便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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カヤちゃんが実にカヤちゃんだったね。それでこそだよカヤちゃん。

ロア連邦会長(仮定)想像よりも良い人感というか、あの偽物なんだけど本物というか……ね?伝わるよね?


ククッ!!やはりくるか

「くっ、またですか……!!」

 

 トリニティ自治区は現在、奇妙な現象に見舞われており、今日で通算十二度目となる事件の報告を受けて正義実現委員会が現場に辿り着くと、既にそこは喧騒とは程遠い日常の静かさに満たされ、先程まで事件が起きていた気配が全くないのだ。

 『先生』が何者かに拉致された挙句、『先生』自身が報酬になるという狙いが一切不明ではあるが、特定個人に並々ならぬ想いを持つ者達にとっては千載一遇の好機と張り切る一人であるハスミは現場に駆けつけ、奥歯を噛み締めた。

 

「ふふっ……噂話って結構、簡単に作れるんです」

 

 全ての事件の裏にハナコあり。

 彼女の手には愛用しているスマホが握られ、画面にはとあるSNSが表示されているのだがそこには『トリニティ自治区の〜〜番地にて暴動か!?』という見出しが作られており彼女の手で投稿が押されると、その投稿は瞬く間に拡散され新たに正義実現委員会を動かす事件となる。

 

「分かりやすい見出しと実際の現場映像をセットにする事で、あたかも現場で何かが起きているんじゃないかと思わせる。本当にその場にいる人からすれば嘘だと分かる投稿も、この通りその場に居ない方には格好の話題です」

 

「一欠片でも真実が混じれば人は容易く他を信じる……規模は全く小さいが私の直感で同じ様なことが起きている場所を始めに投稿したのが大きかったね」

 

「うふふっ。流石はセイアさんです」

 

 トリニティが誇る才女と異能の使い手が手を組んでしまえば、現実とはこんなにも容易いのか。

 彼女らがただ一人の味方をする為に巻き起こした撹乱の渦は、しっかりと正義実現委員会を捉えて離さない。

 

「(これが終わったら今度は二人だけの用件で会いたいですねセラさん)」

 

「(君が居ない間、耳が疼いて仕方がなかったんだ。責任は取ってもらうよ)」

 

「「ふふっ」」

 

 バイステンダー或いは、セラとの接点を持つ生徒達は画面に映し出された仮面を身に付けた生徒を見ただけで、それがセラである事を見抜き同時に彼女が『先生』を拉致してまで為すべきと判断した事を理解或いは、単に彼女の味方をしたいという想い一心で自身が所属する学園の動きを鈍らしていた。

 

「ケイにヘリの手配は済ましてあるし、C&Cには別の任務を与えてたわ。後はヒマリ達だけれど……流石に止めるのは無理ね」

 

 ビックシスターであるリオは、モニターに映る小さな勇者率いるゲーム開発部の面々を止める事はせず、彼女達の後を追い掛けようとしているヒマリのみを乗り込んだ車を遠隔ハッキングで停止させる。

 的確にヒマリだけを妨害し続けると、痺れを切らしたゲーム開発部だけが現場へと向い出しリオは妨害の手を止めた。

 

「ん!『先生』を助けに行く!!」

 

「いやぁ……多分、どうにかなると思うよ〜」

 

 そんな混沌を極めていく学園の中でも特に顕著なのは、ホシノ以外は『先生』を助ける意見で一致しているアビドス学園であった。

 『先生』に対する恩義が強い彼女達は『先生』のピンチに力にならなきゃと張り切る中、セラと極力関わりたくないホシノが全力で渋る為に中々、アビドスから出発出来ずにいた。

 

「ホシノ先輩早く」

 

「そう焦らなくても大丈夫だよシロコちゃん。ほら〜あんなに多くの人が追いかけてるんだから」

 

「さっき、ゲヘナの人達が吹き飛んでた。向こうは手練れ」

 

「うへー、ほら、その手練れに守られてるから怪我の一つもしないって〜」

 

「……なんかホシノ先輩らしくないわね」

 

 常にだらしないグダグダした姿を見せているホシノではあるが、仲間意識が強く自分の周りの誰かが窮地に陥ればすぐに動き出す頼りになる先輩だとよく知っているセリカのジト目がホシノに突き刺さり、気まずそうに視線が泳ぎ始める。

 セラに関わりたくないというのが理由の大半ではあるが、『先生』を心配する気持ちもあり彼女らの心境も分かる為、ホシノは説得するだけの言葉を持ち得ずにいると部屋の扉が勢いよく開かれる。

 

「皆さん、ヘリの用意が完了しました」

 

「これで『先生』を助けに行けますよぉ〜!」

 

「ん。流石はアヤネにノノミ。ほら、行こうホシノ先輩」

 

