ファイアーエムブレムif 闇に蠢くスレ民 作:ピンピンオウヨ
119:悪代官
はい、よーいスタート(棒)
フウマ公国攻略RTA、はーじまーるよー!
120:回避盾
いえええええええ!!!!!!! ドンドンパフパフーーーーー!!!!!
121:名無しの天馬武者
出たわね
122:名無しの侍
ガチでノリノリやんけ。本当に確認するだけ無駄やったな
123:悪代官
えー皆さん、チャートはちゃあんと確認しましたね?(激ウマギャグ) してましぇぇぇん!! とかぬかしおる頭ガンズはスレ民内にはいないと思いますが、もしいたら貴方を詐欺罪と器物損壊罪で訴えます。
124:名無しの鬼人
恐ろしく速いワザップジョルノ、俺でなきゃ見逃しちゃうね
125:名無しの呪い師
あれだけ情報伝達と訓練徹底されたら忘れる方が難しいじゃろ
126:名無しの上忍
大丈夫だ。コウガのレジスタンスに武器は行き渡ってる。配置も整えた。何時でも行ける。
127:対魔忍
こちら潜入部隊。流石に見張りは置いてたけど少数だ。全部排除して水道を確保した。
128:バクシサクランオー
こちら航空騎兵、例のブツ確認ヨシ!(現場猫) 何時でも行けるぜ。
129:槍マン
こちら主力部隊、もうフウマは俺らの軍勢に気付いて今頃関所の門の防備を慌てて固めてる所だと思う。やるならさっさとやっちまおう。
130:イケメソ
こちら偵察隊、望遠鏡で見た限り、兵がそっちに流れてる。槍マンの予想通りだな。
131:ラノベ主人公
こちら衛生兵部隊、夏祭の準備完了! 後方から治療支援できる
132:悪代官
おーし、で、仮面は流石にしてるよなお前ら…………じゃ、これより、作戦開始を宣言する!! 対魔忍、バクシ、もう作戦を始めてくれ!
133:対魔忍
あいよー!
134:バクシサクランオー
アイコピー!
「何? 正体不明の集団が東の関所に近づいてる?」
「はっ、文官にも確認いたしましたが、交易商人が来訪する予定はないと言っております」
辺り一面が緑の草と竹で覆われ、それを藁作りの建物が乱立する国、フウマ公国は忍の里とも呼ばれている。優秀な忍を多く輩出している為にこう呼ばれている。だが、そんなフウマの忍でさえも、現在の事態の全貌を把握できずにいた。
このフウマ公国の城にて、公国を纏める公王コタロウは、要領を得ない報告に眉を顰めざるを得なかった。
「正体不明の集団とは具体性がないな。もう少し正確に報告しろ」
「はっ! 最初は、商人だと思ったんです。馬車が多く並んでいたので……ですが、盗賊に対する警戒にしては、警備も度を越えて厳重でした。武装した人間が、最小に見積もっても300人は確認できました。武装は、刀、薙刀、弓、金棒と様々で纏まりがなく、中には暗夜の物と思われる装備も確認できました。それと、武装した人間はその殆どが狐の仮面をしていたとのことです」
「ふむ……商人の来訪予定はないのだったな? ならば恐らく大規模に組織された賊だろう。もしくはコウガの虫けら共が傭兵でも雇ったか……? いずれにしても、このフウマも嘗められたものだ……直ちに弓使いと槍術士を配置し、門の防備を固めろ。それでも引かぬようなら、迎撃してしまえ」
「宜しいのですか? 国土を犯している訳ではありませんが……」
「使者も手紙もよこさん無礼者だ。こうなれば外交的にもいい訳が経つというもの。さあ急げ、奴らが突撃してきてからでは遅いぞ!」
「は、はっ!」
公王の命を受けた忍は、命令を完遂するためにその場から瞬間移動。それを見届けた公王コタロウは、実のところそこまで事態は重く見てはいなかった。
「フン、何者か知らんが、本当にフウマの忍も嘗められた物だ。こんな馬鹿げた事を企んだうつけはただでは死なさんぞ……コウガの虫けらの如く残虐に殺してくれるわ……」
さてと、コタロウはこのような些事で頭を悩ませている場合ではなかった。未だにコウガの統治は上手くいっていない。公国内で抱えている貴族の反対を押し切って、いよいよコウガ住民の殺害を実行すべきだろう。そう考えながら執務に戻ったその時だった。
ボバァァン!
