思い出は夕焼けとともに   作:桜花 如月

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今更になりますがかなり自己解釈が混ざってます。


出会い

 

「……どうしてこうなった」

「何が〜?」

 

 俺は目の前にいる者のことなど気にもせずそう呟いた。

 呟く原因のひとりが他人事のように聞いてくる、君なんだよ、君()のせいなんだよ。

 

 

 なんて言っても誰もわからないだろうから時を遡る。

 

 

 高校生活始まるぞ! と意気込んでまず入学式、校長の話とか生徒会長の挨拶、先輩代表の挨拶とよくある流れを終えて、やっぱり女子多いなーとか思いながらその足でクラス発表を見て俺は1-Aになり教室へ向かった。

 教室につけば既に友達同士で話してる生徒がいくらかいる。きっと中等部からの友達だろう。

 そんな中俺の横に座っている女子生徒は顔を伏せて完全に周りに話すなオーラを放ってる。

 きっと仲良い友達と離れたとかそういうのだろうけど、それにしてもここまで落ち込むのかよ……

 なんて考えていたら担任が入ってきて軽い自己紹介を済ませたあと配布物を渡してその一つ一つについての説明をした。

 その後クラス全員で校舎内を見て回ったけど、やっぱり広い、どこに何があるか覚えるのかなり大変そうだ。

 

 

「それじゃ、みんな一言ずつ自己紹介していこうね」

 

 教室に戻ってくると担任がそう言った。

 当然生徒たちからは「えー」とか「なんでー」といった声が上がる。

 が、何も聞こえなかったかのように席順にもなってる名簿の先頭を指した。

 すごい嫌な顔しながらも自己紹介してまばらに拍手が起こる。それを何度も繰り返して。

 

 

「じゃあ次、美竹さん」

「…………」

「美竹さん?」

 

 美竹、そう呼ばれたのは先程から全く顔をあげようとしない隣の生徒。

 さっきの構内巡りで友人らしき女子生徒に声かけられてたけどそれだけで彼女の機嫌は治らなかったみたいだ。

 そんなことより……

 

「おい」

「……」

「起きろ、自己紹介お前だぞ」

「……」

「初日から浮く気か?」

「……そんなわけないでしょ」

 

 担任の言葉に全く反応しなかったから肩を弱めに何度か叩くとちらっとこっち見て「なんの用?」と言わんばかりに鋭い目付きをしてきた。

 と思えばなにかに反応したのかすぐ起き上がり……

 

「……美竹蘭、よろしく」

 

 だけ言ってまたうつ伏せに戻ってしまう。

 先生も呆れた様子で次の人へと続けていく。

 

 

「とりあえず全員自己紹介終わったので今日はこれで帰宅になります」

 

 一通り自己紹介を終えたあと担任がそう言う。

 歓喜の声の中、やっと顔を上げた美竹はこっちを睨んできた。

 

「……何見てんの」

「いや、別に……」

「はぁ……」

「いきなりため息とは失礼だな」

「あんたに向けてじゃないから」

 

 彼女の左髪にある赤メッシュも相まってどう見ても不良な雰囲気だが、明らかに寂しそうに見える。

 そんな彼女との会話を少ししてるうちにホームルームも終わり帰宅となった。

 

「帰らないのか?」

「あんたには関係ない」

「そりゃそうだ……って、あいつらじゃないのか?」

「……あ、向こうも終わったんだ」

 

 周りが帰宅していく中一切帰る様子を見せない美竹が少し心配になり俺も一緒に待っていた。

 というか、一人にしたらずっと帰らなそうなぐらい落ち込んでるし一度声をかけた以上はほっとくのもどうかと思ったんだけど……

 帰らない、という心配は要らなかったようで教室の扉から4人ほどこちらを、正確には美竹を見てる生徒がいる。

 まさかとは思うけど5人で友達の輪が出来てたのに一人だけ孤立した……そんなわけないよな。

 

「帰る、あんたもはやく帰りなよ」

「言われなくても帰るって」

 

 余計なお世話、と最後につけ加えて4人が待ってる方へ歩いていく。

 俺も帰ろうと思ってすぐ教室を出て昇降口へ向かおうとしたところでバタバタと足音が近づいてきた。

 まさか、と思い振り向くと

 

「ちょっと来て〜」

「ちょっ、引っ張るなよ!?」

 

 突然銀髪の子に手を引かれてどこかへ連行された。

 どこへ連れていかれたというと、この学校の屋上、立ち入り禁止じゃないのかと思ったが決してそういう訳じゃないらしい。

 いや、だからってなんで連れてきた……? 

