黄金樹の麓から   作:シショ

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第4節

 

 校舎へ戻ったマリアたちを出迎えたのは、久しく感じていなかった熱狂であった。

 二人の教師殺しにグリフォンの変死。立て続けに起こった事件が生徒たちの心を荒ませていた筈だった。しかし今、校内にはそれを忘れさせるほどの熱気や期待が満ちている。

 

「何があったんだろう」

「うーん……ちょっといい?」

「エッ、あっ、はい」

 

 不幸にもリュディアの目に留まった一年生から聞いたところ、直近に行われる箒競技三種目と来年度の決闘リーグの賞品が上乗せされるらしい。

 

「五千万ベルク!」

「それに竜心結晶(ドラグリウム)だって!?」

「はい。……その、もう戻っても?」

「ごめんね、ありがとう」

 

 そそくさと立ち去る一年生を尻目に、ガイやピートは興奮を抑えきれずにいた。

 マリアもガラテアで見た工芸品を思い浮かべながら指折り数えてみたが、途方もない額だ。そんな大金とピートが我を忘れるほどの希少素材を、どうして出す気になったのだろう。

 

「五千万ベルクかぁ……わたしも箒が得意だったらなぁ」

「だよなぁ。そんなにあったらガラテアでひと月豪遊しても余っちまう」

「ガイ、不純! それにわたしが欲しいのは研究資金の方なの」

 

 重くため息を吐くカティの研究対象は、生きた魔獣だ。

 餌代、場所代、実験に使う魔法薬諸々……ただその命を維持するというだけで魔獣たちは大量の資金を必要とする。これから研究が本格化するにつれてそれは際限なく膨れ上がるだろう。

 

「ふむ。然らば拙者が優勝したあかつきにはカティに進呈致そう」

「……ううん、それはだめ。わたしが自分で稼いだお金じゃないと」

「お金はいくらあっても困らないから貯めときなよ。あたしもこっちに来て実感した」

「ほんとにそう」

 

 リュディアとマリアが深々と頷く。

 受け継いだルーンがそのまま通貨として通用した過去があり未だに貨幣文化が根付かない狭間の地と違って、こちらはそこらに落ちているなんてことは絶対にない。もし道端に硬貨が大量に入った麻袋が落ちていたとしても、それは十中八九罠だ。

 

「ま、どっちにしろナナオが出るならお前も調子戻さねぇとな」

「急かすな。魔法使いのスランプはデリケートな問題なんだぞ」

 

 肩を組んで来たガイをどかそうとするピート。そして元々手を繋いでいたナナオの三人に引っ張られ、オリバーは立ち往生してしまった。彼らの下へ少しずつ近づいて行くシェラに、リュディアが手を叩く。

 

「ほら、次は選択授業でしょ。皆別なんだから、早くしないと間に合わないよ」

 

 はっと顔を上げたオリバー達は一旦別れ、急いで教室へ走っていく。マリアとリュディアも焦るガイの背中を押しながら魔法植物学の授業へ足を向けた。

 

 

 

 魔法植物学の担当はダヴィド=ホルツヴァ―ド。

 寡黙で授業でもほとんど口を開くことは無いが、それでもその高い技術力に惹かれて弟子入りを志す生徒も一定数存在する。そんな中でもガイは特に気に入られていて、同じ班のマリアとリュディアはその恩恵を受けることが多い。

 

「……育ったか」

「はい」

「……経過を纏めて提出しろ。……完全な新種だ。扱いは慎重に……」

 

 今マリアが取り組んでいるのは黄金樹の再生だ。

 大いなる意思が介入する以前、死が循環していた頃のそれを再現するべく、手持ちの種子を用いて育てていたのである。しかしやっと芽が出たばかりで、若木になるにもまだまだかかるだろう。

 

「……グリーンウッド、お前は……」

「うす。成長はじゅうぶんなはずなんすけど、実が付かなくて」

「……大気中の魔素が活性化している……外に出す時間を減らしてみろ……」

 