という聞き覚えのない爆発音。それがコタロウの耳に入り、音のした方角に顔を向けてみた時には、二度目三度目と違う方角からも同じような爆発音が発生。コタロウの顔は、その爆発音を追いかけるので手一杯であった。
「な……何だ!? 一体、何が起きている!?」
自国で連続的に爆発が発生するという前代未聞の出来事を前に、そう叫ぶしかなかったコタロウ。だがその声に応じるのは暫しの時間がかかった。
数秒先、少し落ち着きを取り戻したコタロウは、爆発音のした方角を分析した。驚くべきことに、その方角には公国が構える駐屯基地が存在するという共通点があった。
(ま、まさか……先の報告に合った正体不明の集団の仕業か!? しかし、一体どうやって!?)
「こ、公王様! 大変です!! 我が国の駐屯基地が爆発を――」
今になってやっと事態を報告する忍が来たのかと苛立ちを隠せなかったコタロウ。口からは自然と怒鳴り声が飛び出した。
「遅い!! そんな事分かっておるわ! 一体何者の仕業なのか! 何故このような事を許したのか!」
「も、申し訳ありません! 何分、情報が錯綜しているもので……」
「言い訳はいらん! さっさと忍を派兵してこの馬鹿騒ぎを収めろ!」
「それが……我が国の上空を飛行していた航空騎兵が駐屯基地に何か箱のような物を落として、それが基地に接触した際に爆発したとか……」
「何を言っている!? 落ちてきた箱が爆発しただと? そんな馬鹿な話があるか! 情報の洗い出しも出来んのかこの無能め!」
「で、ですが……あっ!!」
ふと横を見て窓を覗いた忍は、震える手で恐る恐ると窓の方を指さした。
「こ、公王様……あの狼煙は……!」
「狼煙だと? ……なっ、何故あの狼煙が上がっているのだ……!? まさか、東の関所の門が破られたと言うのか……!?」
そう驚愕するのも無理のない話であった。何故ならば、窓から見える狼煙の意味は、『大規模な敵兵力と交戦中』なのだから。
152:バクシサクランオー
ヒャッハアアアアアアア!!!!!!!! 爆撃ンギモッヂィイイイイイイイイイイイイ!!!!!
153:悪代官
本当に遠慮なく使いやがって……硝石も木炭も硫黄もタダじゃねえんだぞったく……
154:対魔忍
だがおかげで敵は完全に混乱してる。守備隊を片づけるのは訳ない。
155:名無しのアドベンチャラー
そんな訳で門開けるから、槍マンはさっさと突撃して、どうぞ
156:槍マン
おk。こっちでも確認した。今から突撃する
スレ民の脳内でそんなやり取りをした後、スレ民から槍マンというあまりにも不名誉な名前で呼ばれている槍聖の女性、アオイと、回避盾と呼ばれている剣聖の女性、カエデはすぐ目の先にある門に突撃。「お、おい! 何故勝手に門を開けている!」と悲鳴のように叫ぶ守備兵の槍術士二人に向かって、アオイとカエデは目にも止まらぬ速さで急接近。
アオイは手に持っていた武者の薙刀で守備兵を縦に薙刀ごと一刀両断。カエデは白夜の霞刀の二刀流で、左の刀で守備兵の薙刀を弾き飛ばし、右の刀で首を跳ね飛ばす。ほんの一瞬の出来事であった。
守備兵を片づけた事を確認したアオイは、すぐさま後ろに控えているスレ民達に指示を飛ばした。
「お前ら! 馬車に乗りこめ! フウマ兵が落ち着きを取り戻す前に、機動戦を仕掛けて各個撃破するぞ!」
アオイの指示通りに控えの歩兵が馬車に搭乗。歩兵を乗せた馬車が門に突撃、フウマ公国への突入に成功した。
「な、何だお前ら――があッ!」
乱雑に動いているフウマ兵を見つけ次第、馬車から歩兵が降り、弓使いやシーフ、呪い師等の遠距離攻撃手段を持ち合わせている兵種は馬車を盾に射撃。その援護を受けた侍、槍術士、鬼人等は敵に肉薄して撃破。処理が終わり次第、また馬車に搭乗して移動開始を繰り返す。
