ガールズ&パンツァー 最後の虎   作:東ドイツ空軍航空部隊

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第六十五話 各々の活躍

 

 

 

 

「『黒森峰を全く見かけんな』」

 

 

「『ふらふらしてても何もありません。やはり本隊に戻った方が良いのでは?』」

 

 

ハートマンがそう提案をする。

 

 

「『だが、相手は自分達を警戒している。それに駆逐戦車はウサギさんチーム、敵戦車隊はアヒルさんチームが囮になってくれる。それに、戦力分散も狙えるからな』」

 

 

 

 

 

 

「麻子さん、次の角を曲がってください。其所にウサギさんチームが待機していますので、後ろのエレファントを撃破してもらいます」

 

 

「了解………」

 

 

麻子は小さく返事を返し、開けた交差点を左折する。

 

 

ポルシェティーガーと八九式が後に続いて左折する。黒森峰チームは、右に隠れているウサギさんチームのM3の事に気にもせず左折し、大洗チームを追いかけた

 

 

そうして一行は、再び道幅の狭い路地へと舞い戻った。

 

 

「レオポンさん、アヒルさん。道はかなり狭いですが、あんこうが隠れる程度で蛇行してください」

 

 

『『了解!』』

 

 

みほの指示を受けた2チームは、狭い道で小さく蛇行運転を始める。黒森峰からではIV号の姿は見えなくなっていた

 

 

「………ッ、邪魔よ!」

 

 

挑発するような蛇行運転に苛立ったエリカはそう怒鳴る。しかしポルシェティーガーと八九式は、煽り運転の如く蛇行を止めない。

 

 

そして、曲がり角でⅣ号は右折し、ポルシェティーガーと八九式は、そのまま直進する。

 

 

「成る程、そう来ましたか………………ポルシェティーガー達を追って」

 

 

ティーガーⅡの車内から見ていた三郷は、Ⅳ号を追わず、ポルシェティーガー達を追う

 

 

そして、その直ぐ後ろに居るエリカのティーガーⅡは、右折してⅣ号を追わせた。

 

 

「此方あんこう、103地点を右折します。レオポンは373地点を右折、アヒルさんは左折。その次の角を右折してください」

 

 

『了解しました』

 

 

 

沙織が地図を見ながら指示を出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひぇー、こんなに離されるなんて………」

 

 

最後尾に居た筈のエレファント駆逐戦車だが、本隊に置いてけぼりにされていた。

 

 

「ティーガーIは勿論、ティーガーIIでもそんなに遅くはないですからね……」

 

 

「ポルシェティーガーの流用品とは言えここまで遅いなんて……」

 

 

「「「「「「はぁ〜………」」」」」」

 

 

六人の搭乗員の溜め息が車内に響いた。

 

 

 

 

 

 

 

「来た!」

 

 

孤立したエレファントを待ち構えていたウサギさんチームでは、近づいてきている事に気づいた梓が合図を送る。

 

 

「ええっ!?」

 

 

いきなり現れたM3に、エレファントの車長が驚いたのも束の間。綾は即座に副砲を撃ち、そのまま一目散に逃げ出した。

 

 

「ッ!コイツ、よくもやってくれたわね………………ッ!」

 

 

完全に喧嘩を売られたエレファントの車長は喧嘩を買い、操縦手にM3を追うように指示を出す

 

 

「ホーレホレ!遅いぞゾウさん!」

 

 

挑発するように蛇行するM3にて、あやはそう言いながら再び発砲する。エレファントの横を掠れ、エレファントから88mm砲が火を吹き、電柱を粉々に吹き飛ばした

 

 

「おおーっ、怒ってる怒ってる!」

 

 

電柱を粉砕する音が響き、あゆみがそんな感想を溢す。

 

 

「桂利奈ちゃん、この次を右折ね!」

 

 

「あい!」

 

 

「その次も次も、そのまた次も右折!」

 

 

「あいあいあーい!」

 

 

優季から立て続けに出される指示に、桂利奈も連続で返事を返す。エレファントは食い付くのがやっとであった

 

 

「昨日、徹夜で考えた作戦を実行する時が来たよ!名付けて………………」

 

 

「「「「「「戦略大作戦!!」」」」」」

 

 

そんなやり取りを交わしながら、M3はエレファントを上回る機動力を活かして路地を走り回り、エレファントの真後ろに回り込んでいた。

 

 

「しまった、回り込まれたぞ!超信地旋回!」

 

 

ガツン

 

 

「……あら?」

 

 

狭い道でしかも巨体なエレファント。超信地旋回なんて出来る筈も無く、コンクリートにぶつかる 

 

 

「よっしゃー、撃てーッ!」

 

 

「発射!」

 

 

その隙を見逃さずにゼロ距離まで接近すると、あやとあゆみは同時に発砲する。しかしエレファントはとても硬い駆逐戦車だ。背面とは言えやはり硬い

 

 

「か、固すぎる………………ッ!」

 

 

「ゼロ距離で撃っても駄目なんて、もう倒しようが無いんじゃ………………ん?」

 

 

そう諦めかけていた時、誰かがあゆみの肩を突っついた。

 

 

「………………」

 

 

これまで何1つとして言葉を発しなかった少女、丸山紗希が小さな声で言った

 

 

「薬莢、捨てる所………………」

 

 

紗希はエレファントの背面装甲中心部にある薬莢投棄用のハッチを指差した。

 

 

「おおっ、その手があったか!紗希ちゃん天才!」

 

 

それは考え付かなかったとばかりに、あやが声を上げた。

 

 

「よぉーし、そうと決まれば早速やるよ!」

 

