あげはの実習先に現れたバッタモンダーとランボーグ。サンライズ達は園の危機を救うために変身して登場した。
「出たなプリキュア!」
「皆!」
「あ、キュアウィング!」
「お手紙ありがとう。後は任せてね」
それからスカイが避難を呼びかけて中にいる保育士達が園児を避難させていく。そしてあげはもたけるを避難させようとするがたけるは近くで戦いが見たいようで嫌々ながらもあげはの手で避難させられることになる。
「おい、観客が居なくなったら意味ないじゃないか。逃すな!」
バッタモンダーの指示の元ランボーグが長い鼻から水を噴射して避難する園児達を狙う。
「させるか!」
サンライズが炎の剣で水を受け止めると水を蒸発させて攻撃を防げたが炎も同時に消えてしまい剣が消えてしまう。
「やっぱり水には弱いか……」
「なるほど、あの剣は水に弱いのか。一つ弱点がわかった所でやっちまえランボーグ!」
ランボーグが動き出そうとするとプリズムが跳び上がり気弾をぶつけた。それからスカイが後ろからランボーグを殴り飛ばし、最後にウィングが真上からドロップキックで地面に叩きつけさせる。
「やった!」
その直後、あげははキョロキョロと周りを見渡す。自分がいないのでエルの心配をしているのだ。そして、その近くにはたけるがこっそりと戻ってきてしまっていた。
そしてランボーグはダメージで目を回しており、あげはがバッタモンダーに質問する。
「見せたい現実ってこれ?」
「まさか?観客が君だけになったのは残念だけど、今から見せてあげるよ」
その瞬間、バッタモンダーが指を鳴らすとランボーグが起き上がる。それを見た四人は構えるがランボーグの鼻の先はプリキュア達では無く、近くの草むらにちょこんといたエルへと向いた。
「あ!」
「不味い!」
「あんまり弱い者虐めは好きじゃないけど、やっちゃえ」
それを見たサンライズがすぐに動こうとするがサンライズの背後にバッタモンダーが移動すると手刀を放つ。サンライズはそれに気を取られてランボーグの攻撃を許してしまった。
「ランボーグ!」
ランボーグから放たれた水がエルを狙い、エルはそれを抱っこ紐を操って避ける。それを見た三人はエルを庇うためにその方向へと動く。
「ッ!止まれ!罠だ!」
サンライズが何かを察して叫ぶがもう時既に遅い。ランボーグから今度は黒いアンダーグエナジーのビームが放たれてそれからエルを守るためにスカイ、プリズム、ウィングの三人がエルの盾になる。しかし、その直後に三人はアンダーグエナジーに包み込まれると黒いオーラを漂わせる透明なエネルギーフィールドに閉じ込められてしまう。
「皆!」
「テメェ、そのためにエルを……」
バッタモンダーは時間さえ稼げれば十分のために元の場所へと戻り、一人残ったサンライズが構えを取る。
「ははは!正義の味方気取りの君達ならそうすると思ったよ。これで籠の中の鳥だ」
バッタモンダーが嘲笑う中、スカイ、プリズム、ウィングが何とかして脱出を試みるがエネルギーフィールドはまるで壊れない。
「こんなもの!」
「プリズムショットが出せないよ……」
「内からがダメなら外からだ!ひろがる!サンライズ……」
その瞬間、ランボーグが背後から攻撃し、サンライズは吹き飛ばされてしまう。
「く……やっぱりコイツを倒さないとダメか……」
「ふふふ、残念だったなぁ。そのエネルギーフィールドはアンダーグエナジーを濃縮した球体さ。君達の力は使えない。外からならワンチャンあるが、それをさせる程僕のランボーグは甘くないよ」
その瞬間、今度はあげはに向かって先程のエネルギービームを放とうとチャージする。
「チッ!」
サンライズがあげはの前に回るとそのまま浄化技で対抗しようとする。
「ひろがる!サンライズカリバー!」
サンライズから放たれた炎の斬撃とランボーグのアンダーグエナジーがぶつかり合い、火花を散らすが少しの拮抗の後にランボーグが更に水の激流を追加。水のせいでサンライズの攻撃は僅かに弱まってしまいそのまま押し切られるとサンライズも球体に閉じ込められてしまう。
「クソッ!この野郎!」
サンライズが炎の剣を出そうとするがやはり出る事は無い。更に何度か殴ってみるもののそれさえも通用しなかった。
