ガールズ&パンツァー 最後の虎   作:東ドイツ空軍航空部隊

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第六十一話 トラブル

 

 

 

 

『おちょくり作戦』が成功し、辺り一面草原地帯を大洗チームの戦車は走っていた

 

 

「『…ここで飯を食うのは最高だろうな』」

 

 

とケルツが呟いた。

 

 

「『風も心地良い。このタイミングならとても最高だな』」

 

 

「『草原を走った事はありませんね』」

 

 

「『荒れた建物の瓦礫しか走った事はありませんが』」

 

 

口々に言うメンバー。ハートマンとシュローダーは瓦礫の建物以外しか戦車に乗った事は無かったが

 

 

『あんこうチーム、左折します。ついてきてください』

 

 

そこへみほからの通信が入ってきた

 

 

「『ケルツ、左折した先は?』」

 

 

「『この先は川だ。ショートカットしようとしてるんだろう』」

 

 

「『ふむ……ケルツ、あんこうの後ろに続け』」

 

 

「『了解』」

 

 

左折して、坂を降り始めたIV号を追うように、ティーガーIIも後に続く。他の車両も続いて坂を降り、川の前で停車した

 

 

「みほ、この川を渡るのか?」

 

 

上半身を出していたみほに友梨奈が訊ねる

 

 

「うん。見たところ、川を渡れる橋は無さそうだから、此方の方が手っ取り早いからね」

 

 

そう答えたみほは、軽い戦車が流されないようにするため、上流側にレオポン、下流側にアヒルさんチームを配置するように指示を出す。これなら、重戦車が上だから軽戦車が簡単に流される心配は無い

 

 

そして、川を渡り半分と言う所でウサギさんチームのM3が、突如として動きを止めたのだ。

 

 

「桂里奈、どうしたの?早くしないと置いてかれるよ」

 

 

梓にそう言われ、桂里奈はアクセルペダルを何度も踏むが、M3はピクリとも動かない。それどころか、エンジン音も力を失っていき、その音が完全に消えると共に、先程までの小刻みな振動も止まる。

 

 

それに気づいたのがハートマンだった

 

 

「『ミューラー車長、M3が動いていません!』」

 

 

「『何……?』」

 

 

ペーターはインカムでウサギさんチームへと繋ぐ

 

 

「どうした?」

 

 

『な、那須先輩……どうしよう…動かなくなっちゃった……』

 

 

みほも気づいたのか停止指示を出し、全戦車停止した。

 

 

「OK…状況は分かった。エンストか?」

 

 

『はい……エンジン掛けようとしても全然ダメで」

 

 

「分かった。みほ隊長に伝えておく。エンジン再始動できないか試してみてくれ」

 

 

と無線を切る。

 

 

「『エンストか……よくあるんだよな。かけるのが面倒くさい』」

 

 

すると、ペーターは考えた

 

 

「『ケルツ、ここはお前の出番だ。エンストに関しては私もよく分からん』」

 

 

「『ええー……わーったよ』」

 

 

 

 

「うーっ、全然掛からないよ~!」

 

 

その頃ウサギさんチームでは、幾らレバーを動かしてもエンジンが再始動する兆しを見せないと言う状態に、悲鳴を上げた桂里奈の両目には涙が溢れている。どうにもならない状態に怯えているのだろう。

 

 

「……こうなったら、仕方無い…………!」

 

 

その様子を見た梓は何かを決心したのか、みほへと通信を入れる。

 

 

「西住隊長、私達の事は良いから、先に行ってください!後で追い掛けますから!」

 

 

少なくとも、今のところはエンジンが再び動く兆しが見られないと悟った梓は、このまま自分達を置いて、先に行くように言う。

 

 

そうしている間にも時間は過ぎ、川の流れがM3を横倒しにしようとばかりに、M3の側面装甲にぶち当たる。

 

 

「どうしよう、このままじゃM3が横転しちゃう!」

 

 

「それに、モタモタしてると黒森峰が来るぞ」

 

 

様子を見ていた沙織が言うと、麻子も付け加える。

 

 

「………………ッ」

 

 

みほは車長席に座り、膝の上に両手を置き、小刻みに震わせていた。去年の試合……プラウダ戦にて滑落したⅢ号戦車、そして悲鳴をあげる乗員の声が脳裏に浮かんだ。それを見ていた沙織は、少し考えた後、みほに声を掛ける

 

 

「行ってあげなよ、みぽりん」

 

 

みほは、目を見開いて親友の顔を見る。

 

 

沙織は無言のまま、ゆっくりと頷いた。

 

 

みほは意を決し、席から立ち上がると、優花里に声を掛けた。

 

 

「優花里さん、ワイヤーにロープを!」

 

 

「はいっ!」

 

 

みほからの指示を受けた優花里は目を潤ませ、嬉しそうに返事を返すと、直ぐ様ワイヤーとロープを用意した。そして、ロープを腰に巻き付けたみほは、Ⅳ号のエンジン部分に飛び乗って前方を見やる。

 

 

『舞野、聞こえる!?』

 

 

「…ケルツ、出ろ。M3を如何なる手段を用いてもかけてこい。ただし壊すなよ?」

 

 

「ふっ、無茶言いやがる……!聞こえる。武部」

 

 

『お願い、みぽりんを手伝ってあげて!みぽりんと一緒に、1年生の皆を助けて!』

 

 

「…了解」

 

 

 

 

 

「みほ隊長」

 

 

「舞野さん……」

 

 

「武部から手伝ってくれと頼まれたから来た。…取り敢えず、飛べば良いんだな?」

 

 

「うん。でも、ちょっと遠いかな……」

 

 

「…ああ、すまんみほ隊長。許せ」

 

 

「ふえ?」

 

 

と、舞野はみほを抱き上げたのだ。それを理解したのか、顔が赤くなるみほ

 

 

「もう少しの辛抱だ」

 

 

と、あっという間にM3に着いた

 

 

「西住先輩!西川先輩!」

 

 

目尻に涙を浮かべながら、声をかけてくる1年生グループ。

 

 

「皆、よく頑張った。みほ隊長、ワイヤーは隊長に任せます…私は、エンジンをなんとしてでもかけますので」

 

 

と、舞野は素早く操縦席へと移った

 

 

「…負けてられないかな?私だって!」

 

 

みほも変な闘争心がついたのか、ジャンプして、ワイヤーを各々の戦車に繋げていく

 

 

 

 

 

「ちっ、こりゃ面倒くさい。すぐには掛らんぞ」

 

 

舞野がエンジンを掛けようと奮闘していたが、結果は変わらずだった

 

 

「ど、どうしよう……」

 

 

皆がさらに泣きそうになる。そして舞野の頭がついにキレた

 

 

「動け!動け!!このポンコツエンジンが!!」

 

 

と叩いた。叩いただけで直るはずもない…筈だった

 

 

その時、小さな振動が起き、次には大きな振動が鳴った。エンジンが蘇った

 

 

「動いた!」

 

 

舞野は操縦席にヘタれるような姿勢になった。

 

 

「西川先輩!ありがとうございます!!」

 

 

『『『『ありがとうございます!!』』』』

 

 

「……………」

 

 

と一年生チームの声が聞こえた。紗希は喋りこそしなかったが、サムズアップをした。意外と表現豊かな子で

 

 

「…よし、もう安心だ。行くぞ!」

 

 

舞野はすぐに出て、持ち場へと戻った。みほを再び抱き抱えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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