便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア 作:マスターBT
赤、黒、緑、黄、桃の五色は無限に続く正義の道標。
如何なる困難を前にしても、胸に宿る燃え上がり続ける正義への飽くなき理想が彼女達にはあるのだからいっそお誂えと呼べる場面が整った以上姿を現すのは必然であり、『先生』もそれを望んでいた。
“やぁ、よく来てくれたね”
「正義の呼び声あるところに我ら有りだ『先生』!!ある程度状況は察しているが改めて貴方の言葉で望むことを口にして欲しい」
『現場指揮官は私なんですけどね?まぁ、『先生』が責任を取るのなら任せますよ』
“あはは、ごめんねカヤ。セラには私の方からよく頑張ってたって伝えておくから”
『……別に良いですよ。では防衛室は不測の事態に備えますので』
明らかに彼女の声は拗ねているもので『先生』がフォローの一言をするより早くブツっと通信が切られてしまう。
そんななんとも愛らしい子供の対応に『先生』は後で、セラにお願いしないとなーと考えながらヒマリから上がった秘策……即ち、サンクトゥムタワーから漏れるエネルギーを利用した巨大化をカイテンジャーに説明する。
“あの巨大化ペロロジラに対応するには既存の兵器じゃ足りない。君達のロボットを使わせて欲しい”
「構わんさ!!だが『先生』!!こういう時のお約束を貴方は知っているはずだ!!とうっ!!」
レッドが空中で前転を決めながら着地するのに合わせて、ブラックとグリーンが互いに交差する様に飛び、イエローとピンクが二人手を繋ぎながら息の合ったタイミングで中央を抜け、レッドをセンターに置いた形で着地すると各々のポーズを決め、都合よくペロロジラの攻撃で背後が爆発する。
「さぁ!!高らかに呼ぶと良い!!我らが正義の具現を!!」
“行くよ!!無限回転寿司戦隊・カイテンFX Mk・∞!!”
──赤い空を割くは止まる事を知らない無限の回転が齎らす正義の轟か。
稲光と共にカイテンジャーの秘密兵器へとサンクトゥムタワーのエネルギーが注がれ、巨大怪獣ペロロジラに匹敵するロボットがキヴォトスに立つ。
「我らの親愛なるパトロンよ見ているか!!貴方と共に作り上げた正義は今、此処に立っているぞ!!」
『──!!!!!』
エビ寿司を模した右腕のパンチがペロロジラに叩き込まれ、涙目になりながら吹き飛んでいく。
轟音と共にビルを破壊しながら吹き飛んだペロロジラは涙目ではあったが、すぐにその顔に怒りを滲ませ立ち上がるとカイテンFX Mk.∞を睨み付ける。
「はっはっはっ!!!折角のお披露目が一撃で終わってはつまらないからな。怪獣ペロペロジラよ!!」
「ペロロジラです!!」
「む?そうか。ペロロジラよ!!」
この自称一般人ペロロ様狂いはこの戦いにおいても平常運転の様だ。
そんな声に反応したのか、ペロロジラの目に暴力的なエネルギーが溜まり発光していきその狙いはカイテンFX Mk.∞ではなく、ヒフミに向けられていた──無論、それを許すカイテンジャーではない。
「つれないな!!我々を無視するとは!!イエロー!!」
「任せろ!!とぅぅっ!!」
イエローの操作に応え、カイテンFX Mk.∞は巨体に見合わない大跳躍を見せペロロジラを蹴り飛ばすと溜められたエネルギーは霧散していく。
素早く追撃してカイテン鯖ソードを引き抜き、斬りかかるカイテンFX Mk.∞であったが今度はペロロジラが一枚上の選択を取り威力よりも速射性を優先した光線でソードを弾き飛ばす。
「くっ、やるな!!だがっっ!!」
「応よ!!」
長年、連れ添った彼女達に具体的な言葉は必要ない。
見事な操作でカイテンFX Mk.∞はペロロジラに組み付くと火花を散らしながら押し合うが、単純な力ではペロロジラが上を行くのか少しずつ押されていく。
「グリーン!!」
「ちょいさぁ!!」
しかし彼らには技がある。
見事な搗ち上げでペロロジラを弾くと、エビ寿司の腕が上からペロロジラに叩き込む。
派手に殴られた方向へ身体を捻るペロロジラであったが、即座に反撃に移り短い腕でお返しだと言わんばかりにカイテンFX Mk.∞を殴る。
「ぬぉぉ!!」
「一進一退の攻防!!胸が高鳴るな!!」
ペロロジラを弾くのと同時に無限回転・ULTRA皿シールドを構えるカイテンFX Mk.∞──直後にペロロジラから光線が放たれ展開されたシールドエネルギーとぶつかり合う。
楕円形に展開されるエネルギーシールドはペロロジラの怪光線の威力をバランスよく分散させ、見事に防ぎ切る事に成功する。
「我らの正義を撃ち破りたければもっと威力を上げる事だな!!──喰らえ無限回転・HYPER鰯ミサイル!!」