スレ民が前世で生活していた世界の近代や現代で、自動車化歩兵という兵科が存在する。移動手段としてトラックなどの自動車を使用する歩兵の事である。この兵科から着想を得て独自に研究、開発されたのが、スレ民が名付けた馬車化歩兵であった。
この馬車化歩兵は、後方支援者からしたら目を覆いたくなる程の膨大なコストを引き換えに、通常の歩兵でも騎兵に匹敵する機動力を有し、機動戦を仕掛ける事が出来るという恩恵に授かる事が出来た。
「いいか! 矢や魔力を惜しむな! 時間を惜しめ!」
アオイの叱咤激励に呼応して進軍速度を加速させていくスレ民達。狙われたのは、爆発して恐慌状態に陥り、駐屯基地から出てきた駐屯兵だった。戦う準備が整っていない兵士は、スレ民にとって格好の餌であった。何しろ碌な抵抗すらできないのだから。
「あ、あの馬車を止めろ!! 中に賊がい――がッ!?」
やっと部隊長クラスの人間から命令が出たかと思えば、その部隊長の命令は後ろからの苦無による刺突で遮られた。
スレ民からは対魔忍と呼ばれている上忍、シノの苦無は心臓を突き刺し、そのまま背中を大きく切り裂いた。
「た、隊長!? おのれ、よくも――うッ!?」
その場に居合わせていた部下数名は上からの苦無の投擲によって急所を貫かれる。他にも部下がいたのかと最後の力を振り絞って上を見た部下一名の目には、隊長を刺突した上忍と
致命傷を負ったが為に幻覚でも見えてしまったのか。そう思った部下は、それを最後に息を引き取った。
だがその部下の目に狂いはなかった。本当にシノは
写し身。白夜にそう呼ばれる秘術がある。熟練の絡繰師の中で、ほんの一握りが習得していると言われている秘術。特殊な人形を使うことによって、自分と同じ姿、装備、そして戦闘力を持った等身大の人形を構築できる。シノは予め自分の写し身を構築しておき、自分が仕掛けて敵の注意が向いた所で写し身に奇襲させたのだった。
シノ率いる精鋭部隊は、シノのように鮮やかには出来ずとも、馬車化歩兵が討ち漏らしたフウマ兵を順調に刈り取っていた。
「何をやっている! よく見れは敵は少数ではないか! あの程度さっさと片付けろ!」
「隊長、それが……奴らは進行の折に絡繰人形をばら撒いているようで……」
「なんだと? くそ……無視はできんか……」
「報告!! 関所から更に暗夜の傭兵と思わしき部隊が!!」
「なっ、暗夜の傭兵!? 何故こんな所に!? くそっ、コウガめ何かやったな……?」
「ほ、報告っ!! コウガの忍と思わしき者が我が軍に襲撃を仕掛けてきました!! 更に、この騒動を聞きつけたコウガの非人共が一斉に蜂起! 抑え込むには人数が足りません!」
「ッ~~!! 次から次へと……おのれえええッ!!!!」
このコウガの蜂起は普通に考えて、あまりにも早すぎるものだった。コウガの民の突発的な判断でこのような効果的な蜂起は不可能である。これはつまり、計画的に準備された蜂起である事を意味する。
誰の計画かは、この際語るに及ばないだろう。
だが無論、この事態を黙ってみているコタロウではない。本城から増援部隊を出し、馬車化歩兵の進行先に防衛線を構築。槍術士を前に出し、その後ろには弓使い、呪い師、そして自慢の忍達が後衛として控えている。
「流石にアレを強行突破する訳にはいかないな……オイ、誰か発煙筒は持ってないか?」
アオイにそう言われて一人の鬼人から赤い筒を手渡される。「ありがとナス」と礼を言った後、火矢用に予め用意されていた松明で発煙筒に火をつけて敵に向かって投擲。
(どうせバクシの奴ら、上空で支援要請を待ってるはずだろ。支援頼むぜ……)
