ガールズ&パンツァー 最後の虎   作:東ドイツ空軍航空部隊

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第五十六話 決勝戦開幕

 

 

 

試合会場で両チームのメンバーが集められ、大洗と黒森峰が向かい合い隊長と副隊長は前に出ていた。

 

 

『両チーム隊長、副隊長前へ!』

 

 

蝶野のアナウンスにより黒森峰からはまほ、エリカ。大洗からはみほと河嶋、友梨奈が前へと出た

 

 

「……ルクレール以来ねみほ」

 

 

「……はい」

 

 

エリカの言葉に、みほは小さく返事をした。緊張か、それとも黒森峰を去った負い目なのかは彼女だけが知る。 

 

 

「不思議なものね。前までの私なら、もっと何か言うんでしょうけど……何故でしょうね?」

 

 

「…………」

 

 

そんな会話をしていると、其所へ亜美が近づいてきた。

 

 

「本日の審判を務める、蝶野亜美です。両チーム共、今日は頑張ってね」

 

 

そう言って亜美が元々の場所へ戻ると、号令をかけた。

 

 

「一同、礼!」

 

 

『『『『『『『『『『『『『よろしくお願いします!!』』』』』』』』』』』』』』

 

 

そうして、エリカとまほはチームへと戻っていった。

 

 

「西住、私達も戻ろう………………っと、どうやらお前に客が居るみたいだな」

 

 

「え?」

 

 

みほほ後ろを振り返った。其所には茶髪の少女が立っていた。

 

 

「では西住、用が済んだら戻ってこい。私は先に行かせてもらう」

 

 

そう言って桃は戻っていき、その場にはみほと黒森峰の少女が残された。

 

 

彼女の名は赤星 小梅(あかほし こうめ)。昨年の全国大会でみほに助けられた、Ⅲ号戦車の乗員の1人である。

 

 

「「………………」」

 

 

みほ同様に彼女も引っ込み思案なのか、両者共に、中々話を切り出さない。

 

 

そんな中、小梅が口を開いた。

 

 

「あの時は…………本当にありがとう」

 

 

その言葉に、みほはまたもや目を見開いた。

 

 

「ずっと、お礼を言えないままだったのが、気掛かりだったの…………みほさんが黒森峰から転校しちゃって、もう会えないんじゃないかとすら思ってた…………でも!」

 

 

そう言って、小梅は俯かせていた顔を上げる。両目に涙を浮かべていたが、表情は嬉しそうだった。

 

 

「みほさんが戦車道辞めてなくて、本当に良かった!」

 

 

一瞬驚いたみほだが、すぐに微笑み

 

 

「私は、辞めないよ」

 

 

その優しげな一言で思いが爆発したのか、小梅はみほに抱きついて試合前と言う事を忘れ、長い間秘めていた自分の思いを吐露していった。

 

 

 

 

 

 

「………ちゃんと仲直り出来てるじゃないか」

 

 

「良かったですね那須殿」

 

 

ティーガーIIに凭れ掛かっている友梨奈に、優花里が話しかけた

 

 

「ああ。彼女の言った通りだ……ちゃんと感謝もされてる。間違っては無かった」

 

 

そう言っていたら、上から舞野が現れた

 

 

「友梨奈。ちゃんと……作戦通りいくんだろうな?」

 

 

と話しかけてきた

 

 

「必ず作戦通り……と言ったら嘘になる。知ってるだろうが、私は嘘はつかない」

 

 

と、バインダーに挟んである書類を書きながら言う友梨奈。舞野は「ご立派な事で」と言った。あの時の様な会話である。

 

 

「車長は言葉と状況を選ぶ必要がある……気楽な操縦士とは違ってな。由奈」

 

 

「仰るとおりです」

 

 

いつの間にか後ろにいた由奈。舞野はふっと笑った

 

 

「配置に付け」

 

 

というと由奈は頭をさげ、ティーガーIIに搭乗する

 

