俺達は第1層のボス攻略会議が開かれる町の広場に来た。
ちょうど、演説が始まるらしい。どうやら、あの青い髪の好青年が今回のボス攻略で指揮を勤めるのだろう。
「ええと。皆さん、今回のボス攻略の為に集まっていただき感謝します。
俺の名前はディアベルです。職業は気持ちでナイトをやっています。」
ディアベルにヤジの様にも聞こえるが、暖かい歓声が飛んだ。ついでに言っておくと、SAOにジョブチェンジシステムは無いから、ナイトという職業は無い。まあ、彼なりの場の和ませ方だと思う。
ディアベルの演説が続く。
「前日、俺のパーティーが迷宮区を捜索していた時、ボス部屋を発見した。
ボスの名前はイルファング・ザ・コボルトロード。コイツにはルイン・コボルト・センチネルというコボルトの配下がいる。
その為、激戦が予想される。それに、ボスのコボルトロードはHPゲージが残り僅かになってレッドゾーンに入った時に武器を斧と盾から、タルワールに持ち替えるらしい。最後まで、決して油断しない様に!」
ディアベルの言葉に誰もが頷いた。
「ええと、ボス戦ではレイドという複数のパーティーで戦おうと思う。この場にいるメンバーで5人か6人のパーティーを組んでください!」
ディアベルの指示通りに周りのプレイヤーがパーティーを作り出していく。
「さて、十代目。俺達もパーティーを作りましょうか。」
「俺とツナとゴクデラで3人だろ。だから後、二人は必要だな。」
俺は残り二人パーティーを組んでくれる相手を探す。すると、俺に話しかけてくるプレイヤーがいた。
「よお、ツナ。久しぶりだな!アンタもやっぱり、このボス攻略に参加するのか?」
「あ、ツナ君だ!元気かな?また、会えて嬉しいな!」
「やあ。久しぶりだね。元気にしてるかな?ツナ。」
「お前達はトウマ、ショウタ、ホクト!」
この3人は現実ではジュピターと呼ばれるアイドルユニットのメンバーだ。凄い有名なアイドルだ。
元々は961プロという事務所で働いていたが、現在はGOLDプロダクションという事務所で働いていた。
だが、今は俺と同じSAOに閉じ込められたプレイヤーだ。
この3人との出会いは半月前にリトルペネントと呼ばれる増殖能力を持つ植物型モンスターに765プロのアイドル達を含めたパーティーでいた時に、30体以上のリトルペネントに囲まれていたところを俺とゴクデラ君にヤマモトが助けに入ったのが始まりだ。
「アンタのお陰で俺達はこうして無事に生きている。感謝するぜ!」
「トウマ君がお礼を言っているよ・・・
これは明日、雨が降るね。」
「おい、ショウタ!どう意味だ・・・」
「すみませんね。トウマとショウタの痴話喧嘩は何時もの事だから、ツナは気にしない方がいいですよ。」
「ホクトォォ!! 痴話喧嘩は仲が良い男と女の口喧嘩に対して使う言葉だ!」
ジュピターの3人は賑やかだと思う。トウマ、君はおそらく、俺と同じでツッコミ担当なんだろうな・・・
後、ショウタの声はキリトに似ているんだよな・・・
「ねえ、トウマ達でよければ俺のパーティーに入ってくれないかな?」
「ああ、すまんな。俺達は別の奴らと組んでいる。残念だが、アンタのパーティーに入る事が出来ないな。」
「そうか。じゃあ、他を当たるよ。」
「おっと、言い忘れていたぜ。ツナとゴクデラにヤマモトに765プロの奴らも会ったら、ありがとうって伝えておいてくれと言われていたんでな。後、自分たちもレベルが上がりしだいに前線に出るとよ。確かに伝えておいたぜ!」
トウマから、765プロのアイドル13人とそのプロデューサーを勤めているアカバネさんからの感謝のメッセージを聞いた。
「十代目。パーティーを組んでくれそうな相手が見つかりましたよ!」
「本当、ゴクデラ君!」
「ええ。アイツです。キリトですよ!」
俺はゴクデラ君に聞いてキリトがいた事に気付き、キリトにパーティーの申請をする事にした。
「やあ、キリト。久しぶりだね!」
「お前は、ツナか!」
「そうだよ、キリト。無事でいてくれて安心したよ!」
「ああ、俺もお前達が無事で安心したよ・・・」
「キリト。今、俺はパーティーを組んでくれる相手を探しているんだ。キリトがよかったら、俺のパーティーに入ってくれないか?」
「ツナ。俺はお前達を置いて、一人だけ助かろうとして逃げた卑怯ものだ・・・
そんな俺とパーティーを組むっていうのか・・・」
