アイドルのペットはバトルウルフ   作:カシコイン神父

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いつも感想・評価ありがとうございます。
不定期ですがこれからも投稿は続けていきたいと思います。


8話

 ご主人とアクアの映画デビューから何年か経ち、双子は幼稚園に入園し、ご主人はもうすぐ20歳になる。

 

 最近はご主人も仕事が増えてきて前にも増して忙しそうだ。

俺に顔をくっ付けて思いっきり吸ってくる事も多い。いや別にいいけどね?

 

 あとなんか あちこちで俺の事自慢してるって聞いたんだけどマジですか?

双子が凄い顔してくるんだけど。

多分君たちの事を自慢したい分まで俺の事言ってるだけだと思うよ?

 

 そんなある日の事

 

 幼稚園のお遊戯会でダンスをするらしく、ルビーがダンスの練習をしているのに出くわした。

 

 鏡の前でよたよたと踊っているのを転びそうだなと思いながら見ていると案の定転びそうになったので転ける前にクッション代わりになる。

 

「わっ!え?ダイヤ?いつの間にいたの?」

「ウォン!(どうも、音より速いクッションです。)」

 

「あれ?ダンスの練習?」

 

 あ、ご主人だ。

 

「じゃあママも一緒にやろーっと。今度ライブで昔の曲やるから練習しないと。」

 

 お、親子でダンスの練習なんて初めてだな

ご主人もルビーも嬉しそうだ。

 

 しばらく眺めていたがルビーがまた転びそうになったのでもう一度クッション代わりになる。

うーんどうにも動きがぎこちないなぁ

ポテンシャルはある筈なんだけどな。

 

 猿武でも教えようか?

 

そう考えているとご主人がルビーを抱き上げた。

 

「転ぶのを恐れたらもっと転んじゃうものなんだよ。もっと堂々と胸を張って立つの。」

「大丈夫だよ、ママを信じて。」

 

 

 その夜

 

 

 ご主人もアクアも寝静まった頃にルビーが1人で寝室を抜け出してダンスの練習をしていた。

ご主人からアドバイスを受けたルビーはどんどんダンスが上達していっている。

今ではもうご主人の曲を踊れる様になっているし、転ぶ心配も無さそうだ。

 

 これなら大丈夫かと思い俺も寝ようかとドアの方を見るとアクアがこちらに顔を出してきた。

どうやらルビーの様子を見に来たようだ。

 

 なんだかんだ仲良いよな。

 

将来はルビーもアイドルになったりするんだろうか?

アクアは映画にも出演したし役者にでもなるのかな?

 

いずれにせよ将来が楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 ご主人が双子の父親に連絡を取ろうとしている。

いや、本人が言ってた訳でも無いんだけど俺の直感がそう言っている。

 

 きっかけは双子の会話をご主人が聞いた事だった。

 

 

「なるべく考えないようにしてる事だけど俺達の父親って一体、誰なんだろうな」

「馬鹿ね、そんなレベルの低い事で落ち込んでるの?」

 

「処女受胎に決まってるでしょ、男なんて最初から存在してない。」

 

 凄い結論に辿り着いたなぁ……という感じで見ていたのだが、ご主人もこれはヤバいと思ったのか双子を父親と会わせようとしているようだった。

新居に引っ越したばかりなのでタイミングとしてはいいのだろうか?

 

 コレはご主人に手を出した野郎を特定するチャンスという事で。

今、俺は姿を隠して電話ボックスの側にいる、ご主人の会話を盗み聞きしているのだ。

 

「ねぇ、子供達も結構大きくなったんだよ、一度会ってみない?」

 

 どうやら話声を聞く限り相手は若い男の様だ、ご主人と同年代くらいか?

