タンクチェイスを繰り広げていた八九式だが、そろそろ限界が来ていた
ただの挑発として使っていた砲弾が残り少なくなってきたのだ。
「くっ!砲弾が少ない………………こうなったら兎に角挑発だ!連続アターック!」
典子の指示で、あけびが大急ぎで砲塔を進行方向に向け、さらに砲塔後部にある機銃を乱射する。
だが、相手は紙鉄砲とばかりに何とも無い顔で向かってくる。
(機銃……?それに八九式からの攻撃が緩くなってる……砲弾が少なくなっている…?ならチャンスは今!)
「全車発砲許可!発砲許可!逃げられる前に撃破せよ!」
『『『『了解!』』』』
三郷の指示に、他の戦車の車長からの返事が返され、八九式目掛けて集中砲火を浴びせる。
「ッ!集中砲火だ、撃ち返せ!」
「はい!」
あけびは、再び砲塔を後方に向けて発砲するも、やはり強固な装甲に弾かれる。
「くそーッ!」
「もっと火力があれば…………ッ!」
典子とあけびがそう言った、次の瞬間
「撃てぇーッ!」
三郷のティーガーⅡから88mm砲弾が八九式に直撃し、八九式は白旗が上がった
「八九式を撃破だ!全車、0017地点へ急行!副隊長達を援護するぞ!」
『『『『はい!』』』』
三郷達は全速力でエリカ達の援護に向かった
「うぅ~、相手も中々やるなぁ………………」
入り口を塞いだポルシェティーガーもそろそろ限界だった。転輪が外れ、エンジンからも火が出ていた。レオポンチームのエンブレムも、傷で消えかかっている。そして、集中砲火を受け、黒煙が上がり、白旗も上がった
《大洗女子学園、ポルシェティーガー。行動不能!》
「『ポルシェティーガー、やられました』」
ハートマンが言う。失敗作と罵られた兵器がティーガーⅡやパンター、ラングの攻撃を耐えたんだ。意地を見せたのだ
「『そろそろ出番だろう……各自準備を怠るな……』」
ペーターは静かに呟く。あの時と状況は違えど、ほぼ同じ光景だった
「突撃!中央広場へ急げ!」
ポルシェティーガーを撃破したエリカ達一行は、そのまま中央広場へ行こうとしていた。
しかし中央広場への入り口は、たった今撃破されたポルシェティーガーが塞いでいる場所の1つしか無い
『副隊長!ポルシェティーガーが邪魔で通れません!』
「あーもう!回収車、急いで!」
「「ゆっくりで良いよ~」」
声を荒げるエリカの声が聞こえていたのか、ナカジマとホシノが声をハモらせて言った。
「くっ!こうしている間にも、隊長が………………」
進めない状況に苛立っていると、八九式を撃破した三郷達が合流した。
「すまない、副隊長。遅くなってしまいました?」
「いいえ、早いも遅いも無いわ。隊長と合流したくても、この状態では無理だもの」
そう言って溜め息をつくエリカ。三郷は当たりを見回す
(ラングとパンターの2輌が被撃破………………エレファントとヤークトティーガーを除いても9輌……だがこの状況では何もできない……ん?そういえば)
三郷はエリカに声をかけた
「副隊長、大洗のティーガーⅡは何処へ行ったのでしょうか?市街地での戦闘でも全く見かけておりませんが……?」
「ッ!?言われてみれば………!」
エリカも気づいた。
「いやぁ~、気づいたみたいだねぇ、黒森峰のお二方」
「「ッ!?」」
その声に振り向くと、撃破されたポルシェティーガーのキューポラから上半身を乗り出したナカジマが居た。
「貴女がポルシェティーガーの……なかなか手こずらせてくれましたね……」
「お褒めに預かり光栄、ってね」
と呑気に返すナカジマ
「このまま楽しくお喋りしたい所だけど、残念ながら、そうしてる時間が無いんだよね~。眠りの虎が起きちゃうから」
「?一体、何の話を………」
「それは始まってからのお楽しみさ」
そして通信を入れた
「あぁ、那須ちゃん?ナカジマだよ……うん、ゴングは鳴らしたから、好きに暴れていいよ。うん…気をつけて」
この通信で、那須達王虎チームが隠れていると考え、警戒する……その時
ドカーン!!
「な、何よ!?」
エリカの横に居たパンターGが爆発し、白旗が上がった。
「あ、あれは……!?」
三郷の目線の先に居たのは、ティーガーⅡであった
皆は思うだろう。転生なぞ、夢の話、架空であろうと。
しかし、自分達は70年以上前に死に、そして第二の人生を歩んでいる……再び、戦車兵として
だが、皆は口を揃えてこう言うだろうはこうだろう
『夢の話だろう』
私は那須友梨奈……
……ティーガーⅡ237号車の車長だ
誰が何と言うおうと私達は、転生者だ