「おい、キリト!卑屈に物事を考えるんじゃねえ!あん時にクラインを含めて俺達が言っただろうが。
お前は仲間だとな。それに別に責めたりもしないとな。お前が生きている事こそ、俺達にとっては嬉しいからな。」
「そうだったな、ゴクデラ。すまない。確かに俺は物事を卑屈に考えていた様だな。
お前達と絶対に生きると約束したのに、何を後悔していたんだか。こうして、俺は生きてお前達に再び会う事ができた。
そうだな。ツナ、お前達のパーティーに入る。よろしく頼むぞ!」
「キリト。こちらこそ、よろしく頼むよ!」
俺のパーティーにキリトが入って、4人になったけど、まだ1人必要だな。
ヤマモトがパーティーに入るメンバーを探していたが戻ってきた。
「すまねえ、ツナ。とっくに5、6人のパーティーを完成してる奴だけだ。
ん、俺達のパーティーにキリトが入るのか。でも、残りの一人はどうするんだツナ・・・」
残りの一人か。うーん、どうするか。4人で出るしか無いのか・・・
俺は周りをよく見ると、一人だけ、どのパーティーにも入って無いプレイヤーを見つけた。
そのプレイヤーはローブを纏っている為に顔の確認はできない。だが、これ以上は時間を掛けられないし、あの人だけ、一人で戦うのは辛いだろうし。俺はローブを纏っているプレイヤーに話しかけた。
「ねえ、ちょっといいかな?」
「何?私に何の様ですか?」
このプレイヤーはローブを纏っていて顔は見えないが、声で女性だと解る。
女性のプレイヤーが男性プレイヤーからのセクハラから逃れやすい様にローブを纏う事は珍しくは無いらしい。
「あなたは見たところ、一人の様だけど。パーティーは組んだの?」
「パーティーは組んで無いわ。私はパーティーを組まなくても一人で戦えるわ。」
「今までの戦いはそうだったかもしれないけど、今回はボス戦なんだ。
フィールドに出てくるモンスターとは、格が違うんだ。一人で戦うのは危険だよ。
それに、このパーティーは今回のボス撃破までの一時的なパーティーなんだ。終わったら、パーティーは解除していいよ。」
「そう。なら、パーティーを組む事にするわ。でも、あなたは失礼だけど、見たところ、あまり強そうに見えないけど、大丈夫?」
「や、やっぱり、そう見えるんだ俺・・・安心して、一応は戦えるから。」
俺はそう言いながら、パーティーの申請を彼女に送った。彼女はパーティーの申請に賛同して、俺のパーティーに加入した。
「これからよろしくね、アスナ!」
「!? ちょっと、何で私の名前が解ったの!?」
「ん?あ、ああ。パーティーに入ると、ほら。自分のHPバーの下にパーティーの名前とHPバーが表示されるんだ。
もしかして、パーティーを組むのは今回が初めて?」
「そうよ。パーティーを組むのは今回が初めてね。こんな所に有ったんだ・・・
あなたの名前はツナね。一応、よろしく頼むわよ。」
これで俺のパーティーはディアベルが言った基準にはなった。俺はアスナをゴクデラ君達に紹介した。
「それでは皆さん。本日はここまでとしてボス戦は明日とします。各自、明日のボス戦の備えてゆっくりと休んでください。」
パーティーを組終えた俺達はディアベルの号令と共に、攻略会議が終わる筈だった。
「ちょっと、待たんか!」
ここでトゲトゲした髪型の男が割り込んできた。
「十代目。アイツを見ると骸を思い浮かべました。」
「それは何でなの、ゴクデラ君・・・」
「だって、骸はパイナップルみたいな髪型ですし、あのイガグリ頭とは仲良くなれそうじゃないですか!」
現実世界の黒曜ランドでは、
「クフフ。犬、来なさい。」
「何れすか?骸さ・・・」
ボコッ、ドス、バキッ!
「何れら!チクショーーーー!!
まだ、今日はナッポーって言ってないびょん!」
「今、言いましたね?」
「だ、誰か、助けてくれびょーーーーん!!」
SAOのツナの視点に戻る
ゴクデラ君の言った事はスルーするとして、あのトゲ頭の話を聞く事にしよう。
「ワイの名前はキバオウや!パーティーを組終えたタイミングで悪いんやが、ワイはこの中にいると思われる奴に言いたい事が有るんや。」
「キバオウさん。それはβテスターの事かい?」
「そうや!ディアベルはん。ワイはβテスターに言う事が有るんや。時間を少し貰うわ。
ワイが言いたい事は、βテスターがこの場にいたら、今すぐに名乗り出てくるんや!
