廿五まで 生き過ぎたりや 傾奇者 作:主馬
慶次をそのまま登場させたらよくて☆2、全力贔屓で☆4だと思う。
先に逝っておきますけど、慶次の誕生を速めている分史実と矛盾が起きると思います。それでもいいっていう寛大な方はどうぞ。
1 関東制すは黒き悪魔 の巻
かぶき者。
『傾く』とは、異風を好み、派手な身なりをして、常軌を逸脱した突飛な行動に走る者の事を指す。当時は茶道や和歌を好む者を『数奇者』と呼んでいたが、数奇者より更に数奇に傾いた者という意味がある。
傾奇者の大多数は、飲食代を踏み倒したり因縁をふっかけて金品を奪ったり、家屋の障子を割り金品を強奪するなどの乱暴・狼藉を働くような人間であった為、御奉行や民からの印象は良くなかった。
そこに、『松風』と呼ばれる黒くしなやかな、どこか気品を感じさせる巨馬と、他の人間とは一線を画す体格を持った大男が現れるまでは。
これは、自身の赴くまま奔放に生を楽しんだ結果、――――に到達した、してしまった者の物語である。
◇
天文18年(1549年)早春―――
上州(群馬県)にある神成城の谷地にて。
神成城の城主である小幡図書助が、内乱の鎮静の為に消費した軍馬を補充する為の野生馬狩りが行われていた。
「野生馬を追い込んだぞーっ!」
数多くいる兵の内の一人が叫ぶ。事実、御奉行に狙われた野生馬たちは岩に囲まれた小さな空き場に誘導され、逃げ場を失っていた。
「いいか! 一頭も残すな! 悉く捕えよ!!」
兵達を率いていた御奉行が鼓舞するように金切り声を上げる。
それに対比し、野生馬達が悲痛な声を漏らした。無理もないだろう、このまま御奉行たちに捕えられてしまったら、自分たちの限られた時間が軍馬として消費されてしまうのだから。
「ヒヒィィィン!!」
「む!?」
突如崖上から聞こえてきた力強い咆哮に御奉行は困惑し、顔を上げて崖上を見遣る。すると、そこには悪魔と見違えてしまう程の漆黒と色気をその場に混在させている巨馬が堂々と佇んでいた。
「な…なんだあれはっ!!」
御奉行に答える声は一つも無く。皆が皆、余りの非現実的光景と威圧感に身を固まらせていたのだ。御奉行は辺りを見回し、真隣で体をみっともなく震わせている農民に目を向ける。
御奉行は農民にあの巨馬はなんなのだと問うた。が、帰ってくるのはヒュー、ヒューという荒い呼吸音と僅かな嗚咽のみ。
御奉行という立場に就いているだけあってか、早くも持ち直した御奉行は声を張り上げ、再度農民に問うた。
「なんだと聞いておる!!」
「お…お逃げなさいまし…」
農民はそう言った後に、すぐさまその場から駆け出し、共に連れてこられた仲間と共に一目散に逃げ始めた。
「何を馬鹿馬鹿しい!」
御奉行はそう言うが、彼の背に流れる冷汗と手の震えは止まっていない。自身の恐怖心と、仲間の士気を考えての発言である。それでも強がりなことには変わりないが。
「御奉行あれを!!」
さりげなく近くに寄ってきていた兵が、切迫した様子で巨馬に指をさした。瞬間、ドッ! という大地を踏み締める力強い音と共に、巨馬が落下してくる。
「おのれ! うて、うてーい!」
御奉行の指示により、兵たちは弓を構え、巨馬目掛けて矢を放った。
あの馬のアイデンティティが巨体だけなら、兵達の矢の内の何本かは刺さっていただろう。
だが、あの馬にはその巨体に見合う、否。その巨体を以てしても制御しきれない圧倒的な膂力を備えており、且つそれを効率的に振るう事が出来る経験もあった。
これから導き出される結果は何か。答えは―――
「ぶげぇ!」
「あびゃ」
―――虐殺である。
御奉行が従えていた熟練の兵達を、まるで羽虫を払うが如く駆逐していた。
ある時は潰し。
ある時は振り払い。
ある時は嚙み砕く。
その大きすぎる力の差に、御奉行の心は折れた。
一切合切兵を駆逐し尽くした後に、御奉行の方向に悠然と歩みを進める。
何も知らない一般人が見たら、その姿を優雅、と称すだろう。
だが、御奉行にとってのそれは、死神の足音にしか聞こえなかった。
パカラッ……パカラッ……
速いようで遅く、遅いようで速く。
確実に人の精神を削り取るだろうその足音は、御奉行を精神的に追い込み、最終的に気絶させるに至った。
黒き巨馬は、無様に泡を吹きだしながら倒れているそれを一瞥して、兵達が従えていた軍馬諸共移動を始めた。
後に、その馬を従える男が世に出てくる1ヵ月前の出来事である。
ネタは出したぞ、続きは頼んだ。
千利休の外見について(震え声)
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サーヴァント時の見た目
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生前(大男)の見た目