腹を満たすことが出来、士気が復活した大洗チーム。
(取り敢えずは、なんとかなった。だがこの包囲網をどうやって突破する……?流石にシャーマン数両相手するのとは訳が違うぞ……)
「友梨奈さん」
考え事をしていると、みほが歩み寄ってきた。
「ありがとう。おかげで皆元気出せたよ」
「礼には及ばないよみほ」
みほは友梨奈に頭を下げる。
「で?どうする?この状況を。何か楽しめるものがあればいいが……生憎そんなのは無いからなあ……」
「…あっ、一つあるよ?」
「何だ?」
ゴニョゴニョ………
「あれをやるのか……?」
「うん、せめてみんなの緊張が少しでも解けたら、踊っても意味はあるかなって………」
と、みほは皆の前に立つ。そして踊り出した
『あんこう踊り』を
「みぽりん!?」
「にっ西住殿っ!?どうしたんですか?」
聖グロリアーナであんこう踊りの内容を知った時真っ赤にして恥ずかしがっていたあの時とは違い、自ら率先して、しかも一人で踊っていると言うから、武部と秋山は驚きを隠せない。
「みんなも歌って下さい!私が踊りますから」
「逆効果だぞ!おい!?」
河嶋さんがツッコミを入れるが、みほは真剣だった。
「あの、恥ずかしがりのみほさんが……」
「みんなを盛り上げようと……」
「微妙に間違っているってるけどな」
この瞬間、みんなの為に動くみほを前にみんな先までのやる気の無さを戒める。
「わっ私も踊りますっ!」
「わたしも!」
「わたくしもやります!」
「仕方ないな……」
秋山、武部、五十鈴、冷泉とあんこうチームが加わり
「ウム!」
「是非も無しっ!」
カバさんチーム、
「規則違反ね……」
「まったく戦車道の全国大会で……」
カモさんチーム
「訳分からないよー」
「あんこうラリー!」
「つないでいきましょうっ!!」
「我々もっ!」
アヒルさんチーム、
「ここは踊るしかっ!」
「あいーッ!!」
ウサギさんチーム、かめさんチームと大洗チーム全員があんこう踊りを踊っていた。ケルツ達は踊っていなかったが、手を叩くなどしていた
観客席では
「…………」
「お嬢………」
観客席エリアでは今の踊りがモニターで流れており、百合は頭を抱え、新三郎は驚きのあまり声が出ていなかった
「…………」
「…………」
しほやまほは、黙って見ていたがしほに関しては少し顔を引き攣っていた
「………」
「あらあら………これは正にハラショーですわ………」
丘陵の上では、唖然としているオレンジペコの隣で、ダージリンがそう言った。
廃教会では大洗メンバーが全員であんこう踊りを踊り、とても楽しそうに踊っていた。
「あ………あの!」
「「「「「「「「ッ!?」」」」」」」」」
突然大きな声が割り込んで来た。
一行が踊りを中断して声を主の方へと向くと、3時間前に伝令として、降伏を勧告しに来たプラウダの生徒の一人が入り口に立っていた。
「誰?」
「ああ……那須達は知らないだろうな。まぁ、彼女は見ての通りプラウダチームの一人だ。恐らく勧告の返事を聞きに来たんだろう」
「カチューシャさんの……」
河嶋の説明に納得した友梨奈は、プラウダの生徒を見る
「もう直ぐタイムリミットです。降伏は?」
「しません。最後まで戦います」
そう聞かれると、みほは言った。
「それと、カチューシャさんに伝えてください」
「何でしょう」
「……友梨奈さんは渡しませんと」
プラウダ生徒は目を見開いていたが、すぐに表情を戻し
「……分かりました。そう伝えておきます」
そして戻ろうとした時
「すまない。少しいいかな?」
「な、何ですか?」
「カチューシャさんに伝言頼めるかな?」
「は、はぁ………まぁ、お伝えしましょう」
「伝えるとするなら……『大洗の最後の王虎を舐めるな』…とだけ伝えてください」
「ヒッ……わ、分かりました」
?なんで怖がってるんだ?そして味方からはすんごい顔で見られてるんだけど?