胸部装甲が開くと鰯寿司を模したミサイルが、若干怪しい挙動を取りながらもペロロジラを爆煙に包む。
ペロロジラの視界が一瞬とは言え、煙幕に包まれた隙を利用しエビ寿司を模した腕を持ち上げ、内蔵されたマシンガンを露出させる。
「無限回転・SUPER海老マシンガン!!」
轟音と共に巨大な薬莢を秒単位で放出していくマシンガンがペロロジラに放たれ、派手に仰け反るペロロジラであったが討ち倒すには足りず全弾撃ち切ったのと同時に今度は、こっちのターンだと言わんばかりにカイテンFX Mk.∞へと詰め寄り弾き飛ばす。
「ぐおっ!!」
「ッッ!!レッド、不味いぞ!!」
『──!!』
体勢が崩れた刹那をペロロジラが見逃す訳もなく、先ほど嫌というほど味わったマシンガンのお返しとして目からマシンガンの様に光線を放ち、カイテンFX Mk.∞を揺らす。
「「「「「ぐぁぁぁぁ!!!!!」」」」」
装甲が貫かれることはないが、光線が装甲とぶつかり合った際に起きる爆発が中にいる彼女らを襲う。
「このっ!!」
それでも消える事のない闘志が彼女らを突き動かし、攻撃の切れ目に攻撃しようと動くがペロロジラの方が早く体当たりによって初動を潰すとそのまま組み合い、ぐるりと回転し反対側のビルへとカイテンFX Mk.∞をぶつける。
戦闘によるダメージと衝撃でその場に崩れ落ちてしまうカイテンFX Mk.∞──トドメを刺そうとペロロジラの溜めた光線が放たれる。
「ぐっ……このままでは!!」
優秀なパトロンのもと、潤沢な資金で開発されたカイテンFX Mk.∞ではあるため、即座に破壊される事はないがダメージを知らせるアラームは鳴り響き装甲では防ぎきれないエネルギーが搭乗者である彼女達を襲う。
敗北の二文字が脳裏に浮かぶカイテンジャーの面々……そんな彼女達を叱責するのは唯一、敗北の二文字が浮かんでいないレッドであった。
「下を向くな!!前を見ろ!!漸く得た我々の活躍の時だ!!こんな時に下を向いて成せる正義があるとでも!!」
「「「「ッッ!!」」」」
「──回り続けるレールは!!」
「「「「正義の未来へ繋がる!!」」」」
諦めない彼女達を祝福する様に光線によって弾かれた鯖ソードが目の前に突き刺さっている。
怪光線に晒されながらも、ゆっくりとだが確実に伸ばした手が鯖ソードへと届く!!
「「「「「うぉぉぉぉぉ!!!」」」」」
正面を向き、正義を叫ぶ彼女達に呼応する様にカイテンFX Mk.∞から赤いエネルギーが迸り、ペロロジラを弾き飛ばすとエネルギーは鯖ソードへと集まる。
「「「「「我ら、無限回転寿司戦隊!!」」」」」
『──!!!!!』
立ち上がり、エネルギーを立ち上らせるカイテンFX Mk.∞に恐怖したのかペロロジラの瞳から今まで以上の威力を誇る光線が放たれる。
しかし、その光線もカイテンジャーの正義の心を仕留めるには足りず鯖ソードで受け流され、右肩を中破させるに留まった。
「「「「「カイテンジャー!!!!!」」」」」
無限回転・FINAL鯖スラッシュ!!
怪光線を避けた一撃が見事にペロロジラを腹部を裂き、注ぎ込まれた膨大なエネルギーを受けペロロジラは爆散する。
「くっ……」
受けたダメージにより、膝をつくカイテンFX Mk.∞であったが彼女達は見事に勝利を得た。
『──美しき勝利に水を差すのも悪役の仕事だな』
倒壊を逃れたビルの屋上で影の姿をした『バイステンダー』は懐から、ボロボロのペロロジラのぬいぐるみを取り出すとペロロジラが爆散した場所へと放り投げる──散るはずだったエネルギーは新たな依代を得て再誕する。
『──!!!!!』
「なっ……これは流石に……」
既にカイテンFX Mk.∞のダメージは甚大であり、巨大化の制限時間である三分も迫っていた。
再誕したペロロジラには傷一つなく、闘志の籠った瞳でカイテンFX Mk.∞を睨み付ける。
『ッッ!!防衛室の皆さん、せめて彼女達が逃げ出す時間稼ぎを!!』
観戦に徹していたカヤ防衛室長によって再び動き出した防衛室の部隊が攻撃を加える。
だが、ペロロジラからすれば痒い程度の攻撃は逆に苛立ちを加速させるだけで防衛室の部隊に雑に光線が放たれ、脱出は間に合ったものの一瞬で壊滅してしまう。
『そんな……』
絶望の声が零れる。
もはやカヤや『先生』にペロロジラを止める方法はなく、仮に大人のカードを使ったとしても現場から離れているため間に合わない。
誰もが諦め、これから起きるであろう凄惨な光景に目を逸らす者もいる中、一機のヘリの音共に彼女が現れる。
「──そんなものかカイテンジャー!!」
萬屋 セラ──現着!!
次回、VSペロロジラ決着!!