便利屋68に降り立つは、傍観者のゲマトリア 作:マスターBT
『システムをハッキング中……はい。無事にこの船のシステムを乗っ取る事に成功しました』
「流石だケイ。だが今はまだ派手に動く必要はないな……目当ての人物を探してくれるか?」
『分かりました。黒崎コユキの捜索を開始します』
「……これ、アタシら必要だったか?」
「わぁ、セラちゃんとケイちゃんで全部解決しそう!!」
「侵入して数分でシステムを掌握するとは……末恐ろしいですね」
「あぁ。味方で良かった」
「周囲に敵影なしです先輩方」
“流石にみんな手慣れてるね”
クルーズ船『ゴールデンフリース号』の機関室にてミレニアム学園が誇る生粋の武闘派集団C&Cの面々と『先生』、そして実績作りの為に再びC&Cに限定加入となったセラとケイの姿があった。
『ゴールデンフリース号』に備わっているファイヤーウォールは最新鋭のものではあったのだが、ケイによるハッキングを阻止出来る訳もなくあっさりとシステムの全てを支配され、目当ての人物を探す間他の面々は辺りの警戒に専念している。
『……見つけました。しかし、一つ障害が』
「ふむ。何かね?」
『この船、バニーガールの格好をしていないと不審者として対応されます』
「……は?」
予想出来ていなかった事柄にセラはポカンと口を開けた……どうして、彼女達がこの場所にいるのかは少し時間を巻き戻し二日前まで遡る。
「久しぶりだなリオ。君の作ったショットガンは実に手に馴染むよ」
「良かった。貴方なら必ず気にいると思っていたわ」
「ククッ、君には世話になってばかりだな。ケイから聞いているとは思うが、私は今セラとしての実績作りに励んでいてな。何か私に手伝える事はあるかね?」
ミレニアム学園のセミナーが所有する教室にて今回は、カヨコのセンスによって革ジャンをゲヘナの改造制服の上に羽織り長い髪を三つ編みにし右肩から前へと流す髪型になったセラといつも通りのリオが対面していた。
『先生』も先程まで一緒だったのだが、ユウカによって拉致され今は別室で話を聞いている。
「これくらい恩返しにすらならないわ……でも、少しだけ我が儘を言っても良いかしら?」
「私に出来る事なら」
「……その、頑張ったから褒めて欲しいわ」
恥ずかしいのか頬を赤く染めてチラチラとセラを見るリオは、その大人びた外見からは想像出来ない程に微笑ましい子供の姿でありそんな彼女が見れる事を望んでいたセラは優しく微笑むと、リオの横へと立ち優しく彼女の頭を撫でる。
「例の一件から忙しくなったであろうセミナーの仕事を熟し、ケイからの急な要請にも応えて君は立派な成果を出した。これは誰にでも出来ることではない……よく頑張ったなリオ」
耳元で囁くセラの声と頭を通して伝わる優しい熱に身を震わせるリオは、のちに『あと五年は戦えるわ』という迷言?を残すぐらいには気力体力共に極まっていく。
数分ほどそんな時間を過ごした二人はゆっくりと本題へと移る。
「元はと言えば私が隠れ蓑に使っていたのも悪いのだけど、貴方にお願いしたいのはC&Cを連れてある人物の捕縛をして欲しいの」
「ふむ」
「目標の名前は黒崎コユキ。セミナーの一人である特筆した才能の持ち主……恐らくケイでも勝てないわ」
『私を引き合いに出すという事はハッキング能力でしょうか?』
「そんなレベルじゃないわ。彼女の手にかかればありとあらゆる電子機器は瞬く間に解除されてしまうの。それも解き方を感覚で理解しているみたいだから、意地悪をして解答中に書き換えても本人は全く焦らずに対処してしまうのよ」
神秘の成せる技と呼ぶべきか……明らかに超常の現象を聞きセラもケイも思わず固まり互いに顔を見合わせるがすぐにどちらともなく、楽しそうなワクワクしている笑みへと変わる。
「それは面白そうだなケイ」
『えぇ。私を超えられるのか試して差し上げましょう』
「……ふふっ、心強いわね。あぁ、そうだった。C&Cの総力を上げて捕縛するからトキも同行するけどよろしく頼むわ」
「了解した。では行ってくるリオ」
「えぇ。いってらっしゃいセラ」
この様なやり取りをしたのち、ユウカから加減する様にと話を受けた『先生』と合流しC&Cの面々共に船に侵入し冒頭へと繋がる。
「まさかバニーガールが指定服とはな」
『ふっ……ふふっ、似合ってますよセラ』
「……笑うなケイ」
あの後、少々手荒な手段でバニー服を確保したまでは良かったのだが、やはりと言うべきか私も着る事になった……青色に統一し、可能な限り露出は控えたものにして貰ったがそれでも普段より素肌を晒しているこの状況は慣れんな。
「ふぅぅ……他の皆は何をしている?」
『アスナさんはゲームで勝利中、他の皆さんは目標をゆっくりと包囲しているみたいですね。貴方が着替えに抵抗している間にかなり状況は進んでいますよ』
「……では私もゲームをするとしようか」
『はぁ。相変わらず意図が読めませんが、ハッキングしますか?』
「私の目があれば勝ちがほぼ決まったゲームもあるだろうさ」
『……つまりイカサマですね?』
「ククッ」
呆れた声を出しているがケイ、君もハッキングを提案しているのだから手段が違うだけで思考はほぼ一緒だという事に気がついているのかね?
