便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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 皆さん、もう新イベントのストーリーは読みました?山海経の事を知るにはとても良かったと思います。
 キサキ会長に関しても知れましたしね。
 私、個人としては最後に出てきた方のこれからがとても楽しみです。


アビドス……彼女達も大概、オモシロ集団だな

「さて、お話を伺っても?」

 

「はて、なんの話だ?私に何か話せる案件があるとは思えないが」

 

 ただでさえ、戦闘行為をして疲労しているというのに朝早くから呼び出すとは……昨日の頭痛がまだ完治していないんだぞ私は。

 まぁ、大方、話の方向性は分かる、アビドスの連中に関してだろう。

 黒服やカイザーの連中が無能でなければ、相応のデータを集めた上で便利屋68に依頼を投げたのだろうし、貸し出した武器も含めて負けて帰ってきたとなるとその要因を知りたがるのが、普通の大人の思考だ。

 

「惚けないでください。アビドスに何かしらの変化があった、そうでしょう?」

 

 当たりか……まぁ、私に話す義理など無いから適当に返すとしよう。

 

「さてな。私達は君達に頼まれた通りに戦いに行って、負けて帰ってきた。この事実以外に必要かね?」

 

「ヘルメット団達を使って、彼女達のデータは十分に取っています。こちらの予想が正しければ、貴方方が負ける可能性など万一にも無いはずなのです。それが、小鳥遊ホシノを捕えるどころか、惨敗するなど……何かがあったとしか思えません」

 

「事実は時として、数値を容易く上回るぞ?」

 

「……バイステンダーさん」

 

 おっと、声色が少し下がったか。

 ……ふむ、部屋の入り口にカイザーの兵士か、ククッ、汚い大人のやり方というのを心得ている様だな黒服。

 

「シャーレ。それだけは教えよう、後は自分で調べると良い」

 

「……なるほど、分かりました。お時間を取らせましたね、バイステンダーさん」

 

「全くだ」

 

 席を立ち上がり、背を向け部屋を出れば待機していたカイザーの兵士達に頭を下げられる。

 一応、客人程度の扱いらしい、しかしまぁ、黒服にも困ったものだな。

 

「今の私は便利屋68のアルバイト……この意味が分かっていないとは」

 

 依頼主としての権利を使うか、新たに報酬を支払い聞き出す姿勢を見せれば幾らでも望む答えを話すというのに……いや、妙なところで詰めが甘いのが黒服らしいところか。

 それにしても周囲が砂漠化しているせいかアビドスは何処を歩いていても暑いな……しかも道もかなり入り組んでいて、暑さで注意力を無くせば途端に迷子になってしまいそうだっと、そろそろ目的地が近いな。

 

「……ん?まだ誰からも返事がないとは。予想通り、銀行からの融資に苦戦しているのだろうか」

 

 カイザーPMCから出てすぐに送ったメッセージに反応がない辺り、予想は間違っていないだろうな。

 そもそも、私が来るまで経営破綻していた会社、しかも自らの足元など一切見ていない理想だらけの経営方針の結果、大赤字……うむ、良く今まで生きてたな彼女達。

 

「無茶をしたばかりで、また危険な行動を取ればまた説教をされてしまうが……致し方ない、連絡はしたのだ彼女らが悪いということでブラックマーケットに──

 

“あれ?”

 

 ──む?先生にアビドスの生徒達っと、待て待て。今の私はそこの先生と同じ無力で、か弱い状態だ。武器を下ろしてくれると助かるのだが」

 

 血気盛んだなアビドスの面々……確かに私は彼女達にとって敵になるが、ただ一人では何も出来ない弱者に過ぎないのだがね。

 両手を挙げて無害なアピールが功を奏したのか、先生の一声でどうにか武器を下ろして……いや、小鳥遊ホシノだけはいつでも銃を撃てる様にトリガーから指を外していない。

 

「ククッ、誠心誠意な態度というのは古今東西、人種問わずに通じてくれる様だ」

 

「……余裕って感じの笑みだね。状況分かってる?」

 

「ん?君に『先生』の信頼を損なってまで、問題とはほぼ関係のない目先の銃弾一発で死ぬ様な男の処分が出来るのかね?」

 

 無理だろう?君達はシャーレの『先生』に多かれ少なかれ、依存する部分がある者達だ。

 この場にいるのが小鳥遊ホシノだけであれば、沈黙を貫きどうとでも誤魔化したかもしれないが、生憎、他の生徒達がいる今、『先生』に信頼されている『生徒』で、愛する後輩達の模範となるべき『先輩』としての姿を損なう事は出来まい。

 

“あまり、私の生徒を虐めないでくれるかな?”

 

「これは失礼。なにぶん、ノミの心臓の様に繊細なのでな。脅威には過敏になってしまうのさ」

 

“特攻してきた人がよく言う……便利屋の子達とは一緒じゃないのかい?”

 

 もうそこまで調べているのか……全く、狐の様な細い目は伊達ではないという事か。

 

「少々、野暮用でな。私だけ別行動をしていたのだよ。まさかブラックマーケットに用事でも?」

 

“まぁね。良ければ一緒に来る?”

 

 その言葉に私諸共、全ての者が呆気に取られてしまった……いやいやまさか、私の様な者を誘うとは流石に予想していなかったぞ『先生』、一体何を考えているんだ?

