「『ああ……寒い…』」
ついついドイツ語で呟いでしまうほど寒かった。ペーターは西部戦線、アフリカ戦線担当であったからロシアの冬将軍がどんなのかは分からなかったが、少なくとも東北とロシアの寒さではこっちの方がまだマシだと思っていた。今はキエフ級空母に似たプラウダ高校の学園艦に居る。寒いとは聞いていてロングコートを羽織ってきたが、正解だった。
「那須さん、2回戦突破、おめでとうございます。やはり貴女達の戦車道は面白いわね」
「どうも。見ましたよダージリンさん……残念でしたね……」
「公式戦、貴女達と戦えないのが残念ですわ」
ペーターは聖グロと黒森峰の準決勝を見ていた。最終的に黒森峰が勝利した。
「ですが、まだ来年がございます。来年こそは公式戦で戦える事を願ってますわ」
「ええ。その時が来るのを楽しみに待っています…ところで何ですが、何故プラウダ高校でお茶会を?」
「プラウダ高校は、我が聖グロリアーナと交流があり、プラウダとは時々お茶会をいたしますの。それに、那須さんに紹介したい人が居ますし」
「紹介したい人……」
私に紹介したい人って誰なんだろうか?
「ところで、那須さんはプラウダ高校の事はどれくらい知っていまして?」
「ああー…去年の黒森峰10連覇阻止をした高校で、ソビエト中心の戦車ぐらいですかね」
「プラウダは青森県の実業系の学園艦よ。戦車道においては雪上戦を得意として、プラウダはソビエト……ロシアとの交流もありロシアからの留学生も多く、那須さんの仰る通りロシア戦車が中心ね」
「となるとTー34か………」
「それとISー2、KVー2ね。プラウダのカチューシャ隊長のお気に入りねKVー2は」
東部戦線担当の連中がTー34ショックを受けていたな。生憎俺達はその頃防御だけはピカ一なマチルダⅡとかを相手してたからな。味方高射砲部隊(8.8cm砲)がマチルダⅡを撃破してて笑いそうになったが。
ISー2、聞いたことはある。ソ連人民最恐の独裁者、ヨシフ・スターリンがイニシャルのISー2。その見た目に合わない速度と後退速度、122mm砲の高火力はティーガー戦車をも屠る事が可能な砲だ。KWー2、鹵獲されたKWー2を見たことがある。Pz kpfw KWー2(r)と言う名で実戦運用された。鹵獲した際にキューポラを増設した改造車も存在していた。
とは言え、ドイツ生まれの自分からすれば、ソ連戦車も因縁の相手かも知れんな
そして歩いて暫くすると、黒髪長身の女性が出迎えてくれていた
「プラウダ高校へようこそ、お久しぶりですダージリンさんとお客様」
「えぇ、お久しぶりねノンナ。今日も美味しい紅茶を期待してるわ」
知り合いなのか。と思いつつ挨拶をする
「那須 友梨奈です。お茶会のお招き、ありがとうございます」
「どうも、あなたが那須さんですね。話はダージリンさんから聞いております。今回の案内を務めます、副隊長のノンナです」
ふむ、副隊長か。にしてもノンナさんが日本出身とは思えないのだが………本国出身みたいだ
そしてノンナに案内されてお茶会の会場に向かう
「プラウダ高校はどうですか?」
「ロシア風の建築物が多いですね。交流が深いわけがありますね」
「我が校はロシアとの交流を盛んに行っています。こう言う文化も入ってきます」
その後、お茶会の会場に着いた。扉が開くと既に準備されてあった。だが、一つだけ疑問があるなら
「………Zzz」
………誰?
「カチューシャ、起きてください。ダージリンさんが来ましたよ」
カチューシャと呼ばれる少女の肩に手を起き優しく揺さぶる
「うーん………ノンナぁ………」
彼女は眠そうであった。
「ダージリンさん、彼女が………?」
「えぇ、ここの隊長、カチューシャよ」
「………小学生?」
「誰が小学生よ!?カチューシャを馬鹿にするなんてシベリア送りよ!!」
(シベリアぁぁぁ?あのウラル山脈の?………冗談であって欲しいのだが)
「………人体の奇跡ですかね?」
「………そうかも知れませんわね」
と可愛そうな目で見る始末であった
「ちょっと二人とも!何カチューシャを置いて話を進めてるの!てかその隣のやつ誰よ!?」
え?聞かされてないのか?
「私の客人よ。今日のお茶会に連れてくるって言ったでしょ?」
「はぁ!?そんな事聞いてないわよ!?」
(あんたが聞いてないだけでしょ………)と思いつつ
「那須友梨奈だ。宜しくカチューシャさん」
少しだけ屈み、握手を求めたがカチューシャは
「ノンナ!」
「………?」
ノンナは屈んで肩車をする。………何となく分かった。相当気にしてるなこりゃ
「ふん、まぁいいわ。このカチューシャ様は広い心の持ち主なの。だから先の事も身長の事も特別に許してあげる!感謝しなさい!」
わー、カンダイダナー
「背丈と寛大な心に感謝します」
「分かれば良いのよ。分かればね」
でも、その時のノンナさんの表情は楽しそうだ。顔には出していないが
こうしてお茶会が始まった
ドイツじゃKVー2はKWー2と呼んでるみたいですね。でも意味は同じです。