フウマ兵は「何だこの赤い煙は?」と発煙筒を蹴り上げる。敵軍に赤い煙が充満したが、流石は本丸を守っていた兵だけあってか、この煙程度で隊列を乱すようなことはなかった。
だがスレ民にとってはそんな事で隊列を乱すような効果は期待していなかった。
「狼煙確認ヨシ!! 敵影確認ヨシ!! 皆爆弾は持ったな!! 行くぞォ!!」
スレ民にバクシサクランオーと呼ばれている聖天馬武者、ツバサは他の飛行騎兵と共に予め弓の届かない高度を稼いでいた所を、発煙筒による煙を確認し次第その煙に向かって急降下。
「隊長! 上空に飛行騎兵らしき人影を確認!!」
「何!? そうか、地上が駄目なら上空から崩そうという訳だな? 甘い! 弓兵隊、撃ち落とせ!」
「だ、駄目です! 弓が届きません!」
「何だと? そんな高高度で一体何をしようと言うのだ……?」
「……! 飛行騎兵が、我々の頭上から何かを落としています! 何か、箱のような……」
「何? 箱だと――」
その箱がフウマ兵の傍で落下。瞬間――突如その箱が爆発した。暗夜の魔法の一つであるライナロックに匹敵するその爆発は、轟音を轟かせ、爆炎がフウマ兵を焼き払い、そして
「いい仕事だ。よし、皆! 敵は崩れた! 突撃だ!!」
アオイの突撃命令に呼応し、馬車化歩兵は崩れた敵陣に突進。フウマは運が悪かったらしく、先ほどの爆撃で隊長格の人間が死亡。敵兵力を4割程度撃破した段階でフウマ兵は散り散りになって逃げてしまった。
「進め!! フウマ城まで突き進め!!」
アオイの命令で動き出す馬車化歩兵を前に、最早フウマには、スレ民の進撃をすぐに阻止できる力は残されていなかった。
159:名無しのマーシナリー
そういや途中から回避盾見かけなくなったけど、アイツ何処行った?
160:名無しのドラゴンナイト
そういえば……上空からもそれっぽい奴は見えないぞ?
161:回避盾
もしもし、私回避盾。いま無傷の駐屯基地に単身突撃してるの(はーと)
162:名無しのドラゴンナイト
何やってんだお前
「FF外から失礼するゾ~!!!」
木造建築の壁をヤクザキックで破壊した回避盾ことカエデ。外の騒ぎを聞きつけて丁度出撃しようというフウマ兵はカエデの侵入に驚きつつも、すぐさま落ち着きを取り戻してカエデの排除に出るフウマ兵。
「賊めッ! 一人で乗り込んでくるとはいい度胸だ! 死ねいッ!」
まず仕掛けたのは刀を装備した侍だった。カエデに対して突きで心臓を刈り取ろうとする。
「はい、捕まえた」
その刀による突きを、カエデはその刀を踏みつけて無効化。刀を抜けなくなったその一瞬の硬直は、首を跳ね飛ばすには十分すぎる時間だった。
「これで39人目」
「か、カキザキ殿!! おのれッ!!」
続いて襲い掛かったのは、薙刀を持った槍術士だった。先程の戦闘を見て安直な突き攻撃は危険だと判断したのか、薙ぎ払いで両断しようとする。だがカエデはこれを片方の刀で弾いた。弾かれた衝撃で動けなくなった槍術士に、カエデのもう片方の刀による突きで心臓を一突き。敵の凶刃から身を守る胸当てが、バギャッと粉砕し、まるで意味をなしていなかった。
「40!」
「……!! なんて奴だ……!」
「距離を取れ! ヤツは危険だ!」
接近戦は危険だと判断した忍や弓使いは、手裏剣による投擲、弓による射撃で十字砲火。しかし完全に見切っているカエデはその十字砲火を最低限の動きで紙一重でかわす。
「何!?」
と思わず言葉を零す忍。だが距離は離れており、誰が見ても刀の間合いではない。しかしカエデはそれにもかかわらず、その場で刀を振りぬいた。
一体何をしているのかと頭に疑問が生じた忍。その時――
室内だというのに、突如
「!?」
