廿五まで 生き過ぎたりや 傾奇者   作:主馬

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 プーリン10連でお迎えできたのにドラコーが全く来ない。なんでさ(ブチギレ)
 一人称むつかしい……。段臓のキャラも持ってないからむつかしい……。


2 疾き松風の如く の巻

 

 

 

 『花の慶次』

 戦国の世を当代きっての傾奇者として生きた漢、前田慶次の自由奔放な生き方を描いた作品である。当時、そんな慶次の生き方に魅了された人も少なからずいるのではないだろうか。

 

 

 少なくともオレはそうだった。

 

 

 慶次の何物にも縛られない自由な、されど困難な生き方に憧れ、挫折した。現代社会で慶次の様な生き方を真似するのは到底無理だと理解してしまったのである。

 でも、それでも自身の根底で前田慶次という存在に憧れていたのだろう。

 何故なら、自身が死ぬ間際に願ったのが前田慶次のよう(・・)になりたい、だったのだから。

 

 

 それが影響でこうなったのかは定かではないが、自身が生まれ、幼名を呼ばれたこ事でようやく悟った。

 

 

 ―――あ、オレ前田慶次に憑依してるわ―――と。

 こうなったらもう早かった。

 前田慶次のような男になるべく、自信に前田慶次として足りなさそうなものを片っ端から養った。兎に角頑張った。今まで我武者羅に突っ走ってきたから何をしたか事細かには覚えていないが、少なくとも今の前田慶次としての生には役立っている。宴会芸などがその最たる例だろう。

 

 

 まぁ、そんなことはどうでもいい。どうでも良くない気もしないでもないがどうでもいい。どうでもいいったらどうでもいいのだ。

 俺が今掲げている目標は『前田慶次の様に生きる事』である。そして、前田慶次の様に生きる為には慶次を生涯サポートし続けた相棒が必要だ。その相棒の一角―――松風である。そして、その松風らしきものが辺りに出没したと部下から報告が入った。

 オレが生まれたのはどうやら原作より少し前だったようで、苗字が原作の慶次とは別になっている。だが、見た目が完全に慶次のそれなので全く気にしてはいない。

 なら、慶次の年代にいた筈の松風が何故俺と同年代なのか? という疑問が出てくるが、そこに関しては転生モノによくあるご都合主義が頑張ってくれているのだろう。

 

 

「きっ、今日のお主にそんな勝手なことは言えまい! 戦が起きる度に軍馬を壊しおって!」

 

 

 そんなことを考えながら、オレは目前で額に青筋を浮かべている荒武者に拒否の意を持つポーズをとった。俺が松風の出没した地域に行こうと、厩舎の周りで馬を見繕っていたらいきなり絡まれたのである。

 

 

「お断り致します。私は犬や猫は揶揄いもしますが馬は殺しません」

 

 

 どうやらこの男は悪魔の馬と揶揄されていた松風―――今は名無しだが。を殺すようオレに言ったらしい。至極どうでもいいが。

 

 

「貴様ァ! 兎に角行って殺してこい!」

 

 

 荒武者は自身に迸る激情に身を任せオレを怒鳴りつける。別にこのおっさんに興味は無いし、今後も出ることはあり得ないだろうがせめて今だけは間近で喋るのは辞めて欲しい、ていうかやめろ。唾散ってんだよ。わざとかお前?

 オレは美女の唾なら喜んで飲むが、興味のない。それも大分歳がいっているきついおっさんの唾になんか興味ないのだ。

 

 

「―――ハッ? 一向に聞こえませぬが?」

「~~~~!? ~~~~~~!!」

 

 適当に煽るだけで、荒武者は顔を歪めて言葉を失った。どうやら、煽り耐性がとても低いらしい。

 その姿を見て思わず口角が上がった口を押さえながら、オレは続けざまに言葉を発する。

 

 

「第一、それ程の馬を殺す等という勿体ない事が出来ますか?」

「も、勿体ない?」

 

 

 荒武者はポカンとした表情を浮かべながら俺の言葉を反芻する。

 

 

「そうじゃありませんか。それ程強力で、且つ素早い馬を誰が殺せます。なんなら飼い慣らして手前の乗馬に致します」

 

 

 胸にドン! と手をを当てながらオレは得意気な顔をした。

 そんな姿に荒武者は猿みたいにキレた。いや、この場合は図体が無駄にでかいのを鑑みてゴリラだろうか

 

 

「~~~ッ! 勝手にしろ!! こんの傾奇者めが!!」

 

 

 捨て台詞の様にそう言い残して、荒武者分かりやすく不機嫌な雰囲気を醸し出しながらドスドスと足音を立てて去っていった。はいはい、オレに対して言う傾奇者は褒め言葉ですよっと。

 そんなことを考えながら、オレは再び馬を見繕い始めた。

 

 

 

 

 

                     ◆

 

 

 

 

 