 生育過程と現状から最適な答えを導く。それを引き出せるかがそのままダヴィドの期待の大きさと見て構わない。そう伝え聞いていたが、ああもガイが目を掛けられるとは思わなかった。

 マリアは手のひらサイズの黄金樹に手製の肥料を与えながら誇らしさに頬を緩める。今日も授業は静かに続いていった。

 

「くあぁ……進まねぇな」

「加速させた成長は植物本来の在り方ではない、だっけ。在学中に終わればいいけど」

「ガイのはもうすぐなんじゃないの?」

 

 成長が遅いマリアのものとは違って、ガイの鉢は立派に育っていたはずだ。ダヴィドも言っていた通り、環境さえ変えればまた成功に近づくだろう。

 

「実を付けてもその先が心配なんだよ……お?」

「やぁ」

 

 オリバーたちと合流するために歩いていた三人の前に、人影が現れた。

 セオドール=マクファーレン。スーツを洒脱に着こなした彼は、マリアとリュディアに向けて手を伸ばす。

 

「校長がお呼びだ。来てくれるね?」

 

◆◆◆

 

 珍しくエスメラルダを校内で見かけたかと思えばそのまま連れ去られ、オリバーとピートは校長室の椅子に座らされていた。

 

「お前たちを呼んだのは他でもない。エンリコの件についてだ」

 

 極度の緊張に呼吸が荒くなる。

 つい先日ゴッドフレイが尋問を受けたというのは聞いていた。それが生徒への嫌疑を示すためのパフォーマンスだとも。その一環としてゴッドフレイ以外も尋問を受けるとは予想していたが、それがこんなにも早く、自分たちの身に降りかかって来るとは思わなかった。

 

「失踪の直前、お前たちはエンリコの工房を訪れている。そうだな?」

「は、はい」

「見聞きしたものを全て話せ」

 

 迷宮の壁に擬態した洞窟(ケイヴ)ゴーレム。

 ナナオとオリバーを足止めするために放たれたゴーレム。

 そして最奥の研究室に鎮座した、機械仕掛けの女神(デア・エクス・マキナ)

 

「──やはり見ていたか」

 

 全てを話した。その中で魔女が興味を示したのはただ一点、生者の命を磨り潰し、戦力に変える非道の女神。

 オリバーは気づかれぬように唾を飲んだ。これが校長の本命だ。

 

「勘違いしないよう言っておくが、お前たちが直接エンリコの失踪に関わったとは考えていない」

「だったら」

「だが、間接的にであればその要因になり得るだろう」

 

 オリバーの所業はまだ(・・)明らかになってはいないらしい。

 しかし、エスメラルダはオリバーたちを疑っている。それは彼らが最も新しい工房への訪問者だから。最も新しい機械仕掛けの女神(デア・エクス・マキナ)の情報を伝えられる立場にあるからだ。

 

「ですが、ボクたち以外にもあれは見せていたはずです! もしかしたらより近い立場の生徒には図面を見せていたかも」

「その可能性については調査中だ」

「そっ、それなら、ボクたちを疑う理由はまだ無いでしょう!?」

「口が回るな、レストン。だが問題はお前じゃない」

 

 エスメラルダの視線の動きにつられ、ピートも横を見る。

 

「ホーン、お前は自ら志願したと言ったな」

「そ、れは……」

 

 白杖を抜き、構える。

 エスメラルダがとった行動はそれだけだったが、オリバーとピートは椅子に縫い付けられたように身を固くした。今度こそ背もたれではなく自分が斬られるかもしれない。そんな考えがよぎってもオリバーたちは動くことが出来ず──背後の扉が両断された。

 

「なっ……」

 

 部屋を傷つける程度ならまだいい。物に当たってくれた方が気分を推し量りやすい。

 だが、甲高い金属音と共に扉の向こうで斬撃が止まったのを感じて、オリバーは思わず振り返った。キンバリーでもただ一人しかいない盾使い。リュディアがひどく焦った様子でそこに居た。