その雷に撃たれた忍や弓使いは、恰もカエデが降りぬいた刀に斬られたように両断された。何故こんな所に雷が降ってくるのか、疑問に思う時間すらなく絶命する。
「42! まだいるだろ!? かかってこいやオラァ!!!!」
「てな感じで斬りまくってたゾ~これで72人斬りだ!」
「おう、分かった。お前の事はもう人間とは認めない。お前はただの化け物だ」
スレ民の進撃の末、とうとうスレ民はフウマ城の目の前まで到達した。そのフウマ城を前に、爆撃していない駐屯基地に単身突撃したという話をするカエデに対して、話を聞いていたアオイは呆れを通り越して何処か諦めの境地に達していた。
そんなやり取りを尻目に、他のスレ民の歩兵は前世の世界であった、真実の口にクリソツなマンホールを配置。そのマンホールに、呪い師やダークマージ達は魔力を流し込む。
魔力を流し込まれたマンホールは、まるで地面から生えてきたかのように巨大な上半身を、パラパラと小石を零しながら形成。
ゴーレム。暗夜が作り出した、魔物を召喚する魔法である。巨大な岩石を使った投石というゴーレムの攻撃方法の特性上、防衛戦によく使われる他、このような攻城戦にも重宝するのである。
「あれは……暗夜の魔物か……? なんて数だ……あんなのに一斉攻撃されて、この城はもつのか……?」
城の中である忍がそんな言葉を漏らした。短時間の間に城の目の前まで接近を許し、多くのフウマ兵が各個撃破され、空からくる爆発にも怯え、フウマ兵の士気は低下し、恐慌状態からも回復しきれていない。
「狼狽えるでない!」
そう叱咤したのはフウマ公国公王コタロウであった。執務用の服装から戦闘服に着替えられており、公王自ら戦闘指揮を行わんとしていた。
本来、防衛戦によって王や皇帝のような身分の人間が戦場に出撃するのは、そこまで自国は追い込まれているのかと悲観するところだが、それでも現場の兵士たちからは、戦う意思を見せた自分たちの長の姿には感動せずにはいられないだろう。
城内のフウマ兵はコタロウの姿に、多少なりとも落ち着きを取り戻し、注目する。
「絡繰師を出せ! あの魔物は実の所、絡繰人形と共通する部分が多いのだ。であれば絡繰りを熟知する絡繰師ならばあの魔物も倒せる!」
「な、なるほど……おい、誰か!」
「では私めが連絡を!」
「急げ! 何時投石が始まってもおかしくはないぞ!」
コタロウ直々の命にて、伝令を承った忍。だがその忍が扉に手をかけたその丁度、反対側から伝令役の忍が出てくる。
「で、伝令! フウマ城上空に、数騎の飛行騎兵を確認! 恐らく、爆発する箱を落としている飛行騎兵と同じ者と思われます!」
「飛行騎兵だと!? そうか、やはりこの城も爆発させるつもりか! 迎撃態勢はどうなっている!」
「げ、現在暗器砲台で迎撃しておりますが、奴ら、想像していたよりも素早く……」
「下手くそめ! フウマの手裏剣術が何というザマだ!!」
満足のいく戦果を得られないフウマの忍に激怒するコタロウ。だが怒鳴り散らす暇すらないようだった。
バアアァァン!! という音が連続で、このフウマ城を揺るがす。柱は軋み、天井からは砂や埃が零れ、コタロウの参戦で向上した士気も無残に低下していった。
「爆発だ!!」
「まずいぞ!! 爆発が聞こえた方向には、迎撃用の兵がいた筈だ!」
「何なんだこの爆発は!? 頭がおかしくなりそうだ!!」
恐慌状態に陥りかけているフウマ兵に対し、コタロウは「う、狼狽えるなッ! 落ち着け!!」と士気の回復に努めようとするものの、回復よりもスレ民によるゴーレムの砲撃の方が早かった。
「撃てえええええ!!!」
