大晦日編
今日は12月30日。日本では大晦日と言うらしいが。この体になる前の自分は大晦日とやらなんて祝ってる暇は無かった。飛んでくるのは銃弾と砲弾などであった。
「今日は大晦日!そういう訳で。忘年会、始めちゃいましょー!!」
『おーっ!!』
沙織の音頭で集まった人達が飲み物の注がれたコップを軽くぶつけて乾杯した。メンバーはあんこうチーム5人と私だ……が。
「もうーゆりなん。そんな顔してたら雰囲気悪くなっちゃうよ?」
沙織………
「誰のせいだと思ってるんだ」
と言うと沙織は知らん顔をした。別に忘年会をやるのが悪いって言ってる訳じゃなんだ。ただ………
「よりにもよって私の部屋でやるか!?みほの部屋でも構わないだろう!?」
「だってね?みぽりんの部屋と比べたらちょっと広いし?」
「同じだろう………」
「てかもう始めちゃったら後の祭りだし、ね?」
「……はぁ」
「アハハハ………」
同じ部屋だぞ?みほと?そんなに違うのか?最低限の家具とかしか置いてないが
みほからは乾いた笑い声が聞こえた
「いやー、それはそれとして、今年は本当に色々ありましたねー」
「ええ。全くですね。一年にも満たないですが、この数ヶ月は毎日が本当に濃い日々でした」
秋山の今年を振り返るような言葉に華が頷く。
実際はそうだった。前会長から戦車道をやらないかと言われ、かつての仲間と出会い、こうやって活躍できた。
「どんどんスケールが大きい話になってきたよね。みぽりんが黒森峰から大洗に転校してきて、会長…………今は華が会長だったね。前会長が戦車道を復活させて、聖グロと親善試合をして、あの時は本当に右も左もわからないって感じだったよね」
「聖グロとの試合では勝ちましたけど那須殿以外全滅しましたが、その後の全国大会はまさに破竹の勢いでしたね。サンダースやアンツィオはもちろんプラウダといった強豪校との試合。那須殿率いる王虎チームは撃破率が半端無いと言いますか………」
「プラウダ戦では、半数を撃破したと聞いてましたが………どのようなことをしたのでしょうか?」
「私も気になる……ふわぁ………」
華が聞いてきた。意外にも麻子も聞いてみたさそうであった
「あー、包囲網を突破後先回りし、相手がフラッグ車に夢中になってる所をシュロ………袖奈が側面から脅威度の高いスターリンを撃破。その後は舞野の操縦で突撃して、T-34-85を蹴散らした」
「へぇー、舞野ってあんな操縦するんだね……」
「操縦は優秀なんだが、ハンドルなどの備品を丁寧に扱っていたらもっと良いのだが……」
ケルツ、あいつハンドルよく叩くからな。一年生……いや、もう二年生になるのか?から聞いたけど、蹴ってエンジン直したって言うし
「……で、黒森峰戦は何をしたんだ?」
と、麻子が聞いてきた。
「黒森峰との戦いには、結構準備をした。自動車部のお陰だ」
「それがあの改造なのですね」
華が言った。950馬力のエンジン、88mm砲から10.5cm KwK 46 L/68砲に変更したことによる火力アップ、追加装甲の強化などだ。
「少々重くなったが、それは馬力でカバーしている。何処ぞの英国首相重戦車とは大違いだ」
「アハハ……」(ダージリンさんに言ったら怒られそう……)
チャーチル重戦車と交戦を2回もした自分が言う。バックなどに関してはここの世界の方が有利だ
「終盤での決戦、黒森峰の副隊長二人と交戦したことが楽しかった。副隊長を務めるだけあって二人とも優秀だった」
「三郷さんとエリカさん?」
「あぁ。だいぶ手を焼いた二人だったな。全員極限状態でいつ限界が来るか分からない。そんな状況だった。ただ、ギリギリ勝てた。本当にお世辞なしだ」
「友梨奈さんがそこまで言うのか」
あの二人は本当に強かった。パンターから分取った追加装甲すら外れている部分もあった
「さて、せっかく作ってくれた料理が冷める前に食べようか」
その後は沙織の恋愛話となり、あっという間に時間が過ぎていった
「それじゃみほさん、友梨奈さん、良いお年を」
「そちらもな」
「華さん、沙織さん、麻子さん、良いお年を」
と三人は帰路についた。
「さて、どうする?部屋は隣だが」
「うーん………今日は、友梨奈さんと一緒が良いかな?」
「…ま、良いか。一人で年を越すのは寂しいからな」
「わーい♩」
子供かと思いつつ、ふと、思い出したことがある
(70年以上前、日本は戦争をしていた………それはドイツも同じだ。……改めて、平和とは何なのか、ずっと考えさせられるな)
これが本来の高校生の生活なのだ。私のように戦車兵となって5年も戦うとは訳が違うんだなと
「友梨奈さん?どうかしましたか?」
と、みほが顔を覗かせてくる。
「あぁ、ずっと平和な生活が続いて欲しいってな。そう思っただけだ」
と言うと、みほがキョトンとした顔をした。その後、くすくすと笑った。
「何かおかしいことを言ったか?」
「だっていきなり平和とか言われたら………」
……そうか。戦争の道具とは言え人を殺す訳でも無いし、実際の戦場を駆け巡った事も無い。だが、それで良い。戦争は碌なもんじゃない。
「もうそろそろで今年も終わりだ。何というか、あっという間の一年だった気がするな………」
と言っていたらみほの姿が消えていた。
「……はぁ」
と溜息を付いたと同時に、こたつからみほがひょっこり出てきた。ついでに抱きつくように
「えへへ〜」
嬉しそうな表情を浮かべるみほに私は何もできなかった
「………好きにしてくれ」
「やったー♩」
と、テレビに視線を向けると、カウントダウンが始まっていた。そして0のタイミングで『HAPPY NEW YEAR』の文字が映される。
「明けましておめでとうございます。今年もお願いします」
「こちらこそ、宜しく」
「ふふっ、こうやって誰かと一緒に年越しを迎えるのは初めてかも。」
「そうなのか?」
「今度はお母さんやお姉ちゃんと一緒に年越しを祝えるといいな………」
姉のまほさんはドイツに留学と聞いた。ドイツか………今度行くべきか
「あの、友梨奈さん………」
と、みほの顔を見る。顔が赤くなっているが、何か決意した表情であった
「私、友梨奈さんが好きです。勿論友達としても好きです!で、でも、私が抱いているのは、えっと、その………あ〜もう考え気纏まらないけど……友梨奈さんのことは恋愛として好きです!どうか、私と付き合ってくれませんか!?」
な……あのみほが……
「……やっぱり変ですよね……嫌なら嫌っていってもいいので……」
おいおい、まだ白旗あげるのは早いし、まだ何にも言ってないぞ
「勿論嬉しい。だが」
「そ、そうだよね……いきなり言われても」
「最後まで聞け。言いたいことがあるんだ。これは、秘密でもある」
そして、私の秘密を言った
「私は、男と付き合うのは死んでも御免だ」
この体になって最初に決めた事だ。
「へ…?男と付き合うのはごめんって……?」
「好きな解釈で構わない。うちのチームはみんなそうだ。……それで、みほからの返事を聞かせてくれ。こんな私でも良いのか」
「………はい!!」
と言うと、再び横に来る。そして、熱いキスを交わした
「んむっ」
「プハァ………えへへ……好きです友梨奈さん………」
その後のことはよく覚えてはいなかった。ただ、寒い日の割には、身体は暑かった
R-18じゃあねえぞ?
明けましておめでとうございます!これからも、宜しくお願いします!