赤き彗星の残光   作:黒プー

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思ったより閲覧してくれる人多くてびっくりしました。投票もありがとうございます。


第1話 -Just before down-

地球、新芦原市。 そこは親善のために初めにパレードが行われる地域であり、そのニュースが地球で放送されていたからかすでにかなりの人が押し寄せていた。

想定以上に押し寄せてきた人々によって、現地の警備部隊とともにフロンタル率いる親衛隊は対応に追われていた。

 

「ここまで人が押し寄せるとは、地球の人々は思ったより好奇心が旺盛なようだ。」

「全く…おかげで仕事が増えましたがね…。」

「そういうな、アンジェロ。 …そうだ、この辺りの出店でこんなものが売っていた。食べるか?」

 

フロンタルは親衛隊用に用意された仮設テントの外にある出店で売られていたたこ焼きをアンジェロに差し出す。

 

「現地部隊の隊長によるとこれはたこ焼きという食べ物らしい。 中は熱いから気をつけたまえ。」

「はっ! いただきます!」

 

アンジェロはフロンタルからまだ熱々のたこ焼きを受け取ると、それを直接口に放り込む。

 

「…アンジェロ、それはやめた方が…」

「ぅ熱うっ!?!?!?」

「…だから言っただろう。」

 

懐から水を取り出し、慌ててそれを飲んでいるアンジェロを横目に、フロンタルはモニターを通して各地に設置された監視カメラを見ていた。

監視カメラ越しでさえ人が溢れており、人垣で車が通る予定である道路すら見えない。

 

「ふむ…カメラ越しではダメか。 アンジェロ、親衛隊から出せる人員は?」

「ハフ…は、カタフラクト部隊のパイロット以外であれば動けなくはないかと。」

 

親衛隊は特殊な部隊でもある。

その入隊条件は他の火星騎士の舞台とは比べ物にならないほど厳しい条件となっており、その一つに白兵戦からカタフラクト運用まで全て一人でこなすことが条件となっていた。

故に親衛隊の人員はオペレーターから整備員まで全員を警備に回すこともできるのだった。

 

「わかった、ではパイロット部隊とオペレーター要員以外は全員を徒歩での警備に回せ。小銃までの武装を許可する。」

「了解しました。…聞いたな! 直ちに命令を伝えろ!」

 

アンジェロの声と共に、オペレーターたちが動き出す。これで警備に問題はないだろう。

 

「…始まるまでもう間も無くだな。」

「…フロンタル卿、現地部隊より入電が。」

「ん?」

 

満足げにフロンタルがたこ焼きを摘んでいると、オペレーター越しに地球の護衛部隊から連絡が入った。

 

「皇女殿下が体調不良だそうです。 そのためパレードは影武者を使って行いたいと。」

「…やはり体調を崩されたか…。」

「随分と楽しみになさっていたようでしたからね。」

 

思わずアンジェロと共にため息を吐く。

あれほど早く休めと言ったはずなのに、どうやら眠れていなかったようだ。

 

「…部隊長殿には了解したと伝えてくれ。」

「はっ。」

「よし。…このパレードには皇女殿下、ひいては私の願いが詰まっているものでもある。 …皆、よろしく頼む。」

 

起こってしまったものは仕方ないと切り替え、フロンタルは改めて親衛隊員全員に指令を出す。

…波乱はまだ、始まってすらいない。

 

 

 

 

「…車両がスモークガラスのもので良かったですね、大佐。」

「ああ、おかげで影武者であることも気づかれることはない。パレードは無事に終わるだろう。」

 

車両が通る道路の上にある歩道橋から、双眼鏡で奥からやってくる車列を眺める。

念の為にカタフラクト隊を準備していたが、必要はなさそうだ。

 

「…しかし、現地で食べてわかったがやはり地球の食料品は美味い。そうは思わないか、アンジェロ。」

「それには賛成です。 大佐からいただいたものに限りますが。

「何か言ったか?」

「いえ、なんでもありません。」

 

そんなふうにアンジェロとまた買ってきたたこ焼きを摘んでいると、三人の学生が目に入る。

どうやらパレードを見にきた現地の学生のようだ。しかしこんな昼間から見にきていていいのだろうか。

 

「クソガキ共! ここは大佐がおられる場所だぞ! 散れ散れっ!」

「アンジェロ、やめろ。」

 

とりあえず彼らを追い払おうとしていたアンジェロをとめ、彼らのうちの一人に声をかける。

 

「地球の人間からはどう見える、我らが皇女殿下のパレードは。」

「いえ、僕はただ連れてこられただけなので。 それにそもそも皇女殿下いないですよね。」

「…ほう?」

 

普通の感想が来るだろうとむけていなかった顔を、答えた学生の方に向ける。

 

「…なぜ、そう思ったのかね。」

「…まず、その服装からあなたは火星側の警備の人間だ。 それならこんなところで呑気にたこ焼きつまんでいていいはずがない。」

 

学生は次に車の方へ目を向ける。

 

「それに、あなたと似たような服の人…火星側の警備の人間が少ない。 それらしい人はむしろ観客の警備にあたっているように見受けられます。なぜ最重要であるはずの車列を警備しないのか。 …そもそも、最重要ではないからでは?」

 

そういうと学生の彼は、フロンタルに、謎を解き終わった探偵のような目を向ける。

そのどこまでも興味がなさそうな目に、思わずフロンタルは笑ってしまう。

 

