便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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 遅くなりました!!少々、別の事をしておりちょっと更新遅めになるかもです。


 セイアとリオが実装されましたね!!お祝いも兼ねて、どちらのガチャも天井し交換で二人目を手に入れました。制服アスナは出なかったけど、リオの途中でネルが出てくれたのでセイアとネルを並べる事が出来るのは嬉しい限り。


狐VS鴉──雪辱

 『レイヴン』──彼女らの結成秘話を知らぬ者達からは揃って身につけている黒い首輪から『首輪付き』と呼称される事も多い傭兵集団。

 その中で最強とされるレイヴン9は現在、誰からも依頼を引き受けないがそれ以外の者達は生きていく為に報酬金の支払いが約束されている相手に限り、依頼を引き受けどんな危険な仕事であろうとも達成し帰還している。

 率いていた萬屋 セラ、イーグルの名を冠する彼女の不在を受けての行動は微かにではあるが、『レイヴン』から纏まりというものを消し去っており、それを憂う者が現れるのも必然であった。

 

「旦那様不在にも関わらんと、勝手に依頼を受けてる様やけどあんたはなんも言わへんのかしら?」

 

「ん?あぁ、まぁ金使いの荒い11や、戦場で着物を着るのに拘る1なんかは継続的に資金を得る必要があるだろうから好きにさせとけば良いだろ」

 

「首輪を真っ先に捧げたあんたは余裕って事やろか?」

 

「……旦那以外からの依頼を受ける気がないだけだ。それに」

 

 一本のツノを生やし、少々癖のある言葉遣いのレイヴン18から視線を逸らし、外へと視線を移したレイヴン9は吸っていた煙草を地面に落としグリグリと踏みつける事で消すと黒と白が入り混じった大きな翼を少々、興奮気味に広げ立ち上がった。

 

「火種が舞い込めば退屈しないだろう?」

 

「あーあ、野蛮やわぁ」

 

 刹那、砕け散る窓ガラスの向こう側から飛来した弾丸を割り込んだレイヴン18が背負っていた身の丈ほどある大楯で防ぐと、そんな彼女の肩に足を乗せて飛び上がったレイヴン9が続けて突撃しようとして来ていた侵入者を蹴り飛ばす。

 

「ッッ!!流石に反応が早いわね!!」

 

「何処の馬鹿が来たかと思えばお前達か狐」

 

 が、その鋭い蹴りはFOX3のクルミによって受け止められており、彼女が衝撃を受け流しながら室内に着地すると続く様にFOX2のニコがロープの勢いを利用しレイヴン9を蹴り飛ばそうとするが、器用に空中で上半身を逸らされた事で空振りとなりそのまま後方へと着地する。

 

「流石に当たってくれないかぁ」

 

「アイツ、今見てから避けたわよね?反射神経どうなってんの?」

 

「18」

 

「狙撃手の位置は此処から600メートルくらい離れたところかしら。外に可愛いらしい兵隊もおるさかい、結構本気っぽいわなぁ」

 

「ほぅ。多少は駒の使い方を知ってる様だな」

 

 自分達を包囲する形で敷かれた陣形が脱出を許さないものだと看破したレイヴン9と18は、この廃ビルにいる仲間達に指示を出そうかと思ったが面倒だなと指示を出す事を放棄し、銃と大楯を構え直後に廃ビル全域に聞こえる程の銃声を合図に対峙するクルミとニコへと向かって駆け出す。

 

「だろうと思ってたけど、一人も降参しないとか酔狂ねアンタら!!」

 

「頭は居なくとも立派に群れを成す鴉なだけはあるってことかな!」

 

 盾を構えるクルミが前に出て、相手の動きにすぐに対応出来るようニコが側につく陣形を取るFOX小隊に対し突撃する二匹の鴉は連携する様子を感じさせないまま全く同時に銃弾を放つ。

 

「ッッ!!」

 

「あらあら、身持ちが硬おすなぁ。可愛いけどそれだけじゃあ退屈やわぁ」

 

 スルリと自然な動きでクルミの身体と盾の隙間にレイヴン18の盾が割り込み、力任せに引き剥がされ甲高い金属音を響かせる。

 

「盾で盾を吹き飛ばすとか……!!」

 

「ふふっ!!」

 