 

「相変わらず犬みたいに付いて行ってるな」

 

 

「子供だからな」

 

 

とバインダーを舞野に渡しながら言う。全員だろと思いつつ、バインダーを受け取るとふとあることを思いついた

 

 

「そう言えば、西住隊長に喧嘩売った奴いるんだろ?居たか?」

 

 

「そういえば……ルクレールの時居ましたね。那須殿が反撃行動に移っていましたが」

 

 

「…ああ。居たな。搭乗車両はティーガーIIだ」

 

 

「す、すごいですね那須殿……一目で分かるんですか?」

 

 

「たまたま似たような奴から片っ端から見ただけさ。そしたらビンゴ」

 

 

と、そんな話をしていると、小梅と話していたみほも戻って来た

 

 

 

 

「相手は恐らく、火力にものを言わせて一気に攻めてきます。ですので我々は、先ず有利な場所に移動する事を優先しましょう。其々のチームの出発地点は、相手チームとはかなり離れていますので、少なくとも、開始早々に出会すような事は無い筈です」

 

 

経験者の言葉はより重い。皆が真剣に聞いていた

 

 

「この試合が我々の正念場です。気を引き締めて頑張りましょう!では各チーム、戦車に乗り込んでください!」

 

 

「「「「「「「ハイッ!」」」」」」

 

 

そして、みほはIV号に戻ると、メンバーが手を重ね合う

 

 

「…みんな」

 

 

みんなで少しだけ微笑む。戦うのは私だけじゃないと。

 

 

「「「「「おーーーっ!!」」」」」

 

 

 

 

 

一方、黒森峰陣地では

 

 

「にしても、大洗までティーガーII持ってるなんてね。何処からそんな資金が……」

 

 

「あの人、中学生戦車道大会で優勝した人ですよ」

 

 

と小梅が言った。

 

 

「知ってるの?」

 

 

「はい。戦車道をやってみたいって思ったのも、友梨奈さんを見たからです」

 

 

「……でも、何故有名になって無いのでしょうね?」

 

 

「確かに何故でしょう……?」

 

 

そう言い、二人は自分の搭乗する戦車に乗り込む

 

 

「これより決勝戦だ。相手は初めて対するチームだが、決して油断はするな」

 

 

隊長車であり、黒森峰のフラッグ車であるまほがキューポラから上半身を覗かせて言う

 

 

「そして、大洗のティーガーIIには要注意せよ。サンダース戦でも、プラウダ戦でも撃破された戦車は自分の指の数以上だ。それに一級品の練度を持った搭乗員達だ。那須友梨奈には注意しろ。中学生戦車道大会で優勝経験がある。正直、私でも勝てるかどうか怪しい」

 

 

『『『『『ッ!』』』』』

 

 

そしてまほの言葉に汗を少量ながら垂らしている者が一名

 

 

(まさか、それ程だとはね……)

 

 

蜂谷三郷である。自分が喧嘩を売ったみほと友梨奈……それに対しての汗である。

 

 

「三郷さん?顔色が悪いですよ?」

 

 

「へ?ああ、大丈夫。心配かけたね……」

 

 

本当に大丈夫かな……と思いつつ声をかけた生徒は前を向き直した

 

 

(一両とはいえそんな精鋭を……しかも友梨奈とやらは中学生戦車道大会で優勝経験有り……一先ず、真剣にやるわ……元副隊長、貴女の戦車道、確かめさせて貰うわ……それが私からのお詫びよ)

 

 

と心の中で決めた三郷。『無名校』とか、そういうのは捨てた。そして、無線からまほの声が

 

 

『グデーリアンは言った。《厚い皮膚より速い足》と………………』

 

 

「行くぞ!」

 

 

そして、開始を知らせる証明弾が空高く撃ち上げられる。

 

 

『試合、開始!』

 

 

「「Panzer vor!!」」

 

 

みほとまほが同時に叫び、両陣営の戦車が動き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

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