アオイの号令に従い、ゴーレムによる一斉投石。顔代わりになっているマンホールが蓋のように開き、中には空洞とでも言うべきか、その穴から岩石が射出。合計72門のゴーレム達から勢い良く放たれた岩石の数々によって城門はひしゃげ、瓦造りの屋根は粉砕される。
当然中の人間もタダでは済むはずもない。ある者は倒壊した柱に潰され、ある者は射出された岩石に潰され、またある者は次々と聞こえてくる断末魔と、散乱する死体を前に、人知れず廃人と成り果てる。
「じ、城門が破られた!!」
フウマ兵の誰かが、怯えるようにそう叫んだ。もうスレ民と城の中にいるフウマ兵の間には、最早何も遮るものはない。
「好機! 盾持ちやアーマーナイトを前に出し、前進――」
アオイがそう叫ぶより前に、あろうことか一人の剣聖が単独で城に突っ込んでいくではないか。
敵めがけて単身突撃していく気狂い。ついさっきも前科があった人間が一人いただろう……
「ヒャッハアアアアアアア!!!!!!」
「な……このバカッ!! 回避盾!! 一人で城に突っ込んでいく奴があるかッ!!!」
そう、カエデである。いくら爆撃や砲撃で機能が弱っている城だとは言っても、その迎撃能力は完全に死んでいるわけではないのだ。
「何だ? 単独で突っ込んでいく馬鹿がいるぞ!?」
「弓兵、それと忍に迎撃させろ! 攻城戦の素人め! 左右からの射撃で射殺してくれる!!」
「それが……迎撃部隊はさっきの爆発で軒並みやられて……」
「何人かは残っているはずだ! それとも何もせずに侵入を許すつもりか!!」
実際にコタロウの言う通りで、カエデが通っているこの一本道の左右にはそれを囲むように城の一部が出っ張っており、その狭い窓から弓兵は射撃し、忍は手裏剣を投げつける事が出来る。
運よく生き延びた迎撃部隊の人員が、カエデに対して射撃を開始。矢と手裏剣が挟み込むようにカエデに襲い掛かる……
「そぉ~れッ!!!」
それをカエデはあろうことか、独楽のように体を回転させて、回転斬りによって矢と手裏剣の雨霰をはたき落してしまった。爆発がなければこうはならなかっただろうが、だとしても恐ろしい程の神業であった。
と同時に……
青白い落雷が、左右に襲い掛かった。
「!?」
コタロウも含め、フウマ兵は驚きを隠せずにはいられなかった。天気は曇りではある。だが落雷が降ってくるような厚さじゃない。雨すら降っていないのだ。
「7人の手応え……これで79!」
構わず突進するカエデ。「公王様をお守りしろ!!!」と多くの忍がコタロウを守るためにカエデの前に立ちふさがる。
「回避盾! 無茶するな! 一旦下がれ!!」
「断るッ! コイツらは全員、俺の獲物だッ!! それに……」
カエデは走りながらも、城の中にどさくさに紛れて拾った矢を投擲。その先には、荷物を纏めて裏口を目指すコタロウがいる。そのコタロウの腕に矢が命中。壁に突き刺さり、コタロウは断末魔をあげながらもその場から動けなくなっていた。
「大将首は逃げ出すつもりだぞ。下がったら逃げられる!」
そう言って突撃をやめないカエデは、上忍四人の投擲された手裏剣を刀で難なく弾き返す。その後刀の間合いでない距離で刀を振りぬけば、その四人の上忍に青白い落雷が降り注ぐ。
「83!」
一気にフウマ兵達との距離を詰めたカエデは、袈裟斬りで上忍一人に一太刀。苦無ごと両断したカエデはそこで止まらず、接近して苦無で頭を狙おうとする上忍ももう片方の刀で両断した。
「85」
この際仲間ごとたたっ斬ってしまえと思ったのか、斬られた上忍の後ろから切りかかろうとする剣聖の袈裟斬りを、姿勢を最大限に低くして回避。返しの刀で剣聖の首を跳ね飛ばした。
「86」
接近戦を嫌がった絡繰師が、自分が操る絡繰りから手裏剣を射出。だがこれも紙一重で躱され、その絡繰師の頭上に振ってきた落雷によって絶命。
