クソデカ激重感情に気が付かない一般TS最強ロリ   作:れもんぷりん

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 異能系が大好きです。
 という事で初投稿。


学校襲撃テロリストって誰しも一度は考えるよね

 

 この学校に入学して早くも二ヶ月が経った。

 今まででは考えられないほど煌めく青春の日々。

 友達がいるというだけで、なんて幸せなんだ〜!

 

 リカちゃんは毎日朝六時半に家に来て俺の弁当と朝ごはんをお母さんと一緒に作り、俺を優しく起こして着替えさせてくれて。

 それから一緒に登校する。

 もうリカちゃん無しでは生きていけないくらい世話をされている気がする。

 ちょっと自分の生活を見直さなければいけないのではないかと思ったくらいだ。

 

 しかも最近、人数調整の都合とかでクラス変更があった。

 その結果、なんと俺とリカちゃんは同じクラスになれたのだ!

 

 ちょいちょい神様〜。こんなに贔屓してもらって良いんでしょうか?

 俺、この人生謳歌しちゃいますよ?

 

 まあそれはおいといて、だ。

 

 俺は授業を落ち着いて聞くという行為が物凄く、それはもう驚く程苦手だ。

 

 先生の詠唱を聴いているだけで三分と経たずに眠くなってくるし、なんならあれはRPGに出てくる眠りの呪文なんじゃないかと勘繰ってしまうくらいだ。

 だけど寝るのは良くない。

 だって成績が悪くなってしまうからな。

 俺ってすーぱー美少女だからさ、やっぱりイメージって大切なんだ。

 

 美少女の周りには常に風が吹いているし、謎の原理でキラキラと発光しているし、性格が良くて優等生じゃないと駄目だろ?

 俺はその内の風と光、性格を満たしてない訳で。

 じゃあ優等生くらいはクリアしておかないと、と思うのは自然な流れだった。

 

 となると取れる選択肢は狭まってくる。

 板書するのは嫌いだから無しだとして、友達と喋るかノートの端っこに落書きするか、無駄にパーツの多いシャーペンを分解してドヤ顔するくらいしかやる事がない。

 

 クラス替えでリカちゃんと同じクラスになれたのは飛び上がりたい位に嬉しかったが、残念な事に席は遠く離れていた。

 俺の席は教卓の目の前で、リカちゃんの席は教室の扉に一番近い後ろの方の席。

 つまり、授業中では話せないってこと。

 

 俺の友達は今でもまだリカちゃん一人だけだから話す相手はいないし、落書きをしたら自分が如何に絵の才能を持っていないかを思い知らされて悲しい気持ちになる。

 それに俺は鉛筆派なんだ。

 

 となると最後はやっぱり妄想に戻ってくる訳で。

 

 こうやって、勉強が苦手だけど友達もいない、別段絵も上手くない学生が妄想に耽った時。

 一番初めに出てくるのが『学校に襲撃してきたテロリストにどうやって対処するか』って題材なんだ。

 

 これはきっと日本中の男子学生が一度は考えたことのある題材だと思うね。

 恐らくDNAに刻まれているんだ。間違いない。

 多分、『乗り物ジャック対策』と『大地震が起きて好きな子に覆い被さる』の二つを合わせて厨二病のバミューダトライアングルと呼ばれることだろう。

 

 そうして俺も先人達を見習って妄想に耽るって訳。

 

 やっぱり襲撃者は銃を持っているんだろうか?

 流石に一人ってことはないだろうが、多くても百人は超えないくらいだろう。

 

 その時、俺はどうするんだろう?

 皆んなを守るために戦う?

 それとも縮こまって身を守る?

 

 その時にならないと分からないけど、俺はヒーローなんだ。

 きっと皆んなを守ってみせるぜ!

 

 

 

 あースッキリした〜!

 少しお下品な話だが聴いてくれ。

 女子トイレに入った事がない男子諸君は知らないと思うが、別に女子トイレに入ったって女子の裸が見られる訳じゃないんだ。

 当然だが、彼女らが自分の服を下ろすのは個室に入った後。

 

 まぁ何が言いたいのかっていうと、男子諸君が思っているような花園が広がっている訳ではないということだ。

 勿論俺だって初めはドキドキしたさ。

 だけど、正直拍子抜けだったね。何にも興奮しないじゃないかって。

 

 そのお陰で女子トイレに入ることに何の緊張もしなくなったから、それは嬉しいところかな。

 

 え? 何してんだって?

 そりゃあ、トイレだよ。

 

 先ほど語った通り、授業中に暇を持て余す学生なんてのは星の数ほどいる訳で。

 その中でも特に、出来る暇つぶしを全て遂行し、もう本当に手詰まりになった人間だけがやる最終必殺。

 『トイレ行ってきます離脱』だ。

 

 まあ美少女はトイレをしないと思いたいみんなの気持ちは分かるつもりだ。

 アイドルと美少女、妖精と天使は排泄物を出さない。これは一般常識なんだが。

 

 残念ながら俺はTS転生者。完璧な美少女って訳じゃないんだなこれが。

 すまんが、流石に排泄物を全く出さないのは無理だった。俺だって努力したんだぜ?