 自分以外の全員の意思が統一され、移動手段まで確保されてはホシノに断りきるという選択肢はなくなってしまった。

 

「……うへぇ」

 

 セラ、最大の天敵が参戦決定した瞬間である──なお、本人のやる気は極めて低いものとする。

 

 

 

 

 

 

 

「ケイ、ヘリの損傷具合は?」

 

「20%と言ったところでしょうか。飛行には問題ありませんが、ダメージは確実に蓄積しています」

 

「ふむ。では進路をサンクトゥムタワーを盾に大きく、南へ傾けてくれ。敵の包囲が薄い箇所を切り抜ける」

 

 敵の対空火器の配備は追い付いてはいないが、高度を落としたのもあり生徒達の神秘を込められた弾丸がヘリの装甲を確実に削っているな。

 普段であれば幾ら神秘を得ている生徒と言えど、上空を飛び回るヘリを撃ち落とすのはそう簡単な事では無いはずだが──

 

“ん?どうかしたセラ?”

 

──やはりヒロイン属性持ちだろう『先生』を守る為に皆が張り切っている影響だろうな。

 

「いや、貴方は気楽で良いなと」

 

“君が拉致したんだよね?”

 

「今後はこれが最善であったと考えても控えるとしよう。毎回、キヴォトスを相手にしていては私の身が保たん」

 

“私のメンタルも保たないからこれっきりにしてね??フリじゃないからね?”

 

「さて、マスコットとの戯れは程々に。アル、疲労の具合は?」

 

“ねぇ、私の扱い酷くない??”

 

 うるさいぞマスコット。

 

「まだいけるわ。でも、向こうもノリノリよ」

 

 聖園 ミカ……トリニティにおける最終決戦兵器か何かと思いたいぐらいに景気良く隕石を落としてくれているな。

 全て撃ち落とし、都市部への被害を避けているアル社長も中々におかしいが、どうにも自分の力を真正面からぶつけても敗北しない此方を見てテンションが上がっているのか、どんどん苛烈になっていく。

 

「……レイヴン9。ミカ嬢を取り押さえる事は可能かね?」

 

『いやぁ……やれると言いたいところだが、レイヴンの大半を燃やして五分か十分保てば今のアイツには良い方じゃねぇか?』

 

「ならば徹底して遅滞戦術で対応だ。それと全治一ヶ月以上の怪我を負った者は撤退させろ。不要な消耗は今後に差し障る」

 

『はっ、相変わらず傭兵の使い方じゃねぇな!!了解した。レイヴン各位、何があっても無事にあんたの元に舞い戻る』

 

「張り切っている気配を感じたから水を差したつもりだったが……逆効果だったか?」

 

 久しぶりに支払いが確約されているであろう仕事とは言え、彼女らが余計に消耗するのは避けたいのだが通信機の向こうから聞こえてきたレイヴン9の声は開始時より、明らかに浮ついていた気がする。

 

「……はぁ、ほんと自覚持った方が良いですよ」

 

「何の事だ……いや、話は一旦ここまでだ。ケイ、速度を全開にし適度な高度があるビルの屋上へ向かってくれ」

 

「分かりました?」

 

 ヘリが加速していくのを感じながら、『先生』の元へ歩いて行きのほほんっとしているところを担ぎ上げる。

 

“え!?何??”

 

「チッ、全く面倒な奴まで狩りにきた。アレなら様子見に徹すると思ったが……大方、後輩に押し切られたか」

 

 状況が飲み込めていない『先生』の押さえ込み、プレナパテスの仮面を被り直す。

 急加速したにも関わらず、此方のヘリの動きを察知していた様に現れる三機のヘリのうち、一台から感じ取れる殺気に舌打ちをこぼす。

 

「……ケイ。アレらに撃ち落とされるなよ。振り切って迎えに来い」

 

「はいはい。分かりましたよ」

 

「アル」

 

「目眩しね?合図をしたら飛び降りて良いわよ」

 

「助かる」

 

 ヘリの扉を開け、風を感じると共にここまで運んでくれた頼りになる面々に振り返る。

 

「では、頼んだぞ諸君」

 

「貴方もね──行きなさい!」

 

 放り投げられた手榴弾をアルの弾丸が撃ち貫き、爆煙が一時的に我々を覆い隠す。

 その間にヘリから飛び降り、ビルの上に着地をするがその音が一つ、多い。

 

「……一応、そっちに合わせてあげようか?『先生』を返して」

 

「嫌だと言ったら?」

 

「別に良いよ──その時は、合法的にお前をボコボコにするだけだから」

 

「ククッ!!ハハッ!!随分と威勢が良いな小鳥遊ホシノ」

 

 今の私がどこまでお前に通用するか楽しませて貰おうか!!




感想やここ好き待ってるぜ!!
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