 

「困ったな。直すのは僕なんだけど……おっと」

 

 その後ろでマリアを押しつけるようにして庇われたセオドールが真っ二つになった扉を見てそうぼやくと、エスメラルダの杖の一振りで扉が取り払われる。

 

「さ、二人とも入って入って。残念ながら僕はここまでのようだ」

 

 明らかに警戒した様子の二人を部屋に押し込むと、セオドールはどこかに行ってしまった。後に残されたのら不機嫌な顔のリュディアと、無表情に校長を見つめるマリアだけ。

 

「エンリコの試練を越えてまで工房へ入ったのはなぜだ?」

「それはピートが連れ去られて」

「その話はもう聞いている」

 

 マリアは答えに窮して黙り込んだ。

 ピートが連れていかれたから追いかけた。それ以外にマリアが言えることは無く、目的がどうのと言われてもどうすることもできない。

 

「──友の身を案じ、付き添った。それだけにござる」

 

 開いた扉の向こうにナナオが立っていた。

 その後ろには息を切らしたカティもいて、急いでナナオを探していたことがわかる。

 

「む、シェラが探してござったぞ」

「……ガイ、シェラと会えてないのかな」

 

 ナナオの登場で澱んでいた部屋の空気が一気に晴れやかになった。

 しかし校長はマリアたちとは対照的に苦い顔をしている。

 

「ヒビヤ、お前は呼んでいないはずだ」

「うむ。しかし拙者もエンリコ殿の工房を訪れてござる」

「……」

 

 確かに、あの場にはナナオもいた。

 二年生から学生統括に至るまで手当たり次第に尋問を行っているのなら、ナナオ一人を見逃す理由などないだろう。それとも校長の何か個人的な理由でもあったのか。

 

「……今日の聴取はここまでとする。下がれ」

 

 その言葉を口にした校長からは毒気が抜けたように見えた。

 

 

 

「みんな疲れたでしょ? いまお茶淹れるから待ってて」

 

 カティが押さえてくれていた談話室に転がり込んだオリバーとピートは揃ってソファに崩れ落ちた。眼鏡を外して寝転がるピートと深く俯いたオリバーは、マリアが向かうよりもずっと前から尋問を受けていたようだ。

 それはそれとして、マリアはリュディアの腕に手を這わせる。扉越しの斬撃を防いだリュディアだったが、マリアを庇って怪我をしているかもしれない。

 

「大丈夫。なんとか間に合ったんだ」

「怪我は……してない」

「平気だよ。ありがとう、マリア」

 

 するりと頬に手が触れて、マリアは目を細める。人の温度を感じないリュディアの手は、気がつかない内に高ぶっていたマリアの気持ちを落ち着けた。

 そんなことをしていると、カティがトレーに紅茶が入ったカップを乗せて持ってきた。マリアはリュディアの膝から降りて、ジャムがたっぷり入った紅茶に目を輝かせる。

 

「……オマエが来てくれて助かった、ナナオ。あのままじゃいつまで保ったか……」

 

 紅茶を飲んで一息つくと、ピートが細く感謝を口にした。

 そうだ。あの場でナナオが割り込んでこなければ、尋問はより過酷さを増したことだろう。

 

「オリバー、ちょっとだけでも飲んでみて? 落ち着くよ」

 

 そして黙りこくるオリバーにカティが紅茶を勧める。

 ぼんやりとカップを口元に運び、一口含んで──

 

「ん゛っ」

「オリバー!?」

「ご、ごめん、渋かった!?」

 

 ぽろぽろと大粒の涙がこぼれ落ちる。

 驚きすぎてむせたマリアの背中を擦りながら、リュディアはオリバーの様子を伺った。苦し気に歪んだ眉の下で、抱え込んだカップに雫が落ちていく。

 

「……すまない。俺は、守られてばかりで……何もできずに……」

 