 

 まぁ下品な話はこれくらいにしよう。

 このトイレ脱出法だが、いくつか注意点があるんだ。

 

 まず一つ目が発動タイミングだな。

 これをしっかり考えないと、一度心が安らいだ後にまた授業を受けなければならない。

 マラソンもう一周あったわ状態になる訳だ。

 

 二つ目が戻るタイミングだ。

 例えば諸君が先生だとして、生徒が『トイレ行ってきます離脱』を使ったとする。

 そしてチャイムがなる丁度一分前に帰ってきた。

 

 どうだ? 流石に分かるだろう。

 あぁ、こいつは授業をやりすごす為にトイレに行ったんだってのが丸わかりじゃないか。

 天才の俺はそんな初歩的なミスはしない。

 

 きっかり五分だ。

 ぎりぎり授業が終わるまで時計と睨めっこしていれば耐えられる時間であり、かつ先生が疑わない絶妙な時間。

 前世も含めた俺の人生経験の中で培われた最高の数字。

 

 いうなればゴールデントイレタイム。

 

 ん?

 俺は一体何を熱く語ってんだろう。

 興奮してる時、急に自分を客観視して冷静になる時ってあるよね。

 今だよ。今それが来た。

 

 かぁ〜困るなぁ。

 俺の論理があまりに天才的すぎるからって、神様も嫉妬して水を差しちまったか。

 ま、そう怒るなよ。この理論使って良いからさ。

 

 一体誰に話しかけているのかも分からなくなってきた時だった。

 廊下を歩く俺の耳に微かに届く悲鳴。

 

 おいおい、誰か女子にゴキブリのおもちゃドッキリでも仕掛けたんじゃないだろうな?

 全く、あれで笑うのは男子だけだからやめておけとあれだけ言ったのに……。

 

 というか悲鳴が上がったのって俺の教室じゃねえか。

 嘘だろ? まさか…………

 

 

 

 生物の先生がゴキブリドッキリしたのかよ!?

 良い年してなにやってんだあのおっさんは?

 

 ちょっと注意してやらねばいかんな!

 そう思いながら扉に手を掛けた。

 

 

 

 

 

 

 その男は突然現れた。

 

「よぉ、ガキ共。攫いに来てやったぜ」

 

 教室の扉からでもなく、窓からでもない。

 本当に突然、教卓の上に現れたのだ。

 

 そうして男は嗤う。

 

「動くなよ。少しでも動いた奴からお陀仏だからなぁ?」

 

 それは本物の悪意だった。

 教室の誰もがガタガタと震えて、漏れ出しそうな悲鳴を抑え込んでいた。

 

 だが、動かねばならない人間もいる。

 

「誰ですかあなたは!」

 

 大人は、先生は生徒を守る義務がある。 

 少なくとも授業をしていた生物の先生はそう考える人間だった。

 

 タァン!

 銃声が教室の中に響く。

 生物の先生の肩は砕け散り、だらだらと赤い血が流れ出ていた。

 

「きゃああああああああああ!」

 

 遂に耐えきれなくなった女子生徒が悲鳴を上げる。

 それも仕方のない事だ。

 だって彼女らはただの学生なのだ。

 

「動くなっつってんのが聞こえねえのかクソ共!」

 

 また銃声が鳴り響く。

 悲鳴を上げた女子生徒の机に命中したそれは、彼らの未来を表している様だった。

 

「何だ? 見せしめが必要ってか?」

 

 イライラして髪を掻きむしる男は教卓から飛び降り、倒れ伏す先生を足蹴にした。

 彼が攫う対象の中に大人は含まれていない。

 つまり、先生は殺してしまっても構わないと言う訳だ。

 

 その場の全員の注目が銃口を向けられた先生に集まる中、一人だけは全く違うことを考えていた。

 言葉リカである。

 

 彼女からすれば、クラスメイトがどうなろうと先生がどうなろうと知った事ではない。

 今リカが考えることはツナナの安否だけ。

 幸いにもツナナはトイレに行っていて、現在教室の中にはいない。

 

 何とかして自分だけでもこの教室から抜け出してツナナに危険を伝えて一緒に逃げるか、それが無理でもツナナが帰ってこない様にしたかった。

 

 リカの優先順位は一にツナナ、二にツナナ、あとは全部ツナナであるから。

 

 男の興味を惹かない様ゆっくりと動き、出口へ近づく。

 リカの席は後ろの出口に一番近い右後ろの席。これなら、男が気が付くまでに扉を開け、一瞬で外に出て走り去る事は可能だ。

 

 そう考えていた。

 

 だが、現実はそんなに甘くない。

 先生に向いていた筈の視線がリカを捉える。

 

「逃すと思ったか?」

 

 そうして突きつけられる銃口。

 先ほどの様子を見るに、かなり銃の扱いに慣れている事は間違いない。

 この距離でも外さないだろう。

 

 それでもリカは動こうとした。

 扉さえ開ければ、死んだ自分の血が教室の外からでも見える様になる。

 そうすればツナナは何かを察して様子を見るだろう。

 

 命を懸けた全力の注意喚起。

 文字通り、命よりも大切なツナナの為に徹頭徹尾動く。

 中学一年生とは思えない、決まりきった覚悟。

 

「そんなに殺して欲しいなら殺してやるよ。見せしめだ」

 

 男はリカの目が気に入らなかった。

 この状況の中、絶望の色など見えない澄んだ目にムカついた。

 

 周りを見ろ。

 お前もコイツらと同じ目をして震えていれば良いんだ。

 

 教室の中に充満する絶望の空気。

 男はそれが大好きだった。

 

 絶望が、諦めが、ドス黒い恐怖が、何よりも快感なのだ。

 

 誰もが諦めた。

 凄惨な未来を想像し、目を背けた。

 

 

「せんせー! ゴキブリはダメですよ〜!」

 

 空気を読まない一人の乱入者以外は。

 

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