「残念でしたぁ!いくらお前でもそれを突破するのは無理なんだよぉ!」
「ぐっ……」
それからプリキュアの四人は悔しそうにバッタモンダーを見つめるとバッタモンダーはプリキュア達を見下すように笑いながら見下ろす。
「それだよそれ!その顔が見たかったんだよプリキュア!」
「うーわ、気持ち悪っ……」
サンライズがドン引きする中、構わずバッタモンダーは嘲笑い続ける。
「どうだ外野。これで僕の強さはわかっただろう?後はプリンセスを手に入れれば完全勝利さ」
「そんな事……させるか!」
サンライズが体に炎を纏わせようと全身に力を入れるが全く反応する事は無い。
「お前はそこで大人しくしてな?まぁ、どうにかできるならやってみれば良いんじゃない?できるものならなぁ!!」
バッタモンダーからの煽りは止まる事を知らない。サンライズはそれを聞いて何かを閃くと敢えて挑発に乗ったフリをして怒りの力を高めていく。
「ぐ……この、クズ野郎め!」
「サンライズ、落ち着いて!」
「挑発に乗ってはダメです!」
そんな時、近くに来ていたたけるは顔を青ざめさせていた。まさかプリキュアがここまで窮地に陥るとは思わなかったからである。
「そんな、最強のプリキュアが負けるなんて……」
「ああ、そういえば他にも観客が居てくれて嬉しいよ」
「アイツ!」
「たける君!」
サンライズは助けに動こうとするがまだ無理だとばかりにカゲロウが静止する。
「待てあさひ。まだ怒りのパワーが足りない。今のままだと流石に壊せないぞ」
「ぐ……」
たけるは大慌てで逃げ出そうとするがバッタモンダーが逃すわけがない。
「逃すな」
ランボーグが水を放出してたけるの進路を阻むとたけるは別方向に逃げようとするが転んでしまう。
「たける君!」
その瞬間、たけるを守るようにあげはが割って入ると両手をひろげる。
「あげは、ダメだ!逃げろ!」
サンライズが叫ぶがあげはは聞こうとしない。あげはの目は本気だ。
「そうはいかない!これ以上、あんたらの好きにはさせない!」
「はぁ?あはは!こりゃ良いや!外野のくせに僕をどうするって?」
バッタモンダーが一通り笑った後にランボーグに攻撃の指示を出す。
「なら逃げ切ってみな」
「ランボーグ!」
ランボーグが鼻を振り上げるとあげははたけるを背負ってその攻撃を回避する。
「しっかり掴まってて!」
「あげは!やめろ!無理しないでくれ!」
サンライズはあげはを心配して叫ぶ。それと同時に無力な自分への怒りのエネルギーを少しでも増幅させた。
「あと少しだ……あげはがもう少し時間を稼ぐと信じろ」
カゲロウの言葉にサンライズはバッタモンダーに見られないように小さく頷く。それを見た三人はサンライズは何かをする気だと気がついた。
「はぁああああ!!」
あげははランボーグからの攻撃をギリギリで躱しつつランボーグの周りを走り続けていく。
「あげはちゃん!」
「良いぞ、頑張ってみろよ外野!」
だが、あげはにはある狙いがあった。ランボーグの周りをぐるぐると回り続ける事によってランボーグの目を回させるとそのままランボーグは倒れ込んだ。
「えぇ……」
「良し、あげはの作戦が成功した!」
「でも……」
ランボーグを一時的に足止めさせる事には成功したがそれでもあげはの体力も尽きてしまいその場に膝を突くとたけるを下ろす。
「たける君、大丈夫?」
「うん……」
「良かった……」
あげははかなり疲れた様子で息切れが止まらない。そんな苦しそうなあげはをたけるも心配する。
「せんせい……」
「私は大丈夫」
「凄い……」
「へ、へぇ……外野の割にはやるじゃないか」
「……その外野って言うのはやめてくれる?プリキュアや保育園の皆は私の大切な人達なの。だから私は外野じゃない!」
「くっ、外野じゃなかったら何だと言うんだ?」
「保育士!そして最強の保育士も最強のヒーローも目指す所は一緒!……それは大切な人を守る事!」
そのタイミングでサンライズに込められた怒りの力がチャージ完了し、カゲロウが叫ぶ。
「今だあさひ!交代しろ!」
「ああ!」
