ガールズ&パンツァー 最後の虎   作:東ドイツ空軍航空部隊

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第六十二話 市街地のネズミ

 

 

 

「………………去年と変わりませんね」

 

 

その頃、丘から様子を見ていた黒森峰チームでは、双眼鏡で一部始終を見ていた三郷がそう呟く。

 

 

「あの子はああ言う子なのよ。勝利主義な西住流では、珍しいと言うか何と言うか………………」

 

 

横のティーガーⅡから、同じく双眼鏡で見ていたエリカがそう返す。まほは無言で2人の会話を聞いていたが、後ろから聞こえてくる小さな音に気づいた。

 

 

「後方7時に敵戦車だ。11号車、やれ」

 

 

その指示を受け、1輌のパンターGがゆっくりと下がりながら砲塔を向け、ちょうどその後部を照準に捉えていたヘッツァー目掛けて発砲する。

 

 

砲弾はヘッツァーの真ん前の地面に着弾して砂埃を巻き上げ、ヘッツァーは軽く後方に押しやられた

 

 

「うへぇ~!流石に3度目は無かったか~、撤退撤退~!」

 

 

ヘッツァーは素早く撤退した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「『ウサギさんチームと歩調を合わせて進め』」

 

 

エンジンが再始動したとは言え、まだ油断は出来ない。

 

 

「『陸地に着いたら、砲撃を受けるでしょう』」

 

 

「『煙幕装置にまだあるか?』」

 

 

「『後3発あります』」

 

 

と、陸地に到着すると、予想通り砲撃が来た

 

 

「『煙幕発射!』」

 

 

煙幕発射装置から煙幕弾が発射され、当たり一面煙に包まれた

 

 

これを利用し、被弾する事もなく、離脱に成功した

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待たせ~!カメさんチーム、只今合流~」

 

 

橋の前に来ていた大洗チームでは、先程まで単独行動を行っていたカメさんチームのヘッツァーが合流した。

 

 

「この橋を渡ります。レオポンさんは最後に……」

 

 

『任せといて~、ド派手にブッ壊しちゃうから』

 

 

レオポン車長のナカジマから、物騒な声が聞こえた

 

 

「『なあ、こんなデカブツで渡れると思うか?』」

 

 

「『……慎重に進め』」

 

 

ティーガーIIの重量を考えれば、ボロい橋はすぐ壊れそうだが、慎重に進めば、壊れなかった。ただ、橋の一部が欠けた模様

 

 

そして、ポルシェティーガーが橋の半分まできた所で

 

 

「さぁて、此処が腕の見せ所だぁ!」

 

 

ツチヤはそう言うと、何やら操作して操縦捍を前に倒す。すると、ポルシェティーガーのエンジン部分からジェットエンジンを小型化したような音が響き、次の瞬間には車体前部を軽く浮かせて急発進した。

 

 

音と立てて浮き上がった車体前部が橋に叩きつけられ、ポルシェティーガーが橋を渡りきった頃には、橋の真ん中が綺麗に分断されていた。それが、橋を渡る際の作戦である。

 

 

「『どうなった?』」

 

 

「『綺麗に橋が分断された。だが、これが作戦だ。支障は無い』」

 

 

「『それに、敵増援が来る時間も稼げますしね』」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は、橋が落とされた!?しかも車重で!?」

 

 

その頃の黒森峰チームでは、偵察に出したⅢ号戦車の車長から、大洗チームのレオポンが橋を破壊した事を知らされたエリカが驚いていた。

 

 

「分かった、橋は迂回して追うわ。貴女達は先回りしなさい!」

 

 

エリカはそう指示を出し、Ⅲ号戦車の車長から伝えられた事をまほへと話すのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「大分時間を稼げた、これで市街地戦に持ち込める」

 

 

