「う~冷える」
あんこうチームのⅣ号では、寒さで震えている。沙織は手袋をはめていたがそれでも寒かった
「この寒さ………確かに一気に決着をつけるのは正解かもしれませんね………」
「うん………」
その時、秋山が紙コップにホットココアを入れる
「ポットにココアを入れておきました。よかったらどうぞ」
「ありがとう」
みほは紙コップを受け取りゆっくり飲む。そんな中、みほは横を走るティーガーⅡを見ていた
「どうしたんですか?西住殿?」
「ううん………友梨奈さん達があんなに歌うなんて今まで無かったから」
「そう言えば那須殿達はドイツ語が上手いですね。確かに相手はソ連戦車ですからピッタリだと思いますけど………」
ティーガーⅡ車内では
「『さて、ここからが本番だ。相手はソ連戦車。ソ連戦車は東部戦線では最大の敵だ。T-34、KW-2、IS-2は全て強い。我々も相手をしたことがない敵だ。だが、地獄の防衛戦を乗りきれる我々なら問題は無い。力を信じ、大洗を信じろ』」
「『ふっ、ペーターらしい。改良されたティーガーⅡは何処まで発揮してくれるか』」
「『力を信じ大洗を信じろ。力を信じ大洗を信じろ』」
「『………』」
そんな中、丘の上から双眼鏡両手に見つめる人影が二名………
『敵は全車北東方面に走行中。時速約20キロ』
プラウダ高校の偵察員は隊長であるカチューシャに報告していた
「ふん…一気に勝負に出るつもり?生意気な……ノンナ!」
一人朝食を摂っているカチューシャはノンナを呼び掛ける
「分かってます」
ノンナは淡々と答え、他のチームメイトへ視線を送る
「ダー!」
一人の搭乗員がそう言うとT-34-76三両は発進した
「それじゃない私達も行動するわよ」
彼女等の作戦を開始した
「『左11時にT-34!』」
シュローダーが叫ぶ。ペーターがキューポラを開けると、T-34-76三両が居た。
「『機銃で牽制!位置を知らせる!』」
傾斜装甲と砲前面の7.92mmMG34を発砲する。緑の曳光弾がT-34の装甲をつつくように当たる。
他の車両もMG34の発砲音に気付き、アヒルさんチームの八九式を守る陣形に変わる
「三両だけ………外角防衛線かな?」
そう呟いた瞬間、T-34-76が発砲する。機銃でつつくのは効果あったみたいだ
「気付かれた!長砲身になったのを活かすのは今かも!」
車内に引っ込み、指示を出す
「砲撃用意してください。あんこうチームも攻撃します!」
「照準合いました!」
「撃てッ!!」
Ⅳ号は砲撃しT-34-76を撃破した。優勝校相手に先手を打った。シュローダーも照準を合わせて発砲し撃破したが、どうも納得いっていなかった
「『どうした?シュローダー』」
「『車長、呆気なさ過ぎませんか?相手は去年の優勝校の筈ですよ?それに皆イケイケムードになってます』」
「『言われてみればな………これはそろそろヤバイのかもしれんな』」
だが、前進は止まらない。そこでペーターは
「『ケルツ、T-34-76を追跡。但し、この先は集落だ。その前の丘で停車しろ』」
「『ヤヴォール!』」
ケルツはティーガーⅡを発進させる。大洗とプラウダでの砲撃合戦が始まった。三突はフラッグ車を狙ったが、護衛のT-34-85が盾になり撃破はまぬがれた
「やった!」
「おしい!」
三突がT-34-85が一両撃破し、白旗が上がった
「フラッグ車じゃないけど、また撃破しちゃいました!」
「これは、いけるのでは……」
「みんなノリノリだね」
あんこうチームでも、みほを除くみんな勝ってるのではと浮かれた。そして、プラウダ戦車隊がフラッグ車を庇う様にして後退して行く。
「あっ!?敵がまた下がるよ!」
「また!?」
これを見て、大洗チームはますます士気を上げて行く、
プラウダ戦車隊が後退し始めると、先陣を切って走り出したカメさんチームの38(t)を皮切りに、三突とM3リーが急発進し、プラウダの戦車隊を追い始めた
「ストレート勝ちしてやる!」
「待ちなさいよ!」
それに続いて、おろうことかフラッグ車のアヒルさんチームの八九式までも走り出し、それからカモさんチームのB1も後に続く。
『ちょ、ちょっと待ってください!……ごめんね友梨奈さん私達も追いかけるよ』
みほは申し訳なさそうに言ってⅣ号を発進させる。その先は廃村だ
「『この先は集落です。恐らく』」
「『そこに敵が居る………か』」
「『後先考えずに何を突っ走ってるんだ』」
と言ってティーガーⅡを廃村の丘の直前で停止させる。ペーターはキューポラを開け双眼鏡両手に見る。フラッグ車のT-34-76は砲撃を躱す。普通に操縦が上手い印象だった。そして、自分達が優位に立っていると考えていた大洗チーム一行に悲劇が
「『こいつはまずい!みほ!後方にT-34!」
気づいたのかフラッグ車を追撃するのをやめ、東に離脱しようとするがT–34–85がその行く手を塞ぐ。方向転換しても76とKW–2、85が完全包囲網を形成していたため、逃げ場所など一つもなかった
「『ここから退避できる唯一の手段はあの教会ぐらいですかね』」
ハートマンの言う通り、全車両教会に退避した模様だった。
「『どうするペーター?』」
「『皆は待ってろ。ちょっと行ってくる』」
ペーターは降り、雪原を歩く。見つかったら追われるが