 

 

 そんな疑問を聞く隙もなく俺は美竹以外の4人に囲まれた。

 そして、現在に至る。

 

 

「蘭に声かけてくれたってほんと!?」

「そうだけど……」

「雰囲気悪くなかったか?」

「言っちゃうと悪かったけど」

「蘭ちゃん、すごい落ち込んでたから……」

 

 ピンク髪がグイグイ来て、赤髪ロングヘアが本人にダメージ行きそうな質問を投げて、茶髪の子が心配そうに美竹の方を見る。

 

「まず自己紹介じゃないの、あと巴は質問を考えてよ」

「悪い、つい」

「……はぁ、まぁどうせこれでただのクラスメイトになるだけだからいいけど」

「え、何言ってるの蘭?」

「何って、あいつとはもう関わらな──」

「これから仲良くするんだよ〜?」

「……え」

「いや、ちょっと待て?」

 

 自己紹介適当に済ませてたやつが自己紹介しないのかとか言ってきたことに呆れていたら勝手に話が進んでいた。

 美竹の言う通り単なるクラスメイトで終わる関係だと思っていたんだけど、仲良くってどういう……

 

「だから〜、蘭はこの人と仲良くするんだって」

「いやいや、意味わかんないし」

「あたしたちが一緒のクラスじゃない以上、話せる仲は一人ぐらいいた方がいいだろ?」

「そうかもしれないけどなんであいつとなの」

「酷い言われようだな」

「事実でしょ、ちょっと話したからってそれでずっと仲良くは関係ない」

「それでまた屋上に籠るの〜?」

「……っ、モカ!」

「蘭のためだと思って、ね?」

 

 美竹のいうことは間違っちゃいない、でもちょっと言い方キツくない? 

 そして、屋上に籠るという単語に妙な反応を示した。

 過去に何かあったのか……? 

 

 

「ま、とりあえず自己紹介だな!」

「はーい! まずは私、上原ひまり!」

「あたしは青葉モカ、モカちゃんでいーよ〜」

「わたしは羽沢つぐみ、よろしくね」

「アタシは宇田川巴、よろしく!」

 

 気を取り直して、と自己紹介が始まった。

 モカ、その名前に聞き覚えがある気がしたけど、どこで聞いたのか思い出せないためとりあえず自己紹介を返す。

 

「俺は夕凪奏、よろしく」

「……夕凪?」

「え、なに?」

「いや、あこの友達にも同じ苗字いるんだよ」

「あこ……?」

 

 そう言われて叶恵の友人を何人か思い浮かべてみる、たしか紫髪のツインテールがいて、その子があこって呼ばれてた気がする。

 と、なると姉妹ってことか。

 

 

「それは多分俺の妹だな、羽丘に通ってるし」

「やっぱそうだよな!」

「でもそれなら巴ちゃん、奏君と前から知り合ってない?」

「いや、あこは何度かお邪魔してるみたいだけど、アタシは妹さんと知り合ってるわけじゃないから」

「そうだな、知り合ってたらすぐ分かるし」

 

 叶恵がたまに家に連れてきて、何度かそのあこって子とは顔を合わせてるけど姉とは会ったことがない。

 それにしても奏君、か……

 

「かーくん」

「誰だよ」

「君だよ〜?」

「せめて奏って呼んでくれよ」

「モカの呼び方は独特だからな、かーくんでいいんじゃないか?」

「なんで勝手に決めるんだよ……べつにいいけど」

 

 奏って呼び捨てにされることが多くて君付けされるのに慣れてないからとか考えてたら青葉からの呼び方でそんな考えは吹き飛んだ。

 かーくん、なんかこの呼び方どこかで───

 

 

 

 ──やくそくだよ

 

 突然、ある日の景色がフラッシュバックしてきた。

 それは、今朝見た夢とおなじ()()()()思い出。

 

「……かーくん?」

「……ん?」

「まさかモカちゃんに見惚れた?」

「それはどうかね……じゃなくて、ちょっと考え事してただけだ」

「「否定しないんだ……」」

「??」

「かーくん面白ーい」

 

 いつの間にかすごい至近距離まで来ていた青葉との会話に何故か苦笑いを浮かべてる上原と羽沢、そんな俺を見て青葉は面白いとか言ってくる。

 何が面白いのか分からないし、そんな俺たちの会話に一切入ってこない美竹がすごい顔で睨んでる。

 

「……とりあえず今日は顔合わせで終わらないか?」

「んー、そうだね、明日以降もまた会うわけだし」

「さんせ〜、モカちゃんお腹ペコペコ〜」

「じゃあ帰りに──」

 

 美竹の機嫌がこれ以上悪くなるのを避けるために解散を提案した。

 みんな賛成してくれたみたいで荷物を持って屋上から去っていく。

 そんな中、一人何故か残った青葉が俺の傍に来て──

 

「あんな感じだけど、蘭のこと、お願い」

「言われなくても、そのつもりだよ」

「そっか、ならよかった〜」

 

 それだけ伝えて青葉は4人の後を追って行った。

 

 

 

 

 

 これが、俺の非凡な日常の1ページ目だ。

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