 

“貴方とは少し話がしたいと思っていたんだ”

 

「せ、先生!コイツは敵よ!?それなのにわざわざ連れて行くって何考えてるのよ!?」

 

 全くもってその通りだと思うぞ黒髪の女子生徒よ。

 しかしまぁ……私もアル社長達に合流する為にブラックマーケットを進まねばならないし、その為の護衛が話をするだけで手に入ると言うのなら、付き合う方が得か。

 

「ククッ、これは獅子身中の虫になり得るものを自ら引き入れる豪胆さに免じて、ご同伴に預かろうか。暫しの間、よろしく頼むよ『先生』それにアビドスの生徒達」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ククッ、いつ来ても欲と悪意が渦巻く場所だな此処は」

 

“よく来るのかい?”

 

「私的な理由でな。彼女らの為に依頼を探しに来る時もあるがね」

 

「……」

 

 私達と接する時と同じ様な笑顔で話す『先生』と、胡散臭さ全開の男を見ていると本当にこの人を信頼して良いのか迷ってしまう。 

 他の皆は、もう受け入れている……ううん、きっと私と違って先生を信じているから、あの人の決定ならとあの男を受け入れているんだろうね……でも、私は……散々、大人に裏切られてきた私はそう簡単に信じる事が出来ない。

 

「先生、少し頭を下げたまえ」

 

 けど、ヒフミちゃんを助けた時に偶然、見たけどあの男は『先生』を流れ弾から守っていた。

 雑に頭を下げさせるだけだったけど、私や他の子達じゃ間に合わないタイミングをまるで、『知っていた』かの様に視線を向けず、流れ弾を避けさせていたし、セリカちゃんじゃないけど敵なのか味方なのかよく分からない。

 

“貴方はどうして便利屋と共に行動を?”

 

「アル社長に拾われたのさ。貴方も知っている通り、彼女らは見ていてとても面白く、好ましい存在だ。まさか、アルバイトとして雇われるとは思っていなかったが……ククッ、それもまたアル社長の面白いところだと思わんかね?」

 

“ふふっ、便利屋が好きなんだね。貴方は”

 

 そう問いかけられた瞬間、ピタリと足を止めて目を丸くする男を見て、私は気がついてしまった──彼にとって失いたくない場所なのだと。

 そしてそれは……私と同じような感情だと。

 

「……どうして……散々、奪ってきた癖に……」

 

「ホシノ先輩?」

 

 先を歩いていたシロコちゃんが、振り返ろうとしてきたから慌てて顔を逸らす……きっと、今の私は酷い顔をしているから。

 

「……居心地が良いのは認めるとも。それより、私から便利屋68の事を聞き出そうとしているのなら無駄だと言っておこう。アルバイトと言えど、機密は守られねばならんのでね」

 

“ちぇ、それは残念だ……ん?良い香りがするね、たい焼きかな?”

 

「本当ですね!あそこでちょっとひと休みしましょうか?たい焼き、私がご馳走します!」

 

 そう言ってノノミちゃんがニコリと私に微笑みかけてくれる……ありがとう、ノノミちゃん。

 

「そうだねぇ〜もう、おじさん、足と腰が悲鳴を上げてるよ〜」

 

「えっ……ホシノさんはおいくつなのですか……?」

 

「ほぼ同年代!というか、ノノミ先輩、またカードを使うつもりなの!?」

 

「『先生』の大人のカードもあるよ〜」

 

 精一杯、いつもの私を演じてどうにか胸の内に広がる黒い感情を押し殺して、皆んなと一緒にたい焼きを頬張る。

 ブラックマーケットにあるにしては、一口でたっぷりの餡子が口一杯に広がる美味しいたい焼きだったけど、どうしてあの男まで一緒に食べてるのかな……図々しいにも程があるよ。

 

「ふむ、美味いな。私としてはクリームの方が好きだが」

 

「そうだったんですか?纏めて買ってしまったので」

 

「いや、何も気にする事はないとも。ノノミ嬢の気遣いがあれば、何よりも美味だ」

 

「あら、お上手ですね〜」

 

「しかし良かったのかね?君達は財政難と聞く、私の様な者にまで出費をしてしまって」

 

「良くはないわよ……でもまぁ、どうせ馬鹿みたいな金額だし……数百円くらい誤差よ誤差」

 

「なるほど……後日にはなるが、この礼はしっかり返すとしよう。大人として施しを受けたままというのはな、格好がつかん」

 

「ほんっと胡散臭いわねアンタ。というか、無一文がそれ言っても信用出来ないわよ?」

 

「ククッ……返す言葉もないな」

 

 セリカちゃんの言葉に肩を竦めて笑う男が、敵だったのが嘘なくらい打ち解けている姿を見て、またモヤっとした感情が吹き出そうになる。

 無意識のうちに苛立ちを抑える為に、たい焼きを食べる速度が速くなっていた様で、気がつけば私の手にはたい焼きが無くなっていた。

 

「……」

 

「……ホシノ先輩、良かったら食べる?」

 

「うぇ?ううん、おじさんはもうお腹いっぱいだから、気にせず食べて良いよシロコちゃん。それに食べかけを貰うなんて、そんなビッグイベントおじさんには似合わないからねぇ〜」

 

「……ん。分かった」

 

 ありがとう、シロコちゃん。

 この私にとってはあまり居心地が良いとは言えない時間は、アヤネちゃんから武装集団が迫っているとの報告があるまで続き、その後も私達の借金を回収して横流ししていたカイザーローンを、襲撃して証拠を集めるってなった時も、覆面を一斉に装備し始める私達を見てあの男は、楽しげに笑うものだから、私の心はささくれていく一方だった。

 

「ククッ……ククッ!君達は思っていたより、面白いな。証拠集めのためとは言え、銀行強盗など便利屋68ですらやらんぞハハッ!」

 

 ……本当に煩い、一発ぐらい撃っても良いかな。




 コイツ、ホンマゲマトリアか?
 まぁ、スタンスの違いって事で何卒。

感想待ってるぜ、あとここ好きも毎秒待ってるぜ
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