【本編完結】デビアス・ピースキーパー 〜異星文明製ガイノイドとして蘇生されましたが魔法少女に追い掛け回される日々を送っています〜   作:縁樹

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諸々総括 1

 

 

 

「………………っていう感じで、『日本の領土が広がるかも』とか『広がった』とか『調査に期待』とかで、いろいろ全国的なニュースになってたんですけど……本当に、ほんっとうに、何も知らないんですか? アルファさん?」

 

「…………………………もちろん。なぁ?」

 

「んゥー! ワタシはかあさまに同意します!」

 

「…………んっ」

 

「ほら。…………な?」

 

「…………………………」

 

 

 

 

 遥か南洋、絶海の新生火山島にて繰り広げられた、私達主導による一連の極秘作戦は……まぁなんとか当初の予定通り『極秘』のうちに幕を閉じることができた。

 

 

 初期噴火の規模が予想以上であったがため、地球上を駆け巡った天変地異レベルの衝撃波こそ観測されてしまい、結果的に火山島の出現は明るみに出てしまったわけだが……いずれ見つかったであろう火山島そのものは、大した問題じゃない。

 最寄りの航空基地から観測機が飛び立ち、それによる有視界観測および情報共有が行われるよりも前に、なんとか『全て』を終わらせることができたのだ。充分だろう。

 

 

 観測機からの報告……そこには揚星艇による海底岩盤破砕作業も、地底からの高濃度魔力の誘引も、集束深度ⅥやらⅦの規格外の出現も、地底に棲まう上位生命体の介入も、そんな事実は何一つ()()()()()()()

 

 強いて言えば、噴き上がった噴煙を局地的な重力干渉で叩き落とした様子を、人工衛星の観測カメラに捉えられた可能性があるくらいか。

 ただそれでも幸いというべきか……叩き落とす際に噴煙上部まで重力干渉の手が届かなかったこと、高空域の噴煙を逃してしまったことが、ここに至ってはプラスに働いた。

 良い感じの『傘』として大気中に留まり、その下での様子を人工衛星の目から隠し通してくれていたわけだ。

 

 横から見られたのならまだしも……真上から見下ろす視点しか持たない人工衛星では、事態の全容を窺い知ることは不可能だろう。

 

 

 とはいっても、やはり専門家の目から見れば不自然な映像が残るかもしれないが……そのあたりの『火消し』は、全てプリミシア局長に丸投げしてある。良いように済ませてくれることだろう。そういう契約だ。

 

 

 

 つまるところ……今回の一連の騒動、その全容とは。

 未だかつて火山活動が観測されていなかった海域にて、突如巨大な海底火山が噴火、溶岩を噴き上げる激しい火山活動を伴い、火山島を形成した……という形で落ち着いたわけだ。

 

 

 

 ……そのはず、なんだが。

 

 

 

「…………まぁ、いいでしょう。こうしてまた『握手会』来てくれたわけですし……アルファさんが元気してくれてるなら、私は何も言いません」

 

「あぁ、すまな…………いやだから、何もやましいことは無いわけで……なぁ?」

 

「んゥ! ワタシとかあさまとスー、やらしいこと無いわけです! ワタシたち、地面を土いじりします! 家庭菜園のおてつだい、たくさんがんばりました!」

 

「そ、そう。知人の家庭菜園の手伝いで。ずっと畑に出てて。泊まり込みで、ニュースとか見てなくて」

 

「………………なるほどぉ?」

 

 

 

 妙に勘が鋭いというか、嗅覚が鋭いというか……ついでに眼光も鋭いエモトさんの追及をのらりくらりと躱しながら。

 私とディンとスーは現在、かしましい少女たちのお相手を務めさせて頂きながら、次々運ばれてくる軽食や甘味を摂食している。……そんな次第である。

 

