便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア   作:マスターBT

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新ストーリーはどうでした?正直、第一章なので若干、気を抜いていたのですが思ったよりヘビィかつ面白いものを供給されてビビっております。

あ、キキョウは天井-10で出たので天井してレンゲを交換しました。


心底、面倒な女だなベアトリーチェ

「……ナギサ嬢」

 

「……」

 

“あはは……”

 

 『先生』に全てを任せようと連絡をして私はゲヘナに戻る予定だったのだが、何故か今こうして私は冷や汗をかきながら優雅に紅茶を飲んでいるナギサ嬢の横に座り、補習授業部?の面々を連れて来た『先生』と向かい合う様に座っているのだから不思議の一言だな。

 

「はぁ。本来であれば私はもう帰っている筈なのだが、ホスト強っての希望でこの場に同席する事になった。出来れば穏便な話し合いになる事を期待するよ。私は特別な守りを持たない脆弱な大人だからね」

 

 ナギサ嬢より共有された資料に記されていた名前は確か、浦和ハナコ嬢と白洲アズサだったか。

 この二人はほか二名と違って何やら警戒している様だし小鳥遊ホシノの時と同じく、軽く忠告をしておくぐらいは必要だろうと言葉にしたがどうにもハナコ嬢はキレるタイプらしいな。あの感じ、常に思考を巡らせているといったところか。

 

“それで彼から聞いたけど裏切り者の話だったよね。私は君の作戦には乗らないと伝えた筈だけど”

 

「……包み隠さず話すという事は既にそちらでも共有は済んでいる様ですね。私は皆様の中にエデン条約の締結を阻止する裏切る者が居ると考えていたのですが、こちらの方と話していてもう一つの可能性に辿り着いた為にこの様な話し合いの場をご用意しました」

 

 ピクリと白洲アズサ嬢が身体を震わせた辺り、やはり彼女が何かしらの関与をしているという予想は正しい様だな。

 ナギサ嬢と軽くアイコンタクトをして向こうもアズサ嬢の変化は捉えていた様で、より自身にとっての最悪の想定が色濃くなった事に顔色を悪くしつつ紅茶を飲むペースが上がっていく。

 ……精神安定を兼ねているのだろうが、あまり飲みすぎるとお腹を壊すぞ。

 

「……大凡の話は察しましたけど、先ずは謝罪が先ではないでしょうかナギサさん。ヒフミちゃんやコハルちゃんがどれだけ大変な目に遭っていたのか分からない貴女ではない筈です」

 

「それは……浦和ハナコさん。貴女の言い分も理解しますが、未だ貴女方の疑いが完全に晴れた訳ではありません」

 

「初めから疑わしい私やアズサちゃんは仕方ないとは思いますが、仲の良かったヒフミちゃんが傷付くとは思わなかったのですか?」

 

「ハ、ハナコちゃん……」

 

「……考えなかった訳ではありません。ですが、これも大義の為と割り切りました。それがホストの役割です」

 

 全くもって不器用の一言に尽きるな……気丈に振る舞いどうにか震えを必要最低限にはしているが、彼女らから見えないテーブルの下とカップの裏に隠された親指が震えている。

 リオ嬢もそうだが、些か真面目が過ぎるぞこのキヴォトスに生きる者達は。

 

「そう、ですか……」

 

「やれやれ……この程度の視野も共有出来ないとは次期ホスト候補にもなっていた者とは思えんなぁ?」

 

 悪意は私が引き受けよう、悪い大人だからな。

 

「なっ!?」

 

「何を驚くことがある?私はこの場で、ナギサ嬢の隣に座る事が許されている者だ。この程度の情報共有ぐらいは行なっているとも。さて、そんな事はどうでも良くてだね。浦和ハナコ嬢、君はこの状況で友情を語るがソレとホストとして貫くべき姿は合致せんよ」

 

「……なら誰もが腹の底を探り、騙し蹴落とし勝手なレッテルを貼る事を良しとしろと言うのですか」

 

 私は君の事をほとんど知らないがその苦しげな表情と声で大体の事は察せられる。

 大方、優秀が過ぎるが故に他人から理想の自分を押し付けられ、友達ではなく利用する者として扱われてきたのだろうな。多少の同情はするがそんなものは今こうしてただの一般生徒として過ごせている以上、私が手を貸すのはホストとしての立場に縛られているナギサ嬢だ。