まぁ未来を少しばかり覗いた感じ私が居なくてもどうとでもなるが、その後の面倒を減らすのには私が必要なのでな……具体的に言うと、着替えを忘れてミレニアムに戻りまた此処に戻ってくるとかいう手間は避けられる。
それに私は他のC&Cと違って目標に顔を知られていないのもメリットだ。
「ほぅ、賑やかだな」
大元であるオデュッセイア海洋高等学校との繋がりは薄いと聞いていたが、そこかしくから歓喜と悲鳴が入り混じった声が聞こえてくるしパッと見渡しただけでも人だらけで先の方がよく見えないぐらいには人が大勢いるな。
やはり欲望というものを利用した商売というのは客集めとして効果が高い様だ。
「さて……チップの交換レートは……常識的だな。貰おうか」
初手としては二十枚ほど用意しておけば十分だろう。
チップを受け取り、人混みの中を歩きながら真っ直ぐに目当てであるルーレットの空いている席に座るのと同時にゲーム定員となりゲームが始まった。
「プレイスユアベッド」
黒服ロボットディーラーが開始を宣言するのと同時に未来視を使用……なるほど、赤の五番か。
二十枚全てのコインを赤の五番に乗せると僅かに周囲が賑やかになるが、新参のルール知らずと思われた様ですぐに冷笑を向けられた。
「ククッ、愚かかどうかは貴方達の目で見届けると良い」
「ほぅ、お嬢さん。強気だな……興が乗った私も賭けるとしよう」
そんな言葉が横から聞こえると共に小指に金色の指輪を身につけた細身のロボットがチップを置く……ふむ、まさかこんな所で出会うとはな少々、予想外であったな。
「スピニングアップ」
ウィールにボールが投入され、ルーレットが回転を始める。
私と横にいる大物以外が熱の籠った瞳でルーレットに視線を注ぐ中、やはりと言うべきか隣から声がかかる。
「確信がある様だな」
「さぁ?ただの小娘の愚かな行為かもしれませんよ?」
「ふっ……私を前にしてもその落ち着き払った態度でよく言う」
「何処かでお会いしましたかな?」
カラカラと音を立てながらボールの勢いが徐々に弱まっていく中、チラリと横目で見れば同じ様に見ていた隣と視線がぶつかり合いニヤリと笑みを浮かべられる……噂に違わずだな。
「いいや……だが良い出会いであったよ」
カコンっとボールが収まったのは、未来視で見た通りの赤の五番であり私と隣の大物は配当を受け取る。
このまま第二ゲームと思った瞬間、中央にある巨大なモニターに見知った顔が映し出され思わず笑みを溢す。
「やれやれ……アスナ嬢の動きを読むのは無理だな」
『なんとなんと!こちらのアスナ様が、僅か10回目でAランクを獲得!おめでとうございます!このままVIPになるのでしょうか!!』
「えっ!?アスナ先輩じゃん!?ど、どうしてここに……!?」
どうやら事態が動いた様だな。
では私もこれらを元手に更に稼がせて貰うと……ん?
「……引き際も理解していると。流石はドン・アランチーノだな」
既にこの場から消えていた隣人に驚きつつ、護衛に連行されていく『先生』達を視界の端で眺めながらルーレットで荒稼ぎをさせて貰った。
『助けなくていいのですか?』
「私より適任がいるとも」
さて折角ならこの後を盛り上げるために色々と仕込むとしようか……Sランクという治外法権をたっぷり活かしてな。
なんとなくゲスト出演させたドン・アランチーノさん。
謎の強キャラ感漂ってるけど、多分オペラ編を書いた場合、ほぼ扱いは変わらなさそう()
感想やここ好き待ってるぜ
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