 そう、本日現在の所在地は久方ぶりとなる『スイーツシャングリラ鷲谷金(わしやがな)店』であるからして。

 それ即ち……私こと【イノセント・アルファ】ならびにディンこと【ディスカバリー】、そして多くの子らには初披露となるスーこと【ステラ】を伴っての、魔法少女たちの慰労会なのであって。

 

 

 

「アルファちゃんアルファちゃん! 新しいパスタ持ってきたよ! ジェノベーゼだって!」

 

「んも。…………ありがとう。頂こう」

 

「ディンちゃんツインテ似合うと思うんだけどなぁ……ねーえ、触っちゃダメ?」

 

「んゥー…………ワタシ、あたまはこしょばゆいので、かあさ「ねえさまな」……ねえさましかダメ、です」

 

「スーちゃん……ステラちゃん? お目目きれいだねぇ……ちっちゃくてかわいいねぇ」

 

「あっ………………んんっ」

 

「んゥー! スーはおませさん、てれやさん、ひかえめな子です! ねー」

 

「…………んー」

 

「ほわぁ、仲良しだぁ……いいなぁ……おうちでもそんな仲良しなの?」

 

「あい! とても『なかよし』します! ワタシと、かあさ……ねえさまと、スーと、あとミミちゃんとニニちゃんとルルちゃん、あとススもごもごもごもご」

 

「スイーツおいしいよな! スイーツな! そうだな!? たくさん頂こうな!」

 

「んへゥーーー!!」

 

 

 

 …………ここ一ヶ月近く、私達が例の計画で奔走している間、日本の平和を守ってくれていた魔法少女達。

 危険な任に当たってくれていた彼女らを労うこと自体は、至極当然のことであろう。私も別段抵抗を感じているわけではない。

 

 私達とて魔物の出現はモニターしていたし、何かあれば援護に入れるよう構えてはいたが……実際に現場で執行に当たっていたのは、年端も行かぬ彼女たちなのだ。

 

 国からの支援や報奨は勿論あるだろうが、それは別として。

 他に彼女たちが望むことがあるのであれば……私達が協力できることであるならば、可能な範囲で協力したいとは思っている。

 

 

 ……そんな想いから、だいたい月イチ程度のペースで招集される『慰労会』には、極力都合を付けるように心掛けているのだが。

 やはりというか……年頃の賑やかな少女達の輪の中に突入するのは、私には少々以上に荷が重かったりするわけで。

 

 

 

「……しかし、実際のところ()()なんだ? いや、招いて貰ってる立場でなんだが……私だって正直、そんな褒められるような活躍してるワケじゃないだろ? 私がしゃしゃり出たところで、そんな有り難みなんて無――」

 

「「「「大アリだよ!!」」」」

 

「お、おぅ……」

 

「会えるだけで嬉しいし! アルファちゃん有名人っていうか、もう伝説っていうか!」

 

「だってカワイイし! キレイだし! 見れるだけ、会えるだけでも嬉しいっていうか!」

 

「ディンちゃんと仲良さそうに微笑んでるの拝めるだけで疲れが吹っ飛ぶっていうか!」

 

「そ、そう……」

 

 

 

 淡い期待を込めて『この会って本当に必要?』と訊いてみたわけだが……今回の参加者全員が全員、『絶対に必要』と声高に主張してきたわけで。

 今回が初参加である魔法少女も何名か居たわけだが、彼女らにまで『会えるのを楽しみにしていた』などと言わせてしまったとあっては。

 

 たとえば『もう止めよう』とか、あるいは『頻度を減らそう』とか、とてもとても口に出せるような流れではあるまい。

 仮に、もしも、万が一、魔法少女達の悲嘆の感情から魔物が産まれでもしたら……それこそ本末転倒もいいところだ。

 

 

 つまり、私達に……そしてなにより、私にできることは。

 

