「何なのよアレは!?あんな図体しておきながら、何がマウスよ!?」
引っくり返されたルノーの中で、みどり子が叫ぶ。
「残念です」
「無念です」
みどり子に続き、ゴモヨとパゾ美もそう呟く。
「こうなったら………………冷泉さん、後は頼んだわよ!遅刻取り消しの約束は、ちゃんと守るから!」
みどり子はタコホーンで麻子にそう叫び、それを聞いた麻子は目を輝かせた。
「『マウスって呼ばれたのは偽装の為だよな』」
「『ぱっと見マウスって言葉はそんなに強くなさそうな名前だからな』」
だだ、主砲である128mm砲は大洗チームの全車両を屠れる火力があり、副砲である75mmでもなかなか侮れない火力だ。
「『ただ、あいつ橋を渡ろうとしても壊れるから無理なんだよな渡るな』」
だからこの不整地でもないコンクリートの綺麗な道はマウスにとっては絶好の性能を出せる場所だ。
「『装甲に阻まれる……!』」
シュローダーは105mm砲を撃つが、分厚い装甲で貫通出来なかった。
「『最悪副砲は壊せ。128mmより75mmの方が装填が早い』」
「『了解……!』」
75mm砲を破壊できれば、少しは火力ダウンすると考え、シュローダーは副砲に照準を合わせ
「『フォイヤー!!』」
引き金を引き、PzGr 39弾は副砲に吸い込まれて行き、鉄の花が咲いた
「『当たった!!』」
「『気をつけろ!報復攻撃が来る前に離脱!』」
950馬力の底力を見せ、バックする
だが、他の車両は、どうにかしてマウスを叩こうと、メンバーは躍起になっていた。相手より機動力が高いのを駆使して逃げ回りつつ、隙が出来れば攻撃を仕掛ける。それを何回も続けているのが現状だった
「何をしてるんだ、早く叩き潰せ!図体だけがデカいウスノロだぞ!」
ヘッツァーの75㎜砲弾を装填しながら、桃が叫んだ。
「無闇に車体を狙っても意味はありません、砲身を狙ってください!」
みほがそんな指示を出している最中、マウスの後ろではⅢ号戦車が挑発するように蛇行運転をしていた。
「お前達の火力でマウスの装甲が抜けるものか~、あっはっはっはっ………………」
「『Ⅲ号潰します』」
「『やれ』」
シュローダーは挑発するⅢ号を砲撃し、撃破した
「『ハエは始末した。これでネズミに集中できる』」
「『だが……このあとはどうにもならんぞ?』」
「市街地で決着をつけるには、やっぱりマウスと戦うしかない。放っておいたら、本隊が合流してからが怖い」
「ええ。ですが、やはりマウスは凄いですね。前も後ろも全く抜けません」
立ちはだかる強敵に表情を歪めながら呟くみほに、優花里がそう言った。
「幾ら何でも大きすぎ………………これじゃあ戦車が乗っかりそうな戦車だよ!」
『戦車ブック』と書かれたノートを開いていた沙織が、あまりのマウスの大きさにそう叫ぶ。しかしみほはそれをヒントにした
「確かに、その作戦は使えそう………………ありがとう沙織さん!」
「?」
当の本人はよく分かっていなかった
「アヒルさんとカメさん、これから無茶な事を言いますが、指示通りに動いてください」
『了解しました!』
『何でもするよ~!』
みほがそう言うと、典子と杏から迷いの無い返事が返される。
「少々危険を伴いますが、それでも良いですか?」
『今更何を言う!?良いから早く内容を言うんだ!』
桃からの檄が飛び、みほは意を決したような表情で作戦を伝えた。
「まさか、こんなにも滅茶苦茶な作戦だったとは………………」
「やるしかないよ、桃ちゃん!」
および腰になって呟く桃に、柚子が力強く言い放つ。
「うひょ~、燃えるねぇ~!それじゃあ行こうか!」
杏はそう言って、ヘッツァーの砲身を下げる。柚子はアクセルをさらに強く踏み込み、そのままマウスに体当たりを喰らわせた。
火花が散りながら、ヘッツァーの車体がマウスの下に入り込む。
「ッ!?な、何だ!何がどうなっている!?」
マウスの車内で軽く混乱状態になっているのを無視し、その横にM3とポルシェティーガー、105mmティーガーIIが停まった。
「撃てるモンなら………………」
「撃ってみやがれ!おりゃあ!」
M3の機銃弾がマウスの装甲スカートを叩き、ポルシェティーガーから放たれた88㎜砲弾が、追い討ちを掛けるようにぶち当たる。
「MG34の音でも聞いてろ!」
ペーターが天板に付いてあるMG34を撃つ。
「ッ!?コイツ等、ナメた真似を………………ッ!」
砲手はそう言いながら、マウスの砲塔を回転させて3輌に狙いを定める。
「おおーっ、怒ってるよ向こう」
「にっげろ~!」
「『ケルツ前進!!』」
砲を向けてきたが、躱す事が出来た。
「さぁ行くよ!」
「「「はい!」」」
典子の掛け声に、他の3人が返事を返す。
「「「「そぉーれっ!!」」」」
そして、八九式はヘッツァーを踏み越えて、マウスの車体上面に乗り上げ横を向いたままの砲塔に引っ付く
「良し、ブロック完了しました!」
砲塔を戻そうとする動きを遮っているのを確認した典子はそう言った。
「おい、軽戦車!其所を退け!」
「嫌です。そもそも八九式は軽戦車じゃないし」
「中戦車だしぃ~?」
「こんのぉ〜!無理矢理にでも落としてやる!!」
この状況で、マウスを止めることに成功したのだ。だが、 そうしている内にも、マウスの車重に加えて八九式の車体がのし掛かるヘッツァーからは、押し潰されてあちこちが壊れていくような音が鳴り響く。
「こりゃヤバイなぁ~…………西住ちゃん、そろそろ限界だよ〜」
『もう少しだけ耐えてください!』
Ⅳ号は、丘のギリギリのところで停車し、華はエンジンルームに照準を合わせ
「発射!!」
ズドン!!
75mm砲がエンジンルームに叩き込まれ、黒煙が上がった。そして、行動不能の白旗が上がる
「『すごい……マウス撃破!!』」
「『ふう……だが、まだ安心は出来ん。そろそろ本隊が来る。体制を立て直さなければ……』」
ペーターはそう溢した。黒森峰戦車隊は、すぐそこまで来ていた