その瞬間、サンライズの変身が解けるとあさひ……いや、カゲロウへと変わる。
「ダークミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!トワイライト!」
一瞬にしてサンライズからトワイライトにチェンジしたあさひ。そしてここに来て何故トワイライトになったのか。それは……
「うぉおおおお!」
その瞬間、トワイライトの中へとアンダーグエナジーが強制的に吸い込まれていく。
「ば、馬鹿な!?こんな事が……何故?」
「俺ならアンダーグエナジーを吸収しても何も問題無いからな。だが、これだけのアンダーグエナジーを吸収すれば膨大なエネルギーに耐えきれずに暴走する危険がある……だがな」
「そうか!サンライズはわざと挑発に乗ったフリをして怒りのエネルギーを……カゲロウを少しでも成長させるために負のエネルギーを高めたんだ!」
そして一時的にパワーアップした今のカゲロウならこれだけのアンダーグエナジーを吸収しても暴走しないとあさひは信じたのだ。そしてエネルギーフィールドの厚みが薄くなった所でカゲロウは再びあさひと交代する。
「ひろがるチェンジ!サンライズ!」
そしてサンライズになった瞬間取り込んだエネルギーが暴れ出すがもう遅い。サンライズの中に秘められた莫大な正のエネルギーが負のエネルギーを浄化。自らのエネルギーに転換し、薄くなったエネルギーフィールドをサンライズは炎の剣で粉砕し、脱出に成功する。
「はぁ……はぁ……はぁ……何とか出られた……」
「ぐぬぬ……だがそんなズタボロの体でランボーグに勝てるとでも?」
「いや、ここから先を戦うのは俺じゃねーよ」
「何だと?」
そう言ってサンライズはあげはをチラッと見やる。そしてそれを見たあげはは頷いた。
「まさかその外野がやるのか?冗談はよせよ。プリキュアですら無いコイツに何ができる?」
「……だったら私は!」
その瞬間、あげはの胸にピンクの光が宿ると中からミラージュペンが飛び出す。
「……馬鹿な……こんなはずは……」
「……たける君、これで私は最強になるよ」
「ううん、あげはせんせいはもうさいきょうだよ!」
「あげは……俺はあげはを信じてる。だから思い切り……戦ってくれ!」
サンライズとたけるの言葉にあげはは笑って頷くとエルの方を向いた。
「エルちゃん!アゲアゲで行こう!」
「あげ!……ぷりきゅあああ!!」
エルから放たれた光をあげはが掴むとそれはピンクに色づき、スカイトーンを形成する。
「最強の保育士の力!見せてあげる!」
そしてあげははミラージュペンをスカイミラージュに変化させて変身を行う。
「スカイミラージュ!トーンコネクト!ひろがるチェンジ!バタフライ!」
するとマイクにBUTTERFLYの文字が出てあげはがステージへと降り立つ。その瞬間、頭に蝶のエフェクトが止まると髪の毛が金髪へと変化。続けて両足にピンクのブーツが装着される。
「煌めきホップ!」
煌めきホップでは蝶が髪に止まるとそのまま髪飾りとなり、耳にピアスが装着される。
「爽やかステップ!」
爽やかステップでは体にへそだしのセパレートタイプのピンクのドレスが着せられて更に右足には紫のストッキングを履き、更に腰からピンクのフリルが垂れ下がる形となる。
「晴々ジャンプ!」
晴々ジャンプでは首元から腕、手首にかけて薄いタイツのようなものが装着されるとそれが中指で止められる。更に手首にはシュシュがされ、その後目元にアイシャドウが付与されて変身を完了する。
その容姿は可愛らしいギャルのようであげはの大人らしさも相まってプリズムとは別ベクトルの可愛さであった。
「アゲてひろがるワンダホー!キュアバタフライ!」
あげはことキュアバタフライが変身を完了するとその様子にスカイ達三人は興奮し、サンライズに至っては見惚れてしまっていた。
「綺麗……」
「あげはせんせいが……プリキュア?キュアバタフライ、がんばれー!」
「了解!」
「お前も閉じ込めてやる!」
「ランボーグ!」
ランボーグが先程と同様に相手を閉じ込めるエネルギー波を放つ。だが、バタフライが両手を蝶のように構えると蝶型のエネルギーシールドで攻撃を防御してしまう。