 パカラッ……パカラッ……と聞き心地の良い足音が辺りに響く。その馬を見るなり、一番初めに目に入るのはその馬に乗馬している大男であろう―――。

 と、脳内でナレーションを付けてみたり。

 実際間違ってはいないんだよなぁ……。

 原作慶次バリに育ったこの巨体だし、前水面に移った自分の姿を見てみたけど存在感ヤバかったし。カリスマみたいなのがあんのかなぁ。知らんけど。

 

 

「……」

 

 

 そろそろ目の前の声が気になってきたので、俺が乗っている馬の前でブツブツと何か呟いている段蔵(・・)の頭をコン、と軽くキセル(煙管)で叩いた。

 

 

「なんだ? 言いたいことがあるならはっきり言え」

「あ、いえ……。そのですね、不躾ながら、今回の任は幾ら主殿と言えど……」

「余計な事を言うな。オレの事を心配しているのは解ったが、今回ばかりは譲れん。お前はただ、その悪魔の馬が出そうな場所に案内すればいいんだ」

 

 

 オレの言葉にうっ、と口を噤んだのがオレ直属の忍びであり、甲賀の里(・・・・)から連れ出した幼馴染でもある加藤 段蔵(かとうだんぞう)だ。

 ……本当はあの『骨』が良かったのだが、こいつ(段臓)が聞かなくてな。そも、段蔵はからくり人形のはずなんだが感情があるように感じるせいで余計断わり辛かったし。

 やはり、忍の技術は不思議だ。理屈詰めで説明されても理解できる気がせん。

 

 

 忍の技術の謎は深まっていくばかりだなぁ...なんて呑気に考えているよ、段蔵が決心したかのように口を開いた。

 

 

「主殿。やはり悪魔の馬の接触、それも飼い慣らすなど。辞めた方がいいです、さもないと……主殿が殺されてしまうかもしれません」

「ほーーー。そんなに凄いのか」

 

 

 俺は顎を弄りながら段蔵に問い返した。なんでも、他の悪魔の馬に興味を持った侍大将が独り果敢に悪魔の馬の領地に乗り込んだものの、結果は惨敗。

 彼に追従してきた部下どころか、侍大将諸共殺されてしまったそうだ。それに現地の人等は怯えに怯え、家畜として飼っていた馬も殺してしまう始末なのだそう。ふん、まだまだ未熟だな、段蔵は。

 ―――だからこそ、黒き悪魔の巨馬、松風なのだ。

 自身を害する者を容赦なく屠り、逆に自身が庇護すべきものはなにがなんでも守り通す。そんな信念が、意志があるからこそ、だからこそ―――

 

 

「それは面白い! 尚更その馬が気に入った!」

 

 

 ―――オレ(前田慶次)という男を揺り動かすのだろう。

 寧ろ、この前田慶次の乗馬となるのだ。それくらいの力は備えていないとこちらが困る。

 そんなオレの言葉に、何処か焦った様子の段蔵は即座に否定の言葉を口にした。

 

 

「そ! そんな滅相も無い! 相手は悪魔の馬ですよ!?」

 

 

 そんな段蔵の言葉を、オレはまるで些事が如く笑い飛ばした。

 

 

「例え悪魔の馬であろうとオレには必要なのだよ。見てみろ! 俺の身体を」

「卑猥です、えっちです」

「は?」

「い、いえ。なんでも」

 

 

 段蔵が何か口にした気がするが、生憎聞き取れなかった―――なんてことはなく、ばっちり聞こえていた。オレも甲賀の里の出の忍びなのだ。五感は常人の比にならないほど鍛えられている。

 それにしても卑猥か……。別にいいけどさ。気まずい。

 

 

「ん”ん”ぅ。話を戻すぞ? いいか。見ての通り、オレの図体はでかい。それこそ、並の馬を一合戦で乗り潰してしまう程にな。だが、その馬ならきっと思いのままに戦働きができるというものだろうよ」

「……」

 

 

 俺と共に戦場を駆け抜けていたからか、その後段蔵から言葉が飛び出ることは無く、沈黙がその場を支配した。

 やがて、観念したように溜息をついた段蔵が再び歩き出し、オレは黙ってそれに追従した。

 

 

 

 

 

                     ◆

 

 

 

 

 

「大体この辺りでしょうか」

「よおし、いいぞ」

「あ…あの…」

 

 

 急にオレが寝転がって寛ぎ始めた事に困惑した段蔵がオレに問いかけてくる。その問いにオレは、

 

 

「ここまでありがとうな、段蔵。もう酒と食料を置いて帰っていいぞ」

 

 

 とキセルを吹きながら答えた。

 だが、段蔵にとってはその言葉がかなりショックだったようで、暫しその場に立ち尽くした。

 が、慶次の隣を10年以上守っている……もとい、付いている熟練の忍。直ぐに持ち直して慶次が指定した荷物の荷解きを開始した。

 

 

「物のついででございますが傷薬を。後、これは万が一の時に」

 

 