 

「社会、あるいは政治の場においてソレは常識だ。特別、語る様なものではない」

 

「ッッ!」

 

「そう睨むな。浦和ハナコ嬢、言ってしまえば君はまだ子供で居る事が出来ているんだ。役目を背負うというのはな、身勝手に自分一人だけを気にしていれば良い子供に務まる事ではない。ナギサ嬢はホストとしてするべき振る舞いをしただけに過ぎんよ……まぁ、尤も最善を取るのなら早くに『先生』を頼っておく事だったとは思うがね?」

 

 私から見れば浦和ハナコ嬢は人の数倍賢いだけの子供に過ぎん。多少の特別扱いこそあれ、ホストとして貫くべき正義を示したナギサ嬢と同等の扱いはしてやれんさ……さて、何かしら罵詈雑言を受けても仕方ないと思っていたが何やらハナコ嬢が目を丸くしているな何故だ?

 

「『先生』彼女、すっかり固まっているが何かあったのかね?」

 

“えっと……多分、バイステンダー的には罵られても仕方ないって思ってるよね?”

 

「そうだな。私はあくまで大人の論理を話しただけであって微塵もハナコ嬢に寄り添ってはいない」

 

 そもそもそういうのは『先生』の役割であって私には到底、真似の出来ない事柄だっと、何故『先生』まで呆れた視線を向けてくる?

 

“物の言い方は少しだけ気をつけて欲しいなとは思わなくはないんだけど……まぁ、ハナコには刺さる表現だったかな”

 

「それはどういう──」

 

「ふふっ……ふふっ……そうですね。私はまだまだ子供でしたね。ナギサさん、申し訳ありません」

 

 質問の途中で発せられた言葉は妙に明るく、何処か晴れ晴れとした表情を浮かべていて思わず顔を顰めてしまったがその反応すら何か嬉しかったのか微笑みかけられるのだった……なんなんだ一体?

 

「えっと……はい。何がなんだか分かりませんが時間も押していますので、話を再開しますがもう一つの可能性……それは貴女達の中に裏切り者は居らず、私達ティーパーティーの中に居ると言うものです」

 

「……ミカさんが大切な幼馴染を裏切るとは思えませんが」

 

「流石ですねハナコさん……私も信じたくはありませんがその可能性を追っているのです。その為に白洲アズサさん、貴女が知っている事を教えて頂きたいのです」

 

 全員の視線が集まる中、白洲アズサ嬢はゆっくりと何処か観念した様に自分の経歴を話し始めた。

 自身がアリウスから送り込まれた刺客でありその目的はエデン条約に先立ってホストの百合園セイア嬢とナギサ嬢を殺害し、アリウスが介入する隙を生み出すというもの。

 しかし、彼女本人にそれを実行するつもりはなく、寧ろナギサ嬢を守る為に二重スパイとしての動きをしていた。

 そして、彼女が編入する為の手筈を整えたのが──聖園ミカである事を彼女は話した。

 

「……アリウス……という事はあの女の策略か」

 

 白洲アズサ嬢が補習授業部の面々やナギサ嬢、そして『先生』とやり取りをしているのを聞き流しながら脳裏に浮かぶベアトリーチェの顔面をぶん殴る想像をして、一先ず意識を落ち着かせる。

 ホルスの義眼を使い、未来視を軽く行うが使う度に見える光景が切り替わっていくのを見て静かに溜息を溢す……この力は起き得る可能性が高いものから順に映し出すが見る度に変わるという事は、やはりベアトリーチェの奴め私対策として思い浮かぶ作戦を並行して同じ確率で起こそうとしているな。

 

「『先生』」

 

“何かな?”

 

「私はこれ以上、君達に深入りする訳にはいかないらしい。そもそもゲヘナ側の協力者である以上、政治的に面倒を呼びかねない──情報の共有と作戦を急ぎ組み立てるぞ、私はすぐにでもトリニティを離れる必要が出てきた」

 

“分かった。じゃあ、君の作戦を教えて”

 

 私は思いつく限りの策を『先生』へと告げると急足でトリニティを去るのだった。

 ……ヒナ風紀委員長と急ぎ、エデン条約を詰めなければ我々は皆、あの場で死ぬことになる。




どっかでバッドエンド集を出したい……何処で出そうか悩む……

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