 日夜平和のために頑張ってくれている彼女たちを労い、その働きに報い、願いを聞いてあげること。

 彼女たちの心の平穏のためにも、望むことは可能な限り叶えてやれるよう心掛けること。

 具体的には……今回のように『お呼ばれ』した際には、私達の活動に支障を来さない範囲で、その期待に応えてやること。……そういうことなのだろう。

 

 

 無限に近い体力を持ち、疲れ知らずの私達が()()苦労する程度で、この国のために頑張ってくれる魔法少女達が健やかでいられるのなら……それは、とても有意義な労力だと思う。

 

 

 

「…………でもでも、まさかこーんなカワイイ末っ子がいたとは思わなかったよぉ!」

 

「あ、あぁ…………末っ子、ね」

 

「そうそう!! カレン先輩もリュー先輩も、ずーっと『オレら3人目と会ってきたぜー』って自慢してたの! あれほんとずるいとおもう!!」

 

「そ、そうか。……まぁ彼女らも悪気があったわけじゃ……たぶん……」

 

「メルマガにも続報無いし、おはなし聞く機会も無かったし!」

 

「そそ! やーっと噂の『すーちゃん』に会えたんだから! ここであったが百年目だよアルファちゃん、メルマガ以上のことおしえて!」

 

「待て、何だメルマガって! おいちょっと詳しく聞かせろエモトさん! 聞こえてんだろコッチを見ろ【神兵(パーシアス)】!」

 

「んへゥーーー! かあさま、かあさま! ワタシは『すまほ』内画像フォルダ『スーかわいい』データ開示を提案します! 完全包囲、もう逃げられないと判断します!」

 

「いいか、()()だけだからな見せていいのは! 理解(わか)るよな!?」

 

「ディンちゃんディンちゃん、その画像データって送ってもらうことってできる?」

 

「お前は先に説明責任を果たせ【神兵(パーシアス)】! どうせお前らが噛んでんだろ『メルマガ』って! とりあえず私にも目を通させろ! おいコラこっちを向け【神兵(パーシアス)】!」

 

 

 

 どうやら私達の情報アレコレは、彼女ら魔法少女達にとっては一種のエンターテイメントであるらしい。

 自分達を……まぁなんというか、アイドルやら俳優やらと並び立てるつもりは、全くもって無いのだが。

 年頃の少女にとって『そういう存在』に夢中になるというのは、恐らく当然の感性なのだろう。

 

 雑誌やらネットニュースやら様々な媒体で、贔屓の人物の活躍あるいは情報を仕入れ、友人知人と一喜一憂する。

 もし魔法少女としての道を選ばず、普通の少女として学生生活に身を措いていたのなら……この子らもきっと、()()いう日常を送っていたはずだ。

 

 

 

「んゥー! スーはちっちゃくておとなしい、おしゃべり苦手、かわいい良い子、ワタシのいもうとです! んへへ〜〜!」

 

「ぅ…………ぁぅ…………」

 

「「「きゃ〜〜〜〜〜!!」」」

 

「いいなぁ……かわいいなぁ……」

 

「わたしも妹ほしいなぁ……」

 

「おウチでも仲良しなの? スーちゃんべったりだねぇ」

 

「あいっ! スーとてもいい子、かしこいかわいい子です! だっこする、ほかほかです!」

 

「…………んんーっ」

 

「「「いいなぁ〜〜〜〜」」」

 

 

 

 ……まぁ、うちの可愛い娘が仲良くして貰っているのだ。

 魔法少女達と、そして娘たちの『心』の平穏のために……私も微力ではあるが、協力していこうと思う。

 

 彼女たちにはこれからも、これまで通り、その神秘の力を貸して貰わなければならないのだ。

 

 

 

 

 集束深度レベルⅣ、危険度の高い『変異種』の出現こそ、恐らく大幅に抑制出来たハズではあるが。

 

 生活に根差した『魔法』関連技術が溢れる、この現代日本において。

 通常レベルの魔物(マモノ)の出現を完全に根絶することは……残念ながら、叶いそうもないのだから。

 

 

 

 

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