「87」
無双とも言うべきカエデのこの暴れっぷりに、フウマ兵達はハッキリとした死の直感に涙する。フウマの忍としての矜持が辛うじて彼らの足をこの場に留めていたが、その矜持は鮮血となって飛び散り、カエデが持つ刀の錆としかならなかった。
「……これで99」
やっと矢を引き抜けたコタロウだったが、時すでに遅し。背中を見せれば即座に切り伏せられる間合いにカエデはいた。
「丁度いいな。アンタを斬ればこれで100人斬りだ!」
コタロウの目の前で刀を向けるカエデ。この挑発行為に乗るコタロウではなかったが、この状況下ではどちらにしろ苦無を構える他なかった。
「……貴様らのその狐の面について、こんな噂を聞いたことがあるぞ……狐の面をした武装集団、暗夜王国を中心に破壊活動を何度か行っているらしいな……確か、スレミンという名前だったか……!」
「…………」
「貴様ら、一体何をしでかしたか分かっているのか……? 我がフウマ公国は、白夜の友好国であるのだぞ……? 暗夜に続いて白夜まで敵に回して、生き残れると思っているのか!?」
「……スレ民は全てを知っている」
「……?」
「暗夜から多額の投資を受け取ってる事、お前が白夜を滅ぼして新たな王になろうとしてる事、その関係で暗夜と秘密協定を結んでる事、そしてお前の野望に感づいた4代目サイゾウを殺した事」
「!? ……貴様ら、一体何処まで!? い、いや、だとしても証拠がない以上、現段階では白夜の友好国である事実は変わらない!」
「……ま、別にいいさ。俺らも白夜の味方のつもりはねえし、白夜でやんちゃはしてないって言えば噓になるからな……ただまぁ、俺らの目的に、お前らは邪魔なんだよ……だから何が何でも潰れてもらう」
「……ッ!」
「とか言って……俺個人としては斬り合えればそれでいいんだけどなぁ!!」
「この狂人どもがアアアアアァ!!!」
先に仕掛けたのはコタロウだった。コタロウの投げた銀の手裏剣が目にも止まらぬ速さで風を切る。
だが、カエデの動体視力からは逃れられず、カエデの降りぬいた刀によってキィンという甲高い金属音を響かせて防がれる。
それを予想していたらしく、特に驚く顔も見せないコタロウは、その場から横に素早く移動した。すると……
「!」
「貴様の落雷がどういう原理かは知らんが、落雷を降らせる条件は貴様の刀を振りぬいた時だな? そうと分かれば恐れる必要はない!」
コタロウはその身軽さで一瞬の内にカエデに肉薄。苦無での刺突による一撃は弾かれるも、二撃目は首を切り裂く事を狙い、カエデは二本の刀で防御。ギリギリギリと強い力でもって擦れ合う刃。
「へぇ、いいね。大抵の後衛は大体ソレ一発で終わっちまうんだ……お前はもうちょっと楽しませろよなァ!!」
この鍔迫り合いにはカエデが勝った。刀の刃がコタロウの首に差し迫るが、力勝負では分が悪いと判断したコタロウは力の流れを無理に遮らずに流す、と同時に体を移動させて回避する。無理な体制で相手の刃の軌道を逸らすという離れ業をやってのけたのは、コタロウが人並外れた熟練の上忍である事の証拠であった。
それからはコタロウとカエデで交互に攻めと弾きを繰り返していた。ギン!ギン!ギン!と耳を震わせる金属音、百花繚乱と咲き乱れる火花、一瞬の油断が首を斬り落とす極限の闘いであった。
「私はお前たちを倒し、 私の王国を作る! この野望、例えガロン王でも阻むことはできぬ!」
そしてできた、カエデの隙。右の刀は弾かれて直ぐには動かせない。左の刀は自分の右手が持っている苦無で抑えている。
隙ありと見たコタロウは、左に持つ苦無でカエデの首を狙う――
「よっこい!」
「ぬ!?」
コタロウの身体が左に大きく逸れる。