 

……同年代ってご主人が妊娠した時16歳だよな?いかん、あまり考えないでおこう。

 

「うちの子はすごく賢いし、私達の事情も分かってくれるよ。 うん、新しい住所はね……」

そんな事があり、俺は父親が来た時のために牙を研いでいる。

 

 

 結局双子の父親が訪ねてくる事は無かったが、今日は斎藤夫妻が新居に来ている。

理由は新居祝いと来週のドーム公演の前祝いだそうだ。

 

 社長が上機嫌で酒を煽っている横で肩を組まれているアクアは嫌そうだ、まぁ俺も嫌だから逃げたけど。

次郎も昔よく酒臭い状態で絡んできたなー

 

 社長もミヤコさんもドーム公演にはしゃいでいる。

まぁ長年の夢だったらしいし、幸せそうだからいっか。

あ、でもご主人に酒はまだ駄目だぞ。

 

「大事な時期だ、スキャンダルなんか無い様に、くれぐれも父親に会おうとかするなよ。」

「もちろん」

 

流れる様に嘘吐くじゃーん?

まぁそれがご主人だから別にいいけどね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、斎藤夫妻も帰り、騒いで疲れたのかルビーとアクアがいつもより早く寝た後に俺とご主人はソファで寛いでいた。

 

「なんだかダイヤと2人でのんびりするのも久しぶりだなー、アクアとルビーが生まれてからは基本4人だったし、ミヤコさんもいたもんね。」

 

 そういえばそうだな、俺とご主人だけっていう機会は双子が生まれてからあまり無かったかもしれない。

 

「昔と比べたらホント賑やかになったよね、ダイヤと私だけの時はよくダイヤに抱きついてさ、寒い時は抱き枕にもしたっけ?」

 

 あったなーそんな事、めちゃくちゃ抱きしめられて寝苦しかった。

 

「子供達が生まれてからはルビーとアクアの遊び相手になってくれてたよねー。背中に乗せて歩いてるのホント可愛かった!」

 

 あれルビーが喜ぶんだよな、アクアも結構ああいうの好きだし、流石に小学生くらいになったら二人乗りはサイズ的にキツそうだな。

頑張れば俺ももっとデカくなれるけど、あんまりデカくなると家に入れなくなりそうだし。

 

 それにしても今日のご主人はよく喋るな、俺は相槌打つくらいしか出来ないよ?

 

「ねぇ、ダイヤ……」

 

ん?

 

「私さ、アクアとルビーの事、ちゃんと愛せてるのかな……?」

 

 その言葉を不思議に思ってご主人を見ると星のような瞳が不安そうに揺れていた。

 

 

 ……何を今更、あれだけ甘やかしといて。

 

 

 俺は飽くまでこの世界にとっては異物、何十年も同じ場所にいれば周りから怪しまれるだろうし、ご主人や双子達は普通の人間だから次郎や節乃の様に何百年も生きていられる訳じゃ無い。

 

 だから

 

前足を肩に引っ掛けてソファに寝かせる。

 

「わっ、どうしたの?ダイヤ。」

 

前世で生まれた日の事を思い出す

 

転生した直後で混乱していた俺に母親がしてくれたグルーミング

 

目の前に巨大な狼がいる事に初めは恐怖したが、こちらを見る目があまりに優しくて愛おしそうなものだから、不安も恐怖もすっかり吹き飛んでしまった。

 

たった1日だけだったが、何百年経とうと忘れる事の無い記憶

 

 顔を寄せゆっくりと頬擦りをする。

前世の母親がしてくれた様に、ゆっくりと、優しく、丁寧に。

 

いつも完璧なアイドルを演じているご主人が安らげる様に

 

気持ち良さそうに目を閉じているご主人を見つめて。

 

いつか別れの時が来るとしても

この温もりを忘れる事がない様に

 

この子がいつか自分の愛を信じられる様に

 

 

 一人と一匹は、遥か昔から受け継いできた(もの)を、ただひたすら現在(いま)に刻んでいた。

 

 




ダイヤくん
隠れたファインプレーが多い。
こいつがいる分原作よりアイのメンタルが多少前向き。
ご主人と双子に対して割と重い感情持ってる。

アイ
ダイヤくんと2人だと割と甘える事が多い。
こっちはこっちでダイヤに重い感情持ってそう。

やっと書きたかった部分が書けそうです
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