 魔法が使えなくなって、剣もまともに振れず、校長の前では震えているばかり。

 無力感に打ちひしがれたオリバーの姿はいつもの彼とはかけ離れていて、それ故にオリバーの本当を見られたような気がした。

 そんなオリバーの様子を見ていたナナオは一つ頷くと立ち上がって言った。

 

「拙者に考えがござる」

 

◆◆◆

 

 時間をおいて共有工房に集まったマリアたちは、オリバーの状態について改めて話し合った。追い詰められた様子のオリバーはそれすらも申し訳なく感じているようだったが、ガイが軽食を押しつけて座らせた。

 

「……あたくしの見通しが甘かったと言わざるを得ませんわね」

「ううん、私も傷ついているわけじゃないから、いつか治るだろうって思ってた」

「結局あたしたちにはどうしようもなかったんだ。ナナオ、さっき言ってた考えって?」

 

 落ち込んだシェラをオリバーとは反対側のソファで慰めながらナナオに話を振る。

 ナナオの言うそれが有効な手立てであるなら、いや、そうでなくともマリアは協力を惜しまないだろう。そんな期待と不安が入り混じった視線を受けてナナオは自信に満ちた顔で立ち上がった。

 

「ではこれより始めるのは、鬼事にござる!」

「オニ……なんだって?」

「一人が『鬼』となり、他の子どもを捕まえて仲間を増やす遊びでござる」

 

 あぁ、と納得したように各々の知っている遊びの名前を口にする中でマリアとリュディアは顔を見合わせた。遊びなんてものが廃れて久しい狭間の地から来た二人は、普段の会話でもこうして話題について行けなくなることがよくあった。

 

「効果があるかはわからないけど、とりあえずやってみるか」

「その前に大広間を片付けなきゃ。ガイ、行こう」

「おう。一旦厨房に運ぶぞ」

 

 ばたばたと走っていくカティとガイを見送って、マリアはシェラの下に行く。物が豊富になってきた大広間の片付けには時間がかかるだろう。その間にルールを確認しておこうと思ったのだ。

 

「ルールを教えてほしい」

「先ほどナナオが言った以上のことはありませんが……」

「じゃあ『捕まえる』って、どうやって?」

「体の一部に触れる、というのが一般的ですわね。髪を引っ張る等は避けた方が良いですが」

「遊びだから?」

「えぇ」

 

 あくまで遊びだということを念頭に置いておけば、後は周りを見て何とか出来るだろう。

 マリアはそこまで考えて、大量の荷物を抱えて出てきたカティの手伝いに向かった。飼料やガイの鉢植を協力して運び出し、マルコにも脇にどけてもらって、大広間は最初の何もなかった頃の広さを取り戻した。

 

「では初めは拙者が鬼を」

「えっ、もう!?」

 

 ナナオの宣言と共に戸惑いながら離れていたマリアは、逃げ遅れたカティが捕まりこちらに向かってくるのを見てルールを理解した。そして腕を伸ばしたカティの横を転がり抜けて背後に走り去る。

 

「そんなのあり!?」

「逃げる分にはなんでもありなんじゃないかなぁ……おっと」

「これでリュディアも鬼にござる!」

 

 マリアに気を取られたところを背後からナナオに叩かれた。

 気が緩んでいるとはいえリュディアの背後を取るとは相当である。手加減をしてくれてもいいのに。

 

「次はそっちかな」

 

 開始地点から離れた場所にリュディアは目を向ける。その背後でマリアも捕まり、鬼は一気に四人へ増えた。鬼と逃げる側は同数。誰か一人が捕まれば一気に均衡は傾くだろう。

 

「さぁ、お覚悟を!」

 

 

 

 走る。

 マリアの手をかいくぐり、前後に迫ったナナオとシェラをぎりぎりで躱す。その先でリュディアに捕まると、仕切り直しだ。ガイとピート、カティはもう離脱して壁際で休んでいる。そこまで範囲が及ばないよう中央に陣取ってもう一度。