「いやー那須ちゃん、迫力の演技だったね〜」
「角谷会長さん……別にあれは演技では無いんですが……」
「え?」
「……で、降伏は?」
「しないそうです」
「そう……待った甲斐がないわね」
ノンナからのその報告に面白くなさそうに目をこするとすぐに気持ちを切り替えた。
「それじゃ、さっさと片付けてお家に帰るわよ」
「では……」
「ちゃんとあいつらに伝えたはずよ、降伏しなければ今度は容赦しないって」
プラウダ側からすれば勝てた状況で敢えて見逃してあげたのだ、これ以上は、あのフラッグ車と秋人のティーガー以外を全滅させる宣言を守るため必要はない。
「さっさとフラグ車やっつけて終わりにしてやるんだから」
ここからは本気だ、大洗のフラッグ車を狙い撃ちにしてやる。と
「向こうは我々を偵察していた様ですが編成に変更は?」
「必要ないわ、敢えて包囲網の中に緩い所作ってあげたんだから、奴等はきっとそこをついてくる」
この三時間の間に大洗がこちらを偵察に来る事くらいはカチューシャも予想していた。その為としての罠は準備済みだ
「ついたら挟んでおしまいね」
「上手くいけばいいんですが」
「カチューシャの立てた作戦が失敗する訳ないじゃない!それに第2の策でフラッグ車狙いに来ても隠れているかーべーたんがちゃんと始末してくれる」
フラッグ車の護衛にはKV-2を設置した。一発の砲撃で大洗を窮地へと追いやった重戦車だ。(装填は察して)
「用意周到な偉大なカチューシャ戦術を前にして、敵の泣きべそをかく姿が目に浮かぶわ」
意地悪く微笑むカチューシャだが気になったのかノンナに尋ねた。
「そう言えば、ユリーシャは?」
「引き渡さない、との事です」
「そう、ならこの試合は勝ってユリーシャの事は貰うわよ。ノンナ!クラーラ!」
「はい」
「…………」
クラーラが何も言わなかった為、二人が疑問に思っていると
「イエ、ナンデモナイデス」
「そう、なら行くわよ?」
すると、ノンナは思い出したように
「ああ、それとですが、那須さんから伝言を預かっています」
「ユリーシャから?なんて?」
「『大洗の最後の王虎を舐めるな』……と」
その言葉にカチューシャは目を見開くが直ぐに微笑み
「へえ……生意気なこと言うじゃない。なら二度とそんなこと言えないように躾けてやるわ。行くわよ!」
カチューシャの号令で、プラウダの戦車隊は動き始めた
動き出そうとする『ところてん作戦』の内容について
偵察での報告を地図で再現すると、不審に隙間がある場所があった。この防御が不自然に薄い場所。そこが大洗を嵌める為の罠だった。カチューシャさん、詰めが甘いぞ。
じゃあどうやって突破するか。正面突破。それだけである。そして突破に成功したら2両は廃村地帯に戻り、フラッグ車を撃破する。というものである
私達は、単独行動を許された。
「以上が『ところてん作戦』の内容です。では、戦車に乗り込んで下さい!」
『『『『『『『『『はいっ!』』』』』』』』』
みほの一声で、メンバーが続々と戦車に乗り込んでいく。
「『さて……あの時の再現みたいになりそうだなペーター?』」
「『シュローダーに言え。…総員、行くぞ。最後の王虎は絶対に負けはしない。全員を勝利に導く最強の虎だと示す』」
「『……車長』」
「『……分かりました。ついて行きます!』」
そして、無線機からみほの声が聞こえた
『皆さん……それでは、これから敵包囲網を一気に突破する『ところてん作戦』を開始します!パンツァーフォー!!』
号令と共に大洗チームは出撃する。