便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア 作:マスターBT
「さて、とこんなものでしょうかね」
第四のサンクトゥムタワー攻略メンバーは救護騎士団の皆さんに、シスターフッドの方々とアリウス学園からスクワッドの皆さん、そして彼女達とトリニティ側の繋ぎとしてミカさんが学園の防衛が完了次第合流と。
ミカさんだけ随分なハードスケジュールですけど、まぁあの方なら笑顔を浮かべたまま熟る事でしょう。
「セラさんから借り受けたレイヴン部隊の方々も何名か手が空き次第来る様ですし、戦力としては十分ですね。その分、どれだけ余力を残して勝てるかが私の手腕にかかってくる……ふふっ、らしくない緊張ですねぇ」
セラさんが防衛室長との関係を構築していた事で、各自治区共に戦力に余裕はありますがそれでもこの後に何が待っているのか不明な以上、可能な限り戦力は残していた方が得でしょう。
それにしてもセラさんはいつの間に、防衛室長とあれだけ……身体を密接にくっつけ合い、熱い視線を交わし合う程の関係を持ったのでしょうか?
まぁ確かにセラさんの魅力は私もよく知っていますから?あの方と時間を共にすればする程にズブズブと深みに嵌っていくのは分かりきっている事ですが……
「……良いなぁ……私も一緒にコーヒーとか飲んでみたかったですね……」
ほぅ……と思わずため息を吐くと言う我ながら連絡先を受け取ったのにも関わらず何一つ連絡を送る勇気が持てない意気地なしの自分を呪ってしまいそうです。
モモトークを送れば、きっとセラさんはどんな内容であれ返信を下さると分かってはいるのですが、もしも何かの間違いで怒らせてしまったらと思うと顔を合わす方が好ましくて、ですが顔を合わす為の都合を見つけることが出来ず……気がつけば噂に聞く便利屋の皆さんと同じくらい距離感の近そうな相手が出来てしまいました。
「……んんっ、今は戦いに集中しましょうか」
これ以上、余計なことを考えない様に手元の通信機の電源を入れて待機している皆さんに点呼を取っていく事にしましょう。
「皆さん、準備は出来ましたか?」
『救護騎士団。準備完了です』
『……アリウススクワッド。準備完了だ』
『シスターフッドは……そのまだサクラコ様が……』
「サクラコさんが?珍しいですね。どうしたのでしょうか?」
敬虔なシスターであるサクラコさんが遅刻なんてする筈がないのですが……そう言えば何やら気合いを入れている様子だったとコハルちゃんが言っていましたっけ?
『──お待たせしました』
「あ、待っていましたよサクラコ──!?」
それは晴れた日の雷の様に私の思考回路を一瞬にして停止させました。
シスターフッドの長であるサクラコさんは、これこそシスターのあるべき姿を体現する一人でまさか……まさかその様な装いをする方だったとは微塵も思っていなかったのです──えぇ、私もまだまだだと。
『これは最後の聖徒会長が遺した、ユスティナ聖徒会の礼装……えぇ、これが私の覚悟です』
そうにっこりと微笑むサクラコさんは、とんでもない角度のハイレグに身を包み、バッチリと身体のラインが浮かび上がる服装にウィンプルを合わせシスターらしさを損なうことのないもはや一種のそういうプレイだと言われても何一つして違和感のない格好──それだけではなく、白磁のような美しい肌を曝け出すブーツとの合わせ技……浦和ハナコ、世界はまだまだ広いですね。
「それが『覚悟』なのですか!?その破廉恥な衣装が!?」
『えっ、ええっと、いったい何をおっしゃっているのか──!?』
此処に加えて無知まで加えるのですか!?
くっ……流石はトリニティを長らく影から守護してきたシスターフッド、性癖までも幅広くカバーしていると。
「では私も『覚悟』を示さないといけませんね!」
こういう事もあろうと制服の下はいつも水着ですからね……見ていてくださいセラさん、私の『覚悟』を!!!!!!!!
カタコンベ。
かつて、ベアトリーチェが座し、アリウスの恐怖政治の中心であった場所に鎮座するは『色彩』によって犯された人工天使──『ヒエロニムス』
「──芸術は模倣するところから始まると語ったが、自主性の見られぬ模倣とはつまらないな」
奪われた己の芸術を見上げるのはゲマトリアが一人、マエストロ。
黒服によってスペアのボディとなった彼はただでさえ好ましくない己の姿が、更に好ましくないものになった事に対する怒りを滲ませながら『ヒエロニムス』への失望を口にする。
優れたものを見せられた結果、それ以下の物が陳腐に感じると言うのは感性に訴えかける芸術にはよくある事だが、バイステンダーが見せた複製の思わぬ使用方法と結果を見た為にマエストロは、それと同じ状態になっていた。
「ん?」
そこへ騒がしい戦闘音を響かせながら乗り込んでくるトリニティとアリウスの連合軍。
そのうちの一人であるサオリがマエストロに気がつき、銃口を彼へと向ける。
「お前は!!」
「待ちたまえ。マダムの道具であった生徒よ。貴君らはコレを破壊しに来たのか?」
「……あぁ。そうだ」
「ふむ」
カタカタと身体を揺らした後に、マエストロは『ヒエロニムス』をもう一度見ると表情が変わることのない二つある木製のマネキンの顔の一つをサオリへと向け、彼女を値踏みすると頷いた。
「では此度は貴君らに手を貸すとしよう」
「信じろと?お前は『先生』やセラとは違う……子供の事をなんとも思っていない大人の筈だっ!」
「確かに私はあの大人達とは違う。しかし、今は構想したい芸術がある。それをマダムが呼び出した『色彩』が原因によって実現に至る機会を失うなど……認められない。私を仲間だと思う必要はない神秘の輝きを有する子らよ。互いに目的の為、利用し合えば良い──否、言葉より早く証拠を示すとしよう」
サオリ達に背を向け、残されていたピアノへと腰掛けるマエストロ。
全員がその光景に首を傾げる中、マエストロは壊れかけの腕を器用に動かしピアノを強く演奏し始める。
「本来であれば完成は先ではあったが、素晴らしき物を得て届いた一作をお披露目しよう。さぁ──今一度、喝采の準備を。まもなく舞台の幕は上がる──どうか、より強く!より激しく!高らかな喝采を!!」
ダァン!と音が響き渡るのと同時に、『ヒエロニムス』と向き合うようにマエストロの演奏を引き継ぐ形で異形の天使は舞い降りる。
強く、激しく、そして高らかに指揮者の指揮によって紡がれるは不変の芸術を奏でる──人工天使『グレゴリオ』
「さぁ、此度も私に見せてくれたまえ。貴君らの神秘の輝きが私の誇る芸術に匹敵する事を!!」
『……戦力は一つでも多い方が良いです。今は彼を信じましょう』
「浦和ハナコ!?……くっ、分かった」
あまりにも無防備な背中を曝け出すマエストロをハナコは一先ず信じると決めた。
その背景にはきっと、他者を信じる事が出来ずに不和を起こしたトリニティとしての反省も含められているのだろう。
おい、ブルアカ本編、続きをくれ!!早く!!色々とずるいって!!!!!
……でも、僕はスオウがナレ負けしてて悲しくなりました。本当に地下生活者にとってどうでも良い駒だったのね……
感想・ここ好き待ってるぜ!!