野武士面の方が100倍マシだし、ツナはそのサイヤ人の様な髪型が似合ってるよ。ヤマモトはやっぱり、爽やかキャラで馴染みやすいな。それじゃあ、俺はそろそろ行く!」
そう言うと、キリトは走り去っていた。
「おい!俺に対してコメントはねえのか・・・」
ゴクデラ君にはキリトは何も言ってない。女々しい女顔と言った事にムカついたんだと思う。
キリトが行った後に、俺達三人はクラインとも別れる事になった。
「すまねえな。本当はお前らと一緒にいてえんだけどよ。アイツらが心配だ。だからな、ツナ、ゴクデラにヤマモト。お前らとはここで一旦、お別れな。もちろん、連絡くれりゃあ、何時でも力を貸すぜ!」
「クライン。俺達三人は一緒にどう行動するか考えるよ。だから、クライン。仲間に会ったら、その仲間を絶対に死なせちゃダメだ。もちろん、クラインも無事に生き残ってほしい。だから、クラインも俺達三人を頼りにしてほしいんだ。」
「分かってるって。絶対に俺の仲間や死なせねえし、俺も死ぬつもりは無いさ。もちろん、お前らの事を頼りにはしているぜ。だから、お前達も絶対に死ぬなよ!」
そう言って、クラインは自分の仲間を探しに向かった。
「十代目。寂しくなりましたね。」
「ゴクデラの言う通りだな。キリトにクラインが抜けて寂しくなっちまたけどよ、俺達は何ができるか考えないとな!」
「その通りだよ。俺達はこのSAOで何するか考えて行動するんだ。」
俺達は絶対にこのSAOをクリアして現実世界に帰るんだ!
ツナ達三人、キリト、クライン。それぞれは違う道を行く事になりました。
次回は、ツナ達三人がSAOでどう行動するのか。ソコに触れたいと思います。