便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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 ブルアカにハマったので、妄想を垂れ流す作品。設定ガバはきっとある、あの世界難しいよ!


物語の傍観者

「……飽きたな」

 

 黒い椅子と机、その上に広げられ、或いは積み上げられた無数の本達以外に何一つ物が存在していない謎の空間に座す男の低く、言葉通り退屈に満ちた渇いた声が響き渡るとその声に反応したのか、すぐ近くに穴が開くとそこから黒いスーツを纏った黒い影の様な者が現れる。

 

「観察を探求の手段に選んだ貴方らしくない言葉が聞こえた気がしましたが?」

 

 驚きを含む言葉が隣に座している先程の渇いた言葉を発した者──顔の右半分をひび割れた鷹を模した仮面で覆い、残りの左半分を無数の何が描かれているのかすら不明な文字によって覆われており、真っ黒な為か人相を確認出来ないが僅かに目だと判別できる青い瞳が黒服を捉え、変わらず渇いた声で反応を示す。

 

「幾つもの目で数多の枝の先を見て来たが、どれもこれもいずれ辿り着く結末に大差はない……滅びが早いか遅いだけでね。私の力に見合った探求の手段ではあるが、些か変わり映えしない光景を見続けるのに飽きたよ」

 

「そうですか……では、探求をお止めに?」

 

「いや、私もキヴォトスに降りるとしよう。ほら、言うだろう?見ているだけの劇やゲームほど退屈なものはないと」

 

 同胞が消えるのは寂しいが、それも選択なら仕方がないと思っていた黒服の耳にとって、その言葉は正しく寝耳に水であり、思わず隣に座る人物が己の知ってる引き篭もりもとい、面倒くさがり屋なのかとマジマジ見てしまうが、そんな事知ったものではないと立ち上がった『本来、物語に居ないはず』のゲマトリアは軽い足取りで、散歩をする様に──

 

「ではな、黒服。縁があればまた会おう」

 

「ちょ!?」

 

 ──自身の目で捉えた生まれたばかりの世界へと降りていくのだった。

 

 

 

 

 

「はぁー……お腹が空いたわね」

 

 真紅のコートに桃色の長髪がよく映える赤いヘイローの女性──陸八魔アルは、珍しく一人でトボトボと歩いていた。今日も今日とて後先考えない散財の結果軽くなった財布片手に、今日のご飯を確保する為自らが起業()した便利屋68の社員達と街の各店の安売りに手分けして挑んだ為である……その手に何も持っていない事は触れてあげないのが優しさだろう。

 

「アウトローに憧れていた筈なのに、今日食べるご飯にすら困るなんてね……」

 

 便利屋とはその名の通り、なんでもやる悪党なのだが、やる事なす事全てが裏目に出るか、成功報酬しか受け取らない方針の為に出費が嵩むか……その他色々な理由で金欠とお友達のアルは、憧れのアウトローの背中を幻想しながら空を見上げて、キラリと光るものを見つけた。

 

「……はっ!もしかして、流れ星!?アウトローになれます様に!アウトローになれます様に!アウトローになれます様に!」

 

 そこは依頼ではないのかとツッコミたいところだが、彼女本人は至って真剣に空に光った物が流れ星だと思ったのか、凄い早口で三回唱えるとそこで漸くその光が、自分の元へと迫っている事に気がつく。

 

「え?ちょっと待って!?」

 

 慌てて飛び退くアルの目の前に光は着弾し、辺り一面を照らす。

 

「ぁぁぁあ!目がァァァ!?」

 

「……ふむ、こんなところに居るとは予想外だったな。すまない、無事だろうか?」

 

 閃光に目をやられたアルの耳に低い渇いた声が届く。正直それどころじゃないが、涙目になりながら目を開くとそこには、ヒビ割れた鷹の仮面と、びっしりと描かれた謎の文字群、そしてそこから覗く青い瞳をした白衣を身に纏う男性?の姿があった。

 

「……宇宙人?」

 

「外からという意味なら否定はしないが、歴とした人間だとも。あぁ、でも君と違ってヘイローは無いから銃を撃つのはやめてくれたまえよ。そうだな、軽く自己紹介をしておこう。私は、ゲマトリアの『バイステンダー』という。君は?」

 

 紳士的な態度で自己紹介をされ、ゲマトリア?となりながらも名乗られたのなら、返すのが礼儀よねっと乱れた服装を軽く整え、腰に手を当てながら、最高に格好いいと思っているポーズをとる。

 

「私の名は陸八魔アル!金さえ貰えればなんでもするアウトロー、便利屋68の社長よ!」

 

「……ほぅ。アウトロー、実に良い響きじゃないか」

 

「貴方、話が分かるわね!」

 

 キラキラと輝く笑顔でバイステンダーへと詰め寄るアルに、思わず一歩下がってしまうバイステンダー。見るからに怪しい奴の方が圧に負けるという、貴重な絵面である。

 

「あ、あぁ。アウトローなアル社長に頼みたいのだが、私は生憎と居場所が無くてね、君に協力をする代わりに居場所を提供してくれないだろうか?」

 

「ちゃんと社長って呼ばれた……!って、そうじゃなくて……なるほど、居場所が無いのは確かに困るわね……ちょうど良いわ、これから事務所に戻る所だから付いてきて。他のみんなに相談するから」

 

「それはありがたい」

 

 傍観者で居続ける事に飽きたゲマトリアと、アウトローを目指す陸八魔アル。

 本来出会うことのない彼らの出会いは、どの様な物語を紡いでいくのか……それはまだ誰にも分からない。




 彼の居るキヴォトスは、所謂、アプリ世界です。
 
 感想とか待ってます。
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