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そうして基地のほとんどの衛士が出撃していって数時間後…
基地は混乱の最中にあった。
「本当なのか!?」
「はい!前線の防衛線が崩壊!我が基地の第44戦術機中隊は全滅したとのことです!」
「何たることだ!我が基地には訓練生の衛士が一人しか残っておらんのだぞ!?」
そう。最前線にて西・東ドイツ共同の防衛線がBETAの物量戦によって瓦解し、東ドイツ陸軍は撤退。
そのため西ドイツ軍管轄のこの後方支援用基地が再度敷かれた最前線のラインの外側に取り残されてしまっていたのだ。
この事態に西ドイツ上層部も慌てて救援部隊を派遣することになっていたがその部隊が到達するのは明日。
前線を突破したBETAが基地に到達するのは二時間後。
到底間に合わない。
基地を放棄しようにもどのみちBETAに追いつかれる。
万事休すである。
基地要員全員が死を覚悟していたその時…!
キィィィィン!!!
戦術機のジャンプユニットが起動する音が鳴り響いてきた!
「おい!格納庫にしまっておいたA-10が起動しているぞ!!」
「誰が動かしているんだ!?」
「ったく!まさかこんな初陣になるとはな!」
操縦していたのはルーデルであった。
BETAが前線を突破したという知らせをルーデルは格納庫にいたためすぐにA-10で出撃を決意し、そばにいた整備員に『A-10を後方に下げる為に機動体制にしておいてくれ』とだまして起動させておき、燃料・弾薬が満タンになったのを確認したら即座にに飛び乗って迎撃態勢に移行していたのだ。
ちなみに彼女、この時衛士が戦術機に搭乗する際には必ず着用することが義務付けられている衛士強化装備を未着用でいるので大変危険である。
『そこのA-10!何をしている!!』
「私が時間を稼ぎます!その間に退避を!」
『その声はルーデル訓練生か!?無駄死になるぞ!おい!!ブッ…』
司令部の管制員はルーデルを制止していたが時間の無駄であると判断したルーデルは通信を遮断し、A-10の36mmガトリングキャノンGAU-8「アヴェンジャー」とWS-16C突撃砲を目前にまで迫っているBETAに指向し…
「さぁ!!死にたい奴からかかってこい!!」
翌日
西ドイツ陸軍第51戦術機甲大隊「フッケバイン」は最前線に取り残されていた後方支援基地に急行していた。
前線を一旦下げて再編成するのは理解できるが伝達不行き届きで基地を放置するなど言語道断、あってはならないことだ。
「まったく!まさかこんなことになるなんてな!」
『隊長!あれを!』
「あれは…!」
彼らの眼前に広がっていたのは大量のBETAの死骸と半壊した後方支援基地、そして返り血を浴び、右足と左腕、左ジャンプユニットを失い、戦術機管制ユニット正面の装甲が完全に脱落しているという動いているのが奇跡と言ってもおかしくないほどの損傷を受けたA-10が鎮座しており、その足元で倒れているかのように眠る衛士がいた。
これがのちにBETA狩りの魔王とまで言われることとなるハンナ・ウルリーケ・ルーデルの初陣であった。
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