カエデはコタロウが使った技を返しただけであった。左手に持つ刀で苦無を流し、そして
その上、蹴りも併用しており、これには思わずコタロウも転倒。致命的な隙であった。
「フッ!!」
「がああああああああッ!!!!」
当然、この隙をカエデが逃すはずもない。転倒したコタロウの背中に刀を一突き。背骨を切断され、最早どうあがいても再起不能の負傷である。
「そんな、私の、野望が……! 私の、フウマ王国、が……」
ダメ押しにとカエデは突き刺した刀を横なぎに振り、腹部を大きく切り裂く。
背骨の切断の上、この大量出血。最早生きてはいられないだろう。
「……これで100」
今ここに、フウマの王は倒れた。
「……ん?」
フウマの城を出て見れば、あれだけあったスレ民の馬車は一台しかなくなっていた。その一台の馬車に寄りかかっている女が一人。
「おい槍マン、他のスレ民は何処行った?」
「もうみんな撤収してったよ。後はお前だけだ。さっさと乗れ……ってか何だその荷物」
「これ? 悪代官姉貴への手土産。流石に金銭面で元が取れないのは可哀そうだと思ってよ、城ん中漁ってみたら金銀財宝隠し持っててな……ってそれよかアイツら地味に薄情では? 俺が死んだらとか考えなかったんか」
「馬鹿言ってんじゃねえよ。勝手に単身突撃しといて、それで死んでも自業自得だろ。それに、お前みたいな妖怪、心配するだけ無駄だってそれ一番言われてるから」
「何てこと言いやがる! 単身突撃は、その……アレだ。スレ民達の被害を最小限に抑える為にだな――」
「悪いが今は無駄口叩いてる暇はねえんだ。完璧に奇襲を決めて打撃を負わせたとは言え、数自体はまだフウマ兵の方が上なんだからな? 今凸砂とイケメソの部隊が殿を務めて仲間を逃がしてる。俺たちもさっさと逃げないとアイツ等に悪い」
「……へっ、泣けるぜ」
斯くして、スレ民によるフウマ攻撃作戦は成功を収め、フウマの国力を大きく削ぎ落とすという目的は達成された。
この作戦の結果がどうなったかと言えば、力を落としたフウマと、息を吹き返したコウガによる泥沼の紛争が継続された。
元々両国は犬猿の仲であり、その上残酷な統治を強いられたコウガの民の恨みは深く、殺し殺されの復讐の連鎖が渦巻いた。
だがこの紛争は、原作開始時点では一応の和平は結ばれた。
コウガは王族が全員処刑されており、忍も多くが死に絶え、フウマもコタロウ亡き後、王位継承が遅々として進まず、水面下で内ゲバをしている有様。本来両国は、最早戦争自体出来るような状態ではなかったのである。
だが忍とは、影に生きる兵種である。一応の和平は成立した後も、水面下では夥しい量の血が流れている事だろう。
誰にも知られぬまま、歴史書にも載ることもなく、今もフウマとコウガの何処かで、一つ、また一つと命が失われていく…………。
悪代官
兵種 大商人
HP 64
力 47
魔力 18
技 33
速さ 30
幸運 36
守備 43
魔防 32
スキル
堅実な商売(個人)幸運で発動率が変動するスキルに×0.75%する代わりに、1ターン目と2ターン目は必ず発動するようになる。
左うちわ
お大尽
写し身人形
守備の叫び
魔防の叫び
いつも疲れてるワーカーホリック。ファ美肉。
元々白夜の小さな商家の生まれだったが、家督を父親から乗っ取り、現代知識のあれこれを駆使して白夜一の商会にまでのし上がっていった。
実の所スレ民の活動資金の6割は悪代官の手柄であり、その上物資の管理も担当している為、スレ民の誰もが悪代官には逆らえなかった。
スレ内ではよく怒る姿が確認されているが、なんだかんだ面倒見は良い為スレ民の相談役もちょくちょく行っていたりもする。
軍の中で一番 働き者