 

「りょーかい!せーので決めてやろう!」

 

 

あやとあゆみはそう打ち合わせをして、2つの砲口をハッチに向ける。

 

 

「行くよ~………………」

 

 

「「「「「「せぇ~のぉ~でっ!!!」」」」」」

 

 

同時に放たれた砲弾は狙い通りに命中し、エレファントはハッチから黒煙を上げ、次の瞬間には撃破を示す白旗が飛び出した。

 

 

「やった………………遂にやったよ、皆!」

 

 

「「「「「「イェーイッ!」」」」」」

 

 

梓の声に、他のメンバーからの歓声が上がる。

 

 

「………………ッ」

 

 

紗希も嬉しそうに、その感情の変化が乏しそうな頬を緩めた。

 

 

 

 

 

『こちらエレファント!M3にやられました!』

 

 

「何ですって!?ちょっと何やってんのよアンタ達!!」

 

 

エレファント撃破を確認し、次の戦車を撃破せんとばかりにM3がその場を後にした頃、エレファントの車長から悲鳴のような無線が入っていた

 

 

誰もがM3がエレファントを撃破するなんて想像できなかった。

 

 

「落ち着け、冷静になるんだ!フラッグ車を狙う事に集中しろ!」

 

 

逃げ回るⅣ号を睨みながら、まほは無線機に向かって叫んだ。

 

 

 

 

 

 

まほの援護に向かっていたエリカ達は今、乱入してきた八九式とのタンクチェイスの真っ只中にいた。

 

 

「挑発に乗るな、落ち着け!」

 

 

エリカは仲間の乗員に向かって言うが、八九式はエリカの乗るティーガーⅡの側面に体当たりを仕掛けた。

 

 

「こんの~~ッ!!八九式の癖にッ!!」

 

 

『だからって、私のティーガーⅡにぶつからないでください副隊長!そもそも挑発に乗るなとか言う以前にそっちが乗ってますよ!』

 

 

「うっさいわよ!!ならアンタがどうにかしなさいよ!!」

 

 

理不尽だ。と三郷は思った。

 

 

八九式はエリカ達の列から出て短い坂を上ると、そのまま並走しながら主砲を撃つ。

 

 

パンター数両が反撃するも、八九式は急ブレーキで軽々と避け、さらに急加速して引き離していく。

 

 

「やーいやーい!捕まえてみろ~~!」

 

 

「待ァてぇぇぇ!!」

 

 

八九式対黒森峰本隊のタンクチェイスが始まった

 

 

 

 

 

 

「撃て撃てーッ!」

 

 

ウサギさんチームではヤークトティーガーに遭遇し、背後に回り込んで攻撃していた

 

 

ヤークトティーガーは速度を上げて距離を取ろうとする

 

 

 

「あ、逃げたぞ!追え!」

 

 

 

桂利奈はM3の速度を一気に上げ、その頃にはヤークトティーガーは交差点を右折して姿を消した。

 

 

 

「………………ッ!停止!」

 

 

そして、交差点が近づいてきたところで異変に気づいた梓は、即座に停止命令を出す。

 

 

「ッ!?ぬぅぅううういッ!!」

 

 

ギリギリで停車に成功し、ヤークトティーガーの砲撃をスレスレで躱わせた。しかし、そのままM3を追い始める

 

 

「このままじゃ、やられる………………桂利奈、M3をバックさせて!早く!」 

 

 

「あ、あいーッ!」

 

 

梓にそう言われ、桂里奈は大急ぎでM3を後退させる。

 

 

「ちょっと!ヤークトの128㎜砲チョー恐いんだけど!」

 

 

徐々に迫ってくるヤークトティーガーの128㎜砲の砲口を目の当たりにしたあやはそう叫ぶ。

 

 

「離れても仕方無い………………じゃあ、くっつけば良いんだ!」

 

 

桂利奈はそう言って、M3をヤークトティーガーの車体前部にぶつけ、主砲の下に潜り込む。ヤークトティーガーは減速して距離を取ろうとする。

 

 

「あっ、今度は下がってる!」

 

 

「そうはさせるか!」

 

 

桂利奈も速度を落とし、ヤークトティーガーの主砲の下に潜り込ませるが、今度は逆に押され始める。

 

 

「うわっ!今度は押してきた!」

 

 

「挑発しやがって~、1年ナメんな!」

 

 

「ナメんな!」

 

 

押され始めて慌て出す桂利奈を他所に、あやとあゆみは砲撃を仕掛けるのの、ヤークトティーガーはさらに速度を上げてM3を押す。

 

 

「この後ろの方、ちょっとヤバイかも………………」

 

 

「何が!?」

 

 

優季が切羽詰まったような表情で呟いた。

 

 

このまま押されれば、T字路の先にある用水路へ落ちてしまう

 

 

「ヤークトを、西住隊長達の所に絶対行かせちゃ駄目………………此処でやっつけよう!」

 

 

この場で何としてでもヤークトティーガーを撃破すると言い出した。

 

 

「でも、どうやるのさ!?」

 

 

「一か八かだけど、合図で左に曲がって………………今!」

 

 

「くぅっ!!」

 

 

ギリギリで回避しようとしたが、ヤークトティーガーの砲撃を喰らい吹き飛ばされる。しかし、ヤークトティーガーも速度が出た状態では簡単に止まれる訳でもなく、ガードレールを突き破り、そのまま用水路へ突っ込み、砲身が折れ、逆さま状態になって白旗が上がった。自分達がやられるのを引き換えに、ヤークトティーガーを撃破したのであった

 

 

 

 

 

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