βテスターはワイを含めた初心者を見捨てて、自分が生き残る為にクエストやアイテムを独占しよった。
だから、βテスターは今すぐに名乗り出て、この場の全プレイヤーと今まで死んだ1578人のプレイヤーに土下座して謝罪の言葉を言ってから、持っているアイテムにコルを全て差し出すんや!」
キバオウの言いたい事は、確かに筋が通っている。でも、俺はその意見に反論させてもらう。
「ねえ、キバオウさん。あなたの言いたい事はよく解るけど、それって本当に正しいやり方なのかな?」
「な、なんや。お前はんは・・・」
「俺の名前はツナ。キバオウさん、あなたはβテスターが初心者に何のアドバイスもしないで姿を眩ました事が気にくわないって事ですよね。」
「あ、ああ。そうや。」
「でも、それは仕方ない事だと思うんだ。だって、これはデスゲームなんだよ。HPが0になったら、本当に死ぬと聞いたら、先ずは自分の命の安全を優先して動くと思う。それに、デスゲームの宣言を聞いて混乱している中で他人の事を気にかけるのは難しい。
キバオウさん。あなたはもし、自分がβテスターの立場だったら、初心者を見捨てずにいたんですか?」
「うっ!? そ、それは・・・」
「それに死んだプレイヤーの中にはβテスターもいる。それに1000人いたβテスターの半数は死んでいるんだよ。
βテスターのせいにしたところで、死んだプレイヤーは生き返らない。
もちろん、βテスターからアイテムやコルを巻き上げる理由にはならない。
後、キバオウさん。あなたもこの本を持っている筈だ。」
俺は一冊の本を手に持ち、キバオウに見せる。
「確かにワイもその本は持っている。いろんな攻略情報が載っているからな。それがどうしたんや?」
「この本はアイテムショップで無料配布されているのは、この本を持つ誰もが知ってる筈だ。
この本はアルゴというβテスターである情報屋を勤めるプレイヤーが作って配布しているんだ。
アルゴの様に全プレイヤーに平等にサポートをしているβテスターもいるんだ。
だから、キバオウさん。あなたの言ってる事は、βテスターへの偏見みたいなモノなんだ。」
「・・・」
キバオウは俺の話を聞いて、自分がやった事に少し恥ずかしく思ってきたらしい。
ここに、黒人の様な顔立ちのプレイヤーがキバオウに話した。
「おっと、いきなりすまない。俺はエギルだ。キバオウさん。ツナの言う通りだな。βテスターを悪く言っても、何も変わりはしない。
それにβテスターに対して初心者が追い抜く方法がこの正式SAOで出たじゃないか。
リングと匣(ボックス)だ。この2つはβテスターですら知らなかった。この2つの登場で初心者とβテスターとの有利不利の差は、無くなったも同然だ。この2つの力を手に入れる事がSAO攻略の鍵じゃないのか?」
「そうやな。ツナはん、エギルはんの言う通りやな。ワイが悪かったわ。βテスターへの偏見なんざ捨てちゃるわ。
ディアベルはん。無駄な時間を作ってしもうて、本当にすんまへん!」
「ま、まあ。皆はβテスターに対して、いろんな考えが有ると思うけど。
今度こそ、この会議を終了するよ。それでは解散!」
ディアベルの合図と共に、それぞれのパーティーが泊まる宿を探しに行った。
その日の夜。俺は宿屋の外に出て、軽く散歩をする。
噴水の近くにアスナがいた。アスナは、どうやらパンを食べている様だ。
「やあ、アスナ。そのパンは美味しいかい?」
「ツナ君か・・・美味しいって言われても、別にゲームの中で物を食べても本当に腹が膨れる訳じゃないし、ただ、食べるという行動をしないと、本当に自分が生きているのか実感が湧かないから食べてるだけよ。だから、美味しいとかって言われても・・・」
「アスナはもう少し、このSAOの中を見渡せる位に落ち着いた方がいいと思うな。」
「ふざけないで!私は早く帰りたいのよ!・・・ごめんなさい。
少し、苛立っていたみたい・・・」
「別に気にしてないよ。そうだ!このクリームをパンにかけてみなよ!」
俺はメニューを開いてクリームが入ったビンをオブジェクト化させ、それをアスナに渡した。
アスナはクリームをパンに塗って、口に頬張った。すると、食べるペースが上がった。
「そんなに気に入ったなら、それをあげるよ。」
「べ、別にそんな訳じゃないし・・・
それに、あなたの分が無くなるじゃない。」
「大丈夫だよ。このクリームは何度でも受けられるクエストで何時でもクリアすれば、手に入るから。
だから、遠慮しないで貰ってよ。」
「そこまで言うなら、貰ってあげるわよ・・・」
「そろそろ、俺は寝たいから宿屋に戻るよ。おやすみ、アスナ!」
俺はそう言って、宿屋に戻って寝る事にした。
明日はいよいよボス戦だ。ディアベルの言う通りに最後まで油断せずに戦おう。
ツナが去った後、アスナは、
「こんな私に気を使うなんて、変な人・・・いや、お人好しなのかな?
でも、昼間に君に強そうに見えないって言った事は取り消すよ。ツナ君か・・・」
アスナはツナに対して、何かしらの気持ちが有る様子だった・・・
今回は第1層ボス攻略会議で終わりました。キバオウの性格は原作と比べてソフトになっています。
後、今回はアイドルマスターよりジュピターの3人が登場しました。他のアイドルマスターのキャラクターの登場も期待してください。
ついでに765プロのプロデューサーも登場しており、プレイヤーネームはアカバネです。
次回はボス戦の入ります。ツナ達がどの様に戦うかが必見です。