その頃、Ⅳ号のキューポラから上半身を乗り出したみほは、見えてくる町を視界に捉えてそう言った。聖グロリアーナとの練習試合のように、市街地戦で決着をつけるつもりだ。その時、一両の戦車がひょこり顔を出した。Ⅲ号J型だ

 

 

「あれはⅢ号だよ。H型かな?それともJ型かな?………………って、一目見ただけで戦車の車種分かっちゃう私ってどうなの………………?」

 

 

1人ツッコミを入れている沙織を置いて、一行は速度を上げた。

 

 

「Ⅲ号なら、私達の火力でも十分に突破出来ますし、機動力もあるから厄介です。後続が来る前に撃破しましょう」

 

 

『『『『『『『『『はい!』』』』』』』』』

 

 

Ⅲ号戦車は、火力や防護力は然程高くはないが、その分機動力が高いため、下手に回り込まれでもしたら撃破される可能性もある。そのため、後続が居ない間に撃破する必要があった。カモさんチームのルノーが先頭に出てⅢ号戦車を追う。そして、角を曲がると十字路の先で此方に背を向けて停車しているⅢ号戦車が居た

 

 

「よぉーし、追い詰めたわよ!」

 

 

みどり子がそう言って主砲を撃とうとした時、地面が小刻みに揺れ始め、十字路の横から迷彩柄の巨大な物体が姿を現した。

 

 

「壁?いや、門?」

 

 

突然現れた物体に、みどり子は首を傾げる。

 

 

「『……おい、あれって』」

 

 

「『ああ……あいつだな』」

 

 

それは門でもなく

 

 

「せっ、戦車ァ!?」

 

 

そう。十字路の横から現れた巨大な物体は、戦車だった

 

 

「あ、あれは………………Ⅷ号戦車――マウス――です!」

 

 

Ⅳ号のハッチからその姿を見た優花里が声を上げる。

 

 

「す、凄い…………私、マウスが動いているところ、初めて見ました………………ッ!」

 

 

砲塔を動かそうとするものの、建物の壁に当たってしまい、もう少し下がろうとしているマウスを見て、優花里はそう言葉を続けた。

 

 

 

 

 

 

「『…久々に見たぞ。マウス………』」

 

 

「『105mmじゃまず抜けんぞ……』」

 

 

そして、砲身がこっちを向いた所で

 

 

「た、退却してください!」

 

 

マウスが発砲。放たれた砲弾がヘッツァーの直ぐ傍を掠めていき、彼女等の死角に着弾、コンクリートの一部を木っ端微塵に吹き飛ばした。

 

 

「や~ら~れ~た~!」

 

 

「やられてません!」

 

 

「そうですよ会長!ただ死角に着弾しただけです!」

 

 

「どっちにしろ、凄いパワーだねぇ~…………」

 

 

柚子と桃にツッコミを入れられながら、杏はそう言った。

 

 

「このっ…………デッカいからって良い気にならないでよ!こうしてやるわ!」

 

 

みどり子はそう叫びながら、主砲と副砲を撃つ。だが所詮37mmと75mm。マウスからすれば屁でもなかった。マウスは128mmを撃ち、カモさんチームのルノーがひっくり返り、白旗が上がった

 

 

「『シャイセ……早く後退しろ!』」

 

 

「『今やってる!』」

 

 

撤退しながら105mm砲で砲撃するが、やはり阻まれる。その時、Ⅲ突が停車した

 

 

「おのれマウスめ!カモさんチームの仇だァーッ!」

 

 

左衛門佐がそう言いながら引き金を引くがやはり効果は無く、反撃されて横倒しになり、そのまま撃破された

 

 

「2輌撃破された………………これで残り、6輌」

 

 

横倒しになったⅢ突の傍を通り過ぎようとするマウスを見ながら、みほはそう呟く。

 

 

その頃、市街地へ向かわせている2輌を除いて15輌も残っている黒森峰本隊が、パンツァーカイルの隊列を組み、市街地へ進軍中であった

 

 

 

 

 

 

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