 レイヴン18はキヴォトスにおいても珍しい大楯を使う為に防御が主体と思われるが、その本質は他の鴉達にも負けず劣らずの戦闘狂である。

 その証拠に腰から引き抜かれた拳銃にはキヴォトスにおいて、珍しい剣が取り付けられており弾丸がクルミの頬を掠めるのと同時に袈裟斬りに振り下ろされ、制服が浅く斬られる。

 

「ッッ、変な武器使って!!」

 

「ええ武器やろ?接近戦したいって言うウチの我が儘をボスがちゃんと聞いてくれたんよ」

 

 体勢を整える為に後方へと下がるクルミをレイヴン18は犬歯を剥き出しにした好戦的な笑みで追いかけ、どうにか盾を構え直そうとするクルミの腕を的確に射撃し、銃弾が貫く事はなくても痛みによる怯みは受けるキヴォトスの生徒の特性を利用した牽制で優位を取り続け、再び剣の間合いまで詰め寄る。

 

「こんなもん?つまらんわぁ」

 

「──は、舐めんじゃないわよ!!」

 

 盾に固執して動きが阻害されるならと勢いよくレイヴン18へと放り投げるクルミ。

 自らの顔面に猛スピードで迫る盾を走る勢いそのままにスライディングする事で避け、身を屈めた獣が如き体制で護りを捨て去ったクルミへと駆けるレイヴン18。

 

「ッッ!!」

 

 刹那、大楯を構え咄嗟に防御体勢を取ると甲高い音を響かせ大楯に衝撃が加わる。

 

『あれに反応されるかぁ』

 

「上等よ!!オトギ!!」

 

 鴉の動きが一瞬とは言え、鈍ったその刹那を狐は見逃さなかった。

 今度は自分の番と言わんばかりに、大きな盾に足を絡めるとグルリと曲芸染みた動きで大楯の裏側にいる驚いた表情を浮かべているレイヴン18の腹部にゴリッと銃口を押し付ける。

 

「──この距離なら盾は関係ないわ」

 

「あぐっ!?」

 

 容赦無しのフルオートによる弾幕がレイヴン18の腹部へと叩き込まれ、彼女の鴉と剣を重ねた様なヘイローが明滅しやがてグッタリとその場に崩れ落ちる。

 

「ふぅ……これで「へぇ、前よりは強くなったな狐」ッッ!?」

 

『クルミ!!』

 

 黒と灰色が入り混じった羽根が舞い落ちるのとほぼ同時に背後から囁かれた言葉に慌てて、クルミは振り返るが彼女が反撃に転ずるより早くレイヴン9のアサルトライフルに付けられたストックが真下から顎を揺らし昏倒してしまった。

 

「……やれやれ、これも旦那が防衛室長を誑し込んだせいかね。それともあんたらのリーダーは旦那の予想を超えてるのか。どっちだと思う?狐の」

 

「……さぁな。だが、カヤ代行は本気でキヴォトスを変えようとしているのは確かだ」

 

「その為に悪党を飼い慣らして、従うつもりのない私らみたいなのはその武力で鎮圧ってか?随分と暴力的な正義じゃないか」

 

「傭兵が正義を語るのか?」

 

「良いだろ別に。正義なんて人それぞれだ……そうだろう?」

 

「あぁ。そうだな」

 

 ガチャと互いに銃をリロードする。

 ニコとクルミは気絶し、隊長を援護出来るオトギは狙撃手ではあるが向かい合う両者が発する圧をスコープ越しに感じ取り自分が混ざるのは無粋だと眺めるという判断を選ぶ。

 

『ユキノさん』

 

「あぁ」

 

『計画通り、この戦いはキヴォトス中に生放送されています。もしも貴女が手酷く負ける事があれば計画は破綻するでしょう』

 

「あぁ」

 

『……余計なお世話でしたね。ユキノさん、勝利を』

 

「無論だ。カヤ代行」

 

 もはや通信手段すら邪魔だとユキノはカヤとのやり取りを最後に耳から通信機を外し放り投げる。

 目の前に対峙するのは初めて出会った日、なす術なく自らに敗北の二文字を刻み付けた傭兵──レイヴン9。

 

「行くぞレイヴン9」

 

「おう」

 

 廃ビルを舞台に雪辱を晴らすべく、狐は羽根を大きく広げる鴉へと飛び込んだ。




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