海賊王ゴールド・ロジャーに心動かされた海賊達が集う、世界を一周する航路、「偉大なる航路」。それを挟み込むように存在する、一見平和な「凪の帯」。その「赤い土の大陸」に区切られた新世界側。
そこには女ヶ島と対をなす、男だらけの島がポツンと浮かんでいた。
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雲ひとつない晴天。太陽の日に照らされた木々の緑が切々と存在を訴えかけてくるような晩春。むさ苦しい雰囲気に耐えられないで逃げ出したのだろう、男しかいない島「練覇島」では今日も男達が鍛錬に勤しんでいた。
「マックス!!なにチンタラ走っとんじゃ!モタモタせんとはよ走らんか!そんなんじゃ日暮れちまうぞ!!」
「ハァ、ハァ、、さっき百人組手やったばっかじゃないか。も〜疲れた。休憩しよ休憩。おっちゃんたちだってもう虫の息だぜ。爺ちゃんだってそんなに鍛えてどーするわけ?ここんとこニュース・クーさえ来ないっていうのに。」
戦士としての役割を引退して尚、身体の衰えが一切見受けられない老人の喝を受け、マックスと呼ばれた、これから大人の階段を一歩ずつ登っていくだろう18歳の青年は後ろの疲れ切った中年の男たちを指差して呆れたように反論する。
「バッカモーン!!それが跡取り候補のいうセリフか?わしの若い頃なんてなあ…ブツブツ」
「はいはい。もうじいちゃんの武勇伝は耳にタコができるほど聞き飽きたってば。それに跡取りって言ってももう若いの俺だけだし、じいちゃんの次に強いのはもう俺でしょ…ってあれ?なんか見えない?あそこ、ほら砂浜のとこ。んー?瓶?波がないのに漂着物?」
視力がずば抜けていいのだろうか、マックスは500m以上も離れた海岸線に目線を向ける。
「海王類の子供かなんかが遊んで運んできたんじゃろ。もう休憩もいい頃じゃ!走るぞ!おい、お前らもじゃ!若造ひとりにいい様にされおって情けないわい!はよ立て!」
「「「はい!!」」」
「はいはい」
「マックス!「はい」は一回じゃ!!」
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一日の鍛錬が終わり、日が暮れた頃マックスは一人砂浜に来ていた。
(確かここらへんだったよなー。ん〜。お、あったあった。)
(やっぱ瓶だ。ん、なんか入ってる。紙?割と綺麗だな。ってこれ手配書か?どれどれ…)
瓶からクルクルと丸まった手配書を取り出し、マックスはそれを広げていく。
『シャーロット・リンリン 9億6000万ベリー』
「スッゲー額だ。よっぽどおっかねー顔してんだろうなー…って何じゃこの美人さんは!!やべえこんな美人そうそう見れねーぞ!スッゲー!スッゲー!!
よし!そうだ決めたぞ!」
夕日を背に拳を強く握り、マックスは今決意を新たにした。
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翌朝、燦々と朝日に照らされながら早速マックスはイカダに帆を立て、出港の準備をしていた。
すると、
「マックス!!気配がなくて何だと思っておったら何じゃあの置き手紙は!!
『妻を迎えに行ってきます』とはどういうことじゃ!説明せい!それにその格好。わしの古い服じゃろ、それ!」
「あー、やっぱ早いな。じゃあちょっとこれ見てよこの美人さん。この人に求婚しにいくんだ。それに相手が海賊だって言うから俺も海賊のカッコしてんだ。どう?似合ってるでしょ?」
そう言いながらマックスは懐からあの手配書を取り出し、広げる。
そして彼の格好を見てみると、マックスは形から入るタイプなのだろう。ゆったりとしたシャツにズボン、腰にはスカーフ、ブーツに頭にはバンダナとその上から海賊帽。どれも家の倉庫から引っ張り出してきたもので、年季が入っている。
「なっ!こやつは…(昔のリンリンか?なんでこんな40年以上前のもんをマックスが持っているんじゃ?)」
「え、爺ちゃんこの人知ってんのか?ならちょうどよかったぜ。俺の結婚相手になるからよろしくな!今からこのリンリンちゃん探しにいくんだよ。やめろだなんて言わないでくれよ?