 

「次は鬼が相手を掴むまでだ!」

 

 時間がたつにつれてルールが変わっていく。

 触れられたら終わりではなく、掴まれるまでは逃げて良い。そして正面から鬼の手を捌くこともできる。

 最後に捕まったオリバーが鬼となって近くに居たリュディアに掴みかかる。ぎりぎりまで引き付けて受け流そうとしたようだが、間合いに入り込んでしまえばオリバーが有利だ。

 

「捕まえたぞ」

「取っ組み合いは苦手だ……」

 

 何度も何度も捕まえて、逃げて、また捕まえる。

 遊びに夢中になるうちに、オリバーは元の動きを取り戻していった。

 その内マリアとリュディアが離脱して、オリバーは残った二人と向き合う。

 

「来い」

「応!」

「行きますわよ!」

 

 

「——どこに行くの?」

「お風呂沸かしてくる。休んでていいよ」

「私も行く」

「……いいの?」

 

 まだ駆け回っているシェラたちに背を向けて、二人は大広間を出た。この工房で唯一ナナオの希望が全面的に反映された場所であり、地下にも関わらず薪焚きの風呂釜が置いてある。

 マリアが炉の燃料を準備し、リュディアは浴室側で待機。空調設備を付けてマリアは小窓から手を振った。

 

「入れるよー」

 

 タンクから水が注がれていく。十分に溜まったそれを見てマリアへ合図を送ると、外から薪が弾ける音が聞こえてきた。

 

「火力どう?」

「足りてる足りてる」

 

 たちまち沸き上がった風呂に蓋をして、二人は大広間へ戻った。

 いつの間にかシェラが抜けて二人で組み合っていたオリバーとナナオだったが、一瞬の隙を突いてオリバーがナナオを投げ飛ばす。教本を限りなく高めたオリバー本来の戦い方に思わず感嘆の声が漏れた。

 

「オリバーが、勝った……?」

「もう戻ってんじゃねぇか!?」

 

 目を見開いてナナオを投げた手を見つめるオリバーは、立ち上がったナナオを恐る恐る見つめた。ナナオはそんなオリバーに元気よく笑いかけると、オリバーの手を取り口を開く。

 

「オリバー、貴殿は何も失ってなどござらぬ。逆に得た(・・)のでござる」

「得た……?」

「うむ。体が成長すればそれに合った動かし方が必要になるもの。それがわからぬ故あのようになってござったが、もう心配無用にござる」

 

 成長。マリアはその可能性を無意識に除いていた。

 元々オリバーの能力は安定していて、特に魔法の制御能力は目を見張るものがある。それが本人すら振り回されるほどに変化するとは思ってもいなかったのである。

 

「でも、いきなりどうして……」

 

 不安げにカティが呟く。

 そう、オリバーにそこまでの成長が見込める出来事など無かったはずだ。あのロッシですら決闘と言いつつ連戦連敗。ここ最近は生徒間での騒ぎが少なく、また毎日一緒に居てそれに気づかないわけがない。

 今となってはそれも思い込みだとわかるが、一体どうしてそんなことになったのだろう。

 

「理由は分からぬ。しかしオリバーがこれを良しとするのであれば」

「──俺は、弱くなったわけじゃ、ないのか」

「うむ」

「今まで積み重ねた全てを、失っては」

「むしろ強くなってござる」

 

 震える声で確かめるように呟くオリバーを、ナナオが正面から抱きしめる。そこへ回復したカティやピートも混ざり、マリアもシェラに引っ張られてひとかたまりになった。

 

「ふふ、みんな汗くさいね!」

「お風呂沸いてるよ」

「えっ!? ありがとう! みんなで入る?」

「バッ、バカ言うなっ!」

 

 仲間たちに囲まれて押しつぶされそうになりながら、オリバーは人知れず涙を拭った。

 これから思い悩みはすれど、剣花団であればきっと大丈夫だ。

 




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