クレイジーウマ娘 カラミティーダービー 作:ヴィルキス
今作は原作という名の史実をぶち抜いて踏んづけてスクラップにして不燃ごみの日に出すような代物です。ご注意下さい。
──────『ウマ娘』。
異世界の名前と共に産まれてくると言われており、その身体には通常の人間とは違い『ウマ耳』と『尻尾』が備わっている。また、その身体能力は人間のものと比較して極めて高く、その癖身体構造は耳と尻尾を除けば通常の人間同様という摩訶不思議な種族である。
そして、この物語はそんな世界の『
こんなウマ娘が居たら、こんな結末があったら──────という名の、ウマ娘好きな作者を含めた変人たちが脚質や距離適性、勝鞍を診断メーカーを使って決めて作り出したオリジナルウマ娘たちが大暴れするろくでもない物語である。本作の加害者は作者を筆頭とした狂人たち、本作の被害者は史実という概念であることを念頭に置いてこの物語を読んで行って欲しい。
「ふっ、ふっ、ふっ……」
朝の5時。妙に早く目覚めてしまった鹿毛のウマ娘、『ソルディアガレット』は自らが通っている学園、『トレセン学園』支給のジャージを着て軽いジョギングをしていた。
季節は春。しかも新学年が始まったばかりの時期であり、息を吐けば口から白い蒸気が漏れ出ていく。それを見てまだ残る朝の寒さを知覚しながら、ソルディアガレットは空を仰いだ。明朝、夜明けと共に黒い空が紫に変わっていく時間帯。ソルディアガレットは冷えて澄んだ空が紫に染まる明け方と、一日を終えた暖かい空が赤く染まる夕暮れが好きだった。それは単純な自らの趣味嗜好か、はたまたウマソウルによる本能的性質か。それは本人には判別することは出来なかったが……まあ、それはそうとして良いものを見ることが出来たのでソルディアガレットの機嫌はそこそこ良かった。
その後も上機嫌でジョギングを終え、寮の割り当てられた自室に戻る。……同居人は未だに爆睡していた。クラスメイトであり、そこそこの付き合いではあるが……ソルディアガレットは、今なお寝こけているこの少女が数学以外の授業を全く寝ずに受けているところを見たことがなかった。
「ヴィル君、起きなー」
「……んあ?あー……10秒待て」
そう言われて、大人しく10秒待つソルディアガレット。たった今目覚めたウマ娘、『ヴィルキス』はベッドから起き上がり大きく伸びをすると、そのままベッドを出てソルディアガレットに声をかける。
「っし、行くか」
「……毎度見る度に羨ましく感じるよ、ソレ。目覚めて10秒でそんなしゃっきりするものなの?」
「あーいうのは低血圧による体温低下が原因だからな。人より体温が高い俺はそもそも血流が悪くなりにくいんだよ」
「へー……」
そんな軽口を叩きながら、2人は部屋を出て朝食を食べに食堂へと向かうのだった。
「っしゃーす」
「おはようございます」
食事を終えた2人が自らの所属するチームに割り当てられた部屋に入ると、そこには既にチームメイトらが各々暇を潰していた。ではここで、このチームに所属する規格外にして常識外れ、『因果を鏖殺した』とまで評される面々の紹介をしよう。
「ヴィルキスさん、ソルディアガレットさん。おはようございます」
名家の冠名を
「あら、おはようございます〜」
『無事是名馬』という概念を歴史上の誰よりも体現し、今なおURAの最高齢現役記録を更新し続けているウマ娘、『歩く震源』『生ける伝説』『職人』こと『ミュゲリュミエール』。
「お2人とも、おはようございますわ」
オグリキャップとタマモクロスが覆した『芦毛は走らない』という定説に完膚なきまでにトドメを刺し、同期である『黄金世代』と単独で渡り合ったウマ娘、『芦毛の革命者』こと『ロードメビウス』。
「おはよう。……ブーレとナゴミは?」
「知らねーっす」
「アイレス先輩が知らないなら僕らも知らないですよ」
幅広い脚質で縦横無尽に暴れ回り、ライバルたちと激戦を繰り広げたことでその末脚から『音速の切れ味』と呼ばれたウマ娘、『ウミネコアイレス』。
2人のライバルと共に多くのG1を制覇し、世界とも激戦を繰り広げたウマ娘、『世界の天馬』こと『ソルディアガレット』。
同じく2人のライバルと共に世代に名を冠し、数多の功績を打ち立てたウマ娘、『華麗なるスーパーカー』こと『ヴィルキス』。
その他、『ブーレ』や『ナゴミ』と呼ばれたのを初めとするこれまた常識を燃えるゴミの日に出したようなウマ娘が数人いたりするが、どうやら今は不在のようなので割愛する。そもそも常識はどう分別すればいいのか分からないが。もしかしたら不燃ごみかもしれない。そして、そんな変人共を纏めあげるのが。
「おう、お前ら居るかー」
このチームのトレーナーだ。薄く髭を生やした、俗に言うイケおじの類である。顔もいいので生徒からの人気も高かったりする。
「はい点呼」
「
「
「
「ザ・ベ○トハウス」
「これだ……じゃねぇよ。何やらすんだお前ら」
「ヴィル君が英語で1って言うから……」
「それに乗っかりました」
「懐かしいですねぇ」
「アレもう10年以上前だぞ……」
「うぐっ」
「あ、ミュゲさんにジェネレーションギャップのダメージが」
そんな漫才のような掛け合いをしながらも、気を取り直したトレーナーが音頭を取る。
「さて、それじゃあ……」
外したのはヴィルキスとロードメビウス、ミュゲリュミエールだった。半分が外れているのだから揃えるもクソもない。
チーム〈サビク〉
アラビア語で『勝利者』という意味の単語を名に冠するへびつかい座のη星を名前に持つチーム。周囲からは『チーム常識アンチ』『ゴールドシップとは別ベクトルの異常者集団』『結果出してるから余計タチ悪い』など様々な呼ばれ方をされている。
チーム〈サビク〉のメンバー
『メジロアルナブ』
同期:ウオッカ、ダイワスカーレット、アストンマーチャン、ドリームジャーニー
『ミュゲリュミエール』
同期:サンデーサイレンス、イージーゴア、トウショウファルコ
『ロードメビウス』
同期:スペシャルウィーク、セイウンスカイ、キングヘイロー、エルコンドルパサー、グラスワンダー、ツルマルツヨシ
『ウミネコアイレス』
同期:エアシャカール、アグネスデジタル、タップダンスシチー
『ソルディアガレット』
同期:カワカミプリンセス、ヴィルキス
『ヴィルキス』
同期:カワカミプリンセス、ソルディアガレット
他数名のウマ娘
チーム〈サビク〉トレーナー
男。既婚者で妻子持ち。ヒトミミとウマミミの娘が1人ずついる。愛妻家なので生徒らからの人気はそこそこ高い。