俺だってちゃんと考えてんだぜ?そろそろ次の世代がいないとこの島も滅んじまうしな。」
(確かにそうじゃ。このままではこの島が滅んでしまうのも必然。そうじゃが、リンリンが今はババアだなんて言ったらどれだけ喧しくなることやら…
そうじゃ、最近慢心が多いし武者修行も兼ねて外の世界に行かせようとは思っとったんじゃ。とりあえず行かせてみるかのう。まぁ何とかなるじゃろ。)
「そういうことなら何も言うまい。ちょっとまっておれ。餞別をくれてやるわい。」
そういってマックスの祖父、アクサーは島中央の森に体を向けて叫ぶ。
「ピーちゃーん!!出て来ておくれぇ!!!」
バサッ バサッ 50cmほどの白い影が翼を広げて降りてくる。
『オイ、アクサー。ナンノヨウダ?ナンノヨウダ?』
アクサーの肩の上で羽を休めるオウム。長いこと共に時間を過ごして来たのだろう。この鳥と老人との間には固い絆が結ばれているように見える。
「紹介しよう。こいつはピーちゃんじゃ。可愛いじゃろ?わしが若い頃一緒に旅しておっての。お前の父ちゃんともじゃ。最近は本人たっての希望で森の中で過ごさせてたんじゃが、海に出る時にはピーちゃんがおらんとどーにもならんからのう。」
『ピーチャンダ!ピーチャンダ!』
「いや、ちょっと待てくれ。確かに可愛いけど、その、腹にログポース?がついてるのは、なに?」
あまりに見慣れないピーちゃんの姿が故に、マックスは話の腰を折る。
「おお、肝心なとこを忘れておった。ピーちゃんは元はログポースだったんじゃが、気づいたら一緒に箱に入れておいた悪魔の実の力を宿しておってな。
トリトリの実と知っておったら自分で食っておきたかったんじゃがな!ガッハッハ!!」
「ん?悪魔の実をログポースが食ったってことか?モノが、悪魔の実を?そんなこともあんのかよ。」
「そうじゃ。わしだって不思議じゃが、世界は広い。
自分がどこにいるか分からなくなるほどにな!」
『ソウナンシナクナッタノ、ピーチャンノオカゲ!ピーチャンノオカゲ!』
「そうじゃ。ピーちゃんがいれば航海士要らずじゃ!どうじゃ!最高のプレゼントじゃろ!」
『ピーチャンサイコウ!サイコウ!』
「確かに、一緒について来てくれるとはありがたい!ピーちゃん、俺はマックスだ!俺の嫁探しに付き合ってくれるか?」
『ピーチャンニマカセロ!マカセロ!』
ピーちゃんは胸を張り、その胸を翼でドンと叩く。そんな様子にマックスはニヤリと笑みを浮かべる。
「頼もしい航海士だな。任せたぜ。」
『マカサレタ!マカサレタ!』
「爺ちゃん、じゃあそういうことで!俺もう行ってくるよ!リンリンちゃんが今も海軍に追われているかもしれないんだ!きっと俺を待ってる!ピーちゃんも行くぞ!」
そう言うと、マックスはオールを持って待ちきれないとばかりに船に飛び乗り、ピーちゃんもそんなマックスの肩めがけて飛んでいく。
「うむ。じゃあ達者でな。繰り返すが、世界は広い。お前では敵わないような敵も出てくるだろう。(特にリンリンとかのぅ…)でもそんな奴らも鍛錬を積み続ければ勝てないなんてことはない!鍛錬を忘れるでないぞ!!帰ってきたらまた手合わせしてやる!」
「おう!じゃあまたな!他の奴らにも挨拶よろしくな!スッゲー別嬪さん期待してろってな!」
「よーし、出港だ──!!待ってろよー!リンリンちゃーん!!」
『シュッコウダ!シュッコウダ!』
「身体には気をつけるんじゃぞ──!!」
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マックスの乗るイカダが海王類に噛み砕かれ大破した様を呆れて眺めながら、アクサーは独りごちる。
「そもそもリンリンの元まで辿り着けるやら。あやつも四皇になったと聞くしのぅ…
ま、死ぬようなことはないじゃろ。なるようになるわい。」
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