 そう言いながら段蔵が手渡してきたのは質のよさそうな傷薬と―――脇差であった。

 そう、脇差である。脇差とは身を護るために使われる、いわば護身用の短刀。刀ということは―――当然、鉄が使われている。

 警戒心の高い野生馬は、鉄の匂いを嗅いだ時点でその場から走り去ってしまう。何故なら、同胞が何度も鉄の匂いがするそれに弑されてきたことを解っているからだ。

 それなら、必然的に野生馬に鉄は厳禁という事になる。それをコイツは……。

 

 

「冗談だろ? そんなものは持って帰ってくれ。薬だけは貰っておくよ」

「し、しかし!」

 

 

 段蔵が思いの外食い下がってきたので、オレは溜息交じりに脇差の受け取りを拒否した訳を話した。

 

 

「まーだ解らんのか。野生の馬には鉄は厳禁なんだよ。鉄を持ったヤツは例外なく皆敵なんだよ。それとも……貴様はオレを初めからあの馬の敵にしたいのか?」

「ち、違います! 段蔵はそんな事をしようとした訳では……」

 

 

 段蔵はシュンとした。

 その姿が余りにも可愛くて思わず嗜虐心が刺激されたが、武者修行で鍛えた理性を以てしてあと一歩のところで踏み止まる。

 

 

「はっはっはっ! すまんな、少し虐めすぎたらしい。……大丈夫だ、怒ってないよ」

「……本当ですか……?」

 

 

 段蔵は不安気にそう聞いてきた。

 短刀を渡してきた時に少しイラッと来たのは事実だが、別に引き摺る程のものでもない。忍びでも失敗はつきものなのだ。

 ……まぁ、段蔵の失敗を指摘したのはオレなんだがな。

 

 

 

 

 

                     ◆

 

 

 

 

 双丘の狭間から漏れ出る朝日が慶次の顔を照り付ける。日光に照らされている慶次の顔は間抜けそのものだったが、それでも彼の漢としての魅力と滲み出るカリスマ性を損なわせてはいなかった。

 

 

 そんな慶次に迫る影が一つ。

 影は慶次にドン! と常人ならば軽く吹っ飛ぶであろう衝撃を与えた。

 が、それに対する慶次の反応は「う…うにゃ」という寝言紛いの呻き声のみ。

 痺れを切らした巨大な影は、慶次の事をその蹄で踏むまで至った。

 

 

「痛えなぁ。何もそう邪険に起こさなくたって」

 

 

 慶次は咳き込みながらそう文句を言う。

 そして、自身を踏んだ影の正体を視て……あんぐりと口を開けながら驚愕した。

 

 

(で、でかすぎる! 漫画越しでどれだけでかいか解ったつもりでいたが……これはその比じゃないぞ!)

 

 

 驚き尽くした慶次はやがて体を起き上がらせ―――話しかけた。

 

 

「悪魔の馬ってのはお前かぁーーー!! やっぱり来てくれたか。やあ、ありがとう」

 

 

 慶次は頭を下げ、感謝した。心の底から感謝した。もしかしたら、幾ら本人に近づこうにも所詮は贋作に過ぎない自身の場所に来ないかもしれないと思ったからだ。

 そして、慶次は体を震わせながらその馬に対して美辞麗句を述べ始める。

 

 

「なんて……なんて素晴らしいんだお前は! お前みたいな綺麗な馬は見たことがないよ!」

 

 

 悪魔の馬もそれが心からの言葉だと気づいていたからか、満更でもなさそうにブルル、と鼻を震わせた。

 

 

「―――惚れた! 腹の底から惚れたぞ!」

 

 

 悪魔の馬―――と呼ばれた馬は、もう慶次の乗馬になる気満々であった。因みに♀である。

 実際、悪魔の馬も今の集落に飽き飽きしていたのだ。

 打算10割で近づいてき、自身の巨体と力のみを求めてくる各馬の頭領達。

 別にそれが駄目だとは言わない。何故なら、自身より力を持っている者に縋るのは弱者としても種族の長としても正しい姿勢であったからだ。

 それでも疲れるものは疲れる。

 誰も自分を見ようとはしない、誰も自分を真に求めようとしない。誰も、誰も―――と。

 

 

 そうやって心を病みかけていた時に―――前田慶次(自分を肯定してくれる存在)に出会ったのだ。堕ちるしかないだろう。

 ここまでくればもう後はトントン拍子で話が進んだ。

 慶次と悪魔の馬が互いの傷を誉め合った後、慶次が吹っ飛ばされる覚悟をして悪魔の馬に乗馬をし、案の定悪魔の馬は一発で懐き、無事『松風』という名を貰う事が出来たのであった。




 今までなんも考えずに書いてたけどさ……よくよく考えたらさ……主殿ってなんなん? ていうかこの話ってなんなん? 今更ながらすっごい恥ずかしくなってきたんだけど……。

千利休の外見について(震え声)

  • サーヴァント時の見た目
  • 生前(大男)の見た目
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