「なっ!?」
「アゲアゲな私には効かないよ!」
「凄い!」
「「ワンダホー!」」
「待ってて!直ぐにアイツを倒して解放してあげるから!」
「「「はい!」」」
「調子に乗るな!」
それからバッタモンダーの指示と共にランボーグが水による攻撃を仕掛けてくる。しかしバタフライは蝶のような舞で周りの木々や建物の壁を利用しつつ攻撃をヒラリと回避。
「お遊戯の時間はおしまい!」
バタフライが投げキッスをすると蝶型のエネルギーが飛んでいき、ランボーグに止まった瞬間に爆発。ランボーグはそのまま倒れ込む。
「ちょっとこれ、借りまーす!」
そう言ってバタフライは工事中に建物の周囲に張られる布を拝借するとそれを抱えた。
「な、何をするつもりだ!?」
「……そのままゴロンしててね!」
バタフライは赤ちゃんのオムツをする要領でランボーグの丸い体に布を巻いていくと動きを完全に封じ込めてしまう。
「ら、ランボーグ!」
「はいスッキリしたね!」
それからバタフライは跳び上がると空中に巨大な蝶を模した大型の盾を出現させるとそのままキックの要領でランボーグへと叩きつけて相手を押し潰す浄化技……
「ひろがる!バタフライプレス!」
蝶型の巨大な盾に押し潰されたランボーグはそのまま浄化されていき、撃破される。
「スミキッタァ〜」
また、ランボーグが倒された事でスカイ達も動けるようになってすかさずミラーパッドを構える。
「ミラーパッド、オッケー!」
ランボーグがやられたのでバッタモンダーはまた負け惜しみの言葉をバタフライへと言い放つ。
「い、良い気になるなよ!僕が本気を出せば……」
「いつでも相手になるよ。でももし、私の大切な人達に手を出したら私は……許さない!」
バタフライの目はいつに無く怒っておりその気迫に押されてバッタモンダーは逃げるように撤退を選択する。
「バッタモンモン!」
そして、たけるがバタフライへと駆け寄っていく。
「やったぁ!キュアバタフライ、カッコいい!」
「先生の事は皆に秘密ね」
「うん!ぼく、たいせつなひとをまもるさいきょうになるよ!」
「うん!」
それからスカイ達三人も興奮した様子でバタフライに詰め寄っていく。
「バタフライ、これからは!」
「一緒に戦えるんですね!」
「凄く凄く嬉しいです!」
「あげ!」
「ありがとう!これからは、保育士とプリキュア!両方頑張っちゃうからよろしくね!」
それからサンライズがバタフライの元に行くとバタフライはサンライズへと抱きついた。
「サンライズ!……これからはサンライズが私を守るだけじゃ無い。私が手にしたこの力で大切なあなたを守るから……」
「……わかった。よろしく、バタフライ」
こうして、キュアバタフライの力によって事件は一件落着し、それから保育士の実習も終わりを告げた。そしてあさひ達は後日、家でたけるからの手紙を読んでいる状態である。
「たける君、バタフライも大好きになったみたいですね」
「大活躍でしたから」
「だね……」
「ま、俺の大切な彼女だから」
「あげはちゃん……また泊まりに来て欲しいな」
ましろがそう呟くとあさひも落ち込んだような顔になる。その直後、インターホンが鳴るとソラがそれに対応して出ていく。
「お待たせし……」
「サプライズ!」
そう言ってソラに抱きつくと背中には巨大な大荷物を背負っている状態だった。
「あげはちゃん?」
「その荷物は……」
「もしかして……」
「あぁ、これ?引っ越してきちゃった!私もプリキュアになった事だし、一緒にいた方が良いでしょ?」
「「「サプラーイズ!」」」
「あげ!」
「じゃ、じゃあ……これからもずっと一緒に?」
「うん!」
それを聞いて今回はあさひがあげはに抱きつくとその場に他の人がいるにも関わらず、嬉し泣きをし始める事になった。これにより、虹ヶ丘家にプリキュアが全員集結。また新たなステージへと進む事になるのであった。
今回で18話が終わり、とうとうアニメに追いつく形となりました。そして次回からは告知通り振り子メンタルさんの小説である“ヒーローガールとヒーロー気質の転生者”とのコラボ回となります。それではまた次回もお楽しみに。