「フ……正解だ、少年。 名前は?」

「…界塚伊奈帆です。」

「そうか、私はフル・フロンタル。 …君が良ければだが、この後茶でも飲まないか。面白い考察が聞けそうだ。」

 

そのフロンタルの言葉に、黙っていたアンジェロが慌てたように口を挟む。

 

「たっ大佐!? その男はただの学生! あなたと話して良い身分のものではないですよ!?」

「身分などどうでもいいじゃないか。 相手が面白いかそうではないか。人付き合いなどそれでいいのでは?」

「いいえなりません! 大佐はご自身の立場を…!」

 

アンジェロが続きを言おうとした時、突然車列が爆発し、周囲にその音が響き渡る。

 

「なっ…!?」

「っ、 オペレーター、状況報告を!」

 

驚いているアンジェロと伊奈帆たちをよそに、フロンタルはオペレーターへ通信をつなぐ。

 

『…はっ、申し訳ありません、先制攻撃を見落としていました…。』

「構わん、警備の人間は小銃しか持っていなかった、不意の爆撃など防げるはずがない。…それより何の攻撃だった?」

『はい、監視カメラの映像を確認したところ、ミサイルだった様子です。 1ブロック先のビルからの射撃かと。』

「…了解した。 警備部隊をそちらに回せ。私とカタフラクト隊を皇女殿下の確保と護衛に回す。」

『了解!』

 

フロンタルは通信を切断し、隣にいるアンジェロの方を向く。

 

「聞いたな、アンジェロ。 警備部隊を頼む、私はカタフラクトを。」

「はっ!」

 

去っていくアンジェロを見送り、それから残っていた伊奈帆の方を見る。

 

「……そういうわけだ、伊奈帆君。 残念だが茶はまたの機会にでも。 今は避難を優先しなさい。」

「わかりました。」

 

フロンタルの言葉を聞いた伊奈帆は、友人を連れてそのままその場を離れて行った。

その背中を見送ってから、フロンタル自身も走り出した。

 

 

「状況を報告しろ。」

 

仮設テントに飛び込んだフロンタルはオペレーターにそう質問する。

オペレーターは設置された機器を操作しつつ応える。

 

「はっ、現在監視カメラの映像を照合し犯人を特定、その追跡を行っております。」

「よし、犯人の確保はカタフラクト隊で行う。 整備は?」

「万全です。」

 

オペレーターの返事を聞き、その足でフロンタル専用カタフラクト『シナンジュ』の元へと向かい、そのままコックピットに乗り込む。シナンジュの後方に格納されていた親衛隊専用カタフラクト『ギラ・ズール』も、すでに起動シークエンスを終えていつでも出撃できる状態だった。

 

「全機、出撃準備はできているな?」

『問題ありません。全機出撃可能です。』

「了解した。 ……全機出撃せよ。」

 

機体の各部に設置されたスラスターを起動し、格納庫の入り口から一気に上昇。街全体を見渡せる高度まで飛び上がる。

 

「…オペレータ、座標を。」

『了解、座標を送信します。』

 

オペレーターによってカタフラクト隊各員に座標が送信される。

その座標とは、逃亡中の犯人の車両だ。

 

「この座標は今回の事件の犯人グループだ。おそらくどこかに向かって走っているものと考えられる。」

『では、捉えにいくべきでは?』

 

親衛隊の隊員からそう提案される。しかしフロンタルの狙いは別にある。

 

「…いや、今回はすぐに捕えず、泳がせる。」

『なぜですか?』

 

質問をした親衛隊員の方を見ながら、フロンタルは理由を説明する。

 

「…追われていない現状、犯人グループの取るであろう行動は二つ。一つは自分たちのアジトに戻ること。 この場合はアジトを即座に殲滅、犯人を捕える必要はない。」

『…では、もう一つは?」

「もう一つは…この暗殺事件の首謀者の元へ向かうことだ。このような大規模な作戦だ、テロが目的でないのならば間違いなく報酬があるはず、それならば首謀者も存在する。」

『なるほど、首謀者を特定するためにあえて泳がせると。』

「その通りだ。…各機、気取られない距離を保ちつつ行動するぞ。…全機散開。」

 

フロンタルの指示とともに、親衛隊各機はその場から3回し、個々に犯人車両を追跡していく。火星のカタフラクトであるからこそ可能な芸当と言えるだろう。

フロンタル自身も機体のスラスターを蒸し、敵車両を追いはじめる。

 

『…大佐、悪い情報が二つあります。』

「どうした?」

 

オペレーターから突然通信が入る。

 

『一つは姫様を見失ってしまいました、どうやら光学迷彩をお使いになられたようです。』

「あれは高性能な機器だ、見失っても仕方あるまい。 引き続き捜索を続行しろ。」

『了解しました。 …もう一つの方ですが。』

 

オペレーターは一呼吸置くと、改めて言葉を続ける。

 

 

 

 

 

『…軌道衛星上にいた火星騎士の楊陸城が、一斉に降下し始めました…!』




全裸大佐って思っていたより口調が難しいですね、違和感あったら教えてください。(文章を)修正パンチします。
ちなみに筆者にはアニメ知識しかありませんので細かい伏線など見逃しているかもしれないのでご了承するかコメントで教えてくれると嬉しいです。
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